
ワークエンゲージメントが低い企業の特徴と原因を解説

目次
「仕事に対してやる気が出ない」「仕事にのめり込めない」「仕事に熱心に取り組めない」と感じている従業員がいれば、それはワークエンゲージメントの低下が要因かもしれません。ワークエンゲージメントとは、従業員の仕事における心理状態を表します。今回は、ワークエンゲージメントについてその低下の要因と高める方法をご紹介します。
ワークエンゲージメントとは?
ワークエンゲージメントは、仕事と人の関係性「オランダ・ユトレヒト大学」のウィルマー・B・シャウフェリ教授らが提唱した3つの概念があります。
- 活力:仕事から活力を得ていきいきとしている
- 熱意:仕事に誇りとやりがいを感じている
- 没頭:仕事に熱心に取り組んでいる
ワークエンゲージメントは、この3つが揃ったポジティブな心理状態として定義されています。 一般的にベンチャー企業のようなゼロから1を生み出すことが得意な企業では日々選択の連続です。そのため自分で目標を決め、どんどん新しいことを生み出しているのでワークエンゲージメントが高い傾向にあります。一方で、設立から長年経過している企業や大企業などはルールや制約が多く、従業員はそれに沿って働く傾向にあるため、ワークエンゲージメントが低いといわれています。
また、ワークエンゲージメントとは別に「従業員エンゲージメント」という言葉があります。従業員エンゲージメントは、、理念やビジョンへどれくらい共感を得ているのか、職場、同僚、仕事に対する感情的なコミットメントがあるかどうかを意味します。
ワークエンゲージメントが低い企業の特徴と原因を解説
人事系コンサルティングファームを中心にした研修やアメリカの世論調査を行っている米ギャラップ社の調査によると、日本は仕事に対して熱意がある従業員の割合が6%という139カ国中132位という調査結果が出ています。また、経済産業省の調査結果からも、日本はワークエンゲージメントが低いことが明らかになっています。
ワークエンゲージメントが低い企業には、何らかの特徴や原因があります。ここでは、ワークエンゲージメントが低い企業の特徴と原因を解説します。
従業員のモチベーションが低い
ワークエンゲージメントが低い企業の原因のひとつは、従業員のモチベーションが低い、もしくはモチベーションの維持ができないことが挙げられます。仕事に対してやりがいを見出せずネガティブな発言やマイナス思考、無気力といった状態で仕事をしていることがパフォーマンスの低下につながっています。
また、企業理念や目的を理解していない、ビジョンが浸透していないことが、企業の業績や評価にも大きく影響します。仕事をやっていることに意味を感じておらず、やりがいや向上心もないため、周りへ悪影響を及ぼす可能性も高いでしょう。
社員間のコミュニケーションができない
同僚や上司などの社員間で円滑なコミュニケーションが取れないことは、働きにくい環境を生み出します。世間話や何気ない会話など、仕事の話以外のコミュニケーションが取れない環境では、風通しが悪く職場の雰囲気もよくありません。
このような状態では疑問に思ったことやミスをした際に、すぐに聞くことができず、トラブル対応が遅れてしまう原因になります。「分からないことを聞かない」「分からないからできない」「できないから意欲がわかない」といった日頃のコミュニケーション不足から、徐々に会話のハードルがあがってしまいます。 ワークエンゲージメントが低くなるループを繰り返し、出口が見つからないといったケースも見受けられます。
組織の複雑化による意思決定の遅れ
人材が増え組織が大きくなると、組織は複雑化していきます。横の関係性が薄くなり、縦割り化しやすくなるため、ほかのチームが何をしているのかわからない状況に陥ります。部署間の関わりが減ることにより、連携が取りにくくなるでしょう。
さらに組織が複雑化すると必要な手続きやルールが増えます。意思決定に遅れが発生し、PDCAのサイクルも遅くなります。情報やスピードが大事な企業にとっては、存分に力を発揮できないでしょう。
雇用制度の影響
日本では、年功序列や終身雇用、新卒一括採用が前提とされる「メンバーシップ型雇用」が多く取り入れられる傾向にあります。
このメンバーシップ型雇用では、「組織からはみ出さないようにする」という考え方が強くなりやすく、業務ではなく組織への帰属意識を優先してしまう傾向にあります。その結果、クライアントや顧客のことよりも組織の中の自分の立場を無意識のうちに考えながら業務を行うようになり、さまざまな弊害が生じやすくなります。
もちろん、「メンバーシップ型雇用」にもメリットはありますが、上記のような状況では仕事に対するモチベーションの維持が難しくなります。その結果ワークエンゲージメントも低下してしまいます。
勤務時間と賃金の関係
多くの企業では、仕事の早い遅いに関係なく、業務時間に対して賃金が発生する制度を採用しています。例えば、業務時間内に誰よりも多く仕事をこなしたとしても、報酬に何ら影響がないといったような場合は、中には生産性を下げた働き方をする従業員もいるかもしれません。また、「社内外のルールが多いためとるべき選択肢がない」などの非民主的な社内文化や大企業病の文化が原因で、ワークエンゲージメントが低くなっていきます。
