心理的安全性の作り方とは?測定方法や高める具体的な方法を解説​

目次

人材が重要視される現代の企業・組織の運営において、人間関係やコミュニケーションの促進は早急に対処すべき課題です。そのような中、近年とくに注目されているのが心理的安全性の概念ですが、どのように取り入れ、その機能を高めていけばよいのか、概念であるがゆえ運用方法がわかりにくいのが難点です。

本記事では、心理的安全性がどのような概念かを解説し、チーム・組織内での作り方、測定方法、高めるための具体的な方法などについて解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性は、1990年代にハーバード大学のビジネススクールで教鞭を執る学者エイミー・C・エドモンドソンにより提唱された概念で、「個人の言動に対し、周囲がその発言を拒絶したり、非協力的な態度を示したり、言動を罰したりしないことが確信できる状態」を指します。

心理的安全性をエドモンドソンは個人の言動によって人間関係が悪化することがない、といった安心感がチーム・組織内で共有されている状態といえ、心理的安全性が高まることにより、身体的・認知的・感情的な自分自身を許容し、集団内で表現することが可能になると説いています。

心理的安全性が高い組織の特徴と状態

ビジネスの現場において、心理的安全性が高いチーム・組織が推奨されている理由は、集団を統率し運営する上でのメリットが多いからです。しかし、心理的安全性は目に見えない概念であるため、集団内の社員の行動でしかその効果を判断することはできません。

チーム・組織の心理的安全性の高低を見極めるには、各チーム・組織の社員の行動を相対化し、チェックするしかないのですが、心理的安全性の高い集団にはいくつかのポジティブな特徴が顕著に表れます。

では、心理的安全性の高いチーム・組織には、どのようなポジティブな特徴が表れるのか、4つのポジティブな特徴について見ていきましょう。

情報の透明性と白熱した意見交換

心理的安全性が機能した環境では、発言を否定されることがなくなるため、社員一人ひとりの意思・考え方を尊重され、多様なアイデアを生み出す土壌が作られることになります。異なる視点や価値観を尊重する環境は、風通しの良いコミュニケーションを生み、個々の知見を結集することになるため、革新的で新規性のあるアイデアが誕生しやすくなります。

また、情報共有の透明性は、チーム・組織内の学習サイクルを加速させ、個々の社員の成長や、業務を連携する協働の力を向上させることにもつながります。さらに、ミス・トラブル発生時にも迅速な報告と改善を行いやすくなる効果もあるため、企業・組織全体の成長に関する弊害を最小限に抑えることも可能になるでしょう。

心理的安全性を象徴する喧々囂々とした議論やブレンストーミングは、個々人の情報非対称がある場合は、成立しません。つまり、喧々囂々の意見交換を下支えするために、組織内にある情報を限りなくすべての個人がアクセスできる状況にしていると言えます。

パフォーマンスが十分に発揮されていると認識できている

心理的安全性が高いチーム・組織では、個々の社員が周囲の社員を信用・信頼し、安心して業務にあたることができます。安心感は社員の仕事へのモチベーションを向上させ、自分の仕事にやりがいや意義を感じさせてくれるため、仕事に対する社員の幸福度や満足度にも寄与します。その結果、社員個人単位のパフォーマンスが向上し、それが集団となってチーム・組織のパフォーマンス向上にもつながるため、生産性のアップや業務効率化を促進することにもなるでしょう。

全体として成果や生産性というよりは、個々人が十分にパフォーマンスを発揮できているという認識が重要であり、実態として業績や数字と整合性はないということも特徴です。

離職率が低い

心理的安全性の高いチーム・組織に所属する社員は、無知・無能・邪魔と思われることへの不安を感じることなく、安心して意見やアイデアを表明することができます。また、上司や先輩への恐れがなく、質問や相談に親身に対応してもらえる環境は、社員間の信頼関係を築き、チームワークを強化することにもつながります。

このような環境は社員に居心地の良さを抱かせ、社員エンゲージメントを高めるため、若手や優秀な人材の定着率を向上させます。終身雇用が崩壊し、キャリアアップの視点からも転職が当たり前の現代において、人材の確保は企業・組織にとって大きな課題でもあるため、心理的安全性は人事の面でもポジティブな効果を発揮するでしょう。

