インターナルコミュニケーション

偽情報の時代にどう立ち向かうか — コミュニケーターたちが語る対策”信頼構築” 世界のインターナルコミュニケーション最前線⑦

昨今のインターネットとSNSの普及は、私たちにかつてない情報の自由をもたらしました。しかし同時に、誤情報(Misinformation)や偽情報(Disinformation)、さらには事実を文脈から切り離して悪用する悪意情報(Malinformation)が、企業活動や社会全体に深刻な影響を及ぼすようになっています。

こうした課題にコミュニケーターはどう立ち向かうべきか。ビジネスコミュニケーションの国際団体IABCの「Circle of Fellows」第115回では、経験豊富なコミュニケーションの専門家フェローたちが議論を交わしました。その知見には、私たちがこの難題に向き合う上での多くのヒントが詰まっています。

この記事では国際団体IABCによるディスカッションの内容をもとに、今コミュニケーターに求められる、”否定する力”より”信頼を育てる力”について詳しく解説していきます。

自社の偽情報対策チェック
以下の質問に答えて、あなたの組織の準備状況を確認してください:

  • 社内で誤情報・偽情報の対策方針が明文化されているか?
  • 緊急時の情報発信フローが整備され、関係者に共有されているか?
  • SNSモニタリングツールを導入し、定期的にチェックしているか?
  • 社内インフルエンサー(影響力のある社員)を把握し、関係を築いているか?
  • 第三者機関や業界団体との連携体制があるか?

3つ以下の場合は要注意。今すぐ対策の検討を始めましょう。

【誤情報・偽情報の現状】なぜ今、偽情報が企業にとって重大なリスクなのか

「拡散する心理」「確かめない習慣」——人間のバイアスと拡散のメカニズム

⇒ 企業イシューへの波及例(炎上・風評・レピュテーションリスク)

「かつては新聞などマスメディアが情報の源でした。しかし今は、誰もが小さな放送局のように情報を発信できる。」とBrad Whitworth氏は語ります。SNSの台頭により、情報の門番は存在しなくなり、訓練や規律、許認可を経ずとも誰もが大量の情報を発信できる時代となりました。

誤情報・偽情報・悪意情報:3つの”情報の罠”とは?

ここでは「誤情報(Misinformation)」「偽情報(Disinformation)」「悪意情報(Malinformation)」について詳しく見ていきましょう。
いずれも事実とは異なる点においては同じなのですが、それぞれには明確な違いがあり、対応の仕方も異なります。

誤情報(Misinformation)

意図せずに間違った情報を広めてしまうこと。悪意はなく、単なる勘違いや早とちり、情報の未確認によって広まるのが特徴です。

:古いニュース記事が現在の出来事としてSNSでシェアされ、「今、事件が起きている」と誤解を招く。

企業リスク:誤った製品情報やFAQが社内・社外で引用され続け、顧客対応や営業に支障が出る。

偽情報(Disinformation)

意図的に虚偽の情報を作成・拡散する行為。目的は、特定の個人や組織を傷つけたり、世論を誘導したりすることにあります。

:競合企業が裏で仕掛けたデマ投稿や、企業ロゴを偽造したリコールの噂話がSNSで拡散される。

企業リスク:レピュテーション低下、株価への影響、不信の連鎖が引き起こされる。

悪意情報(Malinformation)

事実ではあるが、文脈を歪めて悪意を持って利用される情報。情報そのものは真実でも、それを不適切なタイミングや意図で公開・強調することで被害を及ぼします。

:画像の一部を切り抜き、あたかもそう見えるように強調してSNSで拡散させる。

企業リスク:誤解による批判に対する火消しのコストとリスクが企業価値を損なう危険。

この3つの違いを認識し、発信・共有前の確認プロセスや社内教育に組み込むことで、企業としてのリスク耐性を高めることができます。「情報の質」は「信頼の質」に直結する時代——今、コミュニケーターには、情報の真偽を見極める力と同時に、正しい情報を組織内に広める力が求められています。

