INTERVIEW

お客様インタビュー

お客様インタビューvol.4
「社員の『好き』がお客様に届くまで ライオン株式会社 ブランド浸透度調査」

ライオン株式会社
コーポレートブランド推進室
室長 小笠原俊史さん(写真左から2人目)
主任部員 西本博昭さん(写真左から3人目)
株式会社 ソフィア
森口静香(写真いちばん左)
小林裕大(写真いちばん右)
インタビュアー:廣田拓也
事例集をダウンロードする

インタビュー実施日:2017年5月10日

ライオンでは2011年に創業120周年を迎え、2012年より新たに経営ビジョンと企業メッセージ(スローガン「今日を愛する。」)を導入しました。その後、企業メッセージの浸透を中心としたインナーブランディングに力を注ぎ、2016度は通期決算で過去最高の売上と利益を達成しています。
ソフィアでは、同社が年1回実施する「コーポレートブランディング活動に関するアンケート調査」の支援を行ってきました。
担当者のおふたりは、穏やかな口調ながら自社ブランドへの熱い思いを語ってくださいました。

100年後、200年後に何を残せるのか

インナーブランディングに注力するようになったきっかけは何でしたか

小笠原さん
ソフィアさんと初めてお会いした2011年は、ちょうど新しいビジョンや企業メッセージの打ち出し方を検討している時期でもありました。当時は経営計画がなかなか達成できず、売上も横ばいでした。改革には色々と取り組み、社員も頑張っているのに、成果が出ませんでした。
ちょうど創業120年にあたるときで、「私たちはこれからの100年、200年に向けて何か残していくことができないのか」と悩みぬいた結果、思い切って原点に戻ろうと決めたんです。売上を追うばかりではなく、もっと「ライオンという会社は何のために存在しているのか」という存在価値やアイデンティティを確立し、お客様に届けるために社員一丸となって変わっていく必要があると思いました。当初は思うようにいきませんでしたが、根気強く取り組むうちに業務体制や仕事の仕方が変わり、ヒット商品も出るようになってきました。

お客様にライオンの価値を理解いただくためには、社員にもそれに共感してもらうことが大事だったということですね

ライオン株式会社の小笠原俊史さん

小笠原さん
はい。当時は社内の事情に流された仕事をしてしまいがちで、スピード感や組織間の連携にも課題がありました。私たちは「今日を愛する。」を旗頭にして、私たちがやるべきことを確認しよう、社員がそれぞれの力を発揮し、チームライオンとして取り組んでいこうと発信し続けました。以前コーポレートブランディングの推進は広告部門の管轄でしたが、会社を本気で変えるきっかけにするためにも、社長が率先して旗を振り、企業メッセージに基づいたさまざまな取り組みも行いました。
西本さん
社長のコミットメントにより、全社で取り組むんだという気運が明確になったと思います。ライオングループ全体では、主力商品とは違うものを取り扱う社員もいます。私も以前の部署では食品の営業をしていましたが、そのときに「何でライオンがこんなものを売るのだろう」と違和感を覚えたこともありました。商品を通してお客様へ提供している価値とライオンを結び付けられていなかったんですね。今ならそうはなりません。

長年取り組んできて、社員へのブランドの浸透度・共感度はどう変わりましたか

小笠原さん
まだ課題はあるものの、調査の数値としては理解度がかなり高まっています。
西本さん
当初、現場では挑戦・変革という言葉に対して少し抵抗感もあったんですが、最近は「それは本当に挑戦といえるのか」「過去の焼き直しではないか」といった会話が多くなり、一人ひとりの姿勢が変わってきたのを感じます。
小笠原さん
全体の目標と各個人の行動とが上手くリンクするようになってきたと思います。

価値が社員を通して広がっていく

「長期で取り組み続けること」「トップが諦めないこと」は、組織を着実に変えるためには不可欠ですね

小笠原さん
取り組み始めてから5~6年が経ち、最近は生産現場のパート社員の方々の間でも、会社の取り組みに対して関心が高まってきたんですよ。それが見えない底力になっていると思います。生産現場が変わり、生産効率が上がるとコストが下がり、それを糧に新しい取り組みをすることができます。それがまたプラスの影響を生むんです。

