
2020.04.06
社内コミュニケーションを円滑にする手法16選 実際の事例もご紹介

目次
社内コミュニケーションのあり方は時代とともに今もなお変化し続けています。かつては対面での社内コミュニケーションが中心でしたが、現在ではICTツールの進化によりリモートでも社員間のコミュニケーションがとれるようになっています。
このように急激な変化の渦中、円滑な社内コミュニケーションの手法に関して世代ごとに大きなギャップが生まれています。会社は社員同士のコミュニケーションなくしては成り立たないので、社内コミュニケーションのあり方が会社の今後を大きく左右するといっても過言ではありません。
そこで今回は、社内コミュニケーションを円滑にする手法について事例を交えながら解説します。
社内コミュニケーションとは
社内コミュニケーションとはその言葉どおり社内での社員同士のコミュニケーションを指し、プライベートのコミュニケーションと異なる性質を持っています。
多くの大企業は社内コミュニケーションに課題感を持っている
HR総研の調査によれば、企業の8割が社内コミュニケーションになんらかの課題感を持っていることが明らかになりました。さらにこの課題感は、中小企業と比べて大企業のほうが強いこともわかっています。
社内コミュニケーションにおいてもっとも課題を感じるシーンは「部門間や事業所間のコミュニケーション」で全体の8割近くを占め、次いで「経営層と社員間のコミュニケーション」が半数以上挙げられていました。このことから、規模の大きい企業は特に社内コミュニケーションで課題が生じやすいことが推察されます。
世代間で社内コミュニケーションの認識が異なる
社内コミュニケーションの課題になる要因のひとつに「人材の多様化」も挙げられます。特に、労働人口の中心となる40代〜60代と20代〜30代との間で社内コミュニケーションの手法や考え方にギャップが存在し、そのギャップが企業経営に悪影響を及ぼしています。
- ミドル〜シニア世代の社内コミュニケーションの特徴
人によって、また働いている業界によって大きく開きがありますが、まだEメールが完全に浸透していない、対面でのコミュニケーションを中心に働いてきた世代です。例えば2000年当時、IT系の職場では1人に1台パソコンが支給され、Eメールも日常的に利用していました。一方、業種によっては1つの部署にパソコンが1台あるかないかで、遠隔でのコミュニケーションは電話中心と、ITの普及には時間差がありました。また、喫煙所や飲み会で行われるコミュニケーションで関係を深めることが一般的だったため、場を社外に移したほうが率直に話し合えるという人も多いでしょう。終身雇用で家族主義的な経営が普通だった時代には仕事とプライベートの境界があいまいで、終業後の付き合いも仕事のうちとみなされていました。しかし、転職が当たり前で仕事とプライベートをきちんと区別したい若年層にとって、業務時間外での対面コミュニケーションは受け入れにくくなってきています。 - 若年世代の社内コミュニケーションの特徴
こちらの世代ではIT技術が急速に発展し、コミュニケーションの手段が大きく変わりました。特に1995年以降生まれの層はデジタルネイティブやZ世代と呼ばれ、物心ついたときにはスマートフォンやインターネットが当たり前に存在していました。
また、FacebookやTwitter、LINEなどのツールが一般化した時代でもあるため、ささいな返答は言葉でなく「いいね」ボタンや「スタンプ」、「絵文字」で済ませてしまうことが常識です。これは上の世代の人たちからすると理解しがたいことかもしれません。
これ以外にも、彼らはわからないことをまわりに質問せずインターネット検索で解決しようとします。しかし上司である40代以上の社員は対面で直接的な報連相を求めるため、ここにギャップが生じるのです。成果物がなかなか上がってこない理由を部下に確認してはじめて手が止まっていたことに気づきますが、注意をしても部下からは「なんで教えてくれなかったのか」と反感を買うことになります。一方で上司は「なんで相談しにこないのか」と捉え、両者の関係性に溝が生じてしまいます。
2018年の経団連の新卒採用調査によれば、選考で重視する点として「コミュニケーション能力」が16年連続で1位となっており、企業がどれだけ社内コミュニケーションを重視しているかが窺えます。しかし上記のような社内コミュニケーションのギャップを理解しないまま「最近の若い人は…。」と考えているようでは、採用活動も失敗に終わる可能性が高くなるといえるでしょう。
