企業の組織力強化のカギは社内のコミュニケーション!

2020年初頭に始まったCOVID-19(コロナウィルス感染症)拡大をはじめ、企業のグローバル化、不確実性(VUCA)の時代とも言われる社会の状況、不況による業績不振など、激化する外部環境の変化に直面し、企業は変化への対応を求められています。これらの環境変化への対応として企業が行う組織構造の改革や、事業の変革、その結果として生じる働き方や人材の多様化は、企業に遠心力をもたらし、意思決定や変化への適応のスピードを低下させます。
組織の求心力を高めて変化への対応を続けていくためには、組織力の強化が不可欠です。そして高い組織力を支えるのは、活発な組織内コミュニケーションです。

本記事では、コミュニケーションが組織力にもたらす影響や、コミュニケーションの改善によって組織力を強化する方法、組織力を強化するコミュニケーション施策とはなにかについて解説します。

コミュニケーションが組織力にもたらす影響

HR総研の調査によれば、「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になる」と回答した企業は9割を超えています。
また、2017年に経団連が行なった「新卒採用に関するアンケート調査結果」では、企業が新卒を採用する際に重視する点として「コミュニケーション能力」が15年連続で1位となっています。こういったことから、多くの企業が組織においてコミュニケーションを重視していることが伺えます。

組織力を支えるコミュニケーション

ここで、「組織」の定義までさかのぼって、組織とコミュニケーションの関係について考えてみましょう。

アメリカの経学者、チェスター・アーヴィング・バーナード(1886-1961)は、組織が成立するための3つの要素を提唱しました。組織は2人以上の人々の間で意識的に調整された活動ないし諸力の体系であり、「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通の目標」の均衡が取れていることが重要であるとしています。
これによってバーナードは、「科学的管理法」で知られるフレデリック・テイラーと並び称され、世界的な経営学者としての地位を確立しました。

また、アメリカの政治学者・認知心理学者・経営学者・情報科学者、ハーバート・アレクサンダー・サイモン(1916-2001)は、組織を「意思決定とその実行の過程を含めた、人間集団におけるコミュニケーションとその関係のパターン」であると定義づけています。なお、サイモンは大組織の経営行動と意思決定に関する研究によって、1978年にノーベル経済学賞を受賞した著名な人物です。

両者の定義は微妙に異なりますが、共通している部分は「コミュニケーション」であり、組織にとってコミュニケーションが重要であることに古くから言及されていたことがわかります。

組織がその目標に向けて意思決定や実行を行うためには、コミュニケーションによって関係者の意見調整や合意形成を行うことが必要です。大きなものでは経営方針の決定、小さなものでは会議日程の決定など、組織では日々大小さまざまな意思決定が行われており、意思決定のスピードは組織のパフォーマンスを左右します。

こういったことから、ソフィアでは、組織力が高い状態とは「組織内の意見調整や意思決定がスムーズに進む状態」であり、その土台には活発な組織内コミュニケーションがあると考えています。

コミュニケーションで組織力を強化するためには?

それでは、コミュニケーションを活性化させることで組織力を強化するためには、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。ここでは代表的な3つのポイントを解説します。

コミュニケーションの量と質を知る

まずは組織内のコミュニケーションの現状について把握することが必要です。今現在の組織内コミュニケーションの量と質について測るにはPCF調査が役立ちます。
PCFとは、「Penetration(浸透的コミュニケーション=トップダウン)」、「Cooperation(協創的コミュニケーション=ナレッジシェア)」、「Feedback(提言的コミュニケーション=ボトムアップ)」という組織内で行われる3方向のコミュニケーションの頭文字をとった言葉で、どのコミュニケーションがうまくいっており、どのコミュニケーションに課題があるかを分析する調査です。

公式のコミュニケーションと非公式のコミュニケーションを使い分ける

コミュニケーションには、「公式」のコミュニケーションと「非公式」のコミュニケーションとが存在します。公式のコミュニケーションとは企業が意図的に行う情報伝達であり、経営メッセージや業務連絡、ペーパー資料やマニュアルなどです。
対して非公式のコミュニケーションとは、組織内の個人間やチーム間に対する自然発生的なコミュニケーションのことを指し、噂話や評判なども含まれます。組織力を強化するためには、これら公式と非公式のコミュニケーションの違いを知っておく必要があります。
これは、公式が良いコミュニケーションで非公式が悪いというような意味ではありません。どちらも必ず組織内に存在するもので、それぞれの役割があります。目的に応じてどちらのコミュニケーションが適切かを見極めて使い分けたり、うまく両方のコミュニケーションを連携させたりして、組織全体のコミュニケーションを促していくことが大切なのです。

心理的安全性を高める

心理的安全性とは、組織において個人が発言・行動する際に周囲からの反応を気にしすぎることなく、ありのままの自分でいることのできる状態を意味する概念です。組織行動学を研究している、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱しました。
さらに「成功するチームを構築するために、心理的安全性はもっとも重要なものである」と米Google社が発表し、注目を浴びています。

