チームワークを高めるポイントやメリットは?リーダーが取るべき行動についても解説

ビジネスでは、頻繁に「チームワーク」の大切さが謳われます。本記事では、そもそもチームワークが良いとどのようなメリットが期待できるのか、どうすればチームワークを高めることができるのかを整理して解説していきます。また、ビジネスの現場に実際に取り入れるために、組織のリーダーが気をつけたいポイントもあわせて紹介します。組織を変えたいという人、なんらかの課題にぶつかっている人は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもチームワークとは

チームワークとは、ある集団に所属している人々が、ある目標を叶えるために共同で取り組む動きのことです。メンバー同士が同じ目標に向かって進んでいかなければ、多くの場合組織は破綻してしまいます。そのため、チームでなんらかの活動をする以上、チームワークは無視できない重要なものです。組織の力を高めたければ、チームワークに注目するといいでしょう。

ビジネスにおいてチームワークが重要視される理由

ビジネスにおけるチームワークの重要性は、複数の要因に基づいています。個々の能力やスキルは重要ですが、限られた時間やリソース内での行動には制約があります。そのため、チームで協力することでより大きな成果を得ることが可能となります。とくに、現代のビジネス環境はVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の特徴を持ち、予測困難な変化が頻繁に起こります。このような状況下では、柔軟性や迅速な行動が求められます。また、組織内外の環境や構成も変化し、多様なバックグラウンドやスキルを持つ人材が集まることが一般的となりました。組織全体として効果的に機能するためには、部門間の連携や一体感が不可欠です。

企業の関心事が物的資本から人的資本へ変化したことは、わかりやすく言えば、モノからヒトへの重心の変化と考えてよいでしょう。リーダーが変わっただけで業績が変化するということは、その部門が提供している商品やサービスとは関係なしに成果が左右されるということです。

一般的には、企業の業績は、顧客に提供している商品やサービスの質と価格によって、決まると思われています。しかし、インターネットで情報が瞬時に伝わり、ヒット商品のノウハウについて競争相手がすぐに情報共有してしまう現在では、実はずば抜けた商品やサービスを一定期間独占的に、市場に流すことが難しい時代であるとも言えます。

商品やサービスの質や価格で勝負する時代はすでに終わっています。今は消費者の感性に訴えかける時代であり、いわば感性こそ商品であると言ってもいい時代です。その感性が自由に発露するためには、円滑でダイナミックなチームワークが鍵となります。

これは物的なモノでは価値提供できずすべて人的なスキルによるものであり、円滑なコミュニケーションを可能にしてくれる柔軟でイキイキとした職場づくりには不可欠です。

チームワークを高めることで期待できるメリット

チームワークを高めたほうがいい、というのは多くの人にとって共通認識でしょう。しかし、チームワークを高めると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。組織において期待できる変化について見ていきます。

業務の生産性向上

第一のメリットとして、業務の生産性向上が挙げられます。生産性向上の仕組みについては、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が唱えた「成功循環モデル」という考え方が参考になります。このモデルでは、組織を「関係」「思考」「行動」「結果」の4つの観点で捉えます。

「関係の質」とは、コミュニケーションや人間関係のことです。質が高くなるとポジティブになり、組織のゴールへの意識が高まって「思考の質」がアップします。すると、自ら積極的に動けるようになり、「行動の質」が向上します。その成果がアウトプットに表れ「結果の質」も向上していきます。良い循環を作ることができれば組織は磨かれていきますし、悪い循環が発生すると組織は低迷してしまいます。

生産性の高い理想的な組織を作るためには、まずは関係の質を高めることからはじめるのが重要です。従業員が不安を抱かずに働けるようにすることが、結果として組織の業績を向上させるのです。

個人では困難な目標を達成できる

チームワークが高い組織では、個人個人が孤立して動くのではなく、声を掛け合い、目標を共有し合い、助け合っています。互いに働きかけながら取り組むことで、それぞれのスキルを重ね合い、1人では達成できないような目標に手が届くこともあるでしょう。その結果、高いゴールを目指せるようになります。

つまりは、個人商店のようにひとりで取り組んでいては発揮できないプレゼンスを引き出すことができるのです。スキルを共有し合える環境では、一人ひとりの学びへの意識も高まります。チームワークを高めることは、長い目で見て、組織レベルを向上させることにもつながります。