しかし、心理的安全性は、「働きやすい」「居心地の良さ」という解釈もできます。しかし、これを「働きやすい」「居心地の良さ」を目的に置き心理的安全性を解釈する社員が増えれば、自ずと業績やタスクが重要性を失い、逆効果になるという研究はいくつもあります。

気軽に質問できる雰囲気

心理的安全性が高まった状態とは、周囲が発言を拒絶しない・非協力的な態度をとらない・言動を罰しない状態であるため、社員は周囲の人々に不信感や不安を抱くことがほとんどありません。そのため、社員同士はもちろん、上司と部下の関係性においても、気軽に質問できる雰囲気ができ上がります。

こうした雰囲気は、コミュニケーションの促進や信頼関係の構築、周囲のサポートによる個々の社員の不安の軽減といった、さまざまな恩恵を生み出します。社員同士の連携においても有益で、普段から密に質問し合う関係ができていると、報告・連絡・相談といったやり取りも促進され、チームプレイの質も向上します。

心理的安全性に関する否定的意見やデメリット

心理的安全性の高い組織は、場合によっては「ぬるま湯組織」と言われてしまうことがあります。ここでは、ぬるま湯組織とはどのような組織を意味するのか、また心理的安全性の高い組織がなぜぬるま湯組織と呼ばれるのかを解説していきます。

ぬるま湯組織とは

ぬるま湯組織では、社員が意見やアイデアを積極的に提供することを避けがちであり、新しい視点や創造性が欠如していることがあります。成長意欲が低くなり、挑戦する機会が少ないため、モチベーションややる気が低下し、組織全体のパフォーマンスに影響を与えます。

また、新しいアイデアや意見の発信が少なく、組織の成長や変革が抑制され、挑戦や成果が適切に評価されないことで、優秀な人材が組織を離れるリスクが高まります。このような状況では、社員の能力や意欲が活かされず、組織全体の成長や競争力が低下する可能性が高いです。

心理的安全性が高い組織がぬるま湯組織となってしまう原因心理的安全性が高い組織がぬるま湯組織と呼ばれる背景には、いくつかの要因があります。

過剰な心理的安全性の逆効果

心理的安全性は、率直な議論や意見の自由を促す重要な要素です。しかし、過度に心理的安全性を強調すると、メンバーが意見を言いたがらず、配慮ばかりする傾向が生まれます。これにより、率直な意見交換や建設的な議論が阻害され、組織の成長や問題解決能力が低下する可能性があります。

言動と行動の一致の重要性

職場やチームでは、言動だけでなく、非言語的なコミュニケーションや行動も重要です。心理的安全性が高い環境では、メンバー同士が自分の行動や発言に責任を持ち、一貫性を保つことが求められます。しかし、言動と行動が一致しないメンバーがいると、信頼性や組織の効果的な運営に支障をきたす可能性があります。

自己正当化や不正行為のリスク

心理的安全性を盾にして、自己の不正や非倫理的な行動を正当化するメンバーが現れることもあります。また、心理的安全性が高い環境では、不正や問題行動が見過ごされる可能性もあります。これにより、組織全体の信頼性や倫理観が低下し、組織内の問題が放置されるリスクが生じます。

相互のフィードバックと価値観の理解の必要性

心理的安全性を維持するためには、メンバー間での率直なフィードバックや意見交換が不可欠です。しかし、心理的安全性だけではなく、相互の価値観や倫理観にも配慮する必要があります。また、非言語的なコミュニケーションも重要であり、リーダーやメンバーの真意を読み取ることは容易ではありませんが、理解を深めるための努力が必要です。

適度な緊張感の重要性

心理的安全性は適度な緊張感を保ちながら築かれるべきだという点も重要です。過度に安全な環境では、挑戦や成長の機会が制限され、組織全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。適切な緊張感を持ちながら、自己と向き合い、成長を促す文化を育てることが求められます。

心理的に危険でもアイデアや議論はできるかもしれない?