社内コミュニケーションが経営に与える影響
世代間コミュニケーションのギャップは、組織の生産性に大きく影響を与えます。
例えば、20代の社員はわからないことを自己解決しようとします。
一方、上司である40代以上の社員は対面で直接的な報連相を求めます。
上司が部下に指示を与えた後、成果物がなかなか上がってこない理由を部下に確認してはじめて、わからないことがありつまずいていたことが判明する場合もあります。
こうした場合、上司は「なぜ相談しにこないのか」と部下を叱りますが、反対に20代の部下は「なぜ教えてくれないのか」と反発するギャップが起きているのです。
このような場合には、若手社員に寄り添った指導方法を上司が習得することで、業務効率が上がり、組織生産性の向上につながります。
さらには若手社員の仕事への満足度も高まり、社員の定着率の向上にも効果があるでしょう。
また、縦のコミュニケーションだけでなく、横のコミュニケーションが活発になると、今まで関わり合いのなかった事業部間で新規事業へのアイディアが生まれやすくなり、会社規模でのメリットが生まれます。
企業単位での一体感が生まれることで、企業ブランド向上にもつながります。
社内コミュニケーションの阻害要因は組織風土
HR総研の調査によると、2016年時点のコミュニケーション手段において「対面」よりも「メール」が上回っていることが明らかになっています。これは規模の大きな企業において顕著です。2020年初頭には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や働き方改革推進の影響によってテレワークの導入が広まり、テキストチャットが日常的に用いられるようになったことからも、現在この差はさらに広まっていると推測されます。
さらに同調査で社内コミュニケーションを阻害している原因を聞いたところ、トップは「組織風土・社風」の54%でした。コミュニケーション不全の状態が一度浸透してしまうと、円滑な状態に戻すことは極めて困難なことがわかります。とはいえそのまま放置しておくわけにはいきませんので、経営トップが主導となって組織風土改革に取り組む必要があるといえるでしょう。
社内コミュニケーションが経営に与える影響
多くの企業で課題感を抱えている社内コミュニケーションですが、これが円滑に回るようになると企業経営において多くのメリットを享受できます。
生産性の向上
円滑なコミュニケーションによって、情報伝達の量と質が向上します。部下に対して指示出しをうまくできれば、部下はこれまでより多くの作業を誤解なく遂行できます。また、部下が上司へ速やかに報告を行うことができれば、それらがチーム間でしっかりと共有されることで次のプロジェクトへと移行でき、生産性が大きく向上するでしょう。
従業員満足度向上による社員定着率向上
新卒採用の売り手市場が続く人手不足の昨今、企業は選ぶ側から選ばれる側に立たされるようになっています。自分の経験や能力を生かせない会社、自己成長できない会社、組織風土が合わない会社はもはや所属するに値せず、自分に合った会社へ移ってしまいます。これを抑止する意味でも社内コミュニケーションは重要です。
従業員満足度を高めるためには、給与や仕事内容が本人の希望に合っているだけでは不十分で、会社の将来性や自分の仕事の意義を認識できることや、仕事への責任感や達成感など、従業員が動機付けされる要因が必要です。そして、これらの要因には、会社・社員間のコミュニケーションや上司・部下間のコミュニケーションのあり方が大きく影響しているのです。
企業ブランド力の向上
企業のブランド力をもっとも強化する要素が何かおわかりでしょうか。答えは「社員の共感」です。会社が発信するメッセージに対して社員が理解・共感・納得を得ることで、社員は自分たちの仕事にブランドを体現するようになります。企業の顔である社員が顧客に対して企業ブランドを発信するようになり、顧客はその企業ブランドを信頼するようになるのです。
この流れを実現するには、課題として挙げられていた「経営層と社員間のコミュニケーション」が重要になってくるでしょう。一般社員に伝わらなければ、いくらトップメッセージを伝え続けていても意味がありません。特に大手企業において、経営層と社員をどうつなげるかは企業ブランド力を向上させる鍵といえます。
