「電子書籍ってそんなにいいんですか?」 本を一冊も持たないデジタル派に、元文学少女が聞いてみた【あの人の本棚 Vol.5】

#多様性

23.May.2017

今回「あの人の本棚」に登場するのは、ソフィアでICTシステム構築を主に担当している山口孝弘
ソフィアのICTスペシャリストとして活躍する山口なら、きっと面白い本を紹介してくれるはず!
某日、いつものように取材を申し込んでみた。
「ぜひ山口さんの愛読書を紹介してほしいんです」

「俺さー、本って1冊も持っていないんだよね。全部Kindleで買ってるから」

……なんですと?
その口からは、本をこよなく愛する私には信じられない発言が。
しかも20代の私が電子書籍を使ったことがないのに、40代の山口が電子書籍「しか」普段使わないって……もしかして私、時代遅れ? 電子書籍ってそんなにいいものなの?
そこで愛読書のインタビューは、電子書籍の魅力を探る対談へと急遽変更となったのである――。

山口孝弘

ソフィアのシステム担当。社内のペーパーレス化やリモートワークを推し進めるデジタル黎明期の申し子。山口に渡した紙の書類は、読んだ次の瞬間には捨てられるというウワサ。

岡田耶万葉

ソフィアのメディア制作担当。日本文学部卒、紙の本と古き良きものをこよなく愛する元文学少女。趣味は自室の本棚にある本を、蔵書が増えるごとに並び替えること。

家に一冊も本がない!?

岡田:山口さんは普段、電子書籍で本を読んでいるんですよね。その場合、どうやって本を選ぶんですか?

山口:ネットショッピングと同じ感覚だよ。ランキングを見て、面白そうなものを選んだりするかな。本屋さんみたいに中を見て確認ができないのは不便だけどね。買ってみたら16ページしかなくて5分で読み終わっちゃったり、ひたすらポエムが載っているだけだったりしたことはあるよ(笑)

岡田:えー、それって不便そうに聞こえますけど。紙の本だったらそんなことありませんよ。

山口:もちろん、紙は紙でいいところがあると思うよ。ページの行き来も自由だし、買う前にじっくり内容を吟味できるし。でも紙の本は本棚にしまわなくちゃいけないでしょ。本棚に入ったまま読まなくなって、どんどん溜まっていく。その不便さと電子書籍の不便さを秤にかけて、数年前に「家にある本は全部捨てよう、電子書籍にしよう」と決めたんだよね。

岡田:家に一冊も本がないんですか!?(ガクゼン)

山口:あるのは漫画と娘の教科書くらいかな。

岡田:実は私、まだ電子書籍を使ったことがないんですけど。あれってどんな仕組みなんですか。

山口:俺はAmazon Kindleを使っているんだけど(電子書籍を取り出す)、カバーを開けるとスイッチが入って、読みかけのページが開くんだよ。ホーム画面に戻ると本の表紙がいっぱい並んでいて、自分の好きなものを選べるようになっている。めくるときは画面をクリック。紙の本みたいに重たくないし、電車でつり革につかまっているときでも、片手で読めるのがいいよね。「次に何を読もうかな」と迷っているときもすぐ探せるし、本屋さんが閉まっている時間でもすぐに本が買えるよ。

岡田:うーん、確かに読むだけだったら電子書籍のほうが楽かもしれません。私は紙の本が本棚に並んでいるのが好きですけどね! 本を買わないということは、本屋さんにも一切行かないんですか?

山口:行かないね。

岡田:信じられない……。逆に私は、図書館や本屋さんにいるのが大好きなんですよ。いったん本屋さんに入ると、最低30分はお店から出てこられません。

山口:それ、30分間も何を見ているの?

