コミュニケーション能力とは?組織内で重要視される理由と最適な育成方法

これまでの仕事上のやりとりやプライベートの場面で、「コミュニケーション能力」の重要性を感じたことが、誰でも一度はあるのではないでしょうか。
一口にコミュニケーション能力といっても人によって定義はさまざまで「どんなスキルなのか」を説明するのは難しいものです。
そこで本記事では、コミュニケーション能力とはどのような能力なのか、コミュニケーション能力を高める上で必要なことについて解説していきます。

コミュニケーション能力とは

2018年に経団連が一般企業に対して行った「新卒採用に関するアンケート調査」によると、新卒の選考において企業が特に重視した点として「コミュニケーション能力」が16年連続1位となっています。

本調査から、コミュニケーション能力が社会的に求められるスキルであることが見て取れます。では、「コミュニケーション能力」とは具体的にどのような能力なのでしょうか?

コミュニケーション能力の捉え方は一様ではなく、文脈によって異なります。
ビジネス、プライベートに関係なく「対人的なやりとりにおいて、相手と円滑な意思疎通のできる能力」として用いられる場合や、仕事において必要な対人スキルであったり、日常生活で対人関係を円滑かつ良好に保つことのできるスキルといわれることもあります。

本記事では、「組織においてビジネスパーソンが成果を出すために必要な能力」としてのコミュニケーション能力にフォーカスして解説します。

ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力とは、「円滑さ」に加え、「人を巻き込む力」「論理的な説明や説得力」、また、話すだけでなく「相手の話を聞いて理解する力」といった要素が特に重要になってきます。

日本人のコミュニケーション能力の特徴

日本企業においてとくに社員のコミュニケーション能力が重視される背景には、「日本人が文化的に、また習慣的に、コミュニケーションが不得手である」という問題があります。これには、2つの要因が考えられます。

1つは、海外では初等教育から「スピーチ」や「ディベート」などの専門的なコミュニケーション教育が行われることが多い一方で、日本の義務教育課程においては、コミュニケーションに関する訓練を受ける機会が近年までは非常に少なかったことです。個人の能力開発としても不足しているといえますし、また「誰もが共有するコミュニケーションのやり方」というものが確立されていないとも言えます。

2つ目の要因は、日本語の特徴や、日本がこれまで置かれてきた環境です。
“日本語”や日本文化は、ハイコンテキスト、つまり「察する」ことを特徴とします。また、大多数の日本人は日本語を母語として日本の義務教育を受けて育っており、完全な異文化の人間とやり取りする機会はほとんどありません。高度経済成長期以降、人々の生活も比較的安定していて大きな変化がなく、議論や交渉などの高度なコミュニケーションを取る必要に迫られたことのある人も少数でしょう。それらすべてが、今日の状況においてあらためて「コミュニケーション能力」が求められる背景につながっているといえます。

企業が、グローバル化、多様な社員、多様な働き方、環境変化に対応した事業変化など、さまざまなコミュニケーションの必要性に晒される一方で、日本にはコミュニケーションスキルを磨く土壌に恵まれておらず、企業が求めるコミュニケーション能力を備えた人材が不足しているのです。そのため、コミュニケーション能力の高い人材を求めるのと同時に、社員のコミュニケーション能力を高める機会を提供し、「組織内で意図的にコミュニケーションを訓練する」ことが重要であるといえます。

コミュニケーション能力が企業にとって重要な理由

コミュニケーション能力が企業においてこれほどまでに重要視されるには相応の理由があります。

事業はひとりでは進められない

コミュニケーション能力が重要視される理由のひとつは、事業がチームによって遂行されるという点です。事業を進めていく際、社員がひとりで完結できるような仕事は多くありません。ほぼすべての業務において、他者との協働が必須となります。そこで他者と協力しながら仕事を進められるスキルが欠かせないわけです。

企業はさまざまな人材で構成される

会社という組織はさまざまな人によって構成されます。会社では家族や友人ではない他者と協力し合いながら業務を進めていきます。この他者は価値観も育った環境もまるで異なる、言ってしまえば「赤の他人」です。こうした他人と足並みを揃えて協調していくのは実は簡単なことではありません。ここでコミュニケーション能力が問われることになります。

異なる立場の他者との情報共有が必要

企業においては異なる立場の他者との情報共有が必要です。家族や友人に上下関係はありませんが、会社では上司や部下、他部署の同僚など、さまざまな種類の関係性を持つ他者とやりとりをすることになります。これまで、自分が部下だとして上司と情報共有する際、あるいは自分が上司だとして部下と情報共有する際、普段と勝手が異なることに戸惑いを覚えたことがあるのではないでしょうか。企業でのコミュニケーションは日常でのコミュニケーションと異なる側面を持ち、そこには対応できる能力が重要であることがうかがえます。