心理的に危険を感じるチームや組織でも、アイデア出しや創造的な議論を行う事例として、投資家レイ・ダリオ率いる世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」が挙げられます。この企業では、アイデア能力主義を掲げ、経営に「原則(Principles)」と呼ばれる哲学を取り入れています。社員同士が互いのパフォーマンスや言動を相互評価し合い、オープンな形でフィードバックを行う環境を整えています。

具体的な取り組みとして、ブリッジウォーター・アソシエイツが社内で使用している「ドットコレクター」というツールがあります。このツールは、社員の意見をスコア化し、信頼性を客観的に視覚化して共有することで、率直さや透明性を実現しています。

ただし、このようなツールは有益な側面がある一方で、意見や立場の差異を強調することや、多様性を目的化するデメリットも存在します。したがって、チームや組織で心理的安全性を高める際には、さまざまな手法を試み、メリットとデメリットを把握し、調整しながら最適な形に進化させる必要があります。

意見を相違や議論の焦点を明確にするアルゴリズム

先述したように、ブリッジウォーター・アソシエイツでは、「原則(Principles)」を実現するため、「ドットコレクター」と呼ばれる独自ツールを社内で運用しています。

このようなツールを用い、社員間の意見の相違や議論の焦点の明確化をアルゴリズムとして処理する方法は、果たして有益なのでしょうか。その疑問に触れるには、業界の内外で広く注目されている「原則(Principles)」の哲学が、いくつかの実害が伴うことも指摘されている事実にも触れなければなりません。

実害の1つめは、社員同士が相互評価するという文化が、一部の社員にとって高いプレッシャーとなり、過剰なストレスにつながる可能性があることです。また、オープンで透明性のある評価は個人のプライバシーを侵害する危険性もあり、自身の弱点が露見することは、逆に心理的安全性を損ねてしまうことにもつながりかねないとも言われています。

2つめは、社員が自身の評価を気にするあまり、他者との協力関係をないがしろにしてしまうリスクです。評価とは他者と相対化することでもあるため、競争心による能力向上のメリットがある一方で、他の社員に協力することで自分が損をするといった心理にもなりかねません。

これらの実害を指摘する声を考慮すると、「原則(Principles)」の哲学とそれを実現するツール「ドットコレクター」は、あくまでも投資会社という環境であるから高い効果を発揮している可能性もあるため、ポジティブな側面だけを鵜呑みにはできないことがわかります。

多様性や創造的アイデアを議論やコミュニケーションを産み出す

チーム・組織に所属する社員同士の考え方や価値観の違いが筋の良い意見・アイデアを生み出すことはわかっています。しかし、集団内の心理的安全性を高めるための施策を講じたり、ブリッジウォーター・アソシエイツの社内ツール「ドット・コレクター」のようなアルゴリズムを実践レベルにまで落とし込み、運用することは非常に困難なのが現実です。

大きな理由としては、これまでの企業・組織の運営体制が、ピラミッド状に階層化され、上意下達の指示・意思疎通と、マニュアルや規範によって機械的に統率するやり方を取っていたからです。心理的安全性の概念は、統率でありながら統率ではない、横ぐしのつながりやフラットな集団内の人間関係を基軸としているため、これまでの運営体制が適合しなくなっていると言えるでしょう。

心理的安全性の標榜する安全とは危険と隣り合わせ

心理的安全性を高めるとは、いわば集団内の人同士の距離を縮めるということでもあります。しかし、どのような関係性であれ、人同士が心理的な距離を縮めると必ず互いを傷つけ合う事態になります。

心理的安全性を高めた環境にも同じことが言え、自由に意見・アイデアを発言できるということは、必ず誰かの意見を否定するなど、多少なりとも傷つけることにつながります。どんなに倫理的・論理的に集団内の規範を決めたとしても、所詮は統率を目的とした外圧でしかなく、個人の内面(思考・感情など)を根本的に抑圧するには至らないためです。

最終的には必ず人同士の感情的な衝突は起こると考え、その上で心理的安全性を高める環境作りをしていかなければなりません。そのためには衝突が起きた際には、上司や仲の良い同僚がその仲を取り持ったり、和解するための議論・話し合いの場をその都度設けたりする意識も必要だということです。心理的安全性を高め、継続させる仕組みさえ作ればおしまい、ということではないことは理解しておきましょう。

心理的安全性が低い場合に抱えやすい4つの不安

ここまでは、心理的安全性が高い集団について、その効果やデメリットについて解説してきました。では、心理的安全性が低い集団とはどのような状態なのでしょうか。ここからは、心理的安全性が低い職場の4つの不安について見ていきます。

