ディベートとは?ディベートのルールや流れ、効果について事例を交えてご紹介!

ディベートと聞くと、向かい合って座り、双方が熱い議論を闘わせている姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし実際どのように行われているのか、ルールまで知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、ディベートとはそもそもどのようなものなのかを解説し、ルールや進め方、得られる効果まで詳しく解説します。

ディベートとは?

まずはディベートの意味、そして種類を確認しておきましょう。日本ディベート協会では、以下のようにディベートを定義しています。

  1. 集会や議会などの公共の場において、何らかの論点・課題について
  2. 対立する複数の発言者によって議論がなされ
  3. 多くの場合、議論の採否が議論を聞いていた第三者による投票によって判定される

「自分たちが正しい」と相手に認めさせることが目的であるため、ディベートにおいては自分たちの正しさを証明できるデータを集め、論理的に説明しなければなりません。公式には第三者が客観的に判定を下しますが、非公式の場合は最終的に双方が合意する、あるいは一方があきらめることでディベートは終了します。

近年はグローバル化を意識し、教育の一環として、「アカデミック(教育)ディベート」を行う学校が増え、大会も多く開催されるようになりました。アカデミックディベートには、以下の2種類があります。

  • 論証重視型ディベート(ポリシーディベート)

試合の数週間〜数カ月前に議題が伝えられ、十分なリサーチをしたうえで行うタイプです。肯定側・否定側のそれぞれの立場から、主張をサポートする資料を集め、いかに論証するかが重視されます。アメリカの大学で多く行われ、日本においても大学や中高生の大会で採用されています。

  • 即興性重視型ディベート(パーラメンタリーディベート)

試合の数十分前にテーマが提示されて、即興的に行うタイプです。イギリスや英連邦諸国で多く行われており、近年日本でも大学生の英語ディベートで採用されることが増えてきました。

ディスカッションとの違い

ディベートと似た言葉にディスカッションがあります。
日本語に訳すとどちらも「議論」や「討論」になりますが、両者には違いがあります。

ディベートはご説明してきたとおり、対立する立場に分かれ、特定のテーマについて討論した末にどちらが優れていたかを第三者がジャッジします。

一方、ディスカッションでは優劣や勝敗をつけません。ディスカッションも複数がそれぞれの立場で意見を交わしますが、意見の対立を前提とはしていません。ディスカッションは、最終的には参加者全員が納得できる結論を出すことを目的としているのです。

ディベートの流れ

ディベートには一定の手順があり、一般的には以下の流れで進めます。
通常、反駁は何度か繰り返されるものですが、ここでは全体の流れの説明のために省略しています。

1. 立論
2. 反対尋問
3. 反駁
4. 最終弁論

それぞれどのようなことを行うのか、以下に解説します。

立論

立論では、肯定側・否定側それぞれの立場から、自分たちの意見を明確に述べます。肯定側はオープニングトークの役割を持ち、否定側は肯定側の立論の内容に沿った立論を述べることが望ましいとされています。

反対尋問

反対尋問では、相手の立論でわかりにくかった部分を確認したうえで、論理に矛盾がある点を攻撃します。反対尋問では、質問・尋問する側が主導権を握り、相手が発言している途中で遮っても構いません。反対尋問は、肯定側・反対側の双方がインタラクティブに意見を交わす唯一のパートです。

反駁(はんばく)

反駁では、相手側の意見に対する批判や相手側から受けた批判に対する反論を行います。相手から質疑や尋問を受けたものの答えられなかったものに対しては、このパートで回答します。

最終弁論

立論〜反駁までの流れを再構築しながら、相手側よりも自分たちのほうが正しいことを最終的にアピールします。最終弁論では新しい主張や根拠を出すことは認められず、また単純な立論のリピートにならないようにすることが重要です。

ディベートを行う際のルール

ディベートを行う際には、参加者が意見を出しやすいよう、「これはゲームである」という前提を明確にするといいでしょう。会場の配置は、裁判や議会の討論をイメージし、肯定側・否定側・ジャッジがトライアングルの各辺に位置します。社内研修などの場でディベートを行う場合には、自社に関するリアルなテーマにするとより盛り上がります。
ここでは、ディベートを行う際の一般的なルールを解説します。

論争可能なテーマを選ぶ

ディベートのテーマは、当然ですが論争可能なものを選びます。テーマは、基本的に以下の3パターンがあります。

  • 政策論題(例:日本の首都は東京から移転するべきである)
  • 推定論題(例:小学校のプログラミング教育は効果がない)
  • 価値論題(例:目的もなく大学にいくよりも就職したほうがいい)

政策議論は、企業であれば身近な社内制度などを題材に応用することもできます。たとえば「朝礼は不要である」「フリーアドレス制を取り入れるべきである」といった内容であれば、参加者の関心が高いため熱い論争が期待できます。

テーマ決めで一点注意するべきことは、人によって情報の格差がありすぎる内容を選ばないことです。たとえば「外形標準課税制度を導入すべきである」といったテーマは、財政金融に興味があり詳しい人に明らかに有利です。テーマはある程度一般常識として参加者の誰もが自分の知識で戦えるものを選びましょう。