コミュニケーション能力が低い人たちの間では、情報や状況の共有が十分に行われません。共有が行われないと、意思決定に時間を要するようになります。迅速な意思決定の行えない企業は、市場において劣勢に立たされることになるでしょう。

また、そのような状態のまま社内でコミュニケーションが行われないと、おのおのが自己判断でものごとを解釈するようになります。もちろんそこには大なり小なりズレが生じるため、それらが認識の齟齬につながります。伝えたい内容がうまく伝わらないことは言うまでもなく、最悪の場合、業務において致命的なミスや事故が起きる可能性もゼロではありません。

従業員エンゲージメントの鍵となる

社員のコミュニケーション能力が低い状態では、積極的な情報共有が行われないため社内コミュニケーションが活性化せず、お互いが何を考え、どのような仕事をしているのかわからないまま働くことになります。このような状態は従業員にとって居心地が悪く、従業員のロイヤルティは下がる一方です。

社内コミュニケーションの活性度は社内の健康状態を示すバロメーターでもあります。社内コミュニケーションが不活性な状態では企業の健康状態が悪く、従業員が自社に対するエンゲージメントを保てなくなりがちです。そうなると、顧客へのサービス品質が低下したり、生産性が低下したりといった悪影響が目立つようになります。また、よりよい環境を求めて従業員が他の会社へ転職してしまうこともあるでしょう。

コミュニケーションの質と量が高まることで、結果的に従業員のエンゲージメントが上がっていきます。つまり、コミュニケーション能力は従業員エンゲージメントにおいても重要なのです。

コミュニケーション能力の主な3要素

コミュニケーション能力は、その能力を構成する3つの要素に分けられます。今回はこれらの要素をビジネスシーンに準じて解説します。

相手に理解してもらう力

コニュニケーション能力を構成する1つ目の要素は、「相手に理解してもらう力」です。相手に理解してもらう力とは、伝えたいことを口頭で説明したり、メールやチャットに書いたりすることを通じて、自分の意見を相手に正しく伝える能力を意味します。相手に正しく伝わる伝え方をするには、伝えるべき内容や相手の受け取り方に応じて、最適と思われる伝え方を選択し、上手に表現する必要があるといえるでしょう。

相手を理解する力

2つ目の要素は、「相手を理解する力」です。相手に伝えるだけでなく、相手の伝えたいことを正しく理解する能力もコミュニケーション能力の一要素です。相手の言葉に耳を傾け、ときには文章から読み取ることで、相手の意図を汲み取ります。また、そこで理解できなかったことを自分で把握し、補完できるように的確な質問を相手に投げられる能力も重要です。

ノンバーバルコミュニケーション力

3つ目の要素の「ノンバーバルコミュニケーション力」は「ノンバーバル(言葉によらない)」という言葉が示すとおり、非言語によるコミュニケーションのことで、このノンバーバルコミュニケーションにもスキルが存在します。
特に日本では、言葉が額面どおりではなく、別の意味を持つことがあります。対人関係のさまざまな場面におけるコンテキスト(前後の脈略)や背景の状況からこれらの言質を推し量り、適切に振る舞う能力がノンバーバルコミュニケーション力のひとつです。
また、声のトーンや表情、身振り手振りなどを含めて、伝えたいことをより分かりやすく表現する力も含まれます。

特に『リーダー人材』に求められるコミュニケーション能力

コミュニケーションの中でも、部下を束ねマネジメントを行って組織を導く「リーダー人材」には、特別なコミュニケーション能力が求められるといえます。具体的にどのようなコミュニケーション能力が必要なのか、3つのポイントから解説します。

自身の想いや行動原理を会社の方針と重ねながら前提として共有する力

リーダーは自身の熱量をもって部下を率いることが求められます。そのためには、リーダーが一方的にトップダウンで命令するのではなく、リーダーの持つ想いに対して部下が理解し共感することが必要です。そして、リーダーの想いが企業の方針と合致しており、部下が企業の方針に対する納得感を持てることが重要です。このように、部下が理解や共感、納得できるよう働きかけ、企業の方針を全員で共有できるようにチームビルディングしていく力も、リーダーに求められるコミュニケーション能力のひとつです。

部下やチームメンバーの置かれた状況を共感的に理解する力

部下やチームメンバーが何に困っているか、あるいは悩んでいるかといった状況を察知する共感力もリーダーには不可欠です。共感的理解がなければ、部下が壁にぶつかった際に的確な対応はできないでしょう。自分ごとに置き換えて解釈し、対応できる力が、部下をサポートする力となるはずです。

ビジョンを相手に響く言葉で伝える力

部下を導くには企業ビジョンに対する部下の理解や、ビジョンの言葉が部下に浸透していることが必要となってきます。このビジョンを「響く」ように伝える力もリーダーには必要といえるでしょう。ここでは、ビジョンを正しく伝える力だけでなく、共感や納得を得るだけのメッセージ性を持った伝達ができる能力が重要となってきます。