具体的には、組織内で何らかのアイディアを出したときに非難されたり、取り組みに失敗した際に周囲から糾弾されるような心配がない状態です。心理的安全性を高めることで、個人が発言しやすい環境が生まれ、他者の意見を尊重し、お互いに助け合おうようとする姿勢も生まれます。
いろいろな考え、異なる価値観を持つ人たちが集まる組織において心理的安全性を確保するためには、意見の違いを理解し、許容する社内風土づくりが重要です。また、こうした環境下で社員が自由に発言できる機会を意図的に設けることも同じように重要であるといえます。

組織力を強化するコミュニケーション施策

組織力を強化するためには、管理層とのタテのつながりだけでなく、チーム間の情報共有、現場から経営への提言など、前述のPCF調査でいう3種類すべてのコミュニケーションのバランスが重要です。必要な施策は組織の状態によって異なりますが、ここでは代表的な3つの施策をご紹介します。

社員が情報発信できる場を作る

インターネットの普及によってSNS等で個人が情報発信することが一般的になり、私たちが利用できる情報源は大幅に増加するとともに、幅広い層の人や組織との双方向コミュニケーションが可能になりました。企業においても、経営が一方的に情報発信するだけではなく、チームや個人が情報発信できる場を設けることが、組織内コミュニケーションの活性化につながります。
具体的には、社内報への投稿募集や、Web社内報のコメント覧などの他、個人が直接情報発信できる社内SNSなどの仕組みを導入する方法もあります。これらは一からデザインすることが難しく、またその他のコミュニケーション施策と組み合わせることでより効果を発揮するものでもあるため、社外の専門家のアドバイスを得ながら導入するのがよいでしょう。

共通言語を作る

社員間に共通言語が存在すると、組織内のコミュニケーションコストが下がり、コミュニケーションの円滑化につながります。ここでの共通言語とは、大きな意味では社員の行動や判断の基準となる企業理念やビジョンの浸透を指しますが、細かい話で言えばオンボーディングで得られるような、組織で働くうえでの知識も含まれます。
これらは人材が組織の文化になじむための育成といってもよいでしょう。さまざまな価値観・考え方を持った社員が組織の一員としての一体感を感じたり、新しく入った社員が組織の一員としていち早くなじんだりができるようなコミュニケーション基盤を作っておくことは、組織コミュニケーションの活性化に大きな影響を与えます。また、これらの施策は従業員エンゲージメントの強化、心理的安全性の強化にもつながります。
理念・ビジョンの浸透や、オンボーディングの取り組みにおいて、社内だけでは思うような成果が出ない場合には、外部の支援を利用することも考慮に入れておきましょう。

業務以外のつながりの場を作る

組織力向上の土台となる社内コミュニケーションを活発にするには、業務以外でのつながりの場を整備し、マネジメントすることも効果的です。ここでは業務内外問わず、社員間の人間関係を強固にする場づくりの一例をご紹介します。
個人の興味・関心にあった場を選んで参加できるようにするために、業績への影響や社員のワークライフバランスに配慮しつつ複数の場を設けることをお薦めします。ソフィアでは、こういったイベント施策やコミュニティづくりの支援も行っています。

部活動

業務から離れながら協働をレクリエーション的に楽しめる部活動では、同じ趣味嗜好という共通の話題があるため、コミュニケーションが円滑に進みます。活動を通して、普段見ることのない同僚の違った顔を見られるという利点もあります。部によっては他社と競い合うこともあり、そのような活動ではより強固な絆が結ばれるでしょう。

勉強会

現代においては報酬や評価のような外発的動機より、自分が成長できるかといった内発的な動機によって企業を選ぶ社員が増えています。自らの成長を重視する社員にとって、成長を促す機会を企業が提供し、それを共に高め合える仲間がいることは非常に頼もしく、そこから生まれるコミュニケーションも快いものであるはずです。

TGIFなどの懇親会

TGIFはGoogle社なども採用している社内でのフランクなコミュニケーションの場で、お酒や軽食が振る舞われるものの、単なる「飲みニケーション」で終わらせていません。社長や幹部が会社や自社の事業についてプレゼンをし、質問者はそれに対して直接質問ができるような場としています。意見交換を気軽に行うことができることから、心理的安全性を高める有効な施策になるといえるでしょう。

まとめ

組織力強化に向けたコミュニケーション施策を実施している企業は多い一方で、実際に組織力の強化へと確実につなげることは容易ではありません。企業の現状や組織力強化の目的に応じてしっかりと施策をデザインして、実施後には効果を確認して改善を繰り返す必要があります。

ソフィアでは、多くの企業様の社内コミュニケーション活性化を支援し、組織力強化につなげてきました。もし組織力強化の手法についてお悩みだったり、社内コミュニケーションの活性化をうまくできていなかったりしている場合は、お気軽にご相談ください。

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