ディスカッションとは? ディスカッションの目的や効果、ポイントを解説

「ディスカッション」は「議論」や「討論」を表す言葉として一般的に使われるようになりました。就活の面接でも、グループディスカッションを選考に取り入れて、評価の対象とする企業も少なくありません。

しかし、ディスカッションとは具体的に何なのか、どのような目的で行われるのかと質問されると、答えられない人も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、ディスカッションの概要と目的や効果、成功させるポイントについて解説していきます。

ディスカッションとは?ディベートやブレストとの違い

ディスカッションは「議論」や「討論」を意味しますが、もともとは英語のdiscussionが日本で浸透した言葉です。「すっかり、徹底的」を意味するdisと、「打つ、たたく、ゆさぶる」を意味するcuss、そして名詞を作る接尾辞の「-ion」が組み合わされてできています。つまり直訳すると、「徹底的に打つ・たたく」という意味になります。「言葉を徹底的にたたきあげる」という意味が、discussionには含まれています。

ディスカッションはディベートと混同されがちですが、両者は内容が異なります。
ディベート(Debate)はディスカッションと同様に「討論する」という意味ですが、「相手を論破する」意味合いが強くあるのが特徴です。これはコミュニケーションの種類です。

一般的にディベートでは特定のテーマについて肯定派と否定派に分かれ、それぞれ与えられた役割で一定の時間内に議論します。自分が肯定派であっても否定派に分けられたときには、否定派としての立場で思考し、発言しなければなりません。最終的には審判や観客が、どちらの主張が優れていたかをジャッジする、つまり明確な勝ち負けがあるのがディベートです。

一方ディスカッションには勝敗はありません。ディスカッションでも特定のテーマについて意見を交わしますが、どの意見が正しい、間違っていると対立するわけではなく、意見を出し合うことで納得できる合意形成を見いだすことが目的です。

また、近年はブレインストーミング、いわゆるブレストを行う企業も多いようです。ブレストは、brain(頭脳)をstorming(嵐)のようにかき回すことを意味します。ブレストでは有益なもの、無益なのもの、とにかくさまざまなアイデアを発言し、そこからなにか新しい「ひらめき」を得ることを目的としている点がディスカッションとは異なります。

これらはどれが優れている、というものではなく、目的によって使い分けるのが適切です。とくにディスカッションはディベートやブレインストーミングを内包しているとも考えられるため、「触れにくい話題」がテーマならディベート風にディスカッションする、単純に多くの意見を出し合いたいならブレスト風にディスカッションするといったことが可能です。

ディスカッションの目的

前項でご説明したとおり、ディスカッションはディベートやブレストの要素を内包した議論や討論の総称であり、明確な定義はありません。そのため一口に「ディスカッション」をするといっても、人によって解釈はさまざまで、「こういった手順ですべき」といった決まりもないのです。基本的にはディスカッションはその場における参加者の合意形成が目的です。
従って、合意形成が建設的であり、心理的にも論理的にも合意が取れない場合はうまくいっていないと言えます。

また、ディスカッションを行う際の目的もさまざまです。ディスカッションは、主に以下のような目的を果たすための、手法のひとつといえるでしょう。

問題発見 ―真理の追求―

特定のテーマに対し、解決すべき問題を発見したいとき、つまり不確定な問題について真理を追究したいときにディスカッションが行われます。たとえば「本社の機能を東京から移すべきか?」といったテーマに対し、議論を交わし答えを出します。

問題発見が目的のときには、テーマに対して賛成する人、反対する人が現れるなど、意見の対立が見られることからディベート寄りのディスカッションになることが特徴です。議論のなかでそのテーマに関する背景や、なぜそれが問題なのかという理屈を引き出し、論理的に整理しながら話を進めます。最終的には選択肢を一つに絞り、意思決定を行います。

