職場ってなに?「職場とは何か?」構成要素とこれからの展望を解説!

「職場」という言葉は日常的に使われる言葉です。細かい定義などは諸説ありますが、良い職場を作るために必要な要素はコミュニケーションにあります。この記事では、職場の場所などの物理的な話ではなく、職場の在り方やコミュニケーションについて解説します。テレワークが普及する中で、時代と共に変化していく職場の在り方は、今後どのような形態になるのでしょうか。これからの職場に必要なコミュニケーションスキルも紹介しますので、良い職場を目指す参考にしてみてください。

ここでは、机の並べ方や社内のレイアウトの言ったように、目に見える職場の事ではなく、コミュニケーションや雰囲気と言った目に見えない要素を重点的にお話していきたいと思います。一般的に人間関係は、目に見えないものであり、職場の人間関係も同じですから、目に見えない要素を軽んじない方がいいでしょう。

職場の意味と定義

多くの人が多くの時間を費やす「職場」は、業務や執務を遂行する場所、もしくは設備環境といった物理的空間としての意味合いもあれば、従業員同士の人間関係の構築や発揮の場としての社会的空間の意味合いで話されることもあります。言い換えると、業務遂行や成果という生産する機能的側面と、日々モヤモヤした整理できない感情を生産する社会的側面に関連する空間の2つが共存しているとも言えるでしょう。生産性をあげる場所であり且つ、悩みや葛藤を根源でもあるその職場とは一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、職場の意味と定義を解説します。

そもそも職場とは一体なんなのか?

数多くある組織と呼ばれる集団の中でも、常に顔を合わせて直接的なコミュニケーションを取れる少人数の集団が職場です。現在のような、物理的資本より人的資本が生産性やイノベーションのカギを握る産業構造の場合において、組織の人的資本のパフォーマンスを向上させるには、職場における機能や合理的側面と情愛や精神的側面の均衡が重要です。均衡を調整するのはコミュケーションであり、職場で必要なコミュケーションスキルを身に着付けることが良い職場の形成につながります。

ここでバランスという言葉が重要です。生産性をあげるだけでは、人間関係がどうしても二の次になり、気づけば殺伐として雰囲気の職場になりかねません。一方、情愛を重んじすぎると単なる仲良し集団であり、良い意味での競争も生まれず。ライバルの出現してきません。生産性と情愛の二つをどうバランスを取るべきなのか?

社会学の枠組みである「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」という概念を下敷きに、まずは説明していきましょう。

職場を分析するゲマインシャフトとゲゼルシャフトの2つの機能

業務や生産性を産み出す職場は、一方で悩みや葛藤を産み出す職場でもあります。このジレンマは一体何なんでしょうか?学者のフレームワークを照らし合わせながら解明していきます。ドイツの社会科学者のフェルディナント・テンニースは、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトという2つの概念で、家族や集団、組織もしくは国家も含めて、あらゆる人の集まりを類型化しています。ゲマインシャフトは、血縁・家族や、村落などの地域的な集まり、企業などにおける社内サークル、創業期のベンチャーなど、情愛や精神的意思でつながる集団や組織とされています。

ゲマインシャフトはドイツ語であり、ゲマインというのは、「分かち合った」ということを意味します。ですからこの言葉は、英語に直すときには、コミュニティとなります。ゲマインシャフトは、コミュニティとことだと考えておけば理解しやすいでしょう。

一方ゲゼルシャフトは、国家機関、政党機関、都市などの自治体、大企業などといった、目的機能や合理的意思でつながる集団や組織だと位置付けられています。ゲゼルシャフトというドイツ語は、一般的には「社会」と訳される場合が多く、ゲマインシャフトが「コミュニティ」だったの対し、ゲゼルシャフトは英語の「ソサイエティ」に対応します。