日本企業でよくある3つの誤情報リスク製品・サービスに関する根拠のない噂
例:「〇〇社の商品には危険な成分が含まれている」「××の技術は実は環境に悪い」
→ 技術的な専門知識が必要な分野ほど、間違った情報が拡散されやすい人事・労働環境に関する憶測
例:「大量リストラが決まった」「ブラック企業だ」「給与未払いがある」
→ 従業員の不安や転職市場での風評被害につながりやすい企業の社会的立場に関する誤解
例:「政治的偏向がある」「特定の社会問題に対して無責任」
→ ESG経営やコンプライアンスの観点で深刻な影響を与える

情報の門番なき時代:誰でも発信でき、拡散されやすい環境

こうした状況下では「多くの人が誤情報を安易に拡散してしまう」とGeorge McGrath氏は指摘します。「精査しようとも思わない。むしろ倍加させて、問題を増やしてしまう」と厳しく現状を批判します。

情報を受け取るだけでなく、「偽物が本物にそっくりに作れるようになった今、本物と偽物の見分けがますます難しくなっている」とJuli Holloway氏は、さらに危機感を示します。

加えてAlice Brink氏は「自分の思い込みや偏見を裏付ける情報だと、人は確認する必要を感じなくなる」と、人々の心理的な弱点を指摘します。

【偽情報を見極める力】コミュニケーターに必要な「見抜く力」

クリティカルシンキングをチーム全体で持つには

「情報源を批判的に評価し、決して額面通りに受け取らないことが重要だ」とBrad氏は言います。それこそがクリティカルシンキング(批判的思考)の核心です。また「メディアには右派・左派などの偏りがある。反対側の意見も探し、バランスの取れた視点を持つことが大切」とBrad氏は続けます。

Alice氏は、「確認する時間がないなら、共有する時間もあってはならない」と警鐘を鳴らしています。情報を発信する前に、一度立ち止まって真偽を確かめるべきだという厳しいメッセージではないでしょうか。

このことからも、情報の鮮度よりも真偽を確かめることで後々起こりうるインシデントを回避するため、初動が重要であると言えます。 また、「確認できないならシェアしない」原則の徹底を社内の共通認識として浸透させることも有用です。

社内向け情報リテラシー研修の進め方ステップ1:現状把握(1週間)

  • 簡単なアンケートで社員の情報収集習慣を調査
  • よく使う情報源、SNSの利用状況、偽情報体験を聞き取り

ステップ2:基礎研修(2時間×2回

  • 1回目:偽情報の種類と見分け方(具体例を使った演習)
  • 2回目:社内外での情報発信ルールと緊急時対応

ステップ3:継続フォロー(月1回)

  • 最新の偽情報事例を共有するメルマガ配信
  • 四半期ごとのミニテストで知識定着を確認

SNSで情報を見るときのチェックリスト例

「怪しい」と思ったときの初動対応

  • 社内の広報・法務・リスク管理チームにすぐ連携
  • スクリーンショットを取得して記録保存(削除や改変に備える)
  • ファクトチェックサイトやリバースイメージ検索で確認 (例:Snopes、FactCheck.org、Google画像検索、InVID(動画検証)など)

SNS上で流れてくる情報の真偽を判断するためのチェックリストは、企業のコミュニケーターにとって「即時対応」と「誤拡散防止」の両面で非常に役立ちます。以下はそのための実践的チェックリスト例です。

SNSで情報を見るときのチェックリスト(企業コミュニケーター編)

