人材育成

リーダーシップとは?定義・種類・育成設計を完全解説!

リーダーシップという言葉は文脈によって定義が異なるため、その正確な意味をしっかり把握している人は多くないかもしれません。ビジネスにおけるリーダーシップとは何かを正しく理解しておくと、自社でリーダーを育成する際に大いに役立ちます。
本記事では、企業組織におけるリーダーシップの定義と、リーダーにとって必要な能力について解説します。

リーダーシップとは

リーダーシップは抽象的な概念であり、これまでにさまざまな議論が交わされ、定義が多岐にわたる言葉です。まずは一般的な定義から見ていきましょう。

リーダーシップについては研究の歴史が古く、さまざまな議論がなされてきた結果、多岐にわたる定義が存在します。時代背景の中での国家のリーダーや偉人、小説や映画の登場人物としてもリーダー研究が行われてきました。また、ビジネスにおいても、大組織の経営者から職場などの小集団まで、リーダー研修の必要性が認識されています。このようなリーダー研究の目的は多種多様に存在するものの、総じて「より優れた組織や集団を形成するために、人々が組織や集団を束ねる能力を養成すること」にあります。
ただし、リーダーシップが先天的な資質によるものなのか、育成開発が可能なのか、あるいは単に環境や周囲がリーダーを作り上げるのかといった点については、未だに解明されていない部分もあります。

辞書(デジタル大辞泉)では、リーダーシップを「指導者としての地位・任務。指導権。」あるいは「指導者としての素質・能力。統率力。」としています。 また、グロービスMBA経営辞書では、リーダーシップとは「自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、またその実現体制を構築し、人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動」と定義づけています。

一方、経営学者として有名なピーター・ファーディナンド・ドラッカーはリーダーシップを以下の3つの言葉で定義しています。

・リーダーシップは資質ではなく仕事である。
・リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
・リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである。

(出典:P.F.ドラッカー『現代の経営』『プロフェッショナルの条件』『未来企業』)

リーダーシップは権限でも気質でもなく、仕事であるという点で一般的な定義とは大きく異なります。 リーダーの定義には諸説あるものの、少なくともビジネスにおいては、さまざまな立場や状況のリーダーに共通して、ビジョン、変革、信頼、価値観、指導、そして問題解決力が不可欠な要素となっています。もちろん、文脈によってその重要性が異なることもありますが、これらの要素は無視できないものです。
リーダーシップとは「肩書き」ではなく、影響(influence)を通じて共通目的へ人を動かす”プロセス”と捉えると、研修企画上も定義がブレにくくなるでしょう。

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップと並べて比較されやすい言葉として「マネジメント」が挙げられます。これらはしばしば混同される概念でもありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

リーダーシップは目標の達成に向けてメンバーを導くための資質、あるいはドラッカーの言い方では「仕事」です。会社のトップである経営者はもちろん、企業のリーダーやリーダー的なポジションに立つ人材に求められます。

一方、マネジメントは目標達成のための手段を立案・管理する仕事を意味します。ドラッカーはマネジメントについて「マネジメントは組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関である」と述べています。これらは、企業で担当部署を統括するマネージャーや部課長といった管理職に求められるものです。

どちらも「目標を達成する」ことを目的としているため、同じ人間が「マネジメント」と「リーダーシップ」の両方を求められることもあります。重複する領域もある2つの言葉ですが、リーダーシップという言葉が使われる文脈においては、より「導く」というニュアンスが含まれていると考えられます。

ハーバード・ビジネススクールの名誉教授であるジョン・P・コッターは、

・マネジメントは「複雑性への対処」(計画・予算、組織化・人員配置、統制)
・リーダーシップは「変化への対処」(方向性設定、アラインメント、動機づけ)

という対比で整理しています。大企業ほど規模の複雑性が高いためマネジメントが必要ですが、同時に環境変化が大きいほどリーダーシップも不可欠、という読み替えができます。

