職場崩壊が起きる組織の特徴とは?組織力を強化して職場を活性化させる方法もご紹介
最終更新日:2026.04.21
目次
職場崩壊は突然起きるように見えて、実は「小さな違和感」の積み重ねです。離職が続出し、仕事が回らなくなる前に、人事・研修担当が打てる手はあります。
本記事では職場崩壊の定義、末路、前兆、原因を整理し、弊社ソフィアの調査データも交えて、予防と立て直しの具体策を解説します。
職場崩壊とは
職場崩壊とは、職場に物理的損害が生じているのではなく、職場コミュニケーションに問題があり関係性が崩壊している状態を指します。職場崩壊が起きてしまうと、次第に業務が立ち行かなくなり、業績の悪化にも影響します。結果的に、組織としてかなり大きなダメージを負うことになってしまうでしょう。
弊社ソフィアの調査で、社内コミュニケーションに問題が「大いに問題がある」「多少問題がある」と回答した方が約8割に達しました。
職場崩壊は一見「個人の問題」として捉えがちですが、コミュニケーションの設計や業務プロセス、評価・マネジメントの前提が噛み合っていない「構造の問題」として進行する点に注意が必要です。
そのような事態を避けるために、どのような対策ができるのでしょうか。ここでは、職場崩壊が起きてしまう組織の特徴や、職場崩壊を未然に防ぐために組織力を強化する方法をご紹介します。職場コミュニケーションを活性化させる参考にしてみてください。

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職場崩壊の進行プロセス
職場崩壊は「いきなり崩れる」のではなく、違和感→停滞→離職→機能不全のように段階的に進むことが多いのです。ここでは、人事・研修担当者が現場と会話するときに使える”簡易モデル”として4段階でご説明します。
- 初期:情報共有が遅い・薄い(「言った」「聞いてない」が増える)
- 中期:目的が見えず、挑戦や改善提案が減る(「どうせ変わらない」が常態化)
- 後期:コア人材から離職し、残る人の負荷が増えて疲弊する(採用も難しくなる)
- 末期:責任の押し付け合いが起き、意思決定が止まる(部署・会社全体へ連鎖する)
こうした段階モデルは「いま自社がどこにいるか」を言語化し、打ち手(再建か予防か)を誤らないために有効です。
職場崩壊の末路
職場崩壊が起きてしまった場合、企業にはどのようなダメージがあるのでしょうか。最初は、業務へのモチベーションが低くなるなどが考えられますが、崩壊が進むと解雇や人事異動につながります。以下では、職場崩壊の末路として考えられることを解説します。
退職者の続出
職場崩壊の末路としてまず考えられるのは、退職者が続出することです。職場崩壊していると、働く社員のモチベーションは削られていき、積極的に働く意思も次第に抱けなくなるでしょう。
また、組織に対する貢献意欲は低下していき、帰属意識もなくなってしまいます。結果的に、その職場で働き続けようという気持ちもなくなり、退職者が続出する末路が待っているのです。
特に大企業では、部門間の調整コストや「誰に相談すればよいか分からない」状態が、静かな離職(いわゆるサイレント退職)を生み、やがて連鎖退職に発展しやすくなります。
業務が回らなくなる状態
従業員が職場に貢献したいという気持ちを持てなくなると、仕事に対して積極性や責任感を保つのは難しくなるでしょう。個人の業務効率が低下するのは、職場全体としての成績低下にも関係します。
場合によってはやる気のある従業員が業務を肩代わりするかもしれませんが、こなせる業務量には限界があるため、業務がパンクしてしまう恐れもあります。仕事が正常に回らなくなり、果たすべき業務をこなせなくなるのは時間の問題でしょう。結果として、クライアントとトラブルを起こす可能性もあります。
厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」は、メンタルヘルス不調による長期休業・退職の状況も示しており、職場の不調が業務継続へ波及し得ることを裏づけています。「業務が回らない→休職・退職→さらに回らない」という悪循環は、規模が大きいほど顕在化しやすい構造要因でもあります。