平たく言えば、ゲマインシャフトは構成員の精神的な意思で集まる集団であり、一方ゲゼルシャフトは、合理的意思で集まる集団ということになります。

分類基準は若干異なりますが、米国の社会学者のチャールズ・ホートン・クーリーは、「第1次集団」と「第2次集団」、ロバート・M. マッキーバーは、「コミュニティ」と「アソシエーション」といったように、同じような意味合いで類型化をしています。それぞれ提唱された時代背景は異なるので、それらを踏まえた精査・解釈の必要はあるものの、集団を精神的情愛的側面と合理的功利的側面に分けることは可能です。
では、職場とは、ゲマインシャフト(精神的情愛的)とゲゼルシャフト(合理的功利的)のどちらに当たるのでしょうか。ゲゼルシャフトの典型であるとされる大企業や機能分化された組織の一部である職場も、当然ながらゲゼルシャフト(合理的功利的)の性格を強く持つはずです。しかし一方で、一般的に職場は比較的小人数の従業員で構成され、お互いに顔を併合わせながら仕事をする環境にあることが多く、従業員間のコミュニケーション頻度も高くなることから、業務上の権限、役割、責任を超えた濃密な人間関係が成り立ちうると考えられます。つまり、職場とは、機能や合理的側面と情愛や精神的側面が両方併存している状態であると考えられます。そうした複合的な側面を持つが故に、時には実態の相克から「面従腹背」「忖度」「本音と建て前」という明示的な合理性と暗示的な心情とバランスをとる二重構造を産みます。また、困難な問題に直面したとき、必ずしも業務上の役割や責任を持たない職場の仲間からの助けのおかげで、何とか対処できることも少なくありません。合理と功利だけで、実際の現場の問題は解決することは不可能です。

職場は、ゲゼルシャフトを基本としながらも、ゲマインシャフトの機能も併せ持っていて、それぞれの職場が、この両者のどこかの中間点で、均衡していると考えれば、全ての職場をある程度俯瞰できるようになるでしょう。

職場内コミュニケーションと組織内コミュニケーションの違い

「組織」と「従業員」とのコミュニケーションと「職場」内での「従業員間」のコミュニケーションは、いくつかの面で異なります。その最たる違いはコミュニケーションのスタイルです。
従業員数が多い大企業では、多くの従業員に多くの情報を極力リアルタイムで伝えることが優先されることから、マス的な(一度に多くの情報を一方的に伝える)コミュニケーションがどうしても多くなります。抽象度が高く、演出の要素が多くなりがちなこの手のコミュニケーションでは、経営陣と社員の間に直接的な関係性を構築することは困難であり、一社員が組織全体状況を広く深く理解することも困難です。また、「組織」は非人格的な対象として、距離を置くことが可能です。つまりは、社員にとって会社は会社、個人は個人として整理することができます。

言い方を変えれば、組織に対して、社員は忠誠心も当事者意識も持たないまま、業務だけは継続もするということも十分あり得ます。この状態が良いという人はいないでしょう。

一方、「職場」内での「従業員間」コミュニケーションは、直接顔を合わせて会話ができる環境を考えると、頻度も多く直接的で従業員同士の人となりが色濃く反映されます。つまり、職場は形態自体が、ゲマインシャフト(精神的情愛的)に近く、従業員同士は否応なく精神的な繋がりが求められるようになります。組織の場合は、個人が一定の距離を取ることはあり得ますが、職場の場合、そのような距離を取って業務する事は難しいでしょう。職場は、家族や友人に近く、日々の挨拶から始まり、何気ないコミュケーションのやり取りが重要となります。生産性重視の組織とコミュニケーション重視の職場とは、区別して考えるべきです。

ゲゼルシャフトとゲマインシャフトの双方の側面を持つ職場でのコミュケーションは、自職場の一人ひとりの属人的な価値観や考え方に影響を大きく受けます。その両面を均衡させるためには、従業員のコミュケーションスキルに頼る部分が非常に大きく、特に職場のリーダー(最小単位の長)のコミュケーションに強く影響されます。
現在のような、物理的資本より人的資本が生産性やイノベーションのカギを握る産業構造の場合においては、組織の人的資本のパフォーマンスを向上するには、職場における機能的側面や合理的側面と情愛や精神的側面の均衡が肝であり、その均衡を調整するのは職場内のコミュケーションしか存在しません