リーダーシップが今の時代に重要な理由

第2次産業では、鉱工業・製造業・建設業などの生産分野において、生産機械を活用することが一般的です。生産性を高めるためには生産機械の性能が重要です。第3次産業では、サービスや情報の生産などが含まれており、金融・保険・卸売・小売・サービス業・情報通信業などがこれにあたります。

近年の脱工業化の流れにおいて、生産機械の性能だけでなく、人材の生産性も重要視されています。そのため、経営者たちは適切な投資をして一定の生産性を実現することを目指しています。第2次産業においては、一定の投資で導入された生産機械によって生産性を向上させることができました。
しかし、第3次産業においては予想外の問題に対応する場面が多く、人材が不可欠となります。すなわち、即興力が必要になってくるのです。現在のビジネスにおいては、「アジャイル」「アジリティ」「非連続」といった言葉が示すように、確実なルーティンではなく不確実な即興が求められています。現在のビジネスリーダーたちには高い即興力が求められます。即興はリーダーに必要な行為であり、即興力はリーダーシップの重要な能力ではないでしょうか。

VUCA時代とリーダーの重要性

組織においてリーダーの存在が重要視されるようになった理由のひとつには、現代が「VUCA」と呼ばれる、将来の予測が困難な時代であることが挙げられます。

「VUCA」とは、V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)の頭文字をとった造語で、先行きが不透明で未来の予測が困難な状態を意味します。
VUCAという用語は米陸軍戦略の文脈で整理・普及した経緯があるとされ、組織の戦略的リーダーシップ課題と結びついて語られてきました。

一昔前の理想のリーダー像といえば、威厳があって黙っていても人がついてくるような人物が思い浮かぶのではないでしょうか。マーケットが国内中心で将来の予測が立てやすかった高度経済成長期であれば、そのリーダーシップのあり方のままでも問題はなかったかもしれません。

しかし現在は、ビジネスモデルが多様化し、市場はグローバルとなり、将来の予測が困難な中で経営の舵取りをしなければなりません。そのような変化において、求められるリーダー像やリーダーシップのあり方も大きく変わってきています。

日本企業の多くは米国流の経営手法に過剰適応した結果、オーバー・プランニング(過剰計画)、オーバー・アナリシス(過剰分析)、オーバー・コンプライアンス(過剰法令順守)の「3大疾病」に陥っていると、経営学者であり一橋大学名誉教授でもある野中郁次郎氏は述べています。

しかし、こういった計画偏重かつトップダウンの戦略遂行では、状況の変化に合わせて素早く意思決定し、事業やサービスを変化させることができません。急速に変化するビジネス環境においては、従来の中央集権的な権限体制を分散することが不可欠であり、これが実際には、なし崩し的に起きている状況となっています。

さらに、熾烈な競争にさらされる事業部や現場では常に最新の高度な専門性が不可欠であり、各市場環境や技術の詳細な把握を中央集権的に行うことはほぼ不可能です。このような状況であるにもかかわらず「3大疾病」に陥っている会社があるとすれば、それは過剰どころか、不可能なことをやっている可能性すらあります。
こうした状況においては、各事業部や部署が自主的に意思決定することが不可欠です。各事業部や職場において目的を明確にし、自立的に計画を立て、情報を分析し、意思決定することで、即興力やタイムリーな対応を実現していくのです。また、少数のリーダーによる全体の把握が困難になりつつあり、各々がリーダーシップを発揮する必要が増しているため、必要とされるリーダーの数も増えざるをえません。

しかしながら、このような自己組織化型の組織は、部署やチームが自発的に行動するため、調和的で効果的な働き方をすることが困難というジレンマに突き当たります。したがって、リーダーは即興性と同時に、交流・コミュニケーションおよび相互関係の構築を誠実に追求しなければ、組織全体はすぐに崩壊してしまいます。職務や地位などの境界を超えて、テクノロジーを活用しながら相互協力を構築し、組織全体の役割を柔軟に変化・対応できるようリーダーシップを発揮しなければなりません。したがって、リーダーはピーター・ドラッカーが言う「組織適応力」に相当するコミュニケーションスキルを、組織の人々が容易に相互理解できるよう迅速かつ確実に磨き上げなければなりません。

