次世代リーダーの育成に重要なポイントとは?

企業が事業を継続させ新しい価値を生み出し続けるためには、未来の経営を担う人材が必要不可欠です。

企業の将来を託すことができる人材を「次世代リーダー」と呼ぶことがありますが、次世代リーダーは勝手に社内で育っていくものではありません。早い段階で候補者を選定し、計画的に育成する必要があります。

本記事では、次世代リーダーの育成が不可欠である背景と育成上の課題点を整理し、育成のポイントや育成方法を解説します。

次世代リーダーとは?日本の次世代リーダー育成はどうなっている?

次世代リーダーとは、10年後、20年後の企業を牽引する将来の経営者候補となる人材(社員)です。

経済産業省が示した「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」において「経営力こそが企業と日本経済の成長の鍵」であることが示されています。「企業の後継者不足」と言われる昨今、環境変化に順応し生き残る企業に成長するためにも、日本企業は経営力を向上させると同時に、自社の将来を担う経営者候補となる人材の育成を強力に進めることが喫緊の課題となっています。

日本企業は、近年の国際競争で欧米諸国に遅れをとっていると言われています。
IMD (International Institute for Management Development:国際経営開発研究所)による世界各国の競争力を測る調査「世界競争力年鑑2020」によれば、日本は総合順位を2019年度の30位からさらに順位を落とし2020年度は34位となっています。

IMDの調査で日本の総合順位を下げている項目として「ビジネス効率性」が挙げられます。ここには経営の意思決定のスピードや、デジタル活用のほかに、起業家精神、国際経験、多様性など、マネジメント人材の問題も含まれます。
市場の変化に柔軟に適応し、効率性の高い経営で国際競争力を高めるには、高い能力・スキルを備えた将来のリーダーを、多様な候補者の中から採用・育成する必要があります。

次世代リーダーの育成に向けては、従来の新卒一括採用や年功序列、終身雇用を前提とした「日本型経営」からの脱却や、テレワークの普及や副業解禁など「多様な働き方」に対応した適正な人事制度の構築なども必要となってくるでしょう。

次世代リーダーの育成における課題

HR総研が2020年に企業の人事部門向けに実施した「人材育成の課題」に関する調査では、「次世代リーダーの育成」と回答した企業が最も多い結果となりました。これまでは多くの企業において、40歳前後から中間管理職としてマネジメント経験を積ませる育成方法を取っていました。しかしその方法では「自社の将来を担う次世代リーダーを育成することはできない」という、人事部門の強い危機感が調査結果から見て取れます。

今後の日本企業は次世代リーダーの候補者を早い段階から計画的に選抜して育成する企業が多くなるでしょう。また、次世代リーダーの確保には、社内の人材を教育するだけではなく、外部から採用する方法もあります。

次世代リーダーの育成に向けて、企業は従来の人材採用や人材育成体制そのものに問題意識をもち、課題を徹底的に整理することが望まれます。現在、企業が直面している人材育成の課題の一例を以下にご紹介します。

若手の人材が採用できない・定着しない

若手の人材が採用できないことや定着しないことに、課題感を感じる企業は多いのではないでしょうか。しかし、将来性のあるビジネスモデルや魅力的なブランドイメージ、オープンな企業風土などのアピールポイントがある企業でなければ若い人材が集まりづらく、ましてや定着することはなかなか難しいでしょう。

次世代の人材はなぜ必要なのでしょうか?単に定年退職する社員がいるから補充するのでしょうか、それとも、ビジネスモデルや顧客サービスを変化させて新たな事業の柱をつくるために、そこを担うリーダー人材を求めているのでしょうか。
まずは採用の目的と、求める人材像を整理しましょう。求める人材に選ばれるようになるために、企業として変化すべきタイミングが訪れているかもしれません。

教育体制が整っていない

次世代リーダーを育成するためにどのような教育をすべきかわからない、というのもよくある課題の一つです。

次世代リーダー研修と銘打ちながら、座学中心で画一的な従来の研修スタイルを踏襲するだけになっていませんか?

