1on1(ワンオンワン)とは?部下を育てる個人面談

#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル

26.Oct.2020

個人面談といえば期末に実施する人事評価面談を思い浮かべる人が多いと思われますが、最近は米国シリコンバレー由来の「1on1(ワンオンワン)」という新たなミーティングの手法がトレンドになっています。
ヤフー株式会社をはじめ日本の大手企業でもこの1on1の採用が進んでいますが、1on1は組織の規模にかかわらず、これからの人材育成において非常に効果的な施策といえるものです。
本記事では、1on1の概要と実施のステップをテーマに解説します。

1on1(ワンオンワン)とは

1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が一対一で行う面談です。上司と部下の面談には業務の進捗確認や目標設定、人事評価面談などの面談が挙げられますが、1on1はこれらのどれとも異なります。

これまでの人事評価面談との違い

1on1(ワンオンワン)と従来の面談との大きな違いの1つは、実施サイクルです。従来、日々の業務指示やタスク管理とは別に上司・部下間で行われる一対一の面談は、四半期あるいは半年に1回が主流でした。対してシリコンバレー由来の1on1は、週に1回、最低でも1ヶ月に1回の短いサイクルで定期的に実施されます。また面談の時間も長くて30分程度です。
また1on1は実施目的も異なります。これまでの面談は、上司から部下への指示や指摘、連絡事項が目的でした。それに対し1on1においては、上司は部下から日常の悩みや不安、業務に関する課題感などに耳を傾けて積極的に引き出すことが目的です。これはコーチングのような関わり方ともいえます。
さらに、面談における関係性も1on1では従来の面談と大きく変わります。例えば人事評価面談は、上司と人事担当が部下に評価結果を納得してもらうために行うことから、自ずと上下の関係となります。一方で1on1にもやはり役職の上下関係はあるものの、内容が一方的な通達ではなく「対話」であることから、同じ目線で対話を行うことが前提となります。

 1on1(ワンオンワン)が注目される背景

もともと1on1(ワンオンワン)は、米国シリコンバレーの企業文化として古くから導入されていましたが、日本では2012年にヤフー株式会社が導入を始めたことをきっかけに国内でも1on1が広まることとなります。
なお、1on1がシリコンバレーで浸透する際、ともに広がった「ノーレイティング」という人事評価制度があります。ノーレイティングとは、端的に説明すると社員を職務のランクに当てはめて相対的に評価するのではなく、社員一人ひとりの目標設定とフィードバックの中で絶対的な評価をしていき上司が部下の給与を決定する新たな評価制度です。このノーレイティングは目標の振り返りとフィードバック、見直しを短いサイクルで定期的に行う1on1と親和性が高いとされています。
日本企業では「人に仕事を割り当てる」職能資格制度が圧倒的多数を占めていることから、国内では1on1の必要性についてあまり注目されてきませんでした。しかし昨今のグローバル化によってこうした評価制度にも疑問の声が上がり、評価やフィードバックを行う手法の一つである1on1も注目を集めるようになったわけです。
前述した通り、米国と日本では導入されてきた経緯や背景が異なります。そのため、1on1の機能や効用を確認して、自社の状況に併せて導入する理由を社員へ伝える必要があります。

1on1(ワンオンワン)の目的とメリット・デメリット

日本で1on1(ワンオンワン)をいち早く導入したヤフー社には、明確な目的がありました。それは、上司と部下のコミュニケーションの頻度を高め、彼らの対話を通して、部下の自発的な成長を促すというものです。

1on1の目的・メリット

1on1の特徴である頻度の高い対話と傾聴の姿勢には、部下の成長を促進し能力を引き出しやすいというメリットがあります。
引き続きヤフー社の1on1を例に挙げると、同社では毎週1回30分の面談を「部下のための時間」と明示し、上司は部下の心を開くことに注力しました。1on1の中で部下の考えを引き出し課題解決の支援を行うのですが、ここで上司の考えを押しつけたり、ものごとの方向性や結論を決めてしまったりはしません。あくまで部下自身が課題に気づき、解決策を自ら考え、実践するという一連の取り組みをサポートすることで、成長を図るだけでなく意欲づけや動機づけをも行うのです。
またこうしたコミュニケーションは、上司と部下の信頼関係も築きやすくなります。部下にとって「自分を見てもらえている」「自分の話を聞いてもらえている」「自分をサポートしてくれている」という上司の姿勢は、「一方的にこうしろ、ああしろと言われる」「自分の状況を把握していない」「聞いてくれない、分かってくれない」というものと比べて圧倒的に信頼へとつながりやすいでしょう。さらに1on1による対話は、部下の評価に対する納得感も得やすくなる特徴もあります。