社内コミュニケーションの手法16選
社内コミュニケーションにはプライベートでのコミュニケーション同様にさまざまな手法が存在します。
メディアコミュニケーション
メディアコミュニケーションは、「メディア(媒体)」を通じたコミュニケーションです。それぞれが適切な目的と役割を持っているので、目的を達成し役割を果たす手段を選んで活用しましょう。
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社内報
中長期経営計画や経営方針のような、社内に広く浸透させたいメッセージの発信に向いています。社内に一貫したメッセージを届けられるほか、社内の活動をお互いに共有することもできます。
社内報は紙媒体と電子媒体(Web)に分けられます。紙媒体のメリットはじっくりと読めることです。デザインの自由度も高いため、印象に残りやすい傾向にあります。電子媒体(Web)の社内報は速報性に優れており、加筆もしやすく、過去のアーカイブも簡単に読めることが利点です。読まれやすさを考慮してどちらにするかを検討するとよいでしょう。
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サンクスカード
社員同士で「ありがとう」の気持ちをカードで伝える手段です。「相手を褒める文化」を醸成するために用いられています。また、面と向かって感謝の念を伝えづらい相手との社内コミュニケーションの手段として役立つでしょう。
さらに、社員全員で大きな催しをしたときなどにサンクスカードを併用すると、日ごろあまり関わりのない部門間や、次に会える機会がいつになるかわからない営業所間など、全社的な社員同士のコミュニケーションに効果を発揮します。現在はサンクスカードをアプリ化して気軽に送りあえるサービスも登場しています。 -
イントラネット
社員だけが接続できるネットワーク上に置かれたWebサイトです。社内の最新の動きが一覧で把握できるだけでなく、発信したい情報をすぐに掲載できる速報性があるため、Web社内報と合わせて導入されることもあります。また、コメント機能を利用すれば特定のトピックで社員同士の情報共有や討論の場にもなるでしょう。
さらにイントラネットは、社内のドキュメントやファイルを共有するツールとしても有用です。情報共有が円滑になると業務効率化に大きく寄与します。 -
社内SNS
いわゆる「Facebook」のようなSNSを社内に導入する企業も増えています。各社員の業務に対する取り組みの状況を簡単に共有でき、また気軽に利用できるため若年層に受け入れられやすい傾向にあります。また、それぞれの価値観や思考が垣間見えるため、コミュニケーションコストを下げることもできます。普段の社内コミュニケーションでは使用しない「いいね」ボタンや絵文字などの機能を活用することで、社員間のざっくばらんなコミュニケーションを促進し、風通しのよい社内風土づくりに役立てることができるでしょう。
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社内YouTube
録画した動画やライブ配信を、YouTubeで社員だけに限定公開できます。これまではネットワーク負荷が高く導入が困難だった大容量の動画も、クラウドサービスや光回線の普及によって保存・再生が可能となりました。
動画は文字と比べると短時間で圧倒的に大きな情報量を伝えることができるメディアです。今では若年層は欲しい情報をGoogleではなくYouTubeで検索する時代となっており、現在は社内外のコミュケーションのスタンダードな方法になりつつあります。余談ですが、TikTokなどのショートムービープラットフォームも流行っていることから、今後企業でも採用されるようになるかもしれません(eラーニングでマイクロラーニングが主流となってきたように)。 -
社内チャット
テキストチャットツールは普及の進むテレワークにおいてもはや不可欠の存在となりました。チャットはメールと異なり件名やあいさつなどの形式的な文面が必要なく、用件のみを端的に伝えることに特化しており、それまでのやりとりを遡ることも容易になっています。また話題ごとにチャットルームを作ったり、1対1だけでなく複数でのチャットが可能だったりと、社内チャットもプライベートではすっかり市民権を得た「LINE」のような使い方を実現しています。