➀無知だと思われる不安(IGNORANT)

無知だと思われる不安(IGNORANT)は、質問や確認などを行う際、「こんなことを聞いて印象が悪くならないか」「物事・常識を知らない人物と思われるのでは」といった不安に苛まれてしまう状態です。自身の知識不足や理解の足りなさに対し、周囲が批判的・攻撃的に接してくるかもしれないと不安に駆られています。その結果、業務上必要なコミュニケーションがおろそかになったり、行動が遅れてしまったり、ミスを引き起こしてしまったりするといった事態になります。

➁無能だと思われる不安(INCOMPETENT)

無能だと思われる不安(INCOMPETENT)は、業務で失敗した際、「この程度の仕事もできないのか」「この人には任せられない」などと思われてしまう不安に駆られ、自身の能力や判断力への信頼が揺らいでしまっている状態です。無能だと思われる不安に襲われると、印象の悪くなる情報を社員に報告しなかったり、ミスを認めなかったりするケースも多く発生します。小さな問題だとしても、積み重なることで大きなトラブルに発展することもあり、社員同士の信頼関係にも大きな悪影響を与えるでしょう。

③邪魔をしていると思われる不安(INTRUSIVE)

邪魔をしていると思われる不安(INTRUSIVE)は、議論・話し合いを行っている際、「自分の発言が邪魔になってしまうのでは」と不安を感じてしまい、積極的な意見・アイデアが出せなくなる状態です。異論を挟むことで話し合いに水を差してしまうような気がして、自分の発言が横やりになって議論がストップしてしまうことを恐れることで発言に消極的になります。その結果、議論・話し合いの場での発言回数が減り、周囲の意見・アイデアに同調し、ことなかれ主義的な立ち振る舞いをするようになるでしょう。自分から発言する社員が減ることは、アイデアや多様な視点が生まれにくくなるということでもあり、企業・組織にとって不利益にもつながります。

④ネガティブだと思われる不安(NEGATIVE)

ネガティブだと思われる不安(NEGATIVE)、プロジェクトや業務内容に対して改善案などを提案したい際、「他者の意見を批判しているネガティブな人だと思われるのでは」と不安になり、必要な指摘ができなくなっている状態です。和を乱すような否定的・批判的なことを言う人だと思われるかもしれないといった不安が大きくなり、発言に消極的になります。
このような状態になると、業務上適切な改善案や指摘だったとしても、少しでもネガティブ要素があると発言をためらってしまうため、企業・組織として課題・問題解決が遅れてしまい、トラブルを抱えてしまうことにもつながります。

私たちが生み出す不安こそが心理的危険の原因

チーム・組織において、心理的安全性が担保されない大きな理由の1つに、自分たち自身で不安を生み出し、増幅させてしまっていることも挙げられます。自分の発した意見によって自分に過度な責任が生じてしまうのではないか、あるいは他者から批難される可能性があるのではないかと反射的に考えてしまいます。
そのようなネガティブな考えは被害者意識を作り、必要以上に他者に踏み込まない方が安全だという認識となり、言動を抑制していくでしょう。言動を抑制するといった回避行動は、一時的な不安やストレスを解消する手段にはなりますが、チーム・組織などの集団の持つ不安要素の根本的な改善や、魅力的な風土・文化の醸成にはつながりません。

心理的安全性の高い環境を作るには、チーム・組織を束ねるリーダーが理解し、個々の社員が勇気を出して発言するためのきっかけを作ることが大切です。まずは社員が「不安を突破して発言する」の回数を増やすように意識しましょう。

心理的安全性を測定する方法

心理的安全性にどのような効果があるか、高く保っているチーム・組織の特徴などについてはお伝えしましたが、では現在の職場の心理的安全性を測定する方法はないのでしょうか。心理的安全性の提唱者エイミー・エドモンドソンは、現行の職場環境の心理的安全性を測定する2つの手法を提示しています。