採用難による人材不足
現代社会ではSNSやWebサイトを通じて、職場の評判がすぐに広まることも考えられます。社員が職場の実情を書き込む企業評価サイトもあります。
職場を探す人の多くは、その会社の評判や口コミを調べることも多く、悪いコメントが投稿されていると、採用に影響を及ぼす可能性があるでしょう。特に、職場崩壊などのマイナス要素が書き込まれている場合、会社の印象は悪くなってしまいます。
管理職の降格・異動
職場崩壊が起きて上記のような問題が顕在化すると、職場は大きな痛手を負ってしまいます。最終的には、職場の体制を変更する必要性が生じるでしょう。例えば、その職場の管理職を降格させる、異動させるなどです。外資系企業の場合は、パフォーマンスを出せなかったということで、責任者が解雇されるケースもあるでしょう。
ただし、人事異動や管理職降格などの対応だけで、根本原因(構造)に手を付けないと、同じ崩壊プロセスが別部門で再発しやすい点に注意が必要です。
職場崩壊の前兆
ここまで、職場崩壊によって起こりうる末路を解説してきました。職場崩壊が組織に与える影響は、業務の質の低下だけでなく、職場の体制にも関わるため、未然に防ぐことが求められます。ここからは、職場崩壊の前兆についてご説明します。前兆にいち早く気づき、問題が深刻化する前に対策を取りましょう。
メンタル不調を抱える社員の増加
職場崩壊につながる前兆として、メンタルに問題を抱えている社員が多いことが挙げられます。メンタルに問題が発生する原因は、仕事上の責任感や職場の人間関係であることが多いため、職場コミュニケーションが悪化するとメンタルを崩しやすくなるのです。
厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」では、強い不安・悩み・ストレスがある労働者の原因として「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が上位に挙がることが示されています。
従業員エンゲージメントの低下
従業員エンゲージメントが低い傾向であるのも職場崩壊の前兆のひとつです。エンゲージメントとは、企業に対する貢献意欲や帰属意識などを指します。
職場崩壊が起きていると、職場の雰囲気が悪いため従業員のモチベーションは高くなりません。仕事に対するやる気もなくなってしまうため、業績も下がりやすいでしょう。
従業員エンゲージメントと事業成果の関連は、自社で因果検証は必要ですが、「エンゲージメント低下=放置できない経営リスク」という危機感は必須でしょう。
短期間での連続退職
もし、短期間で次々に従業員が辞めてしまった場合、職場はすでに深刻な問題を抱えている可能性があります。問題を放置していると、職場崩壊へと繋がりかねません。
職場では顕在化されていない人間関係のトラブルが起きていることや、職場に対する不平不満を抱いていることが考えられます。職場崩壊を未然に防ぐためにも、早急に原因を明らかにする必要があります。
前兆として「管理職のマネジメント不全」「職場秩序の乱れ」「ハラスメントの発生」「生産性・品質低下」なども挙げられます。これらは”いま起きている事象”として観察できるため、サーベイだけでなく現場ヒアリングやデータ(残業、欠勤、品質、クレーム)と合わせて早期検知するのが有効です。
職場崩壊が起きる原因
職場とは、契約的な関係と人間的関係のバランスの上に成り立っており、その調整は組織全体の建前のようなコミュニケーションではなく、嘘偽りのない詭弁やごまかしのないコミュニケーションです。コミュニケーションをその場ですぐに取ることができるため、職場内のコミュニケーションは具体的かつありのままで、時間的・空間的に同期化されています。
一方、組織のコミュニケーションは、多くの情報を多くの社員に届ける必要があるため、抽象的かつ演出的な方法を取ります。全員の顔と名前が一致するような小さな組織でない限りは、情報を伝達することが困難であるためです。
多くの社会課題にさらされ、労働環境も大きく変わっている現代の職場では、コミュニケーションに関するさまざまな問題が生じています。昨今定着してきたテレワークの普及でコミュニケーションが減少することも一つの原因です。