情報共有や意見交換が活発になる

チームで動くことが浸透すると、個々が持っている情報やナレッジを共有し、組織としてのノウハウレベルを高めていけるようになります。また、互いの仕事に関する有益な意見を交換し合うのが当たり前になると、それぞれがより効率的に動けるようになります。密なコミュニケーションを通して、組織の力が向上していくのです。活発な組織を作りたいという場合は、変化の手応えを感じられるでしょう。

個々人の自律性や主体性を支えるためには、オープンで円滑なコミュニケーションが必要とされます。対立も歓迎され、それによって次の革新の機会が生まれることがあります。個々人の自律や主体性を保証するためには、オープンなコミュニケーションと情報の透明性が不可欠です。

従業員のエンゲージメントの向上

従業員のモチベーションに大きく関わる「従業員エンゲージメント」も、社員同士の関係性やリーダーへの信頼感などによって大きく左右されます。会社の業績や収入、ビジネスモデルなどの大きな要素ももちろん加味されますが、最終的には日々の小さな関わり合いが、エンゲージメントを生み出すのです。尊敬できる仲間がいる、期待されている、細かく気にかけてもらっている、嬉しい言葉をもらえたなどの要素が、組織への愛着を醸成します。仮に会社や組織に対してネガティブな気持ちを抱えていたとしても、職場のコミュニケーションやチームへの思いがセーフティーネットとして機能することが多々あります。チームワークは、モチベーションを支える重要な要素なのです。

メンバー同士で支え合える

高いチームワークは、従業員一人ひとりの人生の豊かさにも影響を与えます。職場はただ収入を得るためだけの場所ではなく、毎日のように長い時間を過ごす場所です。人生の多くの割合を占めるからこそ、尊敬し合える仲間と動き、成長実感を得て、仕事の喜びを感じられるのが理想です。

チームワークが高い組織では、従業員が能動的に関わり合い、時に衝突も起こしながらコミュニケーションをとっていきます。そして、全員で導き出した最終的な結論を大切にして、ひとつの方向に進んでいくのです。この関係性は、従業員の人生にとってひとつの財産になるでしょう。その結果「何のために毎日働いているんだろう」と思ったり、単純にルーティンをこなすだけの日々になったりするのではなく、楽しみながら豊かに働けるようになります。

チームワークを高めるポイント5選

チームワークを高めるために組織がおさえておきたいポイントを、5つご紹介します。現状の組織がこれらを満たしているかどうかも含めて、チェックしてみてください。

①信用の醸成

チームワークにおいて、もっとも重要なものは信用です。現代社会では、ブロックチェーン技術が発達したことで、たとえ直接会ったことがない相手に対しても、信用を測りやすい環境になっています。ブロックチェーン上で運営される「DAO(分散型自律組織)」では、特定の管理者がいなくても、世界中の人々が集まってプロジェクトを組むことができます。課題に対して、もっとも適切なメンバーが集まって組織を結成し、プロジェクトが完遂されるとチームは解散するというかたちです。メンバーを集め、目的が達成したら解散し、また次の新しいチームを結成する、という働き方が、将来的な高度な職場の在り方になるでしょう。

その際の前提として、専門的な能力や、人間性、価値観への信頼が重要です。チームは絶えず柔軟に変わっていくものですが、根本の部分で同じ価値観や倫理を共有しています。それにより、個々のメンバーが自由に個性を発揮できるようになるのです。つまり信用は、チームワークを高め、柔軟に物事に対処できる組織を作るために不可欠なものなのです。

➁目標を明確にする

チーム全員が同じ方向を見ながら行動することが、チームワークの大きな前提になります。そのため、ひとつの明確な目標を提示することがまず重要です。目標は、できるだけ具体的に、かつ達成しやすいものに設定しましょう。達成へのステップがイメージしやすいものだと、足並みを揃えて目標に向かっていくことができます。

③メンバーそれぞれの役割を決める

メンバーそれぞれが業務にあたる場合、互いに遠慮し合ったり、作業がだぶってしまったりすると生産性が低下します。個々がやるべきことを具体的に決めて動くことが大切です。その際、誰かが責任を負いすぎることなく、全員がリーダー的な立場になれるように振り分けるのがおすすめです。それぞれが当事者意識を持って、チーム全体を率いていける組織を作ることができます。