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社内ラジオ
社内ラジオはブラウザやアプリを通じてラジオのように聴くことができ、使用するツールによっては音声だけでなく映像再生にも対応しているものもあります。一般的なラジオと同様に「流して聴く」ことのできる特徴があり、トップメッセージだけでなく一般社員からの情報発信にも有効でしょう。社内の空気をよくし、結束を高める効果が期待できるツールといえます。
デジタルメディアを活用したコミュニケーションは、日本でも徐々に浸透してきました。しかし、「ビジネスICTツールの利用状況(総務省調査)」によると、アメリカやイギリス、ドイツに比べて日本は導入状況・利用状況ともにまだ低いことがわかっています。
対面コミュニケーション
間接的なコミュニケーションであるメディアコミュニケーションに対し、対面コミュニケーションには面と向かって直接やりとりするからこそのメリットが存在します。
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1on1(面談)
社員個人に関するセンシティブな話は、対面でのコミュニケーションがよいでしょう。また、部下の能力を引き出すために、上司と部下の定期的な対話の機会として活用できます。
表情や声色、身振りを見ながらのコミュニケーションは双方の理解度や共感性が高まり、相手の悩みや問題にしっかりと寄り添うことができる特徴があります。 -
タウンホールミーティング
経営陣と現場の社員との直接対話の場です。経営陣がボトムアップで意見の吸い上げを行うことができます。また、社員が意見を経営陣にダイレクトに伝え、経営陣から率直な反応を得ることで、会社への信頼度が高まる効果が期待できます。
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現場訪問
経営陣が現場を直接訪問する方法です。経営層と現場の社員の結びつきを強化し、現場が直面する問題を経営層が実感することができます。普段なかなか接することのできない経営陣とコミュニケーションが行えることで、現場の士気高揚にもつながるでしょう。
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社内表彰
優れた業績を残した社員や、画期的な活躍をした社員を全社で表彰します(ここではメディアコミュニケーションを併用するとよいでしょう)。企業として社員にどう行動して欲しいかを示すことができ、全社的に個人の取り組みについて認め合える風土を醸成することができます。
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ワークショップ
日常業務から離れ、社員同士の本音を引き出す場として最適です。グループワークやディスカッションなどを通しながら自由に意見を交換することで、職能の垣根を超えて会社の成長につながる共通認識を得ることができます。
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メンター制度
メンター制度とは、直属の上司とは別に、先輩社員が「メンター」となって若手(メンティ)をサポートする社内コミュニケーション制度です。通常は人事評価に関係のない先輩社員がメンターを担当するので、若手は気軽に心の内を打ち明けられます。縦でも横でもないナナメのつながりができるため、若手にとっては苦しいときの支えになり、定着率の向上も期待できます。ただしメンターとしての振る舞いにはある程度の心得が必要なので、専門家の支援を仰ぐとよいでしょう。
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クラブ・サークル活動
趣味嗜好や価値観の合う人たちが集まって、スポーツやレクリエーション、文化活動を行うチームを作ります。上下関係を気にすることなく気軽に接することができるほか、会社の中では見られない顔を垣間見ることができ、相手の新たな一面を知ることができるでしょう。社員間のコミュニケーションコストを下げる効果もあります。