さらに、弊社ソフィアの調査ではコミュニケーション問題を感じる対象として「部門間」「上司と部下」「経営陣と社員」など縦横の軋みが同時に起きていることが示されました。発生要因としては「諸問題に対する必要性が共通認識になっていない」「組織の文化や体質」「利害関係の違い」「過度な業務負担などによる時間不足」等が上位に挙がっており、“話し合う前提が共有されていない”ことが根深い原因になり得ます。
原因を「個人の性格」だけに還元すると対策がブレます。人事・研修担当者の方は、次の3つの観点で原因を切り分けると打ち手が設計しやすくなります。
- 構造:組織の縦割り、役割責任の曖昧さ、意思決定のレイヤー過多
- 制度:評価・目標管理の不透明さ、情報発信と権限の不一致、育成の設計不足
- 行動:1on1や会議が形骸化、フィードバック不足、心理的安全性の欠如
心理的安全性は、チームが対人リスクを取っても安全だという共有された信念として定義され、学習行動やチーム成果との関連が示されています。
職場崩壊を防ぐための方法
職場崩壊を防ぐためにはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。職場崩壊の原因は、目に見えないところから発生するものです。ここでは、職場崩壊を防ぐための具体的な方法をご紹介します。
社内コミュニケーションの活性化
職場崩壊を防ぐには、社内コミュニケーションを活発化させることが重要です。リーダーは社員同士が積極的にコミュニケーションを取り合うよう、改善する必要があります。必要に応じてコミュニケーションの場を設けるなどの工夫も必要でしょう。具体的には、社内報で互いの活動を知り得る機会を作る、社内チャットなど気軽な交流ができる場を設ける、などがおすすめです。
弊社ソフィアの調査でも、社内コミュニケーション促進の取り組みとして「1on1」「研修・トレーニング」「コミュニケーションツール導入」などが多く実施されていました。一方で、導入・実施していても「活用されない」「効果が実感できない」課題が示唆されており、施策を”導入して終わり”にしない設計が重要です。
人事・研修担当者が押さえたい実務ポイント
- 「情報の整理」(何を、誰に、どの媒体で、いつ届けるか)を先に決める
- マネジメント層が率先して使う/参加する(行動で方針を示す)
- 受け手の忙しさを前提に、要点→詳細の2段階で届ける(読む負荷を下げる)
コミュニケーションスキルの向上
社内コミュニケーションを活性化させただけでは、職場崩壊を防げません。職場崩壊を防ぐために有効なのは、コミュニケーションスキルを向上させることです。コミュニケーションスキルを高めるためには、ディベートやディスカッション、ファシリテーションやレトリックなどの手法があります。まずは、自社に合う手法から取り入れて社員のコミュニケーションスキルを伸ばしましょう。
ただし「研修をやったのに変わらない」問題はよく起きます。弊社ソフィアの調査でも、社内研修・学習コンテンツに対して「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」と感じる回答が一定数あり、理由として「現場の具体的なニーズに合っていない」「インプット中心で実践のイメージがわかない」などが挙げられました。
研修企画担当者は、①現場課題の棚卸し、②学習目標の具体化 ③現場実装(上司の関与・OJT)④フォローアップ(行動観察・振り返り)まで設計して初めて、崩壊予防に効く研修になります。
職場崩壊を助長しやすい行動パターンへの注意
「他責」「派閥化」「協調性の欠如」など、崩壊を加速させる言動にも注意が必要です。大企業では、特定個人の人格評価にせず、行動基準(例:情報を握らない、悪口で合意形成しない、議論と人格を切り分ける)としてマネジメント研修・評価に組み込むのが現実的です。
ハラスメント予防策の整備
職場崩壊の局面では、コミュニケーション不足や過重負荷を背景にハラスメントが表面化しやすくなります。厚生労働省は、パワーハラスメントの典型例を6類型で整理し、事業主が講ずべき措置等の指針を公表しています。