7つの質問

心理的安全性の提唱者であるエイミー・エドモンドソンは、心理的安全性を測定するための基準として、7つの質問を設けています。

1.チーム内でミスを起こすと、よく批判をされる

2.社員内で、難しい問題・課題や、ネガティブな内容について話し合える

3.チーム内の社員が、異質な意見・アイデア・条件を受け入れない傾向にある

4.チームに対して、リスクのある行動・反応をとっても安全である

5.チーム内の社員に助けを求めづらい

6.チーム内で他者を騙したり、意図的に騙す・陥れようとする人がいない

7.チームで業務を進める際、自分のスキルが発揮されており、自分の強みが活かされていると実感できる

以上の7つの質問に対しYES・NOで回答してもらい、その答えによって心理的安全性の現在の大まかな状態を知ることができます。

3つのサイン

エイミー・エドモンドソンは、心理的安全性が高いとされる職場には次の3つのサインが表れると提唱しています。

1.ポジティブな話題が多い

2.成果・成功についてだけでなく、失敗・問題についても社員同士で話し合う機会がある

3.職場内に笑いやユーモアがあると感じられる

心理的安全性の高い職場は、上記の3つの特徴が顕著に表れています。心理的安全性を高める施策の効力を確かめたい場合や、現状の自身の職場の心理的安全性の高低を知りたい場合にチェックすると良いでしょう。

心理的安全性の作り方

ここまでは、心理的安全性について多角度的に解説してきました。ただ知識として吸収するだけでなく、実践してこその概念ですので、ここからは心理的安全性の具体的な作り方についてお伝えします。

リーダーシップの育成

心理的安全性を高める上で、リーダーシップの育成が最も重要な要素です。とくに現代のビジネス環境では、個々の心理的安全性を確保し、居心地の良さと適度な緊張感を両立させることが非常に重要です。これにより、チームや組織の活性化が促進されます。
リーダーはチームや組織の環境を整え、信頼と安心感を醸成し、職場文化を形成する役割を果たします。

リーダーシップには自然に備わるものではないため、企業や組織は積極的にリーダーシップの育成に取り組む必要があります。これは、リーダーが心理的安全性を醸成するために必要なスキルや知識を習得し、チームメンバーとのコミュニケーションやフィードバックの取り組みを適切に行うことを意味します。リーダーシップの育成は持続的なプロセスであり、組織全体の文化と価値観を反映する重要な要素となります。

情報を透明化する

情報の透明性は、職場やチーム内で非常に重要な要素です。とくにリーダーは自分や組織に不都合な情報は隠す傾向があります。情報共有が不十分であれば、メンバーは不安や疑念を抱くでしょう。情報の透明性が欠如している状況では、メンバーが職場やチームの方向性や意思決定に対して十分な理解を得ることが困難になります。

しかし、情報を開示し透明性を確保することで、メンバーはより参加型の文化を育み、問題解決に積極的に取り組むようになります。リーダーがメンバーに対して不都合な情報やリスクを率直に説明することで、信頼関係が築かれ、チーム全体の共通目標に向かって協力する意欲が高まります。透明性の確保は、組織内のコミュニケーションを改善し、メンバーの心理的安全性を高めることにつながります。

具体的には、リーダーは定期的な情報共有会議や透明性を重視したコミュニケーションプロセスを設けることが重要です。メンバーに対して何が起きているのか、どのような意思決定が行われているのかを明確に伝えることで、不確実性を減らし、メンバーの参加意欲を高めることができます。透明性を重視した組織文化を築くことは、信頼の構築や効果的なチームワークを促進し、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

質問や意見、フィードバックができる風土

心理的安全性を高めるためには、OKR(Objectives and Key Results)の導入も重要です。OKRは、目標設定と成果の評価を明確にする管理手法であり、組織全体からチーム、個人までの目標を階層的に設定します。これにより、共通の目標を共有し、協力体制を築きやすくなります。

OKRのメリットは、目標が明確になることで全体の方向性を把握しやすくなることです。チームや組織が一体となって取り組むことで、心理的安全性が高まります。また、OKRを通じてフィードバックを行うことも重要です。厳しい内容でも避けずに伝えることで、メンバー個人だけでなく、組織全体の成長につながります。心理的安全性を保つためには、率直なコミュニケーションが欠かせません。

評価制度を見直す

心理的安全性を高めるためには、チーム・組織に所属する社員の積極的な発言を促すような評価制度を設けることも必要です。個人の成果・結果のみを評価する方法だと、発言内容やミスによって評価を落とすことを恐れ、積極的に意見・アイデアを発言しなくなったり、行動を起こさなくなったりするといった危惧があるからです。

