大企業で新規事業を成功させるには?重要なポイントを解説!

大企業で新規事業を成功させるポイントを解説

変化の激しい現代においては、市場や顧客ニーズが急速に変わるため、既存ビジネスが成功していても、積極的に新規事業を立ち上げなければなりません。しかしながら、多くのリソースを有している大企業であっても、新規事業を成功させることは難しいものです。この記事では成功事例を検証しながら、新規事業開発でポイントとなる要素を掘り下げます。

新規事業とは

新規事業とひとことで言っても、さまざまなケースが存在します。この章では、新規事業の定義や、新規事業の立ち上げが必要な理由について解説します。

定義

新規事業を考える上で、とくに重要なのは「商品・サービス」と「市場」という2つの視点です。この2つの視点を、それぞれが「既存」か「新規」かという軸で評価し、組み合わせることで、新規事業の定義を明確にすることができます。「商品・サービス」が新規である場合は、「新商品の開発」となります。

一方、商品やサービスをそのままに、「市場」を拡大する合を考えてみましょう。までアプローチできていなかったターゲット層へのリーチを目指す場合、これは「新市場の開拓」といえます。

そして「商品・サービス」と「市場」がともに新規である場合は、「多角化」と呼ばれることがあります。これは、新しい商品やサービスを開発すると同時に、新たな顧客層にもアプローチし、事業を拡大していくことを意味します。

なぜ新規事業が必要なのか

多くの企業が新規事業に挑戦する理由には、国内市場の成熟化や、短期化する製品ライフサイクルが背景にあります。どのような商品やサービスであっても、ごく一部の定番商品を除いて衰退期が訪れます。殊に顧客や市場ニーズの変化、技術革新のスピードが加速化している現代においては、製品ライフサイクルが短縮化しているため、企業がビジネスを発展させるには積極的な姿勢が必要なのです。

また、企業にとって重要なのは、事業開発計画を持つことです。事業開発計画を立てないと、チャンスを逃したり、集中力を欠いたりすることになり、事業の失敗につながりかねません。優れた事業開発計画は、現在の市場に関する洞察を提供し、成長の機会を特定し、成功のためのロードマップを提供する必要があります。

これに加え、バブル崩壊以降の30年間、デフレ化の中で、高度経済成長期の完成されたビジネスモデルの維持・改善をしつつも、新規事業の展開は続けられてきました。しかし、中国や韓国の台頭や、欧米のデジタルという競争に打ち勝つ程の新規事業の展開は出来ておらず、いよいよイノベーションレベルが必要になってきているのです。

大企業の新規事業成功例と成功のポイント

ここからは、大手日本企業の実際の成功例を見ていきます。成功例から成功のために重要となるポイントを探っていきましょう。

本田技研工業の「ホンダジェット」

ホンダが開発した小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」は、2019年上半期の納入機数が世界一となり、大人気を博しています。高速性や高空飛行能力、そして長距離飛行能力などの魅力を強調することで、他社には真似できない独自性を生み出し、消費者のニーズを見事に捉えた自社技術の巧みな活用と言えるでしょう。

三菱商事株式会社の「スープストックトーキョー」

都市圏を中心に全国展開しているスープ専門店のスープストックトーキョーは、三菱商事株式会社の外食サービス事業ユニットの社内ベンチャーとして始まった事業です。
創業は1999年ですが、当時、働く女性がひとりで気軽に入れる外食店はありませんでした。そこで、「女性がひとりでも安心してゆっくりと食事ができるファーストフード」というコンセプトで事業を始めました。単なるスープ屋ではなく、料理の持つ力で誰かの一日や一生を変えたいという想いをストーリーにして立ち上げた新規事業です。

現在、スープストックトーキョーは女性を中心に多くの人の支持を集めています。外食店というのはありふれた事業ですが、その中に消費者のニーズを見出すことで成功させた例といえるでしょう。

日本郵政とYper株式会社の「OKIPPA」

「OKIPPA」は日本郵政とYper株式会社によって提供される不在時受け取りサービスです。このサービスでは、置き配バッグを自宅の玄関前に設置し、専用アプリで配送状況を確認することができます。再配達率が高く物流に負担をかけていた都市部をターゲットにしており、在宅時間の少ない顧客のニーズに応えた画期的なサービスと言えます。

アプリ開発をおこなったYper株式会社は、2017年創業、資本金28,011,250円の中小企業に分類される企業です。隙間ニーズを満たす新規事業であれば、大手企業との提携により大きく飛躍する可能性もあることを示す好例です。