とは言え、職場の社員には、コミュケーションな得意な人もいれば、苦手な人もいるでしょう。その雑多な社員の集まりを、コミュニケーションという目に見えないツールで、結ぼうとするとき、そこにはどうしても、リーダー側からの、意識的な支援や介入が必要となってきます。社員同士のコミュニケーションをリーダーとして、どうすれば、円滑にし、また 生産性向上へと結びつけているのかが、次のテーマとなります。

職場にある社員エンゲージメントのラストワンマイル

「面従腹背」「忖度」「本音と建て前」など二重構造で成立してる職場は、その均衡が崩れることで、職場独特の問題が発生するわけです。「うつ病」「離職」「ミスコミュニケーション」・・問題の原因は一般的で明示的な原因で説明されることが多いです。しかし、必ず職場問題は人間の心理や心情が絡んでいます。この二重構造とうまく付き合うためには、もちろん、経営陣や会社と従業員とのコミュニケーションを通じて精神的な関係性や深めることが必要です。例えば、企業のパーパス、理念、ミッション、ビジョンや戦略計画を頭で理解するだけでなく、共感を生んで自分の事ごととして捉えエンゲージメントや関係性を深める事です。

只、それだけで、離職低減し関係性は向上するでしょうか?本質的なエンゲージメントである関係性が産み出されるでしょうか?全体最適された組織内コミュニケーションが個別の職場の部分最適を完全の包含することは不可能です。

ここ強調しておきたいのは、属人的な要素が職場の結束のためには、大きな役割を果たすということです。例えば、なぜのこの職場を、やめないのか?という質問に対し、よくある答えは、「○○さんと仕事している」「○○さんがいるからこの職場いる」このような発言をする人は、少なくありません。つまり、会社や組織との関係だけでそこに所属しているわけではなく、ある個人との感情的な結びつきで、所属しているばあも多いのです。ここで大事なのは、リーダーの属人性であり、そのリーダーがいる事によって社員が、ひきつけられているかどうかです。

欠点のない職場などありません。不満な点を探せば、いくらでも出てくるはずです。それは大企業中小企業の差ではありません。不満が合っても、離職せずに社員が職場に行こうと思うのは、おそらく、仲間同士の付き合いや尊敬できるリーダー、気づきや学習を与える先輩などが大きいです。

職場は仲良しクラブではありません。必ず、不満や葛藤が出てくるものです。それを乗り越えて社員が、業務に進んで行こうという気持ちになるのは、職場の影響力のある他者の存在に他なりません。そして、多くの職場の影響力はリーダーの存在が重要になります。

エンゲージメント調査や従業員満足度調査、またはコミュニケーションプラットフォームのログではなかなか見えてこない「社員と社員の関係性」、「リーダーとの関係性」が存在します。この個別の関係性は日々の間断ない職場内コミュニケーションから産まれる、ある種も物語に近い連続性をもっています。良きリーダーとは、良き物語を紡ぎだせる人物であり、その物語に感動するからこそ、社員は不満が合っても、職場に貢献したい自分のスキルを活かしたいと思うようになるはずです。感動なき職場、物語なき職場にエンゲージメントは産まれません。

社員を離職を考える時、最後のワンマイルで、踏みとどまる力は、リーダーを信じ切れるかどうかでしょう。リーダーが社員に、絶えずコミュケーションを取ろうと努力し、それだけでなく、職場としての小さな物語、組織として大きな物語を、語れるかどうかそのスキルに職場も組織もかかっています。

職場内の間断ない関係の中から問題が発生し、適宜解決している中で、エンゲージメントが育まれる場合もあり、崩壊する場合もあります。つまりは、職場内の間断ない関係の中に社員とのエンゲージメントを産み出すラストワンマイルが存在するということに他なりません。また、ラストワンマイルの超えるということは、職場の一人一人が問題と向き合うことであり、相互関係の問題に向き合うことであります。この均衡を、維持発展させていくことは非常に難しいです。しかし均衡を維持発展する術は、職場を構成する社員間の相互のコミュニケーションのみで、保たれてます。