  1. 投稿内容の信頼性を確認する
    • 情報の出所(発信者)は誰か?公式・公的機関か、匿名ユーザーか?
    • そのアカウントは本人確認済み・認証済みか?(例:Xの青バッジ)
    • いつ投稿された情報か?古い情報が再投稿されていないか?
    • 記載されている事実や数値は検証可能か?リンクや出典が明記されているか?
    • 画像や動画は加工・偽造・誤用されていないか?(例:画像検索で逆引き確認)
  2. 感情的・偏った構成に注意する
    • 過度に感情的(怒り・恐怖・煽り)な表現が使われていないか?
    • 「〇〇が絶対悪い」「真実を隠している」などの二極化表現が多くないか?
    • タイトルや見出しと中身に食い違いはないか?(クリックベイトの可能性)
    • 自分の意見や立場に都合のいい情報だけに飛びついていないか?(バイアス確認)
  3. 情報の “広がり方” をチェックする
    • 同じ情報を複数の信頼できるソースも報じているか?(クロスチェック)
    • その情報はどのように拡散されているか?同じ文面で多数投稿されていないか?(ボットの可能性)
    • コメント欄に反証や警告が投稿されていないか?(=有識者のファクトチェック)
  4. 企業コミュニケーターとして考えるべきこと
    • その情報を共有・反応することで企業にどんな影響があるか?
    • 自社・関係者が関与している可能性はあるか?即時対応の必要は?
    • 誤った情報を共有・拡散した場合のリスクと回復の手順を把握しているか?
    • 情報が真実だった場合、公式見解の準備は必要か?

【企業コミュニケーションの課題と対策】信頼は日々のコミュニケーションによって育まれる

関係性の資本ともいえる信頼

こうした時代において、最も重要なのは「信頼」です。
Alice氏やBrad氏は、「信頼は、私たちが社員や顧客、そしてコミュニティに属するあらゆる人たちと築いてきた通貨のようなもの」と語っています。

信頼は「通貨」であり「備え」です。こうした土台があるからこそ、企業に対し期待や継続的な支援といった行動につながるのではないでしょうか。
もし過去にそれを築いてこなかったとしても「遅すぎるということはない」とAlice氏は力を込めます。

社内外の「信頼ネットワーク」を意識的に築く

信頼を得るためにとるべき行動は2つあります。1つは第三者コメントを活用すること、2つめは社内インフルエンサーの関係を確固たるものにするものです。
Alice氏は「情報源の信頼性という観点から第三者にコメントしてもらうことはとても有効」と語り、George氏も「信頼できる第三者を巻き込むことが大切」と呼応します。

社外のアライは、中立的な立場から情報を発信するという点において非常に価値のある存在です。どちらにも肩入れせずあくまで公平性を重んじ、純粋なレビューを発信します。玉石混交の情報が溢れる現代には貴重な意見だと言えるでしょう。

また、社内のインフルエンサーとの関係構築もおろそかにしてはなりません。Juli氏は、社外だけでなく社内における影響力のある人々、インフルエンサーの存在の大切さを強調します。
「影響力を持つ人々と強い信頼関係で静かにつながっている必要があります。それは正式な組織かもしれないし、非公式な集まりかもしれませんが、周囲の声をよく聴き、社内で誰が信頼されているのかを把握し、その人たちの影響力を活用し、正しい情報を持ってもらうことが重要です。
その人たちにメッセージを伝える手助けをしてもらう。そうすることで、もし何かが起きたときに”味方”になってくれる人たちがいて、その人たちがあなたを信頼し、あなたも彼らを信頼できる状態を作っておく。それによって、彼らが情報伝達の媒介役になってくれるんです。」

また、Alice氏は「ソーシャルメディアは慎重に扱うべきだが、無視するのではなくモニタリングし、そこで可視化される存在であるべき」と指摘し、企業の迅速な対応力の必要性を説きます。

社内インフルエンサーマップの作り方

    1. 影響力のある社員を特定する
      • 各部門で「相談されることの多い人」をリストアップ
      • 社内SNSやチャットでよく発言・反応される人を調査
      • 新人研修や部門横断プロジェクトでキーパーソンとなる人を把握
    2. 関係性マップを作成する

      部門 キーパーソン 影響範囲 連携レベル
      営業 [名前] 営業部全体 定期連絡
    3. 定期的な関係構築
      • 月1回の1on1ミーティング(15分程度)
      • 重要な情報の事前共有と意見交換
      • 緊急時の連絡体制確立