ワークエンゲージメントを高めるために効果的な方法を紹介
ワークエンゲージメントを高めるためにはさまざまな方法があります。「厚生労働省 令和元年版 労働経済の分析」によると、人件費がかかる企業でも仕事のあり方や環境を工夫し、見直すことでワークエンゲージメントを改善させることができると示唆されています。
「年収が増加しただけ」や「労働時間が短くなった」というだけではワークエンゲージメントのスコアは大きく変化しませんが、「役職が高くなった」「人間関係がよくなった」場合に関してはワークエンゲージメントのスコアの向上がみられました。
この結果から、仕事のやりがいにつながる「役職の変化」や、業務の進め方を左右する「人間関係の変化」のような仕事の在り方は、ワークエンゲージメントに大きな影響を与えると言えます。
ここでは、ワークエンゲージメントを高めるために効果的な方法をご紹介します。
会社のことを「自分ゴト」とする
ワークエンゲージメントを高めるには、ひとつひとつの行動に意味付けができるように、会社のことを「自分ゴト」とすることが大切です。どこか他人ゴトに考えていたり、「責任は会社が取ってくれる」などという考えを改め、イノベーションができる行動を取りましょう。
社内コミュニケーション・コラボレーションができるようにする
コミュニケーションを取ることで上司や同僚と連携がしやすくなります。気軽に分からないところを共有でき、業務の進捗を把握しやすくなり、業務効率の向上が期待できます。また、部署を超えてコミュニケーションやコラボレーションができるようになると、発想力も豊かになり、一人ひとりのパフォーマンスが上がります。社内でコミュニケーションをとりやすくするには、1on1ミーティングを実施する、オープンスペースを利用する、社内SNSを活用するといったことで社内コミュニケーションの機会を増やし継続することが大切です。
業務のフィードバック=対話
小さな成功を積み重ねるために目標を設定し、それに対するフィードバックを行い、個人の課題や目標を明確にすることが大切です。また、成果があった部分にはしっかりと評価を伝えることで、やりがいを感じることができます。ポジティブなフィードバックを行うことは、従業員のモチベーションを保つことにつながります。
ワークエンゲージメント向上による効果
ワークエンゲージメントが向上すると、多くの面でプラスの効果が期待できます。たとえば、以下のようなことが挙げられます。
企業にとってのメリット
- 心理的ストレスを抑えることによる離職率低下
- 従業員のパフォーマンスアップ
- 人材育成、採用のコスト低下
ワークエンゲージメントを高めることで、仕事内容や職場の対人関係などによって発生する心理ストレスを抑え、離職率の低下が期待できます。さらに、コミュニケーション能力が上がると意見調整や意思決定がスムーズに進み、従業員のパフォーマンスアップにつながります。仕事に対する満足感から離職しようと考えることも減るため、採用コストを抑えることにもつながります。
企業にとってプラスになれば、従業員だけでなく顧客にもプラスの効果が得られます。サービスや商品などの品質が向上することで売上が上がり、企業の業績アップ、イメージアップにつながるでしょう。自分が企業を担っているという「当事者意識」と、自分がやったことの成果が企業の成長につながっているという認識が、ワークエンゲージメントを向上させるために大切です。
まとめ
ワークエンゲージメントが低い企業は、従業員の仕事に対する向き合い方だけでなく組織のあり方や待遇、風土なども関係します。企業が業務のフィードバックの質を高める、人事評価の見直しを行う、ミーティングを強化することは、従業員のワークエンゲージメントを向上させるために必要です。ワークエンゲージメントが低いと感じている企業は、お気軽にソフィアにご相談ください。ワークエンゲージメントを高めるサポートをさせていただきます。
関連事例
よくある質問
- ワークエンゲージメントが低い原因は何ですか?
・従業員のモチベーションが低い
・社員間のコミュニケーションができない
・組織の複雑化による意思決定の遅れ
・雇用制度の影響
・勤務時間と賃金の関係
- ワークエンゲージメントを高めるために何をすればいいですか?
・会社のことを「自分ゴト」とする
・社内コミュニケーション、コラボレーションができるようにする
・業務のフィードバック=対話
- エンゲージメントが高いとどうなる?
・心理的ストレスを抑えることによる離職率低下
・従業員のパフォーマンスアップ
・人材育成、採用のコスト低下

株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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