現代におけるリーダーには、多種多様なリーダーシップ論やリーダーの役割が必要とされます。リーダーシップ項目の比重や必要な人数については、過去とは異なるニーズが出てきています。また、コミュニケーションは現代社会において非常に難しいことではありますが、その必要性はますます高まっています。

そして、分散・自律が進むほど「調和的に働くことが難しい」というジレンマは、まさに”組織内の相互理解をどう作るか”の問題です。ここがリーダーシップとインターナルコミュニケーションの接点になります。
弊社ソフィアの調査では、大企業人事部門の最優先課題として「管理職のマネジメント力強化(48.1%)」と「中堅・リーダー層の能力開発(46.5%)」が挙がっており、現場の自律を支える中核層育成の重要性がデータでも裏付けられています。

さまざまなリーダーシップ論

リーダーシップ論についてはこれまでさまざまな議論が交わされてきた旨に冒頭で触れましたが、具体的にどのような理論が展開されてきたのでしょうか。代表的なものをご紹介します。

特性理論

リーダーシップ論の初期にしばしば見られた理論です。リーダーシップの有無は生まれながらに発揮する才能であり、先天的であるという考え方を特性理論と呼びます。リーダーシップが先天的な才能であれば、リーダーシップは育成できず、「採用」によってリーダーを確保しなければなりません。そのためには、優秀なリーダーを惹きつける会社の魅力と、リーダーを正しく評価する仕組みが必要となります。

行動理論

リーダーシップ行動論とは、1940年代ごろから発展したリーダーシップ理論におけるアプローチのひとつであり、「リーダーとは作られるものである」という考え方です。特性論とは逆で、リーダーシップは後天的なものという考え方といえます。後天的な才能であれば、採用だけでなく「育成」によってもリーダーを獲得できるわけです。リーダーを育成するためには、自社が求めるリーダーシップとはどんなものかをスタイルや行動に落とし込み、それを実現する能力へ具体化することが重要となります。「リーダーシップ育成」という大きな枠組みだけでなく、「リーダーシップのためのビジョン思考」「リーダーシップのためのコミュニケーション能力」などに分解しながら育成方法を検討する必要があります。

条件適合理論

条件適合理論は、状況ごとにリーダーシップのスタイルは異なり、すべてに適合する普遍的なリーダーシップはないという考え方です。条件適合理論に基づくと、企業においてはリーダーシップのさまざまなスタイルを備えた優秀な人材を採用あるいは育成する必要があります。そのためには、さまざまなスタイルを容認する多様性を担保するための環境を整えなければなりません。

これらを研修企画に活かすには、第一に「誰を選抜すべきか(特性・志向)」、第二に「何を習得させるべきか(行動・スキル)」、第三に「どの場面で何を発揮させるか(状況)」という3つの問いを立てると企画が組み立てやすくなるでしょう。

リーダーシップの種類

リーダーシップにはさまざまな類型・種類があることを、これまで数多くの学者が提唱してきました。ここでは、代表的な2つのリーダーシップについてご紹介します。

クルト・レヴィンの3つのリーダーシップ類型

ドイツ系アメリカ人の心理学者であるクルト・レヴィンは、リーダーシップを「専制型」「民主型」「放任型」の3つに分類しています。

専制型:
リーダーが意思決定などのすべてを行い、メンバーはリーダーの指示を待つのみというもの。未熟な集団や緊急で意思決定をする必要がある際に効果的です。

民主型:
基本的にはメンバーが考え、メンバーの意思が尊重されます。ただし、チームの方針はすべてリーダーが決めます。メンバー間の団結力が上がり、通常業務など長期間にわたるチームにおいて効果的です。

