「組織における、これからのデータ×リアルについて考えてみる」(中編)

#ラーニングデザイン#研修・ワークショップ

25.May.2016

マーケティング活動において顧客や市場のデータを利用することは今や当たり前で、ビッグデータの活用に力を入れる企業も増えている。 

今後、そういった動きを受けて、組織内のコミュニケーションにおける「データ」と「リアル」はどのように形を変えていくのだろうか。研修プログラムの開発や研修・ワークショップの講師・ファシリテーションを担当し、ソフィアのCHO(Chief Human Officer)でもある平井豊康と、インナーブランディングの現場でデータを用いたプロセスマネジメントにあたっている、シニアコミュニケーションコンサルタントの築地健、この2人はどのように考えているのだろうか。 

前編はこちら 人と組織が「元気」な状態って? 〜キーワードは「選択」と「没入」〜

中編:「データフィードバック」で、研修や教育の場が変わる! かもしれない

―前編ではお二人が考える「元気」について伺いました。エンゲージメントの向上や組織変革のため、弊社ではさまざまなデータを活用していますが、そもそも「データ」という言葉で思い浮かべるものって人それぞれですよね。私たちが専門とする組織内コミュニケーションにおいて、データって一体何なんでしょうか。そしてこの先どのようなものになっていくのでしょうか。 

築地:うーん。まず、ソフィアで扱っている主なデータといえば、従業員アンケート調査の結果や従業員インタビューの結果、それにイントラネット、Web社内報やエンタープライズソーシャルの各種ログデータなどでしょうか。これらはどれも「現状、組織内で何が起こっているのか」「今この人たちが何を考えているのか」「従業員たちがどのように情報を取得しているのか」といった、「今≒現状」を客観的に見るためのものですよね。インナーコミュニケーションやインナーブランディングについて課題を持って、弊社に相談に来られるお客さまは、実は組織の「今」を知らないまま、組織が「将来どうあるべきか」を考えていることが多いんです。将来像を検討すること自体はとても前向きなことだと思いますが、理想ばかりが一人歩きしてしまうと担当者の方々もツライので、まず「今」を知るためのデータを集めることを提案しています。

データ

平井:瞬間瞬間がデータとも言えますね。何事も、現状に対するリフレクション(振り返り)がないと前に進まないんです。実は私自身、リフレクションがとても苦手なのだけど、だからこそリフレクションの大切さはわかる。自分の子どもや会社の後輩には「一日をしっかり終わらせなさい」とよく言っていますね。

―「一日をしっかり終わらせる」というのはどういうことですか? 

平井:その日を振り返って、ちゃんと終わらせるという意味。一日をボーっと過ごしていたら、瞬間瞬間をちゃんと感じられないから振り返りもできない。

―なるほど。 

平井:ただ、瞬間瞬間の自分の状態って、自然体ではなかなか自分で気付けるものではないんですよ。だからこそ、自分がどんな状態なのか周囲の人からフィードバックをもらうことが気付きにつながる。研修でロールプレイングを行って、その様子を撮影した動画を後で見るだけでも得るものは多いですよ。今後はITを使って、自分の状態をリアルタイムで客観的にみられるような仕組みが増えていくと思います。

―でも、自分を客観的に見るのって、ちょっと嫌ですよね。 

平井:人は自分の現実を直視するのが怖いものです。現実を見ることにはストレスが伴います。私だって、自分がファシリテーションしているビデオなんて見たくない(笑)。でも、現実を突きつけられて「逃げられない、どうしよう」という状態を自ら作り出すことは、大きな成長につながる。自分で自分の振り返りをすることは難しいけれど、それを助けるものとして「データ」を役に立てられないかと思うんですね。

築地:他方で、データって「疑われる」宿命にありますよね。本当にそのデータは適当なのか、正しいのか、他にも何かないか。その点でいうと、研修などリアルの場には伝える側と受け取る側の緊張感というか、場の熱気のようなものがある。データを伝える側の想いが届きやすいですし、又、データを受け取る側の疑問もその場で解消できる。「他の人はどう思っているんだろう」という疑問も、その場で解消されることが多い。そのためか、リアルの研修の場でデータフィードバックを行うのと、単に同じデータをイントラネットに掲載して、見ておいて下さいとするのとでは天と地の差があるように感じます。

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平井:データは、可視化する時点で必ず誰かの意図が入るからね。たとえば組織開発においては、診断結果は生のデータのままで出すという考え方をしています。解釈を入れない。しかし、すべてのデータをそのまま報告してもなかなか相手には伝わらない。だから何らかの前提(モデル)に基づいてデータを整理するのだけど、その前提というのは、実はなんらかの「正解(あるべき組織の姿)」があっての前提なわけで、その「そもそもの正解」は本当なのか?じゃあ、正解はだれが決めるのか?といったジレンマに直面します。

―そんなときはどうするんですか?。 

平井:そうした背景から、対話を通じた気付きを生むプロセスをとることが多くなってきています。関係者に共通する経験をベースとし、ダイアログを行いながら意思決定を行うというプロセスを大切にする。

築地:そこで話されたことも、いわばひとつの「データ」です。極端な話、ダイアログの場にすべての関係者が参加していなければ、話された内容自体が本当なのかどうか疑われてしまうことさえありうる。ともあれ、私たちのお客さまは、常にデータの示し方、合意の作り方で苦心されています。お客さまに寄り添い、組織の合意形成を手助けするものとして、データだったり対話の場だったり、さまざまなツールや機会を提供するのも私たちの仕事ですね。

次回は、後編:「対話とデータって実は補完関係。「合意形成」でダイナミックな変化を生み出す」をお届けします。(2016年6月1日公開予定)

ソフィアメンバーの「私たちが大切にしつづけること」とは?

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