当然、リーダーの果たす役割は、どれほど強調してもし過ぎることはないでしょう。

ここで確認しておきたいのは、リーダーは固定的な物ではなく、ある意味で、その職場全員がリーダーになる可能性があります。その意味で、従来の課長や部長と言った役職とは、違うと考えたほういいでしょう。

多様な人財が集まっている場所が職場であり、そこで目指すプロジェクトも、常に変化していきます。状況分析が必要とされる場合、それに長けたリーダーが求められます。一方顧客プレゼンテーションが必要とされる場合、リーダーの顔ぶれも変わってくるでしょう。全て秀でた人など中々いるものではありません。リーダーを固定化せず、全ての人がリーダーになりうるという意識で、職場を創り上げていけば、その時、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトのもっともよいバランスが取れると私は確信しています。

職場は組織の中にあるさまざまな要素が相互作用する対面小集団

現代の職場では、以下のようなものが求められます。

  • テレワーク
  • 働き方改革
  • 従業員の多様性
  • 人財の流動性
  • 職場間連携
  • 事業環境の不確実性
  • デジタルトランスフォーメーション

上記のように、現在の全体として企業がおかれている状況において、求められるミッションや達成すべきタスクは複雑かつ多様で多量です。この状況の中最小単位である職場の機能的合理的側面と情愛的精神的側面のバランスを保つことは、極めて重要でありながらもなかなか難しいものです。日常業務の中で試行しながら相互にコミュケーションし業務や良好な関係性を向上させようと努めているものの、実際は、従業員のエンゲージメントやモチベーションを上げることもままならず、問題は山積し、それらの要因の複雑さゆえに、自分自身の動機すら失いかねないといった現状ではないでしょうか。この均衡を最適化するには、コミュニケーションによって相互理解を深める他ないものの、それは一体何なのか?、ここからは「具体的に均衡を取る為のコミュケーションとはいったい何なのか?」を解説していきます。

職場における見えるものと見えないもの

組織においては、業務を形成するために必要なプロセスを2つに分けて考えることができます。
1つ目は、業務プロセスやスケジュールの作成、誰がどの業務を担当するのかという役割分担など、目に見える要素です。2つ目は、モチベーションやメンバー間のコミュニケーション、職場の雰囲気や人と人との関係性など、目に見えない要素です。目に見える要素は把握しやすいので、意識的にケアしていると思います。しかし、目に見えない要素については、どうしても後手に回りがちです。

ところが、この目に見えない要素こそ、社員を職場に繋ぎとめるものであれば、社員を離職させるものでもあります。職場の目に見えない要素を、軽視してはなりません

こうした目に見えない部分を支えているのがコミュニケーションです。上記でも解説したように、職場における問題やその要因は、コミュニケーションによるものが大半です。特に現代の多くの職場では、業務が複雑化し、外部も含めたさまざまなメンバーが関わるようになっていることから、人間関係を新たに構築しなければいけない場面が増えています。そういった背景から、職場内のコミュニケーションの重要性は従来以上に高くなっていると言えるでしょう。これまでのように、決まった相手と日課をこなせば、業務が回る様な時代を終わりました。

職場の効果を発揮するためには

職場の効果を高めるためには、どうしたらいいのでしょうか。
そもそもなぜ人が集まるのかといえば、個人で取り組むよりも効率よく成果を上げられるからです。この効果を高めるためには、先に紹介した、職場の「機能的合理的側面」と「情愛的精神的側面」の均衡をとることが大切です。
目に見える要素へのアプローチとしては、職場の目標達成に必要な業務を割り出して、従業員の能力やモチベーションに合わせて適切なタスクを割り振ることが大切です。
一方、目に見えない要素については、従業員同士の関わり合いをどう作るかがポイントになります。一人ひとりが日々の仕事の中で相手を観察しながら気配りを示すためには、相手に関心をもってその人物の背景を理解する必要があります。相互理解と日々の仕事の実践の繰り返しの中で、共感的な理解と尊重の気持ちが生まれてきます。相手に寄り添い、相手から寄り添われながら、自分に自信を持ち、必要なときに遠慮なく頼れるような人間関係の構築が職場の成果に与える影響の大きさは、想像に難くありません。

