未来小説2118 ~1.ネオソフィアのゲンキな日常~

#コミュニケーション#メディア&コンテンツ

15.Jan.2018

100年後の日本を舞台に、コンサルティング会社「ネオソフィア」が組織の課題に挑む!
ソフィアの若手メンバー発案・執筆により、本業の枠を越えて、SF小説の連載を始めてしまいました。いよいよ本編です。お楽しみください。
※続きはメンバーの気が向いたら公開されます

1.ネオソフィアのゲンキな日常

2118年――それは地球上のあらゆる人と文化が国境を越えて混じりあい、ついには人類が火星に進出した未来。

「おはようございまーす!」

顔認証でロックを解除し、田中ゲンキは勢いよく会社のドアを開けて挨拶した。
年末年始の長い休みでしっかりリフレッシュしたあと、青空のもと出勤というのは実に気持ちがいい。まあ東京のような都市の場合、計画的に天気がコントロールされているから、平日はたいてい晴れなのだが、それでも嬉しくなってしまうのが生命の神秘というやつだ。

間仕切りのない広いオフィスのあちこちから、挨拶が返ってくる。新年始まったばかりの会社には、すでに半分以上の社員が出社していた。

「フェリス アニョ ヌエボ(あけましておめでとう)、ゲンキ!」

「やあ、ダリオ。あけましておめでとう」

ウィーンと車輪の音を響かせて寄ってきた業務サポートロボットのダリオに手を振る。スペイン製なので、テンションが高いとスペイン語が多くなるのだ。もちろん、ダリオはすべての言語に対応しているので、これは開発者の粋な計らいにすぎない。最近は日本でも言語のミックスが進んでいて、普通の人でも三ヶ国語プラス地球公用語くらいは話せるのが当たり前だ。

「よう、ゲンキ」

「遠田さん、今年もよろしくお願いします」

すれ違った営業の遠田に答えながら、空いていた席に荷物を置いて、テーブルの端に手をかざす。これで今日の席登録は完了だ。

『ゲンキくん、おはよう』

向かいの席にふわりと女性の3次元画像が立ちのぼった。リモートワーカーの佐尾だ。ときおり、後ろで子どもたちがきゃっきゃと騒いでいるのが聞こえる。

「佐尾さん、おはようございます」

うっすらと透けている等身大の佐尾が、『休みはどこに行ったの?』と笑顔で聞いてくる。

「副業のほうでちょっとバングラデシュまで」

『あ、NPOに入っているんだっけ?』

「はい、移民の支援をする団体なんです。文化の違う人と交流するのは楽しいですよ。佐尾さんもどうですか」

『いいね。それって火星在住でも入れるかな』

「いけますよ、たぶん」

佐尾は現在、火星のマルスピア(地球人用の人工都市)に夫と子ども3人と一緒に住んでいる。何でもここ半世紀ほど、火星の環境整備はすごいスピードで進んできているらしい。らしい、というのは現在30歳のゲンキが生まれた頃には、もうすっかり環境整備は終わって火星への移住が始まっていて、開発される前の状態を知らないからだ。子育てと教育のサポートがとても手厚いとのことで、佐尾は3人目が生まれた3年前から火星に移住して、リモートワーカーとして働いている。彼女だけでなく、この会社――ネオソフィアの社員は、3分の1ほどが完全なリモートワーカーだ。

ゲンキは佐尾と雑談をしながら、スマートスティックを取り出してスイッチを入れた。ゲンキの両親の世代まではタブレットというまな板みたいな機器もかろうじて流通していたらしいが、今じゃ博物館レベルだ。最近はもっぱらこの、人差し指くらいの四角い棒状の機器が使われている。スイッチが入ると、スマートスティックから光が上下にあふれ出し、空中と机の上に光タッチパネルを映し出した。

ログインしてメッセージをチェック。さすが年初、山のようにメッセージが溜まっている。ゲンキは緊急度を第一希望にして、スマートスティックにメッセージの選別を指示した。

「そろそろ社長が来る頃かな」

光タッチパネルの左上に、『次の予定まで1分』とポップアップが表示されるのを見て、ゲンキはそわそわと入り口のほうへ視線を送った。今日はまずこの会社の代表である瀬又社長から年頭挨拶があるはずだ。そしてその中で、ゲンキがずっとかかわってきたプロジェクトの重大発表があるのだ。

第2回へつづく

※このストーリーはすべてフィクションであり、現在各機関で発表されている未来予測にもとづくものではありません。

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