
2021.06.23
組織力を強化するには?組織力強化のポイント、事例を解説!

目次
組織力の強化は、多くの企業の課題です。組織力を強化するためには、組織力がどうして必要なのか、低下していると何が起きるのか、どうしたら組織力が強化できるのかをしっかりと踏まえてから施策を実行することが重要です。
本記事では、組織力強化のポイントと具体的な事例について解説します。
組織力の強化が必要な背景
あなたは日頃の仕事の中で「調整業務」に悩まされていませんか?
組織の中では、日々、大小さまざまな意思決定が行われています。たとえば、大きなものでは経営方針や事業戦略の決定、小さなものでは会議日程の調整や購入備品の決定などです。そして、調整業務は、何らかの意思決定に向けて関係者の合意形成を行う必要がある際に発生します。
もし調整なしに一方的な意思決定をすれば、利害関係者の不満のもとになります。また、一見合意したように見えても各人の思い描いているものが実はバラバラであれば後々のトラブルにつながります。だからといって調整業務に果てしなく時間をかけていたら、組織のパフォーマンスは低下してしまいます。
ソフィアでは、組織力が高い状態を「組織内の意見調整や意思決定がスムーズに進む状態」であると考えています。「意見調整」とはコミュニケーションそのものあり、意思決定のスピードは組織のパフォーマンスを大きく左右するものです。しかし、近年においては事業環境やテクノロジーの急速な変化、企業における人材の多様化などから、組織における意見調整は難しさを増しているのです。
組織力の強化とは
では、組織力の強化とはどのようなことでしょうか。
そもそも強化とは、「足りない部分を見極め、補ってさらに向上させること」を意味します。足りない部分を見極めるためには、まず「ありたい組織の状態」を描くことが必要です。そのうえで、理想と現実のギャップがどこにあるのか、どの程度あるのか、その原因は何なのかを見極めます。そこではじめて、現実を理想に近づけるため施策を考えることが可能になります。
目指すべき組織の状態や組織の現状、そして組織力が低下している原因は企業によって異なります。つまり、組織力の強化には万能の施策が存在するわけではなく、自組織の状態にあった施策を打つことが大切なのです。
組織力の強化が必要・低下している企業の状態
前述のように、組織力が低下する原因は企業によってさまざまですが、組織力の低下した組織には、いくつかの典型的な状態が見られます。もしあなたの組織が以下の3つの例のどれかに当てはまるのなら、組織力強化に取り組む必要があるかもしれません。
上司の指示なしで仕事ができない
1つ目は、「上司の指示なしで仕事ができない」組織です。これは上司と部下の間で十分な意思疎通が図れておらず、信頼関係が構築できていないために、部下が主体的に判断して動くことができない状態を指します。意思決定のスピードが遅くあらゆる手続きに時間がかかる上に、変化に対する柔軟な対応が難しいため、組織として脆弱な状態といえます。
リスクをとることを恐れる
2つ目は、「リスクをとることを恐れる」組織です。事業環境の変化への対応や、企業の成長のためには、ときに前例のない判断や新しい取り組みをすることが必要です。しかし、目指すべき組織の状態や、社員が取るべき行動がしっかり共有されていなかったり、従業員の心理的安全性が確保されていなかったりする組織においては、失敗を避けるためにあらゆる取り組みが前例踏襲に陥りがちです。
そして、失敗を許容できない企業風土を放置すると、組織内に生まれたイノベーションの創出や変革の芽を摘み、組織の衰退を招くのみならず、不正の隠ぺいなどの不祥事を生み出す危険もあります。
社員間に業務以外の交流がない
3番目は、「社員間に業務以外の交流がない」状態です。友人関係のように交流する必要はありませんが、相手の価値観や考え方のクセを知っておくことは、コミュニケーションコストを下げ、意見調整の円滑化に役立ちます。また、業務を離れた場でも個人として話をできる関係性を構築することは、社員の心理的安全性の確保や、組織に対するエンゲージメントの向上にもつながります。
もし、組織において業務以外の社員間交流が推奨されていなかったり、そもそも交流の必要性が認識されておらず交流の機会がない等の場合は、業務においてもコミュニケーションコストが上がっている可能性があります。
これらは大手企業における「大企業病」の特徴にも当てはまります。自社がこのような状態に陥っていないかどうか、今一度チェックしてみてください。
組織力強化のために必要なこと
それでは、組織力を強化するためにはどのようなことが必要なのでしょうか。まずやるべきは、自社の現状を知り、組織力低下の原因を知り、自社に必要な取り組みは何なのか見極めることです。ここでは、代表的な取り組みを4つご紹介します。
企業のビジョンや理念を浸透させる
企業ビジョンや企業理念は、その企業で仕事をする上で従業員が大切にするべき価値観や考え方です。これらを組織に浸透させることで、コミュニケーションにおける共通言語が生まれます。企業のビジョンや理念はただ掲げていても意味はなく、組織に浸透して初めてその役割を発揮します。しかし、単に上から押し付けても簡単に受け入れられるものではなく、従業員がビジョンや理念を理解し、その内容に納得し、共感することで浸透します。ビジョンや理念の浸透のためには、従業員の心情や行動の変化に着目し、従業員がビジョンや理念を好ましいものと思えるような体験をデザインしていくことが必要なのです。