放任型:
チームの意思決定にリーダーが関与しないもの。メンバーの能力が高い場面では効果的です。

ダニエル・ゴールマンの6つのリーダーシップ類型

米国の心理学者であるダニエル・ゴールマンは、リーダーシップを「ビジョン型」「コーチ型」「関係重視型」「民主型」「ペースセッター型」「強制型」の6つに分類しています。

ビジョン型:
目標に対する方向性を明確にする、最も前向きなリーダーです。目指すべきビジョンはリーダーが示しますが、それを達成するための方法はメンバーに任せます。メンバーのエンゲージメントが高まりやすい方法です。

コーチ型:
各メンバーに対して「コーチ」的な役割を担うリーダーです。メンバーがそれぞれもつ目標や考えを尊重しながら、チームの成長を目指します。メンバーのモチベーションが高い場合に効果的な方法です。

関係重視型:
メンバー間の関係性を重要視するなど、互いの信頼関係とモチベーションを保つことで目標達成をより容易にしようとするリーダーです。組織の関係性を良くしていきたい場合に効果的です。

民主型:
各メンバーの意見を幅広く取り入れ、チームの活動に反映させていくリーダーです。新しいアイデアを求めているときに効果的です。

ペースセッター型:
難しい仕事を率先して行い、メンバーの手本となるリーダーです。メンバーはリーダーと同様のパフォーマンスを目指して自らのスキル向上を行うようになります。

強制型:
権力や圧力などの強制力を使って目標を達成しようとするリーダーです。メンバーの成長やチームの関係性の向上には役立ちませんが、緊急時など素早い判断が必要なときには有用な方法です。

優れたリーダーに必要な能力

行動理論あるいは条件適合理論に基づいて、リーダーシップを後天的に高められるとした場合、リーダーになる人材はどのような力を身につけることが求められるのでしょうか。

諸説あるリーダーシップ論の中で最も重要な3つの力

1. 聞く力

聞く力、傾聴力とは、「真摯な姿勢で相手の意見を聴き、相手に聞きたいことを相手から引き出す」力のことです。上層部が目指すビジョンと現場のギャップや、メンバーが感じているストレスなどに気づくきっかけにつながります。
傾聴する際のコツとしては、「柔らかい表情」を維持しながら「相手に体を向けて」、「相手の目を見て」話すことです。相手をリラックスさせるように適度に相槌を打ちながら、鏡に向かい合った姿のように相手と同じポーズをとりましょう。
話を途中で遮らずに最後まで話してもらい、相手が会話を続けられるよう、ストレスにならないような質問をすることが大切です。重要なのは、相手の意見を否定しないこと、自分が相手の意見を理解していることを示すことです。
コツとしては、相手の言ったことを繰り返す、自分の言葉に言い換えるなどして「こう思っているんですね」と確認することや、相手の感情を肯定することが挙げられます。
たとえば「最近、〇〇で忙しくて、その他のことを考えている余裕がなくて…」という相談に対して、すぐに「とすると、△△をすれば解決できるよね」と自分の意見を述べてしまうのではなく、「〇〇の作業、すごく時間がかかるよね。なるほど、それで気持ちに余裕がなくなってしまっているのか」と、相手の意見をしっかりと受け止めたことを示すことで、相手はその後も自分の想いや意見を話しやすくなります。

加えて、相手から話を引き出すには、そもそもの「関係性」を良好に維持しなければなりません。非常に難しいことではありますが、まず簡単にできることとして、頻繁にコミュニケーションを取っておくことが挙げられます。心理学の分野では「単純接触効果」と呼ばれる理論があります。平たく言うと、人は頻繁に接触する人に対して好印象を抱きやすい、というものです。