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フリーアドレス制度
オフィスに固定席を設けず、空いているところへ自由に着席して勤務のできる制度です。日によって隣に座る人が変わり、普段まったく接点のない経営メンバーが隣になることもあります。業務の合間で行われるちょっとした雑談で新たな人間関係を構築できたり、他部門の人から新たな仕事の仕方を教えてもらったりするきっかけにもなるでしょう。テレワークが普及してきたため、オフィスを縮小してフリーアドレス制度に移行する企業も増えています。
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コーチング制度
メンター制度と似ていますが、コーチング制度は受ける側の能力向上に焦点が当てられているものです。コーチング制度も通常は人事評価と関係のない上司がコーチを担当するため、部下は気兼ねなくコーチングを受けることができます。ただしコーチングもコーチスキルの会得がとても難しく、やはり専門家の支援を受けるべきでしょう。
これらのコミュニケーションは対面で行うことを前提に解説しています。しかし現在はコロナ禍ということもあり対面での実施が難しい場合は、Google MeetやZoom、Microsoft TeamsといったWeb会議ツールを利用することで、対面に近い状況を作り出すことも可能です。ぜひ活用してみてください。
社内コミュニケーションの事例をご紹介
ここからは、社内コミュニケーションを円滑にするためにさまざまな取り組みを行っている企業の最新事例をご紹介します。
風土改革の事例:株式会社ニチレイフーズ
株式会社ニチレイフーズでは売上の横ばい状態が続き、業績に影響されてか部門間の壁が見受けられ、社内の雰囲気も沈みがちだったといいます。
こうした風土を改革すべく同社が実施したのが「ハミダス活動」です。活動の根幹となったのは従業員向けの2つの活動で、ひとつは対話の促進を目的とした「あぐら」、もうひとつが情報発信を活発にする「動画メッセージの内製化」です。
あぐらは経営者と社員との間で双方向のコミュニケーションを生み出す施策です。経営者はミッション・ビジョンやトップメッセージを、参加した従業員は現場の生の声を互いに伝え合います。階層別のメンバー構成で1回10人程度の少人数制とし、議事録も非公開にすることで、結果として自発的な対話を促すことに成功しました。
動画メッセージはもともとトップメッセージを発信するための動画でしたが、これを従業員が参加するように変更しました。テーマ選定から原稿作成、撮影、編集、Web掲載、配信までハミダス推進グループ内で行っており、内製化しているからこそ自考の意識が芽生え、スピード面・コスト軽減・スキル蓄積などコミュニケーション活性化以外でもメリットが生まれています。
サンクスカードの事例:SanSan株式会社
SanSan株式会社の社内制度「見つカッチ」は、メンバーの一体感を醸成するために行われたコミュニケーション施策です。
見つカッチは、毎週月曜日に400pt(1pt=1円)のチップが付与され、メンバーへのコメントとともに、任意でチップを贈るというものです。
たまったチップは給与に上乗せ支給されますが、チップ(お金の支給)はあくまで表現方法のひとつに過ぎず、そこに至る意味づけが重要だと同社は捉えています。この見つカッチによって、メンバーへの称賛をきっかけに新たなコミュニケーションが生まれるなど、より一体感が増しているとのことです。
1対1(面談)の事例:株式会社サイバーエージェント
この1on1はサイバーエージェントでは「月イチ面談」と呼ばれています。
実施の背景として、評価制度のバージョンアップがありました。「人事評価に納得している部署ほど上司と部下がよく話をしている」という自社の調査結果を踏まえ、「推奨」という形式で実施しています。
面談では「先月の成果に対する振り返り」「今月どうするのかという議論」「中長期のキャリア」の3つを重視して部下と話し合うようマネージャーに伝え、マネージャーに対しては「面談の勉強会」も設けました。結果、社内で離職率が大きく下がったほか、「びっくり退職」と呼ばれる、退職の意思を見せていなかった社員が突然退職を願い出る事態が減少したとのことです。