ただし、そうした変化は自然発生的には生まれません。大事になるのは、リーダーなどの職場内での影響力のある人物の存在です。リーダーが上記の均衡の大切さを理解し、過度に効率化やスピード重視に偏らず、回り道だと思ってもメンバー間の関係性を構築する機会やプロセスを意識して用意できるかは、継続的に成果を生み出す職場になれるかどうかの分岐点と言えます。リーダーが異動したり、変更になったりすることで、チームががらりと生まれ変わるということはよくあります。達成すべき目標のために職場に最適なリーダーを配置することで、業績の向上につながるケースは多くあります。影響力のある役職の人物をどう立てるのか注意しながら、職場をデザインしていきましょう。

リーダーの任命については、固定化せず、その時その時のタスクに合わせて、リーダーが変わる事は日々現場で起こっています。課長や係長という、ポストについている人が、万能なわけではありません、タスクによっては、若い新入社員の方が、年配社員よりも「有能である」「得意である」ということは、よくある事でしょう。多様性は柔軟性を産むだすのに対して、階層構造は、堅牢性を産み出します。職場単位であれば、より柔軟で素早い状況であるべきです。

職場が、生産性向上と情緒的な繋がりの双方をできる最大に達成するためには、このリーダーの任命が柔軟であることは、不可欠であり、もし若手社員がリーダーを務める場合には、その期間が給与が通常よりも、大幅に上がると言ったインセンティブも考えてもいいのではないでしょうか? GEやアクセンチュアなど欧米企業が、「ノンレーティング」の人事制度は、職場のリーダーや上司に、賃金の査定を一任する制度です。現場単位の課題達成が多様性を増し、それを遂行する人財も多様性を増す中で、全社統一の人事制度では、社員に報いることができなくなったという背景にあります。ややもすると、現場単位の優れた活動や優れた社員に対して、既存の仕組みは、悪影響を与える可能性すらあります。

どんな職場も、ワクワク感なしには、続いていくことができません。そのワクワク感は、やはり、若手から出てくるものであり、管理職であれば、リーダーを時に若手に譲るその柔軟性が必要でしょう。

また、ワクワク感は、仕事内容とは直接関係はありません。一見単調に見える事務作業でも、ワクワク感をもって、仕事をする人はいるだろうし、最先端のデジタル技術を活用しクリエイティブに見える仕事でも、感動もワクワク感もないということはあるでしょう。大事なのは、職種ではなく、社員が、目の前のタスクに、夢中になっているかどうかであり、その感動を職場に持ち込むためには、全員がリーダーと思える状況を創りだすことです。

オンラインの職場とオフラインの職場との違い

昨今の在宅勤務の増加に伴ってオンラインの職場が増えています。オンラインの職場では、対面で仕事をするオフラインの職場に比べると、メンバーが得られる情報量が少なくなります。また、コミュニケーションがどうしても業務に直結するものに限られがちなので、お互いの背景を理解するために必要な情報が得られにくくなります。
オンラインでは文字によるコミュニケーションが多くなるので、情報の伝達に齟齬が生まれやすくなるのも大きな問題です。特に複雑な問題に取り組む場合は、高いコミュニケーションスキルが求められ、情報共有の方法を工夫する必要があります。