このため、人事部門としては「相談窓口」「調査・対応フロー」「不利益取扱い防止」「管理職の初動研修」を平時から整備し、前兆段階で”場当たり”の火消しではなく”構造改善”とセットで運用することが重要です。
ストレスチェックの実効活用
ストレスチェック制度は、一定規模以上の事業場で実施義務がある制度で、現行では常時50人以上の事業場が対象(2025年5月改正法により50人未満にも義務化が決定、施行は最長2028年頃)の制度です。高ストレス者対応に加え、集団分析→職場環境改善へ繋げないと、職場崩壊の予防策として機能しづらい点に注意しましょう。
効果測定とPDCAによる継続改善
施策をKPIに落とし込む際は、何を見ればよいかを明確にしておくことが大切です。社内コミュニケーション施策であれば、①到達(閲覧率・参加率)②理解(理解度・想起)③行動(1on1実施率・会議の意思決定スピード)④成果(離職・欠勤・品質)を段階的に見ていく設計が効果的です。
弊社ソフィアの調査でも、経営目標や戦略について「十分把握」「十分共感」と答える割合は1割未満にとどまっており、まずは”理解・共感”を可視化する必要があります。
また、社内広報の効果測定を「実施している」と答えた企業は15%程度にとどまる一方、「実施しているが不十分」「今後実施したい」も一定数あり、測定ニーズが高いことが示唆されます。職場崩壊の予防では「施策の実施量」だけでなく、行動変容と成果(離職率、欠勤、残業、エンゲージメント等)まで見て改善する必要があります。
職場崩壊からの立て直し
ここからは「予防」ではなく「再建」の観点です。症状が出ている職場ほど、処方箋は”研修だけ”では足りません。人事・研修担当者が再建で優先したい順番を整理します。
- 1)止血:業務量の是正、重要案件の棚卸し、責任の再配分(燃え広がりを止める)
- 2)把握:短時間のヒアリング+パルスサーベイで、何が詰まっているかを特定する
- 3)対話:当事者同士の対話の場(ファシリテーション)を設計し、合意形成を取り戻す
- 4)マネジメント:管理職の期待役割(情報共有・意思決定・育成)を再定義して伴走する
- 5)定着:会議体、1on1、オンボーディングなど”毎週回る仕組み”として埋め込む
再建の各フェーズでは、心理的安全性の回復(発言・相談ができる状態)を意識的に作ることが、学習行動と改善提案の再起動につながります。
職場崩壊を防ぐためのチェックリスト
最後に、人事部門長・研修企画担当者が四半期ごとに確認できるチェック項目をまとめます。
- 部門間連携:重要案件で「誰が決めるか」が曖昧になっていないか
- 情報共有:必要情報が共有されない/遅い/探せない状態が増えていないか
- 対話:1on1や会議が形骸化し、フィードバックが止まっていないか
- ハラスメント:相談が増えたのに”同じ論点”が繰り返されていないか(仕組み問題の可能性)
- 研修:実務への転用設計(上司の関与、課題、振り返り)があるか
- テレワーク:コミュニケーション不安を放置していないか(縮小理由にも)
まとめ
職場崩壊が起こると、組織は深刻なダメージを受けてしまいます。業務が思うように回らなくなり、人材が不足するなど、最悪の場合、会社の存続危機に陥るかもしれません。
だからこそ、前兆段階で「見える化→対話→育成→仕組み化→測定」を回し、崩壊プロセスを止めることが重要です。特に大企業では、部門間・経営×現場など縦横のコミュニケーション課題が同時に起こりやすく、全社・部門・チームの3層で打ち手を設計する必要があります。
職場崩壊を未然に防ぐためにも、組織力を高め職場を活性化しましょう。組織力を高めるために重要なポイントになるのが、社内コミュニケーションの活性化とコミュニケーションスキルの向上です。職場の状況に合わせて、有効な施策を採用しましょう。
社内コミュニケーションの実態把握(調査設計)から、管理職・現場向けの研修、社内メディア/デジタルツールの運用設計まで、自社だけで進めるのが難しい場合は専門家と一緒に進める選択肢もあります。弊社ソフィアではインターナルコミュニケーションの総合支援も行っていますので、まずはご相談ください。