そのような中、近年注目されているのが、アメリカの企業で導入されているノーレイティングと呼ばれる評価制度です。ノーレイティングとは、社員に対してレイティング(ランク付け)をしないという意味で、年度末に行う人事評価でのA・B・Cといった評価は止め、リアルタイムで目標設定し、上司と対話しながら現行の業務に対する姿勢・成果を評価する方法です。

ノーレイティングは評価制度の一例ではありますが、心理的安全性を高めたいのであれば、メンバーの言動を抑圧するような手法は見直してみることが大切です。

感謝を伝える文化を創る

ピアボーナスなどの感謝の気持ちを伝える仕組みを整えてみましょう。ピアボーナスとは、チーム・組織などの集団に所属する社員同士でなんらかの報酬を送り合う制度を指します。たとえば、景品などの交換できるポイントを社員同士で送り合うなどの方法です。Google社などは現金を支給する形式を取っています。

感謝を伝える文化によって個々の社員が「自分は認められ必要とされている」という感覚を得ることができます。承認欲求と言い換えることもでき、マズローの欲求5段階説にもあるように、人間が健全に生活するためには承認欲求を一定満たすことは必要です。ピアボーナスする際は、報酬を送る側・受け取る側の双方が互いに感謝を述べ、敬意を示すことで承認欲求が満たされ、心理的安全性を高めることにつながります。

定期的に面談を行う

定期的な面談で有効なのが、上司・リーダーと部下などが1対1で行う面談1on1ミーティングです。心理的安全性の高低には人間関係が大きく関係していると前述しましたが、人間関係を良好にする上で重要なのがコミュニケーションです。チーム・組織においては、とくに上司・リーダーと部下の関係が重要で、上司・リーダーが部下の個人的な趣味・好み・特技などパーソナルな部分や、プライベートな話題に踏み込み、話し合うことで、信頼関係や親近感を高めることができます。

心理的安全性はあってもぬるま湯だと感じる職場からの脱却

多くの組織では心理的安全性の重要性が認識されていますが、これが不十分に理解され、適切に実践されない場合、職場が「ぬるま湯」のように快適で挑戦が少ない環境になってしまうことがあります。心理的安全性が高いとは、失敗を恐れずに意見を言える、オープンで率直なコミュニケーションができる環境のことを指します。しかし、これが過度に保護的で、成長や改善のための挑戦が奨励されない場合、職場は進歩を欠く「ぬるま湯」状態に陥りがちです。

チームや職場の情報の透明性を確保した上での議論と合意形成

全メンバーは全員が同じ情報を共有できていれば、問題意識や複数の視点から意見が出るため、初めて議論ができ合意形成できます。前提が揃っていないもしくは矮小化されている状況における。目標や役割分担など、目標に向かって一致団結することはできませんし、腹落ちしません。また、透明性は信頼感を築き、チームメンバー間のオープンな議論を促進します。それにより、意見の相違が合意形成という建設的な結果につながり、チーム全体のパフォーマンスの向上を見込めます。

所属メンバー間の関係性構築のための機会と時間の確保

チームメンバー間の関係性を強化するためには、意識的にコミュニケーションを取る機会を作り、そのための時間を確保する必要があります。チームビルディングの活動や定期的な社交的なイベントは、メンバー間の信頼と理解を深めるのに役立ちます。また、非公式な設定での交流は、よりリラックスした環境で個人間の障壁を低くし、より深い人間関係の構築を促進します。

まとめ

心理的安全性は、多様な意見・アイデアを用いた議論やコミュニケーションを通し、個々の社員のパフォーマンスを向上させ、チーム・組織としての良質なチームプレイも促進してくれます。また、社員のメンタル面の安定、離職率の低下、チーム・組織・企業への愛着心を高めるなど、多方面に好影響を及ぼすこともわかっています。

心理的安全性は目に見えない概念であるため、効果がわかりにくいですが、どのような職場でも取り入れることが可能です。心理的安全性の作り方を参考にしていただきながら、心理的安

全性の概念を取り入れ、より働きやすく魅力的な職場環境にすることを目指していきましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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