ただし、オンラインの職場ならではのメリットもあります。それは、オンラインなら物理的な距離の壁を越えられることです。チームの垣根を超えてより多くの人とコミュニケーションをとれるようになります。時間の面でも、チャットルームの活用などによって、同時にコミュニケーションをとらなくても、それぞれが可能な時間に業務に関わりながら進めていくことも可能です。
一方で、ふだんいつも関わっていない人との接点が増えることで、コミュニケーションの難易度も上がります。やはり高度なコミュニケーションを取りたい場合や、信頼関係を構築したい場合などは、オフラインのコミュニケーションも組み合わせるなど、双方の良さを取り入れる必要があります。
このようにオンラインの職場とオフラインの職場には、大きな差があります。「やっぱり雑談が大事だよね」ということで、オンラインで雑談の場を設けているという事例も多くなっています。職場ではメンバー間の関係性を作り上げることを求められているからこそ、このようなコミュニケーションを取る必要があるとも言えるでしょう。
しかし、現在の技術では、オンラインでオフラインの情報量を超えることは難しいということも知っておかなければなりません。オフラインの情報量に近づくためには、オンライン化されて少なくなった情報量を、一人ひとりが想像、もしくは創造していかなければなりません。テレワークを主体としながら、目に見えない要素にいかに触れられるか、そのためにはオフラインの場も適切に組み合わせながら、職場の新しい在り方を形成していくことが今後の大きなテーマになります

見えない要素のカギを握るのはリーダー

職場の見えない要素のカギを握るのはリーダーです。リーダーの行動が、職場の価値観や文化を作っていくことになります。まずはリーダーを正しく選出しましょう。そして選ばれたリーダーは、組織内のコミュニケーションの場を積極的に作っていきましょう。仕組みを作るだけでなく、自分が理想的な行動をとることも大切です。リーダーの行動は、組織内に大きく影響します。だからこそ、メンバーに自分の行動を見せることが大切です。
目に見えない要素は、非常にケアが難しいものです。「目に見えないものをしっかり管理できるかどうかが、職場の効果を大きく左右する」ということを、リーダーはしっかり意識し日々の行動・業務にあたる必要があります

とはいっても、リーダーにならないと、リーダーの難しさや苦しさを理解できないのも事実です。この点でも、上述のように、リーダーの任命を柔軟にしておいて、社員のそれぞれは一度は何かのタスクでリーダーを経験したことがあるという職場が理想でしょう。リーダーをやれば、部下として従っていた時には、見えなかった課題や困難に、突き付けられます。その課題や困難を経験すれば、他の人がリーダーのなった時にも、その人をどうやったら活躍してくれるかという意識になる事でしょう。リーダーは一人でも、それをサポートする社員がみなリーダーの意識を持っていれば、生産性は、違ってくるでしょう。

これからの職場に必要なコミュニケーションスキル

コロナ禍を経て働き方が大きく変わった昨今、職場において求められるコミュニケーションの形にも大きな変化が生じています。企業は、自社の変化にフィットするような新しいコミュニケーションのあり方を再考する必要があるでしょう。変化を積極的に受け入れていく姿勢が大切です。
また、コロナだけでなく、AI等の技術進化による変化の波も大きくなってきています。これからの職場では、人間がこれまで行っていた業務がどんどんIT化されていき、人間はより創造的な業務を担うようになるでしょう。従来までのコミュニケーションのあり方とは違う、複雑でクリエイティブな会話が必要になるはずです。
以下では、これからの職場のコミュニケーションのために、重要となる手法を紹介します。

対話

対話とは、お互いの立場意見の違いや感情的な葛藤を理解し、そのズレを擦り合わせることを目的に行うものです。職場においては、目に見えない部分を表出したり言語化することに役立ちます。しかし、目に見えない感情や心情を表出する事は、胸襟を開く事であり心理的抵抗もあります。ワンオンワンなどで時間や場所の空間に安心感を産む場所を創ることに効果的です。対話の際には、普段の生活では自分でもあまり意識することのないものを言語化し、感情的な部分を吐露するなど、相手の言葉と同じ地平に並べ、客観的に見てみます。どちらが正しい、正しくないといった理屈では片づけられない角が立つような問題を取り扱うときや、あちらが立てればこちらが立たないというような関係の袋小路にはまってしまった際に、共感や感情の力を活用した対話は効果的なコミュニケーション手法です。
対話についてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