成功例から探る「成功のためのポイント」

成功事例が自社と異なる職種の場合でも、成功ポイントから学び活用できる点があります。ここからは上記事例が成功に至ったポイントを紹介します。

弱点を補う工夫

競合他社の既存サービスが存在する場合でも、自社が特化する弱みを補完する分野に注力することで、成功への可能性が広がります。自社内の既存事業に見られる優位性を活用することで、弱みを補う分野を見つけることができます。上記の事例で取り上げた企業は、社内リソースを活用して新規事業を立ち上げ、自社固有の付加価値を提供したためです。こうした強みを活用することにより、競合他社と差別化し、成功への道を拓くことが可能です。

十分なサービス提供に自社のリソースが不足している場合は、「OKIPPA」のように業界を越えたコラボレーションを取り入れることも一つの手でしょう。

時代の流れに沿ったビジネス

成功するビジネスにはリスクがつきものです。しかし、リスクを取るといっても、単に不合理なチャンスを掴むということではありません。時代の変化、顧客ニーズ、技術の進歩などを考慮した上で、チャンスを掴むべきです。一例として、AIを取り入れたビジネスでは、その分野での成長を促進するために、AI部門を組織の一部として構築するケースが増えています。時代の流れや顧客のニーズを捉え、新しい技術に柔軟に対応することで、より成功に近づくことができるのです。

“損失“は”失敗“ではない

成功するためには、失敗が不可欠であることを理解する必要があります。失敗を避けるのではなく、失敗を受け入れ、そこから学ばなければなりません。失敗から学ばなければ、「損失」は「失敗」に過ぎません。

言わずと知れたアパレルブランドの株式会社ユニクロは、2002年に子会社として食品事業を専業とするエフアール・フーズを設立し、新たな食品事業のブランドを「スキップ(SKIP)」と定め、スキップを通じた食品販売を開始しました。

ユニクロの衣料と同様に、規模の拡大と無駄の削減した自社製造で「良いものを安く」を実現しようとしましたが、農家の拡大は難航し、さらには本来的に不安定な野菜の収穫に悩まされ、欠品が相次ぎました。結果として株価下落や26億円の特別損失という赤字を計上し、「顧客起点の考え方に欠けていた」として撤退しました。損失はあったものの、撤退の決断が早かったため親会社のユニクロからすれば致命傷にならない損失で済ませることができました。さらに、スキップで失敗を経験した責任者は現在ユニクロ子会社「GU」の社長を務め、「顧客起点」を重視した運営をし、成功を収めています。

このように赤字を招く結果になったとしても、他事業等で反省が活かされ、成功を収めることもあります。つまり、企業は新しい戦略を試すことに寛容でなければならず、正しい解決策を見つける前に複数の解決策を試すことを恐れてはならないのです。重要なのは、多少の損失を恐れずに新たな事業を推し進めるマインドと、それを是とする組織の風土、姿勢なのです。

また、大局的な視点に立ち、長期的な計画を立てることも必要です。事業計画の段階で経営破綻しないための施策を立てることは必須です。しかしながら、あまりにも赤字を恐れすぎて、成功の機会を逃してしまうことがあるかもしれません。もしも、追加資金を調達するための魅力的なビジネスプランがあれば、良いスタートを切れなくても大きく成長することができるかもしれません。

インターナルコミュニケーションの活性化

ここまでで述べた観点は、新規事業を始める上で重要なポイントです。多くの企業は、自社の戦略に合わせた観点を踏まえながら事業構想を作り上げることを心がけています。
しかしながら、新規事業立ち上げに失敗するケースは決して少なくありません。その背景には、インターナルコミュニケーションが不十分であるというケースがあります。

新規事業を成功させるためには、はじめに社内共通認識として、その事業が企業理念や経営戦略にマッチしていることが絶対条件となります。それがなければ、現場からの反発が生じ、混乱や軋轢の原因となる可能性があります。また、既存事業で活躍している従業員にとって、新規事業に力を入れているという事実が不安材料となることもあるでしょう。自分の仕事や立場が脅かされるのではないかと感じる場合もあるため、適切なコミュニケーションが欠かせません

まとめ

この記事では、新規事業を成功させるために重要なポイントを解説しました。既存事業が順調な場合には、新しい行動戦略に踏み切ることが難しいかもしれません。しかしながら、常に市場動向を見ておくことは、企業の長期的発展には必要不可欠であり、新たなビジネス展開を考えることは、企業発展の促進につながるでしょう。

また、新規事業のスムーズな立ち上げには、企業内の密なコミュニケーションも欠かすことができない要素です。ソフィアでは、インターナルコミュニケーション活性化のためのバックアップを行っています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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