社員ネットワークの事例:日本ヒューレット・パッカード株式会社
日本ヒューレット・パッカードでは、「しなやかに活き活きと働きつづけられるようになる」ことを目的として社員によるネットワーク「Women at Work Japan(WAWJ)」を立ち上げ、経験やノウハウを共有しています。
ネットワーキングツールと他のITツールとを組み合わせて、アサーティブ・コミュニケーションやタイムマネジメントの勉強会、マネジメントチームや先輩社員との対話、部署の壁を越えた社員同士の交流・情報共有を実現しており、デジタルをうまく活用した例といえるでしょう。
メディアコミュニケーションの事例1(社名非公開)
ある10,000名以上の社員を持つ企業では、グループ企業を経営する一環として掲げていた「グループの総合力を高めて新しい価値を生み出す」という戦略が思うように活性化していませんでした。
解決方法として、目的やゴール別に伝える媒体を冊子、WEB、SNSに分け、グループ共通のメディアを立ち上げました。具体的には、グループ企業の情報をタイムリーに共有するツールとしてWeb、グループ企業が協働した結果どんな成果や効果が出たのかの紹介を冊子で、グループ社員の意見交換やディスカッションの場としてSNSをそれぞれ活用してもらうというものです。
結果、グループ企業全体で新しい価値を生み出していく風土の醸成に成功しました。
メディアコミュニケーションの事例2(社名非公開)
こちらも社員数10,000名以上の企業の事例です。社内報(紙冊子)、Web社内報、社内SNS、社内動画サイトと4つの効果測定分析(ログ解析、アンケ―ト分析、導線分析など)を実施。その中で、各メディアで発信しているコンテンツにばらつきがあること、ターゲットとする社員にリーチしていないこと、そしてそれら広報活動に関わる人員および投資予算に対して効果が十分でないことなど、数々の問題が判明しました。さらに社内広報のコンテンツの承認フローも多く、労働時間にも無駄が生じていました。
これに対し、現状の人員と予算を変えずに効果を創出することを目的とし、エンプロイージャーニーマップを設計しました。各メディアの役割を再設定し、コンテンツを整理しながらコンテンツマップを作成。1年後に効果測定を再度実施し、インターナルコミュニケーションの効果を確認することができました。
社内イントラ・メディアの事例(社名非公開)
5,000名以上の従業員が所属するこちらの企業では、グローバル化に伴って海外従業員や中途採用者が増加しており、事業部間や各部門間のコミュニケーションやグループ内の一体感を促進・醸成することが課題となっていました。現状把握のためグループコミュニケーションに関する調査、既存社内システムの活用調査を行った結果、グローバル共通の情報基盤が欠けていることがわかりました。そこで、中期経営計画の策定に合わせて、部署を超えたつながりを醸成する双方向コミュニケションツールとして、グローバルイントラネットとWeb社内報を整備しました。継続的な運用をすることで課題改善につながっています。
まとめ
社内コミュニケーションを円滑にするには、社内コミュニケーションの阻害要因を明らかにすることが必要です。組織は価値観の異なる人と人とで構成されているからこそ、コミュニケーションでトラブルが起きます。
自社で社内コミュニケーションに課題感を持っている場合は、まず具体的な課題の洗い出しから検討してみてはいかがでしょうか。もし自社での洗い出しが難しい場合はお気軽にソフィアへご相談ください。
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株式会社ソフィア
フィールド・リサーチ&コンサルティング事業責任者、シニア・コンサルタント
森口 静香
先が見えない、課題が曖昧でどうすればよいかわからないプロジェクトの伴走をすることが多いです。議論をその場で図解したり、時にはグラレコや動画を使って、みなさんの共通認識をつくることを得意としています。
株式会社ソフィア
フィールド・リサーチ&コンサルティング事業責任者、シニア・コンサルタント

森口 静香
先が見えない、課題が曖昧でどうすればよいかわからないプロジェクトの伴走をすることが多いです。議論をその場で図解したり、時にはグラレコや動画を使って、みなさんの共通認識をつくることを得意としています。