④コミュニケーションの活性化

チームワークを高める上では、日常的にコミュニケーションをとる習慣があることが大切です。意思疎通が深まるように、定期的に対話の機会を設けたり、ランチミーティングやイベントなどを行ったり、仕組み作りを工夫していきましょう。話をするのが当たり前になると、意見や情報をスムーズに交換できるようになり、互いに信頼関係を作ることができます。

⑤フィードバックの機会を学習に変える

プロジェクトの成功・失敗に関わらず、定期的に振り返ることが大切です。完了したらフィードバックを行い、それを実際にどう活かして次回につなげるかまで考えます。よくフレームワークで使われるPDCAではなくPDSA、つまり「check」を「study」へと変えることが重要です。チーム全員で課題点を認識し、次の場所で実践することで、また一丸となって新たなプロジェクトに進んでいけます。フィードバックが習慣化すると、組織はどんどん力を高めていくことができます。

チームワークを高めるためにリーダーがとるべき行動

ここまで、チームワークの重要性について整理してきました。最後に、チームワークを高めるために組織のリーダーはどのように動けばいいのか、行動のポイントを整理します。組織に取り入れて、チームワークの向上を目指してみてください。

メンバーに期待を伝える

まず大事なのは、メンバーに期待の思いを伝えることです。もちろん、プレッシャーをかけるような期待の伝え方は、メンバーにとってストレスになってしまうので要注意です。圧を与えるのではなく、メンバーを信じポジティブに応援することで、自信を持って主体的に行動できるように支援できます。期待されることで当事者意識が芽生え、自分の本来の力を発揮しようとエネルギーが湧くものです。これにより全員がリーダーになれるくらい自発的に動けるようになれば、組織の力は大きく向上していきます。

成果や結果を学習に変える

成果が出た時に適切に振り返ることで、組織の力を高めていくことができます。まずは達成した物事を定期的に振り返り、客観的に強化する仕組みを作りましょう。失敗が発生した場合は、どのような要因を改善するべきかを洗い出し、成功した場合も何が影響して達成できたのかを理解していきます。肯定的な面だけでなく、課題にもしっかりと向き合うことが大切です。

改善すべきポイントや、今度も大切にするべきポイントが見えてきたら、次の行動に活かせるように実際に計画を立てます。どのようなアプローチをすれば経験を反映できるのかを考えることで、チームは前進していきます。

1on1ミーティングの開催

1on1ミーティングとは、上司と部下などが1対1で行うミーティングのことです。定期的に1対1で話す時間を設けることで、普段感じていることや悩み、相談事などを相手に伝えやすくなります。「今不安なことはないか」、「職場環境に愚痴や不満はないか」など、個人的な情報も共有しながら話すことで部下の中で上司に対する信頼感が芽生え、ひいてはチームとしての一体感が生まれていきます。話しにくいことでも開示できるように、どのような相談にも耳を傾け、否定することがない心理的安全性の高い1on1ミーティングの場を設けましょう。

まとめ

チームワークとは、ある集団に所属している人々が、ある目標を叶えるために共同で取り組む動きのことです。業務の生産性が上がり、個人では困難な目標を達成できることから、ビジネスにおいてチームワークは重要だと言われます。チームワークにおいて、もっとも重要なものは信用です。コミュニケーションを重ねることで信用を築き、柔軟に物事に対処できる組織を作ることができます。今回の記事では、チームワークを高めるために組織のリーダーはどのように動けばいいのか、行動のポイントも整理しました。リーダーが仕組みを作ることで、組織は大きく変わることがあります。チームワークを高めて、強い組織を実現しましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