問題発見がディスカッションの目的の場合は、意思決定のための論拠とデータをどれだけ集められるかによって、議論の深さが変わります。

問題解決 ―合意形成(コンセンサス)―

特定の課題を解決するために、合意形成(コンセンサス)を取りたいときにもディスカッションが行われます。

例えば「新商品をどのように販売するべきか」といった議題で、参加者があらゆる意見を出し合います。このようなテーマではできるだけ多くの意見を出し合い、その中から適切なものを選んでいく形のほうがうまくいくでしょう。そのため、ブレインストーミングの要素が強くなります。

意見を出し合うなかで、意見の背景にある参加者の認識を共有し、お互いの意見の相違や利害関係を調整しながら、最善の落としどころを探ります

問題共有 ―コミュニケーションー

ディスカッションは、必ずしも何か意思決定をしたいときだけに行われるものではありません。コミュニケーションの一環としてディスカッションが行われることもあります。

たとえば報告や連絡事項、情報共有などをメールに個条書きで済ませるのではなく、顔をあわせて報告事項や連絡事項の背景や文脈も共有することで、他の参加者から質問や意見が出てディスカッションに発展することがあります。こういった取り組みによって、チームの中で起っている問題をよりはやく発見・解決することが可能になり、業務効率の向上やチームの協力体制の強化にもつながります。

ディスカッションを成功させるポイント

ディスカッションにさまざまなやり方があるため、目的によって方法を変えることが大切です。ここからは、ディスカッションを成功させるポイントを紹介します。

テーマとゴールを明確にする

ディスカッションを行うときには、まずはテーマとゴールを明確にすることが大切です。何について話しあうのか、そしてゴールが何なのかによっても、ディスカッションの方法は異なるためです。
ディスカッションの最初に「本日のテーマ」として議題を共有し、「〇時までにXXを決定します」とあらかじめ宣言しておくとスムーズです。意思決定が目的ではない場合にも、その場で何時までに何をしたいのか、アジェンダを共有しておきましょう。

ディスカッションのプロセスを構築する

ディスカッションでは、プロセスをあらかじめ決めておくことも成功の秘訣です。たとえば資料は事前に配布されるのかその場で提示されるのか、発言は挙手で行うのか自由発言なのか等を決めておくだけでもディスカッションを効率的に進められます。

議論の流れをサポートする役目を作る

ディスカッションでは、ファシリテーターを1人決めておくことも成功のポイントです。ファシリテーターとは、会議の舵取りを行う人を指します。

具体的には司会者のような役割で、ディスカッションに参加した人たちの意見をよりわかりやすく伝えたり、発言を促したりします。話題がテーマからが逸れたらさりげなく軌道修正する、ディスカッションが長引かないようタイムキープするなども、ファシリテーターの役目です。いるのといないのとではディスカッションの充実度が大きく異なるため、ファシリテーターは必ず置くことをおすすめします。

まとめ

討論や議論を意味するディスカッションは、目的によってディベート形式、ブレインストーミング形式など、さまざまな方法で行われることもあります。そのためテーマが決まったら、その場のゴールを明確にし、どのような方法で進めるのかをあらかじめ共有することが重要です。なお、ディスカッションは、進行を務めるファシリテーターがいるとスムーズに進むので、社内での導入やファシリテーター育成を検討してみてください。

よくある質問
  • ディスカッションの目的は何ですか?
  • 問題発見 ―真理の追求―
    問題解決 ―合意形成(コンセンサス)―
    問題共有 ―コミュニケーション-

  • ディスカッションを成功させるポイントは何ですか?
  • テーマや目的に応じて何かしら結論や結果を出すような建設的な姿勢やコミュニケーションを心がけましょう

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

検索

  • カテゴリ
  • 部門
  • ランキング
  • タグ

検索

BLOG

おすすめの記事

組織変革

データ利活用とは?DX時代のメリット・手法・事例【2025年最新】

2025.08.20

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル

人材育成

研修を自動化して効率化するには?Power Automateを使った例を解説

2025.08.19

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ラーニングデザイン#研修・ワークショップ

批判的思考とは

インターナルコミュニケーション

批判的思考とは?ビジネスにおいて重要な理由やメリット、活用方法を解説

2025.08.07

#業務プロセス改善#イノベーション#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#デザイン思考#ビジネススキル#組織開発