失敗を許す風土を作る
失敗を許容できない風土は「出る杭は打たれる」風土を作り、社員を萎縮させてしまいます。
数々のイノベーションを生み、世界的に有名な企業となった米Amazon社は、失敗を恐れないことを社員に強く訴えています。これは、社員にとって安心な場所を作り、企業と従業員、従業員同士の関係性を強固にすることでもあります。従業員が失敗を恐れずに安心して発言したり行動したりできる組織はコミュニケーションコストが低く、意見調整や意思決定のハードルも下がるでしょう。
組織風土の醸成について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
従業員の動機付けを行う
「人が働く理由」は、報酬や人事評価など、外発的な動機付けに基づくものだけではありません。とくに昨今では「成長のために働く」という若い社会人が増えているように、内発的な動機によって働きたいと思う人が増えています。
組織力の向上を図る上では、その土台となる組織内コミュニケーションに対して従業員が貢献したいと思えるような動機付けが必要です。そのためには、個人の持つビジョンと企業ビジョンとを紐づけていくことが近道です。企業ビジョンと個人のビジョンとが重なることで、社員は自分の成長と企業の成長とを同軸上にあると考え、企業のためにも自分のためにも周囲と積極的なコミュニケーションを取ろうと思えるようになります。
コミュニケーションの場(ツール)を提供する
組織力の強化に向けて組織内のコミュニケーションを活性化させるためには、コミュニケーションを行う場づくりも必要です。場の提供によって社員が情報発信、相互交流するようになることで、社員がお互いを知るきっかけが生まれます。これまでのコミュニケーションの場はオフラインが主流でしたが、現在は社内SNSなどオンラインの場(ツール)も普及し始めています。
そもそもコミュニケーションの場が存在しなければコミュニケーションが起こることもありません。コミュニケーションの機会が増えることで社員間の相互理解が進めば、「失敗を許す風土」の醸成にも役立つでしょう。
組織力強化の施策事例
ここからは、ソフィアが行なった組織力強化の具体的な事例を3社ご紹介します。
A社(企業名非公開)
A社では、それまで収益を支えていた商品が途絶えてしまったのと同時に、業界全体における企業の統廃合にも直面し、自社独自の戦略を打ち出して存続を図っていくことが求められていました。そのためには管理者層と現場社員とが一体となって事業変革を推し進める必要があり、マネジメント層の一体化、マネジメント層と社員との信頼関係強化も課題となっていました。
そこでソフィアでは、マネジメント層と現場社員の対話を促進するとともに、現場社員からの信頼を損なう要因の一つであったマネジメント間の意思疎通の悪さを改善するために、マネジメント層の組織開発を実践しました。また、社員のエンゲージメントや関与の程度を高めるために、組織改革に向けた価値観やテーマを検討し、実際に改革を進めていくプロジェクトを立ち上げて推進を行いました。さらに、行動指針や理念ビジョンそのものを見直していくこととなりました。こうした一連の動きがすべての社員にオープンに伝わるように、隔週で社内報を発行し、改革の動きを中心に全社員に伝達することで、組織内コミュニケーションの向上にあわせて、業績も軌道に乗せることができました。
B社(企業名非公開)
顧客の価値観や生活様式が急速に変化する中で、B社はその変化に対してスピーディに対応できず、機会損失が生じていました。この原因の一つとして、過去の成功体験が意思決定基準となり、これまでのビジネスのやり方を踏襲するという問題が挙げられ、顧客中心主義の組織風土へと変革していくことが課題となっていました。
そこでソフィアでは、社員意識調査、インタビュー、フランチャイズ先の販売店へのヒアリングなどを行い、顧客中心主義の阻害要因を抽出。組織風土を変えるためのシナリオを策定しました。3カ年のマイルストーンを作成し、経営の社員の対話会やマネジメント層のコミュニケーション研修、企業ビジョン策定や全部門の活動とビジョンの紐づけなどさまざまな施策を支援し、顧客中心主義のビジネスへと変革を進めました。現在では、フランチャイズ先も含めたバリューチェーン全体での顧客中心主義への組織風土改革の動きに進化しました。
C社(企業名非公開)
働き方変革に取り組んでいたC社では、取り組みの必要性は社員に認識されていたものの、企業の目指す状態と実際の現場の状況に大きなギャップがあることが課題でした。ソフィアでは、社員の現状を知るための意識調査の分析支援や、働き方改革のビジョン浸透に向けたセミナーの企画・運営、働き方変革ポータルサイトのリニューアル、コンテンツの制作等、各種コミュニケーション施策の立案・推進支援を行いました。
その結果、ビジョン浸透度の調査結果が大幅に改善し、とくにリーダー層の改革意識が高まるなどのポジティブ変化につながりました。
まとめ
組織力強化のためにはコミュニケーション活性化が不可欠です。しかし自社のコミュニケーションがどの程度活性化しているかは、社内にいると把握しにくいものです。そういった場合は自己判断をしてしまうのではなく外部の企業を活用して判断を委ねるほうがより正確な現状把握ができます。ソフィアではコミュニケーション調査を始め、組織変革、組織力強化のサポートに多数の実績を持っていますので、お気軽にお問い合わせください。