ライオン株式会社の西本博昭さん

西本さん
先日、ある商品のブランドマネジャーが、私に対して「『THE・今日を愛する。』を作ります」と言ってきたんです。それは生活者の大切な今日を応援したいという企業メッセージ「今日を愛する。」に沿ったものでした。これを全社に共有したところ、他の社員から「泣いた」「ライオンにいてよかった」という反応があったんです。「今日を愛する。」が社員に腹落ちし、社員から生まれたものによってさらに広がっていくことが、とても嬉しいです。対象商品は好調で、こうした取り組みが今後全社に拡がるといいなと思います。
森口
西本さんに以前紹介いただいたこの動画は「子どもが歯みがきを嫌がるのは、お母さんが怖い顔をして仕上げみがきをするから」という内容なんですが、ものすごくライオンらしいなと感じました。最初に皆さんにお会いしたときに、人間として社員を大事にする会社だなと感じたのですが、そのまなざしがお客様にも向けられているのだと思います。
西本さん
ライオンの価値を社員自身がわかっていないと、お客様にも伝わらないので、社員への浸透にはとてもこだわっています。ただ私たちの肌感覚では、実際の浸透度を測るのは難しい。そうした意味で調査を行うことが必要だったんです。

社内コミュニケーションの武器になる調査

弊社では2013年からコーポレートブランディング活動に関するアンケート調査の支援をさせていただいていますが、なぜソフィアを選んでくださったのでしょうか

小笠原さん
お仕事が始まるまでの1~2年、色々と情報交換をしたり悩みを聞いていただいたりして、知らないうちにソフィアさんのペースに巻き込まれていましたね(笑) 印象に残ったのは「社内の意識をどう変えていくか」という点での引き出しの多さです。実戦にもとづくノウハウがあるからこそ、助けてもらえるのではないかと思いました。さらに嬉しかったのは、ライオンのことを好きになってくださったこと。私たちの価値観を理解して踏み込んで「一緒に悩みごとを考えていきたい」と言っていただいたときに、この人たちとなら頑張れそうだと思えました。
西本さん
私たちは現状を変えていきたいから調査をします。そのためには、結果の深堀をしていかなければいけません。ソフィアさんの調査はきちんと生きていて、社内とコミュニケーションを取る上での武器になっています。こちらから深堀を依頼し、一緒に検討していただいた情報によって、現場の納得を得られ、理解を促進できることが増えているんです。毎年調査結果をフィードバックする相手の反応がどんどん変わってきています。

今後どのように取り組みを進めていく予定ですか

小笠原さん
社員はもちろん、当社にかかわってくださる方にも「ライオンがいいね!」と好きになっていただけるようになりたいです。しかし現状を見ると、まだまだ課題もあります。真のチームライオンとして連携し、部門や役職に関係なく話し合い行動する風土を作り上げるには、時間が必要です。経営や社員と話をしながら、じっくりやっていきたいと思います。
小林
好きになってくれる、とおっしゃいましたが、他の会社は「意識を醸成する」というようなトップダウンの言い方をするところも多いですよね。その姿勢の違いが、もしかしたらライオンの強みなのではないでしょうか。
小笠原さん
好きにさせようとしてできるものじゃないですから。主人公は私たちではありません。最終的に当社の商品やサービスを利用してくださるお客様です。それに向けて頑張っていくという当たり前だった創業の精神を、私たちは今もう一度見直しているんだと思います。

ソフィアに対するご意見、ご期待があれば教えてください

小笠原さん
これから次のステップに進もうとする中で、悩みもあります。今は調査でお手伝いをいただいていますが、正直調査だけのお仕事をしている意識はありません。次のステップのご提案をもっといただけるといいですね。
西本さん
森口さんと話していると、どこに課題があるのかを見つけようとじーっと見られている感じがしました。熱意を感じる目でしたよ。ぜひあの目で今後も私たちを見ていただければと思います。

ライオン株式会社の小笠原俊史さんと西本博昭さん

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