【AIと最新テクノロジーの可能性】テクノロジーの光と影:AIは味方にも敵にもなる

AIで情報の真偽をフィルタリングする実践例

フェイクニュース対策の最前線

AIは膨大な情報をリアルタイムに処理し、誤情報や偽情報の検出・排除に活用されています。以下は、企業・メディア・研究機関などで活用されている代表的な実践例です。

自動ファクトチェックAIの活用

▶実践例:Google、Meta(旧Facebook)などのメディアプラットフォーム

  • AIがSNSやニュース記事をモニタリングし、「事実と異なる可能性がある投稿」を自動的に検出。
  • ファクトチェック団体と連携し、検出された情報に警告ラベルや注意喚起メッセージを表示。
  • 誤情報の拡散スピードを抑制する。
    企業の応用:
    社内イントラや社外SNSモニタリングで、風評被害や虚偽情報の兆候を早期検知するシステムとして導入可能。

AIによる画像・映像の真偽判定

▶実践例:Microsoft「Video Authenticator」、Google「About this image」

  • AIが撮影日時や初出時のコンテキストを参照し、その画像の信頼度スコアを表示。
    企業の応用:
    自社ブランドやロゴが悪用された偽画像・偽広告の早期発見。
    社内向け「素材確認ツール」として導入し、誤使用の防止。
    機械学習を使った投稿パターンの分析

 

▶実践例:Twitter/X の不正アカウント検出、MITの研究チームのアルゴリズム

  • 大量の投稿をAIが分析し、ボットによる拡散・扇動投稿の特徴パターンを抽出。
  • ある話題に対して短時間で大量の同文投稿がある場合、自動的にフラグを立てる。
    企業の応用:
    特定ブランドや製品に関する”急な話題化”の背景に不自然な拡散がないかをAIで分析。危機管理・炎上モニタリングの高度化に活用。
    AIチャットボットによるリアルタイム訂正サポート

▶実践例:BBC「BBC Verify」や、SnopesのAIサポートチャット

  • ユーザーが投稿や記事について「これは本当か?」と質問すると、AIが検証済み情報をもとに自動で回答。
  • 信頼できるファクトチェックのデータベースを参照。
    企業の応用:
    社内ポータルやFAQで、社員が受け取った情報について即座に確認できるボットを導入。誤情報拡散の予防や、社内問い合わせ負荷の軽減に貢献。

誤情報対策の最前線では、AIへの期待も高まっています。「確かな情報を収集し、偽情報をふるい分けるAIツールを活用していく可能性もある」とBrad氏は述べます。
AIは「補助」であり「最終判断者」ではないということを前提に人間の判断と組み合わせて使う前提が必要です。
「正しい情報だけを届ける」のではなく、「どう正しさを判断するかのリテラシー」を高めることが重要であり、ひいてはその水準を社員一人ひとりが持てるよう努めるべきでしょう。

推奨ツール:偽情報対策に使えるAIツール3選

  1. Google Alerts(無料)
  2. 企業名や製品名の言及を自動監視
    設定方法:キーワード登録→頻度設定→メール通知
    適用場面:基本的な風評監視

  3. Mention(有料・無料プランあり)
  4. SNS、ニュース、ブログを横断的に監視
    感情分析とインフルエンサー特定機能< 適用場面:本格的なブランド監視

  5. Fact-checking APIs
  6. Google Fact Check Tools API
    ClaimBuster API(文章の事実確認)
    適用場面:社内発信前の事実確認

※ツール導入前に法務部門と個人情報保護の確認を行ってください

進化する脅威(ディープフェイク、ボット拡散)ファクトチェック機能の活用法

一方で脅威も進化しています。Alice氏とJuli氏は「ディープフェイクが本物と区別しづらくなっており、一般の人には見抜くのが難しい」と警鐘を鳴らします。一見すると本物と見分けがつかず、少し前の”いかにも生成”された画像と比べると、その精度は格段に上がっています。そうした意味でも、ガードを固めなければならないものの、人が精査するとなると限界もあります。

「ただし、ソーシャルメディア上ではこうした動画のファクトチェックも始まりつつある」とJuli氏は言います。AIの技術革新は目を見張るものがありますが、意図的に印象操作に使われてしまうこともあれば、ファクトチェックとして大いに役立つこともあるため、使い方を熟慮してAIを味方につけ活用することが大切です。