コーポレートメディア

Power Automate 活用事例集!使い方とできること、導入方法を紹介

2025.07.25

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

Microsoft 365を使いこなし業務自動化!DX推進のツール活用術

2025.07.18

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル#メディア&コンテンツ#働き方

インターナルコミュニケーション

大企業のDX推進者必見!システム導入成功の実践ポイント

2025.07.16

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#研修・ワークショップ#組織開発

サステナブル・SDGs

職場の“当たり前”を問い直す!~ハラスメントからリスペクトへ導く新たな研修アプローチ~

2025.07.16

#サステナブル#SDGs#サービスデザイン#イノベーション#コミュニケーション#多様性#研修・ワークショップ

インターナルコミュニケーション

新規事業とは何か?定義から成功要因・事例まで徹底解説

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

人材育成

言語化とは何か?重要性とビジネスへの応用、鍛える方法まで徹底解説

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

新規事業企画書とは?7つの基本構成と成功のポイント【最新トレンドも解説】

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

海外記事

コミュニケーターが切り開く未来志向のAI戦略 世界のインターナルコミュニケーション最前線⑤

2025.07.10

#インナーブランディング#グローバル#コミュニケーション#ビジネススキル#メディア&コンテンツ

人材育成

新規事業の進め方とは?成功率を上げるポートフォリオ戦略【徹底解説】

2025.07.09

#業務プロセス改善#イノベーション#コミュニケーション#チームビルディング

組織変革

データ利活用とは?DX時代のメリット・手法・事例【2025年最新】

2025.08.20

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル

人材育成

研修を自動化して効率化するには?Power Automateを使った例を解説

2025.08.19

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ラーニングデザイン#研修・ワークショップ

批判的思考とは

インターナルコミュニケーション

批判的思考とは?ビジネスにおいて重要な理由やメリット、活用方法を解説

2025.08.07

#業務プロセス改善#イノベーション#インナーブランディング#コミュニケーション#チームビルディング#デザイン思考#ビジネススキル#組織開発

コーポレートメディア

Power Automate 活用事例集!使い方とできること、導入方法を紹介

2025.07.25

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

Microsoft 365を使いこなし業務自動化!DX推進のツール活用術

2025.07.18

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#ビジネススキル#メディア&コンテンツ#働き方

インターナルコミュニケーション

大企業のDX推進者必見!システム導入成功の実践ポイント

2025.07.16

#業務プロセス改善#ICTシステム活用支援#研修・ワークショップ#組織開発

サステナブル・SDGs

職場の“当たり前”を問い直す!~ハラスメントからリスペクトへ導く新たな研修アプローチ~

2025.07.16

#サステナブル#SDGs#サービスデザイン#イノベーション#コミュニケーション#多様性#研修・ワークショップ

インターナルコミュニケーション

新規事業とは何か?定義から成功要因・事例まで徹底解説

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

人材育成

言語化とは何か?重要性とビジネスへの応用、鍛える方法まで徹底解説

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

インターナルコミュニケーション

新規事業企画書とは?7つの基本構成と成功のポイント【最新トレンドも解説】

2025.07.15

#コミュニケーション#ビジネススキル

海外記事

コミュニケーターが切り開く未来志向のAI戦略 世界のインターナルコミュニケーション最前線⑤

2025.07.10

#インナーブランディング#グローバル#コミュニケーション#ビジネススキル#メディア&コンテンツ

人材育成

新規事業の進め方とは?成功率を上げるポートフォリオ戦略【徹底解説】

2025.07.09

#業務プロセス改善#イノベーション#コミュニケーション#チームビルディング