ディスカッションに必要な能力とは?能力を身につけるためには

現代のビジネスにおいて「ディスカッション能力」は重要度が高い能力です。「ディスカッション能力」があれば、社内で問題が発生したときの会議や、顧客との打ち合わせといった場面で、建設的な話し合いをすることができます。

しかし、「ディスカッション能力」とはどのような能力なのでしょうか?本記事では、ディスカッションに必要な能力と、その能力を身につける方法について解説していきます。ディスカッションの目的や効果を理解し、ビジネスに活かしましょう。

ディスカッションとは

ディスカッションは「議論」や「討論」を意味する言葉です。ディベートと混同されることがありますが、厳密にいえばディスカッションとディベートは異なります。ここでは、ディスカッションの定義と、流れや目的について解説していきます。

ディスカッションの定義

ディスカッションは、「すっかり、徹底的」を意味する「dis」と、「打つ、たたく、ゆさぶる」を意味する「cuss」、そして名詞を作る接尾辞の「-ion」が組み合わされてできた言葉です。直訳すると、「徹底的に打つ・たたく」という意味になり、「言葉を徹底的にたたきあげる」という意味が、discussionには含まれています。

ディスカッションと似た意味で用いられる言葉に「ディベート」や「ブレインストーミング」がありますが、これらはディスカッションの手法のひとつです。実務においては多くの場合、何らかの議題やテーマを設定し、複数の人たちが対話したり、討論したり、意見交換することを総称してディスカッションと呼びます。

さまざまなディスカッション方法と、それぞれの目的

次に、さまざまなディスカッション方法とそれぞれの違いや目的についてご説明します。
アイデアを出すことが目的であればブレインストーミング、意思決定やコミュニケーションを取ることが目的であれば対話形式でのディスカッションなど、目的に応じて適切にディスカッション手法を使い分けましょう。

ディスカッションとディベートの違い

先述のとおりディベートはディスカッション手法の一つなので、ディスカッションとディベートを厳密に分けて考える必要はありません。しかし、ディスカッションとディベートの効用を見極めて使い分けることで、会議やミーティングは大きく変わります。

合意形成や意思決定を目的としている場合には、さまざまな視点・立場から意見を出し合うディスカッションが向いています。一方、扱うテーマについて論点や問題が明確でない状態であれば、ディスカッションを行っても議論が成り立たなかったり、結論に至らなかったりする場合があります。

例えば「オフィスのペーパーレス化」をテーマにディスカッションするとしましょう。「ペーパーレスとはどんな状態?」「ペーパーレスをどのように進めるか?」「すべてをペーパーレス化するのか?」「ペーパーレスはどんどん進めるべきだ」など、多種多様な意見が出てきます。このまま論点や問題点が絞り込まれなければ、議論が散漫で結論に至らない可能性が高いでしょう。

しかし、「オフィスをペーパーレス化すべきである」というテーマで、賛成と反対に分かれてディベートしてみるとどうでしょうか? 双方とも、意見を主張するためには根拠やエビデンスが必要です。そのため、参加者は「ペーパーレス」について調べた上で、推進すべき、または推進すべきでない理由と根拠について深く考えます。このプロセスが、議題やテーマに内在している問題点や論点の可視化につながるのです。

探求的なディベートと建設的なディスカッション

ディベートではあえて肯定と否定という立場に分かれて議論することで、議題やテーマの論点、問題点の洗い出しを行うことができます。しかし、論点や問題点の洗い出しはできても、そのテーマに関して今後「いつ・どこで・誰が・何をするのか」など、具体的なアクションに向けた意思決定をするのには向きません。

厳密に分けられるものではありませんが、問題定義や課題形成、調査分析を目的に行うディベートは「探求的な議論」であり、合意形成や意思決定を目的に行うディスカッションは「建設的な議論」、というように考えることができます。

例えば、合意形成や意思決定の前工程として、議題やテーマの論点、問題点の明確化を行うためにディベートを活用し、その後具体的な問題解決策のアイデアなどを出すためにはブレインストーミング、合意形成・意思決定の段階ではさまざまな視点・立場から意見を出し合うディスカッションと、議論の段階によって手法を使い分けると良いでしょう。

ディスカッションとブレインストーミングの違い

ブレインストーミングは思いついたアイデアを大量に出し、そこから「ひらめき」を見つけることを目的としています。その際、議題やテーマの前提となる言葉の定義や議題の焦点が明確であればあるほど、質・量ともに豊富なアイデアを創出することが可能です。アイデア出しのみではなく途中で議論を挟む場合もあるためディスカッションと明確に区別できるものではありませんが、ブレインストーミングはアイデア出しを主な目的とする点に特徴があります。

ディスカッションに必要な能力とは?