ディベート

ディベートとは、「自分たちが正しい」と相手に認めさせることが目的の討論方法であり、ゲームです。そのため、ディベートにおいては自分たちの正しさを証明できるデータを集め、論理的に説明しなければなりません。公式には第三者が客観的に判定を下しますが、非公式の場合は最終的に双方が合意する、あるいは一方があきらめることでディベートは終了します。「ディベートなんてやったら職場の人間関係がもっと悪くなる」とご指摘されるかもしれませんが、それは大きな間違いです。この記事では関係性に焦点をあててご説明してきましたが、業務や課題自体が、矛盾や合理性がないままで、関係性に焦点をあてることはもっと職場環境を悪化させます。いくら人間関係がよく力強い職場でもやっている内容が辻褄が合わなければ成果も結果も出ません。また、ゲームとしてのディベートを実施することは、反対意見や異論を感情を気にせず整理できます。

ゲームと概念は重要で、ゲームであるからには、本気で熱くなる必要はありません、どちらの論理の方がよりに理にかなっているか?を競うゲームであり、勝っても負けても、実利や実害はないと知るべきです。この気楽な立場あればこそ、より自由に柔軟に意見を出せるのであり、この自由や柔軟さこそ、職場を活性化し、生産性をあげる上で、重要となるカギでしょう。

ディベートについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

ディスカッション

ディスカッションとは、対立せずに意見を出し合うことで、納得できる結論を見いだす作業です。建設な議論です。それは妥協的な合意かもしれません。挑戦的な合意かもしません。特定の課題を解決するために、職場の1次的且つ仮説として合意形成(コンセンサス)を取りたいときにもディスカッションが行われます。ただし、ディスカッションは、必ずしも何か意思決定をしたいときだけに行われるものではありません。コミュニケーションの一環としてディスカッションが行われることもあります。ディスカッションかどうかにかかわらず、建設的議論というスタンスを職場に根付かせることによって、生産性の高い雑談もできますし、会議室で構えた議論をする必要もありません
ディスカッションについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

レトリック

レトリックとは、説得やスピーチという文脈で用いられる場合が多く、コミュニケーションの場において情報を発信する側が、受信側を説得したり、納得させたりするための手法です。ビジネスにおいてレトリックを活かせる場面としては、新規事業開発や新商品開発の担当者が上位者へプレゼンテーションを行う、上司が部下に対して業務への動機付けを行う、営業担当者が顧客に対して提案を行う、などのシーンが挙げられます。よく詭弁と訳されることもありますが、ビジネスにおいては未来や先々においては、全てのコミュニケーションは詭弁でありレトリックです。つまり、レトリックは問題解決に向けて、動機付けするコミュニケーションであり、心理的な抵抗を軽減するコミュニケーションでもあります。

レトリックは、ギリシャ哲学からの長い伝統があり、如何に、自分の考えをより効果的に印象的に相手に伝えられるか追及した学問です。同じ言うにしても、主語と動詞を倒置をするとか、文の終わりに名詞を持ってくるとか、否定の疑問文を使うとか、様々な技法で、より相手に自分の意見を聞いてもらいやすくする方法です。歴史的には、レトリックにあまりにも集中し過ぎて、表現方法の効果にのみ、注意が向かい、言葉の内容が疎かになった時代もありました。しかし、内容が充実しているという前提に立てば、それを伝える言葉は、より効果的であれば越したことはありません。これがレトリックです。

レトリックについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

ストーリーテリング

ストーリーテリングとは、ストーリーを語ることで相手により深く印象付けて理解を促す手法です。ビジネスの世界ではプレゼンテーションや提案時など、語り手がより深く聞き手に内容を伝える必要がある重要なシーンで、度々ストーリーテリングが用いられています。

語るという行為は、人間に取って深いところに根差しているもので、どの民族にも、神話があり、そして物語があります。そこで語られるストーリーは、これまで、多くの世代の口と耳によって、伝えられてきたものです。

伝言ゲームで分かるように、口伝えの物語は、言い間違いや記憶違いによって容易に中身が変化してしまいます。ところが、それでも残っている原型として神話や物語は、どれほど言い間違えても、どれほど記憶違いをしても その部分だけ変化しないという部分の集大成でもあります。