時間制限を設ける

ディベートでは制限時間を設けておくルールもあります。たとえば立論・反対尋問・反駁・最終弁論それぞれ5分といった具合です。時間を定めることで、ポイントを明確にし、簡潔に意見を述べることができます。

主張には理由を示す(三角ロジック)

主張には必ず客観的なデータと、そのデータと主張を結ぶ理由が必要です。この主張・データ・理由付けによる理論を「三角ロジック」といい、論理的思考の基本とされています。

<例>
主張:自社の公用語は英語にするべきだ
データ:英語は日本人・外国人問わずすべての社員に一定の知識がある
理由:全員が知っている言語なら誰にでも通じるから

内容と人格は切り離す

ディベートでは、内容と人格を切り離すことも重要です。意見と人格は別のものであり、人格を攻撃しても相手の主張の正当性は否定できません。攻撃するのであれば、相手の主張を支える理論や根拠を突くべきです。

また、とくに日本人は、自分の意見を否定されると「自分が否定された」と捉えがちですが、ディベートとは、あくまでそれぞれに割り振られた役割の中で「意見」を戦わせるものです。互いの人格と意見とはなんの関係もないことを開始前にしっかりと確認し、ディベート中も攻撃側・受け手双方がそのことを強く意識することが重要です。

発言・意見の記録を取る

ディベート中には、相手の論理の矛盾を突いて討論するために、そして最終的にジャッジが正しい判定を下すために、発言や意見の記録を取る必要があります。これはフローシートと呼ばれ、立論から反対尋問、反駁、最終弁論までをすべて記録していきます。ディベートは猛スピードで議論の応酬が展開されるため、発言・意見の記録を取っておかないと議論の流れについていけなくなってしまうのです。

ディベートの効果

社員教育などにディベートを活用することで、論理的思考力や瞬時に考え判断する能力(Logical Thinking)、批判的思考力(Critical Thinking)を養うことが可能です。また短時間に的確に主張を行う発信力(Quick Thinking)も身に付くとされています。

社内でディベートを取り入れるなら、あえて「触れにくいもの(アンタッチャブルなもの)」をテーマに扱うと、参加者の関心も高く、これらの思考力が身に付きやすくなります。

たとえば「2021年度の売り上げ目標を達成するべきではない」「2030年までにSDGs推進における社内の目標を達成するべきではない」「2025年に向けてDXを推進するべきではない」といった全社的な方針に関するテーマで、異なる立場での批判と肯定を繰り返してみましょう。前述した例のように、時系列があるテーマの方がより具体的な議論ができるようになります。

組織内の常識を疑うことで、これまでの社内の問題や、それぞれの置かれた立場や経験による前提の違いが自然と洗い出されることに気がつくはずです。
それは、ディベートでは論拠とデータが必要になり、そのためにテーマについて理解を深め、勉強する必要があるためです。肯定派をあえて否定派にまわすことで、新たな視点に立ち、これまでの自分の考えの問題点や弱点が見えてくることもあります。

議論するイメージが強いディベートですが、実はアイデア出しにも高い効果が見られます。たとえば、「DX推進派」の人間が反対派の立場で考えることは普段ならありませんが、ゲームという前提で心理的安全面を担保しながら、反対派の意見を代弁する体験をすることで、DX推進の鍵が見えてくるかもしれません。

ディベートの終了後、ディベート中に出た意見をもとにディスカッションし、合意形成を目指すと、問題解決(この例でいうとDX推進)に向けた建設的な施策案を引き出せるでしょう。

ソフィアの社内で行なったディベートの事例

ソフィアでは、2020年2月中旬から新型コロナウィルスの感染状況を踏まえ、完全在宅勤務へ移行しています。そして「このままテレワークを続けるべきなのか否か」についてのディベートをオンラインで実施しました。

ディベートを行うことで、普段気付かない視点や切り口に社員が意識を向け、新たな気付きを得る効果を期待したのです。

もともとテレワークに肯定的な意見が多かったのですが、あえてディベートすることで、「社員エンゲージメントや心身の健康への悪影響」「イノベーション創出の阻害」といったデメリットがあることがわかりました。結果的には「テレワークを続けるべき」が勝利しましたが、社員それぞれがテレワークについて深く考え、認識を新たにするきっかけとなりました。

ディベートは、社員の思わぬ本音を引き出し、多様な視点から考える能力を鍛えます。ぜひ貴社においても、ディベートを導入してみてはいかがでしょうか?

まとめ

ディベートは、特定のテーマにつき肯定派と否定派の立場に分かれて意見を戦わせ、最終的に勝敗を決める討論です。論理的思考力が育ち、新たな視点で物事を捉えられるようにもなります。

ゲームとして取り入れることで、社員は意見しやすくなり、結果的に思いがけない結論が導きだされるかもしれません。自社でも取り入れてみたいが何から始めればいいのかわからない、いいテーマが浮かばないなどの際は、ソフィアにご相談ください。

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