検索

  • カテゴリ
  • 部門
  • ランキング
  • タグ

検索

BLOG

おすすめの記事

人材育成

次世代の育成 職場体験の意義 中学生自ら考えるキャリア観 その目的と理解とは

2024.05.20

#SDGs#コミュニケーション#デザイン思考#働き方#多様性#研修・ワークショップ#社内イベント#調査

インターナルコミュニケーション

リーダーシップとは?リーダーに求められる能力やとるべき行動について解説

2024.05.08

#コミュニケーション#ビジネススキル#組織開発

人材育成

1on1(ワンオンワン)とは?目的やメリット、部下の成長を促すテクニックや話題例を紹介

2024.05.02

#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

リーダーシップがある人とは?リーダーシップの種類と必要なスキル、求められる行動

2024.05.01

#業務プロセス改善#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームワーク力とは?ビジネスにおいて必要な理由と必要なスキルについて解説

2024.04.30

#業務プロセス改善#コミュニケーション#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームビルディング研修とは?目的や期待できる効果、おすすめの研修について解説

2024.04.23

#コミュニケーション#チームビルディング#研修・ワークショップ

インターナルコミュニケーション

チームビルディングの具体例!企業事例やおすすめの手法も紹介

2024.04.23

#コミュニケーション#チームビルディング

インターナルコミュニケーション

ナレッジマネジメントとは?意味や導入のポイント、ツールなどを解説!

2024.04.19

#業務プロセス改善#Eラーニング#コミュニケーション#ビジネススキル#研修・ワークショップ#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームビルディングに適したワークショップとは?ポイントや開催までの流れを解説!

2024.04.11

#コミュニケーション#チームビルディング#研修・ワークショップ

人的資本経営が注目される理由と実践のポイントを解説

インターナルコミュニケーション

人的資本経営とは?ビジネスにおいて注目される理由と実践のポイントを解説

2024.04.04

#イノベーション#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル#組織開発

インターナルコミュニケーション

ワークエンゲージメントとは?意味や定義、企業や組織に与える影響や高める方法を紹介

2024.03.29

#インナーブランディング#コミュニケーション#ビジョン浸透#働き方#組織開発

インターナルコミュニケーション

バイアスとは?ビジネスシーンにおけるバイアスの意味や種類、発生する原因を解説

2024.03.26

#コミュニケーション#ビジネススキル

人材育成

次世代の育成 職場体験の意義 中学生自ら考えるキャリア観 その目的と理解とは

2024.05.20

#SDGs#コミュニケーション#デザイン思考#働き方#多様性#研修・ワークショップ#社内イベント#調査

インターナルコミュニケーション

リーダーシップとは?リーダーに求められる能力やとるべき行動について解説

2024.05.08

#コミュニケーション#ビジネススキル#組織開発

人材育成

1on1(ワンオンワン)とは?目的やメリット、部下の成長を促すテクニックや話題例を紹介

2024.05.02

#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

リーダーシップがある人とは?リーダーシップの種類と必要なスキル、求められる行動

2024.05.01

#業務プロセス改善#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームワーク力とは?ビジネスにおいて必要な理由と必要なスキルについて解説

2024.04.30

#業務プロセス改善#コミュニケーション#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームビルディング研修とは?目的や期待できる効果、おすすめの研修について解説

2024.04.23

#コミュニケーション#チームビルディング#研修・ワークショップ

インターナルコミュニケーション

チームビルディングの具体例!企業事例やおすすめの手法も紹介

2024.04.23

#コミュニケーション#チームビルディング

インターナルコミュニケーション

ナレッジマネジメントとは?意味や導入のポイント、ツールなどを解説!

2024.04.19

#業務プロセス改善#Eラーニング#コミュニケーション#ビジネススキル#研修・ワークショップ#組織開発

インターナルコミュニケーション

チームビルディングに適したワークショップとは?ポイントや開催までの流れを解説!

2024.04.11

#コミュニケーション#チームビルディング#研修・ワークショップ

人的資本経営が注目される理由と実践のポイントを解説

インターナルコミュニケーション

人的資本経営とは?ビジネスにおいて注目される理由と実践のポイントを解説

2024.04.04

#イノベーション#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#ビジネススキル#組織開発

インターナルコミュニケーション

ワークエンゲージメントとは?意味や定義、企業や組織に与える影響や高める方法を紹介

2024.03.29

#インナーブランディング#コミュニケーション#ビジョン浸透#働き方#組織開発

インターナルコミュニケーション

バイアスとは?ビジネスシーンにおけるバイアスの意味や種類、発生する原因を解説

2024.03.26

#コミュニケーション#ビジネススキル