リーダーは、積極的に現場の声や会社の上層部の意見を聴き、相手に積極的に共感するスタイルを身につけていきましょう。

2. 示す力

示す力とは、自社のビジョンや戦略、もしくは社会や市場環境を背景に、あるべき姿ややるべきことをチームメンバーに対してわかりやすく、かつ魅力的に伝える力です。必ずしも指示・命令だけがリーダーの役割ではありません。チームメンバーの自律的な活動を尊重する必要があることと同時に、その「自律」が「野放図」とならないよう、チームの目的や目指すゴールを、リーダーは常に自己やメンバーに問いかけ、共有しておくことが重要です。
具体的には、
・メンバーが判断に迷ったときにはリーダーが示すビジョンによって意思決定すること
・モチベーションが下がっているときには鼓舞されるような(あるいは時に、危機感を醸成するような)将来像が示されること
・メンバー個人の考え方や理想をリーダーが把握していて、チームの中で期待される役割が明示されること
など、チームが有機的に連携し動き続けるための行動が求められます。

部内会議やその他さまざまな機会で、自分の意見を語ることが「説教」になってしまうことを恐れている人、また「背中で語る」ことを美徳とする人は多いのではないでしょうか。日本人はもしかすると、この「示す力」が一番苦手な分野かもしれません。
もし、自分から「我々はこうあるべきだ!」と語ることが大げさに感じられてしまうのであれば、普段の雑談や業務指示の中の細やかな発言に対して意識をしてみてください。自分が話す何気ない一言一言が、自身が示したい方向性に対してちゃんと筋が通っているものであれば、時間をかけて伝わる場合もあります。

弊社ソフィアの調査では「各部の取り組みに対する現場の理解度」の問に対して、「十分理解を得られている」が10%に留まっています。
リーダー層の「示す力(目的・優先順位・基準を”わかる言葉”にする)」を組織的に鍛える必要性を示す結果ではないでしょうか。

3. 気づく力

理想像と現在の姿にギャップが生じているとき、何か見落としがあったとき、チームに異変やバランスの崩れが生じていたときなど、チームを取り巻くさまざまな変化に気づく細やかさもリーダーには必要です。
とくに、ビジネス環境変化、社会や市場といった外部環境の変化に対して敏感であることが重要です。リーダーには、気づいた変化を自チームもしくは自部門、ひいては自社の問題として落とし込む力が求められます。

自社の売上が落ちている、または成果が下がっている場合に、その問題点が何かを的確に気づく力が求められます。逆に売り上げが上がっている場合にも、それが特定の人物の頑張りによるものなのか、実行した施策の効果によるものなのかを気づくことも必要です。
また、チームメンバーの体調が悪いこと、モチベーションが下がっていること、調子が良い状態などに気づく力も求められます。日々、メンバーの心身のバランスを調整していくことが良好な関係性を保つことにつながります。

リーダーシップを高める方法

企業の研修企画では「習慣化」だけでなく、育成の設計条件(何を、誰に、どの順で、どう評価するか)が成果を左右します。

リーダーシップ研修は“やり方次第で効く”
リーダーシップ研修に関するメタ分析では、研修が反応・学習・職場での転移・結果に改善をもたらしうることが示され、さらにニーズ分析、フィードバック、実践(練習)、分散学習などの設計要素が効果に関係すると整理されています。

現場適用(転移)を最大化する研修企画のミニチェック

研修を「座学で終わらせない」ためには、少なくとも次の要素をセットで設計することが重要です。
・対象者の課題を特定する(ニーズ分析)
・行動目標を”観察可能”な言動に落とす(例:「会議で指示する」ではなく「会議冒頭で目的と意思決定基準を30秒で言える」)
・現場課題に沿った演習と振り返りを入れる(実践)
・上司・同僚のフィードバック導線を作る(職場支援)

弊社ソフィアの調査では、社内研修・学習コンテンツへの問題意識として「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」が25.8%で最多でした。研修を“現場ニーズに合わせる(46.9%)”“インプット中心を避ける(40.6%)”など、設計要因が課題になっていることが示唆されます。施策を追加するだけではなく、設計を変えることが重要です。