その意味では、神話や物語は、人の深層構造に、迫る為、手段にもなりえ、日本人とは何ですか?という問いに対して、日本の神話や昔話を研究することが重要となってきます。ビジネスにおいても、この物語を積極的に活用することによって、より聴く人の心の深いところに迫る可能性が出てきます。民俗学や哲学を学ぶ意義もここにあります。ストーリーテリングについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

ファシリテーション

ファシリテーションとは、現在の職場は恒常的な職場が減り、恒常的であったとしても、職場の目的はどんどん変化しております。職場はプロジェクト化しています。短期間に成果や結果が問われます。必然的に問題は複雑になり、それに伴い関係性が壊れやすくなります。ファシリテーションはメンバーの支援や社内外の関係者との調整・折衝を行うことを指します。職場のゴールに対するメンバーの納得感を醸成し、職場内外の状況の変化に柔軟に対応しながら、メンバーのモチベーションを高め、安心して活動ができるような場づくりを行います。これは、業務と人の均衡を保つ現在一番必要なコミュニケーションスキルと言ってもよいでしょう。組織や人、プロジェクトそのものが複雑になっている昨今、その重要性はますます高まっています。

ファシリテーターという専門的な訓練を受けた外部パートナーや研修講師にファシリテーションを依頼する事も、解決手段ではありますが、均衡調整は、多種多様なケースで間断なく職場に表出されます。つまりは、職場の特にリーダークラスにおいては、ファシリテーションスキルは、必須と言えるコミュニケーションスキルです。

ファシリテーションについてのより詳しい解説は、下記をご確認ください。

コミュニケーションスタンス

「VUCA(ブーカ)」という言葉は、ビジネスや経済の世界で広く使われている概念であり、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)という4つの要素を表しています。現代のビジネス環境では、環境が驚くべき速さで変化し、従来の常識が通用しなくなることが多々あります。そのため、柔軟に状況に適応するスキルが求められます。ただし、皮肉なことに、VUCAの状況では情報が不確かで曖昧であり、情報の信頼性や再現性を確保することが難しくなっています。言い換えれば、ビジネスパーソン同士が共通の情報を持ち、相互に理解し合う基盤が揺らいでいるため、コミュニケーションが困難になっています。これがVUCA時代の現実です。しかしながら、現実世界の追随は限界が存在します。むしろ、現実を模倣するのではなく、現実を創造する姿勢に重点を置くことが重要でしょう。むしろ視点を変えて、現実の世界を追いかけるではなく、現実を創りだす又は、現実世界に発信するという姿勢に変えることが重要ではないでしょうか?、ビジネスと人の多様性は、突き詰めることは学者に任せながら、価値創造を目を向けることがビジネスの根幹です。

社員は、答えは与えられておらず、正解を出ないかもしれないと覚悟を決めるべきです。それがVUCA時代ですが、自分が創造する側に足った途端、話が変わってきます。世界がどれほど混とんとし、不安定でも、自分が内面に確固たる価値の源があればそこだけでは頼れるはずです。嘗てデカルトは、思考する自分だけは疑い得ないという言葉で、近代の哲学を創りました。このVUCAの時代に、案外デカルトが示した。自分の内面だけは確実だという言葉は示唆的でしょう。確たる自分をもち、そして不安定な世界にどれほどの価値を与えうるか?それをビジネスパーソンは日々、自問自答するべきでしょう。

まとめ

職場とは、所属する人たちがコミュニケーションを取り合い、関係性をつくることで形成されていくものです。また、組織開発において、メンバーのモチベーションの維持などの目に見えない要素の鍵を握っているのはリーダーです。リーダーによる適切な働きかけにより、コミュニケーションを活発化させ、良い職場を作っていきましょう。さらに、職場でのコミュニケーションを活発にするためにはそういった機会を提供できる仕組みをつくることも効果的です。オンラインとオフラインの職場の違いにも留意しつつ、さまざまな施策を打つことで職場での社員の懸念を払拭していきましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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