 1on1のデメリット

1on1はメリットばかりのように思えますが、デメリットもあります。メリットの部分で「上司と部下の信頼関係を築きやすくなる」と解説しましたが、1on1はある程度の信頼関係が基盤となって初めて実施できるものです。普段からコミュニケーションが活発でなかったり、言いたいことを言いにくい雰囲気であったり、上司が常に一方的な態度をとったりという状況では、いくら1on1を行っても効果は見込めませんし、1on1はそういった土壌をよくするために行うものでもないということをしっかりと理解しておいてください。
ちなみにこれは、1on1導入時に該当者へ調査を行うことで把握できます。「上司は効果を感じたが、部下はもうやりたくないと答えた」場合は危険信号です。すなわち、上司が「できたつもり」になっているという場合ですね。こういった状況に陥った際は、日常的なコミュニケーションから見直す必要があるといえるでしょう。
また、1on1には上司の傾聴に関する技量が問われます。「できたつもり」の一部はこれも原因かもしれません。商談で「アイスブレイク」という場の緊張を和らげる技法があるように、1on1でも部下から言葉を引き出しやすい雰囲気づくりが不可欠です。いきなり仕事の話を始めるのではなく、まずは雑談や近況報告などから会話を始め、話を少しずつ深く掘り下げていきましょう。

1on1は部下との人間関係を創る場

1on1が生まれた経緯は、企業においてビジネスモデルの複雑化や新規事業の創出が不可避になってきたことに端を発します。組織内の形式的な人事育成システムや評価制度の複雑化に伴う業務過多が、業務遂行に必要なパフォーマンスを引き出しにくくしているのです。そこから組織の機能不全が発生する恐れもあります。そういった背景から、個人の考え方や価値観など、仕事に関係するパーソナリティの部分を吸い上げて汲み取るコミュニケーションの仕組みが生まれ、それが1on1の発祥といえます。
1on1では部下のパーソナリティの中でも、「どんなことに興味や関心を持っているのか?」「逆にどのようなことを苦手や困難と感じているか?」「今後は中長期的に何を目指しているのか?」「それはなぜなのか?」といった、仕事上でのビジョンや展望について本音で腹を割って話せる機会を作れるとよいでしょう。1on1による関係の結びつきは一朝一夕で叶うものではありません。まずは簡単なやりとりから回数を重ねて徐々に部下の心を開いていくことを心がけてください。

1on1(ワンオンワン)を実施するステップ

1on1(ワンオンワン)は従来の面談と異なり、しっかりと準備と計画を行った上で臨むことが重要です。フレームワークはありますが、細かな部分は企業それぞれで大きく異なるので、自社に適したものへと進化させてください。

実施の目的を定める

「部下の成長を促すため」という1on1の目的については解説したとおりですが、より細かな導入の理由は各社で微妙に異なってくるはずです。この「理由」に上司と部下で共通理解がないと、1on1は効果的に進みません。もう少しわかりやすく述べると、「1on1を実施すること自体が押しつけの状態になっている」ようであれば、すでにそれは1on1の目的を逸脱しています。部下から本音を引き出すためには、部下にも協力してもらうことが重要です。チームの中でしっかりと理解を得るようにしましょう。

内容を記録する

部下が勇気を出して打ち明けたことをもし上司が忘れてしまい、同じことを聞き出そうとしたら、築こうとしていた信頼が壊れかねません。内容が深くなればなるほど、それらをきちんと覚えておく必要があります。
議事録のように、上司がとったメモを部下と共有することが効果的とされています。認識の齟齬を防ぐという効果もありますので、忘れずに記録を行いましょう。

継続して実施する

実施のサイクルや1回あたりの時間は自由ですが、一度1on1を始めたら必ず継続して行うようにしてください。1on1が効果的に機能するほど、それが上司の都合で後回しにされたとき、築いてきた関係性への影響も出てくる可能性があります。場合によってはコーポレート部門の支援も行いながら完遂を目指しましょう。

1on1(ワンオンワン)実施のアドバイス

おそらく上司であるほとんどの人にとっては、こうしたコミュニケーション手法はハードルの高いものと感じられるかもしれません。しかし、普段から頻繁にコミュニケーションを取っており風通しのよい上下関係を築けているようであれば、あとは少しの工夫で十分に実現できるものなので安心してください。

部下が話したくなる雰囲気を作る

上司は1on1の面談で、「部下が話したくなる」雰囲気作りを心がけてください。部下から話を引き出すためには、相槌のひとつから質問の仕方まで、きめ細やかな気配りが求められます。難しいように思えますが、日常的に部下とやりとりをしているようであれば、どういった関わり方がその部下にとって有効なのかを察することは、さほど困難ではないはずです。
なお、「話したくなる雰囲気の作り方がわからない」と声が上がるようであれば、管理者向けの社内研修導入もあわせて検討してみましょう。ここでは、「部下が気がねなく発言でき、本来の自分を安心して上司にさらけ出せる」という「安心・安全な場」づくり(心理的安全性の確保)をファシリテートできるスキルを管理者に身につけさせることが不可欠です。

部下の内省を促す

上司たるもの、どうしても部下へ方向性を示したり、解決策を提示したり、ときには指摘を行ったりしたいこともあるでしょう。しかし、1on1においてもっとも重要なのは、部下が自ら考え、自ら実行することです。会社やメンバーにとって損害となるような危険な選択肢に向かっている場合でなければ、部下の決定を尊重することも上司の務めといえます。

1on1(ワンオンワン)は部下と共に成長するための施策

実のところ、1on1自体はそれほど特別な施策ではありません。簡単にいってしまえば、部下の自律性と自発性を促すよう上司が仕向けるという、コミュニケーションのありようを示すものです。1on1の導入は、日本企業の人材育成やマネジメントにおいて、上司と部下との関わり方を改めて見直すよい機会でもあるでしょう。

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