岡田:タイトルをぐるーっと見て回りますね。面白そうな本は手にとって、あらすじを見て、買うか買うまいか迷って……の繰り返しです。

山口:でも、それだったら電子書籍でもいいかもしれないよ。インターネットショップ上にもずらっと表紙が並んでいるし、概要までは見られるから。

岡田:(ぐぐ、確かに……)

山口:ただし、読んでみたい本が電子化されないことはある。まだ母数としては圧倒的にリアル書籍のほうが多いよね。

本への「期待値」が違う

岡田:電子書籍で、実際にはどんな本を読むんですか。

山口:読書は基本的に息抜きのためのものだから、仕事のために本を読んだりはしないかな。知識を得たいときはインターネットで調べるね。最近は世の中の流れが速いから、逆に本の知識のほうが遅くて、ネットで調べたほうが正しい情報が出てくる。例えばPCの設定について調べるときに、本を買ってやってみようと思うと、掲載されている画面キャプチャがすでに古くて使い物にならなかったりするんだ。だから普段は、寝る前に小説を読むくらいかな。

岡田:どんな内容のものがお好きなんですか。

山口:自分自身にまったく接点のない世界のものが面白いな。平均して月に2~3冊読むんだけど、寝る前にいったん頭をクリアにするためなんだ。寝る前にいろいろと思い悩んでいると、眠れなくなってしまうから。電子書籍は紙の本と違って、線を引いたり付箋を貼ったりできないんだけど、勉強のための読書ではないから、俺は電子書籍で十分だよ。

岡田:でもやっぱり、リアル書籍にはリアル書籍の良さがあると思います。文庫ではみんな均一ですが、ハードカバーでは装丁の紙質も違うし、手触りや箔押しの工夫もあって楽しいですよ。

山口:何だかそれって、本への期待値がすごく高いよね。本の読みやすさや内容だけでなく、大きさや手触りも本の価値として含まれているわけでしょ。

岡田:「その期待に応えてくれなければ読まない」というわけではありませんし、文庫本も買いますが、評価軸のひとつではありますね。

山口:なるほど、だからハードカバーがいつまで経ってもなくならないんだね。俺の立場からすると、ハードカバーはすごく不思議な存在。読むだけだったら文庫でも同価値なのに、ハードカバーであるというだけで値段が倍くらい違う。自分だったら絶対買わないよ。

岡田:たいていの本はまずハードカバーから発売されるんですよ。そこから人気の出たものが文庫化するという流れが多くて、文庫になるまで1~2年は待たなければいけないんです。だから「最新作をすぐに読みたい!」という時間的なバリューもあると思います。

山口:今までの本の楽しみ方って、だいたい2種類に分けられるよね。やまはちゃんのようになるべく早く、本自体の価値も含めて楽しみたいハードカバータイプと、中身重視だけれど所有欲はある文庫タイプ。電子書籍はどちらとも違う、新しい本の楽しみ方かも。

岡田:なるほど。電子書籍タイプはどんな楽しみ方なんでしょうか?

山口:電子書籍にはハードカバーのような存在感もないし、文庫本のように所有欲も満たせない。今読みたいものを、今読む。そんな刹那的な楽しみ方だと思うな。

岡田:そう考えると、電子書籍って情報がどんどんタイムリーになって、すごいスピードで消費されていく現代の流れをよく表していますね。今後AI(人工知能)が発達したら、もっと「今読みたいもの」が大事になってくるのかも。自分で探さなくても、私たちの感情や行動パターンに応じて、AIがおすすめの物語や情報を出してくれる。必要な情報はいつでもそばにある状態になったら、本の形もまた変わってくるかもしれません。

今回の対談を通して、本と情報の変化スピードに思いを馳せた私(岡田)。
涼しい顔でKindleを抱える山口(↓)を見ながら「うーん、今のうちに電子書籍も経験しておこうかな……」と思うのでした。

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この記事を書いた人

岡田 耶万葉

組織内の人々の心をつなぎ、前に進むエネルギーを生み出すコンテンツ作りを精一杯お手伝いいたします。