大企業でのリーダーシップ育成施策設計のポイント

大企業のリーダーシップ育成は、「管理職研修」だけでは足りません。理由は、意思決定が分散し、現場の中核層(中堅・リーダー層)が”日々の場”でリーダーシップを発揮する設計が、成果を左右するからです。

設計ポイントは、次の順序で整理すると関係者合意が取りやすくなります。まず「リーダーシップとは何か」を自社流に定義し(例:影響プロセス/コミュニケーション中心)、次に”観察可能な行動”へ落とし、最後に評価指標と育成施策へ繋げます。

人事部門の優先課題とつながる設計

弊社ソフィアの調査では、人事部門の最優先課題が「管理職のマネジメント力強化(48.1%)」と「中堅・リーダー層の能力開発(46.5%)」です。ここに合わせ、階層別に”鍛える力”と”任せる役割”を明確にすると、施策全体が一本化します。

コミュニケーション施策との連動設計

弊社ソフィアの調査では、施策の必要性・重要性について「十分理解されている」が10%に留まっています。リーダー育成を「個人スキル研修」に閉じず、社内メッセージの設計・対話の場づくり(上司→部下、部門間など)とセットで運用すると、”示す力”が実装されやすくなります。

成果指標(KPI)を「行動転移」で置く

もし優れたリーダーを自社で育てたいのであれば、まずは「社内コミュニケーションの健康診断」と「研修の実務適用度」を押さえるのが近道です。弊社ソフィアでは企業向け調査データに基づく資料提供・壁打ちも行っています(※社内状況に合わせてご相談ください)。

まとめ

優れたリーダーになるために必要なスキルは、つまるところ「コミュニケーション」です。部下があるべき姿がわからず迷っているときに、こうすべきだという理想像を自ら指し示すことができるか。チームに不和が起きたり空気が悪くなったりしているときに、いち早くそれを察知して改善するように持っていけるか。これらすべて、コミュニケーション能力に帰結するといえます。

もし優れたリーダーを自社で育てたいのであれば、自社の社内コミュニケーションが活性化しているかをまずは把握しましょう。必要であればコミュニケーション調査などを行い、コミュニケーションの健康診断を行うことも重要です。

弊社ソフィアの調査でも、人事部門の優先課題としてリーダー層育成が上位に挙がっており、さらに「現場の理解が十分と感じる割合が低い」など、コミュニケーション課題が可視化されています。リーダー育成は”研修単体”ではなく、対話と情報設計を含む総合施策として捉えると成果が出やすくなるでしょう。

よくある質問
  • リーダーシップと管理職の関係は?
  • 学術的にはリーダーシップは「個人が集団に影響を与え共通目標を達成するプロセス」とされ、公式ポジションに限定されません。大企業ほど意思決定が分散し、現場の中核層・プロジェクトリーダーにも必要になります。

  • マネジメント研修とリーダーシップ研修の使い分けは?
  • コッターの整理では、マネジメントは複雑性への対処、リーダーシップは変化への対処です。両方必要なので、分けるかどうかより「どの階層に、どの比重で、どの場面の行動を鍛えるか」を明確にするのが現実的です。

  • 現場で役立つリーダーシップ研修の設計方法は?
  • 弊社ソフィアの調査では「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」が25.8%で最多で、理由として「現場ニーズとのズレ(46.9%)」や「インプット中心(40.6%)」が挙がっています。メタ分析でもニーズ分析・実践・フィードバック等が有効要素として整理されるため、設計で転移を作ることが重要です。

  • 「聞く力/示す力/気づく力」の評価方法は?
  • 評価は”行動”で定義します。たとえば「示す力」なら、ビジョンや基準を言語化し、関係者をアラインする行動(方向性の提示、合意形成、動機づけ)に落とし、上司・同僚・部下からの多面観察で確認します。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。