組織内のコミュニケーション能力を高める効果的な方法

組織においてコミュニケーション能力を高めるには、具体的にどういった方法が効果的なのでしょうか。段階別に解説します。

「テクニック」レベル

まずは基本的なレベルの方法として、「5W1H」を押さえた報連相を徹底することが効果的です。報告・連絡・相談を行う(あるいは受ける)際には、かならず「いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どうやって」をくわえることを意識していきましょう。
また、ビジネスでは「結論から話す」、心理学では「アンチ・クライマックス法」と呼ばれる話し方が好まれます。長々と結論を先延ばしにして要点の見えない話し方は好まれないので注意してください。
さらに、推測と根拠を明確に区別し、できるだけ根拠ありきで話すようにしましょう。推測の場合はその旨を明示してください。
これらをまとめると、「結論➡理由➡根拠」の順で話すことが望ましいといえます。

「能力」レベル

さらに高度なコミュニケーションを行うためには、「三角ロジック」を意識するようにしてみてください。三角ロジックとは、主張、理由、根拠による論理を意味します。ある課題に対する「〇〇すべきである」「〇〇してはどうか」という主張が、理由・根拠で示されます。主張に至る流れを明確にできるフレームワークですので、社内で討議事項などがある場合に有用です。自分の意見に対して、常にそう思う理由と、その根拠をその場ですぐに用意するのは、普段からその習慣が無ければなかなか難しいものです。まずは会議資料や上申資料、提案書、企画書など、時間をかけて考えられるところから訓練していくことが重要です。

「風土」レベル

個人のテクニックや能力だけでなく、「様々な文脈や背景が、常に共有され、オープンである」という風土を築いていかなければ、組織レベルでのコミュニケーション能力は向上しません。そのためには、さまざまなコミュニケーションの背景となる、「前提」の徹底した共有が重要です。前提とは、経営理念や経営方針、ビジョンを意味することもあれば、上司の部下に対する育成方針や、個人のキャリアビジョンであることもあります。もしある事柄について上長が部下を叱ったとしても、それが売上のためなのか、長期的な会社の成長のためなのか、チームメンバーの成長のためなのか、会社あるいは上司の前提が伝わっていないとその内容は正しく伝わりません。

例えば、ある部署のA部長は常日頃から、「短期的な売上よりも、長期的な部署のパフォーマンス向上」を重要であると考えているとします。そんな中で、部下が取ってきた案件に対して、「なんでこんな小規模の提案をしたんだ」と詰問します。A部長の前提が伝わっておらず、部下がその言葉に反応すれば、「売上が少ない」ことを責められていると思い、「すみません!次からはもっと高額の提案をします」と言いながら、内心では反発しているかもしれません。一方で、A部長が常に長期的な目線を大事にしていることを知っていれば、「先方はもっと踏み込んだ提案を期待していた」「もっと踏み込んだ提案を出来るよう自分の成長を期待されていた」などと上司の真意を汲み取れるでしょう。もちろん、その場での「言葉足らず」も避けるべきではありますが、さまざまな言葉が行き交う中で、「この人は普段からこんなことを考えている」「この会社ではこんなことが大事にされている」という前提が共有されていれば、言葉以上の多くのものをやり取りすることができます。社内コミュニケーションを円滑にするためには、「前提の共有」を徹底し、常に前提が共有された上で活発なコミュニケーションが行われている風土を築いていきましょう。

なぜコミュニケーション能力を育成するのは難しいのか

社員のコミュニケーション能力を育てることは可能ではあるものの、具体的に計画を立て、予算を確保して組織的な育成を実施するにはさまざまな困難があります。これは、育成したいコミュニケーション能力とはどんなものかという定義や、コミュニケーションのどんな問題が自社のどんな課題につながっているのかが見極めにくいことに起因します。
また、コミュニケーション能力を育成する施策は経営層やマネージャーの視点で進められることが多く、社員のニーズをくみ取ってサポートする、という観点が抜けてしまいがちです。さらに、組織におけるコミュニケーションの課題や、社員のコミュニケーション能力が低い要因はさまざまなため、他社の成功事例やビジネストレンドをそのまま取り入れても自社には合わなかったということがしばしば起こります。

ソフィアなら、コミュニケーションのプロフェッショナルによる適切な現状把握と社員へのサポートにより、効果の高い施策を行うことができます。企業ごとの課題を的確に見極め、社員の体験に着目したアプローチで、社員自身の「コミュニケーション能力が重要だ」「コミュニケーション能力を高めたい」という気持ちと行動を引き出します。詳しくはお気軽にソフィアまでお問い合わせください。

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