ディスカッションは主に「意思決定」を目的とした議論です。議論をして意思決定するためには、主に以下の3つの能力が必要です。

  • 理解力・共感力
  • 論理的思考力
  • 合意形成力

この章では、ディスカッションに必要なそれぞれの能力について解説していきます。

理解力・共感力

ディスカッションを参加者の合意形成や、次のアクションに向けた意思決定につなげるためには、相手の意見を理解し、共感する力が必要です。

さまざまな立場の参加者がそれぞれに意見を出し合うディスカッションの場では、当然、自分とは意見が異なる主張も出てくるでしょう。とくに、議論のテーマに関して詳細な情報が共有されていればいるほど、合意形成は困難になり、全ての利害関係者の賛成を得られることはまれです。建設的に合意形成を行うためには、自身の意見を主張するだけでなく、他の参加者の意見にも耳を傾け、最終的な落としどころを探る必要性があります。

理解力・共感力は、傾聴力とも言い換えられます。相手の立場や状況、心情を中心に、理解・共感している事を相手に伝えましょう。相手の話を聞いたのちに、相手の心情を汲み取りながら自分なりに言い換えるなどすると、話を理解していることが相手に伝わります。また、こういったやりとりは、一つの意見をさまざまな視点から考えることにもつながります。議論を深め、建設的な意思決定につなげるために、共感力は重要な役目を果たすのです。

論理的思考力

論理的思考力は「ロジカルシンキング」とも呼ばれ「物事を矛盾がないように考える力」のことを指します。ディスカッションの中で自分の意見を主張したり、相手の意見を理解したりする際に、「論点がずれていないか?」「論理構造が間違っていないか?」といったことを考える力も、論理的思考力です。

論理的思考力には、客観的に見て矛盾がないように話の筋道を組み立てる力だけではなく、相手が理解できるように説明する力も含まれます。相手が理解できるように説明するためには、相手が何を知っていて何を知らないのかを把握した上で、相手が理解できる言葉で、わかりやすい順序で説明することが必要です。言葉では伝わりにくい内容であれば、ホワイトボードやふせん紙、ロジックツリー、相関図など、視覚的情報も活用しながら説明しましょう。

合意形成力

目の前の課題に対し、今後どのような計画を立て、どのように行動するのかを決めるためには、参加者の合意が必要です。合意形成を行うためには、課題の本質と、参加者のそれぞれの意見、意見の背景や前提を把握した上で、最善の落としどころを探す能力が求められます。この能力が、合意形成力です。

課題に対処する上で、参加者の利害は必ずしも一致するとは限りません。そのため、「落としどころを探す」とは、参加者にとって最も納得のいく妥協点を探すことです。ビジネスの現場において、すべての関係者から全面的な賛成を得て合意形成に至ることはまれでしょう。総論賛成・各論反対の状態で形式上の意思決定や合意形成を行ったために、その決定や合意がその後の活動に活かされないことも多々あります。

ディスカッションにおいて目指すべきものは、実際の行動や活動に反映される合意形成です。また、ビジネスにおいては、時間やコストなど制限がある中で最大の成果を出すことができる、その場で最善の合意形成を行うことが求められます。「理解力・共感力」「論理的思考力」をバランスよく使いながら、利害関係者やチームの動機付けや、納得感の醸成を図り、行動を喚起できる状態まで話し合いを進めましょう。

話し合いを進める上では、ファシリテーション能力も必要です。議論の参加者とは別に中立性の高いファシリテーターを置くことで、議論が白熱した際やテーマから逸脱してしまった際に、本来話し合うテーマに沿った議論に戻したり、意思決定に導いたりすることができます。

ファシリテーターは、参加者の中に生じた対立状態を整理したり、議論の状況に応じて適切な質問を投げかけたりすることで、テーマに沿った意見や情報を参加者から引き出しやすくなるよう働きかけます。こういった理由から、ファシリテーション能力も、合意形成力を強化するひとつの要素といえます。

まとめ

ディスカッションとは議論や討論を指す言葉で、「意思決定」を目的として行われます。ディスカッションを通して意思決定を行うためには、共感力や論理的思考力、合意形成力といった能力が必要です。相手の話に耳を傾け、共感の意志を示すことで深い議論を促進し、主張を論理的に整理することで、相手にわかりやすく伝えることが可能になります。

しかし、知識ばかり身につけてもディスカッションに必要な能力は身につきません。インプットをしたうえで実際にディスカッションを行い、体感することではじめてディスカッションに必要な能力が身につきます。ディスカッションに必要な能力を身につけるためには、訓練が必要です。ぜひ、この記事を参考に、ディスカッションを実践してみてください。

よくある質問
  • ディスカッションに必要な能力は何ですか?
  • ・理解力・共感力
    ・論理的思考力
    ・合意形成力”

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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