使い方ひとつで良くも悪くも変わるAIテクノロジーを”ブラックボックス”にしない視点が必要であるといえるでしょう。

【信頼構築の具体的アクション】危機に強い組織は「信頼の土台」がある

透明性のある社内情報共有・一次情報の一元化

危機時に「声を上げてくれる味方」を育てる

「社員は全体像を知らず、空白を埋めようとする。それが間違った方向になることがある」とJuli氏は警告します。だからこそ、情報の出所を一元化し、社員が直接正確な情報にアクセスできるようにすることが重要です。

対面コミュニケーションの価値を再認識

「対面の一対一の接点は、信頼構築に非常に効果的だ」とJuli氏は強調します。メールやインターネットだけに頼るのではなく、直接話し、質問し、対話を重ねることが組織の信頼を育むのです。コミュニケーションツールの台頭やコロナ禍を経てのコミュニケーションが変わったこともあり、一定のコミュニケーションは対面でなくても事足ります。しかし、それだけでは十分とは言えないため、対面でのコミュニケーションが欠かせないのです。

対面のコミュニケーションが欠かせない理由として、言葉だけがすべての情報ではないということがあげられます。

対話相手の表情からおおよその感情を読み取ることも、れっきとしたコミュニケーションです。わずかな片鱗でも対話のきっかけになるため、非言語である相手の声色や表情一つひとつを見ることも円滑なコミュニケーションのポイントです。

またGeorge氏も「利害関係者との関係づくりを怠らないことが重要」と語ります。それがいざというときに「声を上げてくれる仲間」を作る基盤になります。

信頼構築のための90日間アクションプラン
第1月:基盤づくり

  • Week1-2:社内外のキーパーソン洗い出し
  • Week3-4:現在の信頼度調査(簡単なアンケート実施)

第2月:関係構築

  • Week5-6:優先度の高いキーパーソンとの1on1開始
  • Week7-8:社内情報共有の仕組み改善

第3月:体制強化

  • Week9-10:緊急時対応フローの策定と共有
  • Week11-12:第三者機関との連携体制確立

継続的な取り組み

  • 月次の関係者ミーティング
  • 四半期ごとの信頼度測定
  • 年1回の対応フロー見直し

今週から始められる5つのアクション

  1. Google Alertsの設定
    自社名、主要商品名、経営陣の名前で検索アラートを設定(所要時間:15分)
  2. 社内緊急連絡網の確認
    偽情報発覚時の連絡フローを書き出し、関係者に共有(所要時間:30分)
  3. キーパーソン3名との面談予約
    各部門で影響力のある人を1名ずつ選んで、コーヒーブレイクの予定を入れる(所要時間:10分)
  4. 過去の風評事例の振り返り
    過去1年間で気になった噂や誤情報をリストアップし、対応を評価(所要時間:45分)
  5. 公式SNSアカウントの投稿方針確認
    現在のSNS運用ガイドラインを見直し、偽情報対策の視点を追加(所要時間:20分)

まとめ

偽情報・誤情報の脅威は、もはや火消しだけで乗り切れる時代ではありません。「突発的に対応するか、予防に動くか。どちらにせよ労力がかかるのなら、人間関係の構築や信頼の確立にその労力を使うべきだ」とJuli氏は言います。事が起こった時の対処にはスピード感をもって対応することは重要ですが、日々のコミュニケーションによって未然に防げることもたくさんあるでしょう。
そうしたコミュニケーションがごくごく当たり前になるような職場をデザインすることこそコミュニケーターの重要な使命です。 火消しよりも予防。信頼こそが最強の武器。コミュニケーターには、迅速で冷静な対応だけでなく、信頼を育み続ける長期的な視点が、かつてないほど求められています。

さらに学ぶためのリソース
IABC関連

偽情報対策

  • ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)
  • Google Fact Check Tools
  • Reuters Institute Digital News Report(英語)

危機管理・レピュテーション

  • 日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)
  • 企業危機管理・クライシスコミュニケーション関連書

株式会社ソフィア

ビデオ・プロデューサー、コミュニケーション・コンサルタント

池田 勝彦

主にビデオ制作で撮影から編集までを担当しています。記事原稿も書いていますが、英語による取材・編集もやりますし、翻訳もできます。