次世代リーダーの教育体制を整備するには、人材育成の考え方を根本的に問い直す必要があります。
ビジネスの現場においては想定外の事象が発生するものであり、リーダーはその中で素早く的確な判断を行うことが期待されます。会議室やPCの前で勉強するだけでなく、学んだことを生かして現場で実務経験を積ませる教育体制を整備しないことには、リーダー人材の育成は困難でしょう。

次世代リーダーに求められる能力が曖昧

時代や環境の変化とともに次世代リーダーに求められる能力も日々変化します。しかし実際には企業が次世代リーダーに求める能力が明確になっていなかったり、過去に定義されたものが何年も何十年も更新されないままになっていることが珍しくありません。

将来のリーダーにふさわしい人材を育成するためには、まずは次世代リーダーに求められる能力を定義し、時代や環境の変化に合わせて更新しましょう。そのうえで、年功序列に従って最終的に社内競争で勝ち残った社員を選定することだけに拘らず、多面的な角度で次世代リーダーを決定する仕組みを構築することが重要です。

次世代リーダーに求められるスキルとは

次世代リーダーに求められるスキルは企業のステージや事業環境によっても異なりますが、イノベーション創出が求められる組織において、リーダーは「カタリスト」であることが求められます。

Catalyst(カタリスト)とは『触媒、促進の働きをするもの、相手に刺激を与える人』を意味し、企業に置き換えると、「一つの業務だけに縛られず、事業部門やチームを横断し、周囲を巻き込みながらアイデアの種を育てる人」と、捉えることができるでしょう。

カタリストとしての役割を担う次世代リーダーに求められるスキルとはどのようなものでしょうか。

例を挙げると、

  • 明確なビジョンをもち社内外を説得できる発信力
  • 自分自身としっかり向き合い実践した業務を見つめ直すリフレクション力
  • 多角的な視野での洞察力と迅速な意思決定力
  • 現状打破できる強い精神力と執行力
  • 課題解決する思考力と斬新なアイデアを練り出す発想力

などがあります。

次世代リーダーの育成方法

ここからは、ソフィアが考える次世代リーダーの育成に必要な3つのポイントについて解説します。

機会(実践/経験/1次情報取得)

次世代リーダーの候補者には若手社員時代から実際に経営そのものを経験させる必要があります。
修羅場で困難な場面を数多く経験させることは極めて重要です。

例えば、「海外子会社」や「事業部門全体」のトップ、あるいは、別会社のトップとして出向させるなどが効果的です。経営者の意思決定は環境変化に順応するものでなければなりませんし、過去に前例のない環境に遭遇しても、事案を分析してスピーディーに意思決定する能力を身につける機会を積極的に与えましょう。また候補者の職務経験、業務能力、育成記録などの1次情報を詳細に取得し、候補者の選抜基準や評価基準などを策定し、今後の次世代リーダー育成に向けて社内の環境を整備しましょう。

学習(振り返り、一般化、抽象化)

次に育成の振り返りを通じて、候補者が実際に直面した課題の整理と洗い出しを実施します。
候補者は育成先において、資金繰り、売上低下、コスト増、利益減少、人材不足、内部統制とコーポレートガバナンスなど、様々な修羅場や悩みを経験しているものであり、これらを詳しくヒアリングして、候補者へのフィードバックを具体的に進めましょう。

また今後、次世代リーダー育成プログラムを自社で継続的に運用するためにも、これら候補者の育成結果と検証データの蓄積も同時並行で進めましょう。

コンテンツ(栄養)

次世代リーダーを育成するには、コーチャー(実務指導をする先輩社員)をつけて定期的に対面で指導を行う方法もありますが、動画コンテンツなどを利用した社内の講座を設けるのも効果的です。

候補者は日常の業務を抱えながら育成プログラムをこなすことが一般的であるため、業務を遂行しつつ、日常的かつ効率的に学習を進められるようなコンテンツが必要です。候補者の育成結果の検証を通じて、具体的な成功事例や失敗事例のデータ蓄積することで、より効果の高いコンテンツの構築につなげましょう。

次世代リーダーの育成事例

最後に、次世代リーダーの育成事例についてご紹介します。

総合建設会社A社の事例

総合建設会社A社では、これまで行っていた階層別研修が形式的なものとなってしまっていて、実施の効果が長続きしないことに課題感を持っていました。

そこでソフィアでは、次期管理職層を対象に、動画やEラーニングを使用した事前・事後課題を課す集合研修を行うよう提案しました。研修参加者は最初に次世代のリーダーに求められる視点を学習し、その後同社の現状と将来についてチームで検討を行い、検討結果をまとめて会社に対し提言(プレゼン)を実施しました。研修の参加者にとっては、自社の課題を自分事として考え、幹部に直接思いを伝えてフィードバックを受けることで、経営者の視点を学ぶ機会となりました。逆に幹部は現場での実情への理解が深まることから、幹部と現場の相互理解を促進する結果につながりました。

まとめ

日本企業にとって次世代リーダーの育成は経営上の最重要テーマであり、短期的視点ではなく長期的視点にたって、自社の育成環境を整備することが必要です。
経営者がコミットメントして、人事部門など社内の連携を図り、早い段階から候補者を選抜し育成する体制を早期に進めてみましょう。

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