コミュニケーション能力を鍛える方法|研修設計と実践ポイントを解説
最終更新日:2026.05.28
目次
コミュニケーション能力は、ビジネスにおいて重要な役割を持っています。コミュニケーションが活発に行われている組織は、情報共有やモチベーション作り、イノベーションなどのさまざまな方向でアドバンテージを発揮することが可能です。では、コミュニケーション能力を高めたい場合はどのような取り組みをするといいのでしょうか。本記事では、コミュニケーション能力の鍛え方、それによって得られる具体的なメリットについてご紹介します。
ビジネスにおいて、コミュニケーションは非常に重要です。報告・連絡・相談、上司から部下への指導、顧客との対話など、さまざまな状況でコミュニケーションが必要となります。コミュニケーションの質は業務の質にも影響し、優れた商品・サービスを提供するためにも重要です。良いコミュニケーションは生産性向上につながるだけでなく相互理解を深め、問題解決や創造的なアイデアの発想にも役立ちます。
ただし、コミュニケーションは多様で、状況によって意図しないような受け取り方をすることがあります。たとえば、「君って優れているね」という言葉は褒め言葉ですが、話し手や関係性、トーンによっては侮辱的に聞こえることもあるでしょう。
このようなミスコミュニケーションの可能性もふくめ、企業が成功し成長するためには、あらゆるコミュニケーションが不可欠です。コミュニケーションは不可逆で、同じコミュニケーションが二度と生まれません。コミュニケーションは「伝達」「疎通」「一致」とあるもの、「伝達」も「疎通」も「一致」することも完全にできないという不可能性を含んでいます。
その中で、良質のコミュニケーションをとるために、コミュニケーション能力を鍛えることはできるのでしょうか。コミュニケーション能力を鍛えるために、そのコミュニケーション能力の構造について解説していきます。
コミュニケーション能力とは?
「コミュニケーション能力」とは、社員同士との意思疎通を上手に行うスキルのことです。意思疎通という表現だとまず「会話」を思い浮かべやすいものの、現代社会におけるコミュニケーションにはメールやツールを用いたテキスト上のやりとりも含まれています。
コミュニケーションは、「場」や「周囲」の状況の影響を受けやすく、チャットの会話と1on1の会話は、言語や記号がまったく一緒でも交換する情報量も、意味や意図も大きく変わってきます。
企業組織におけるコミュニケーションは、デジタル化によって概念の幅が広がり、さらにグローバル化や人材の多様化によってコミュニケーションの難易度は急速に上がっています。コミュニケーションに課題を抱える企業も増加する中、無意識な要因すら不明なことが多いのが現状です。
コミュニケーション能力については、以下の記事で詳しく解説しています。
研修設計では、まず「何をコミュニケーション能力とみなすか」を定義しないと、評価が主観に寄ってしまいます。厚生労働省のYESプログラム関連資料では、コミュニケーション能力を「意思疎通(自己主張と傾聴のバランス)」「協調性(双方の主張の調整)」「自己表現能力(状況に合ったプレゼン)」として整理しています。評価項目づくりの”たたき台”として使いやすい整理です。
また、経済産業省の「人生100年時代の社会人基礎力」では、「チームで働く力」の要素として「発信力(自分の意見をわかりやすく伝える力)」「傾聴力(相手の意見を丁寧に聴く力)」などが明示されています。大企業の階層別研修(新人〜管理職)で共通の土台にしやすい枠組みです。
コミュニケーション能力が高い人・低い人の特徴
研修の企画段階では、「何ができたら”伸びた”と言えるか」を行動で定義するのが近道です。上位記事でも、特徴(行動)に落とすことで、受講者の自己診断・上司の観察がしやすくなる構成が多く見られます。
コミュニケーション能力が高い人は、話し上手というより「相手の理解・合意・行動」に向けて会話を設計しています。具体的には、結論→理由→具体例で簡潔に話す、相手の言葉を要約して確認する、相手の反応(沈黙・表情・トーン)を拾って調整する、といった行動が安定しています。
一方で「質問が飛ぶ」「前提が共有できていない」「相手の状況を読まずに話し始める」「否定から入る」「長くて結論が遅い」などは、職場で摩擦や手戻りを生みやすい典型です。裏返すと、研修で矯正しやすい”改善ポイント”でもあります。
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観察ポイント(例):
- 結論は冒頭30秒で出るか
- 相手の発言を言い換えて確認しているか
- 反対意見を扱うときに人格否定が混ざっていないか
- 「短くまとめる」「まず受け止める」「質問で深掘る」「合意点と相違点を可視化する」などに分解する
研修課題化(例):
コミュニケーション能力を鍛えるメリット
社員のコミュニケーション能力向上は、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
まず、情報共有の精度が上がることで「報連相」の徹底につながります。報告漏れやタスクの重複などのミスを防ぐことにつながり、生産性向上、業務の円滑化が期待できます。
部署やチームの垣根を超えてコミュニケーションが活性化すれば、大きな業務効率化にも期待できます。また、社内交流が活発に行われることで、ステークホルダーとの関係性向上やイノベーションの創出、業績向上など、コミュニケーション能力を鍛えることで企業にとってプラスの効果が期待できます。
以前は、コミュニケーションスキルの研修は、比較的に若手や新入社員を対象にした内容を企業は多く採用していました。これまで企業内のコミュニケーションは、阿吽の呼吸に代表されるハイコンテクストな独特のコミュニケーションに慣れていくことで、問題視されることはありませんでした。
しかし、転職や世代間ギャップ、社外連携などの独特なコミュニケーションは近年になって表面化し、管理職以上のコミュニケーションスキル開発が非常に増えています。「ディベートなど議論力」や「高度な協働を起こすファシリテーション」、「説得と合意形成に向けたレトリック」等々、現在の対象は、管理職以上のコミュニケーションスキルアップデートが主眼です。
ビジネスにおけるコミュニケーションについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
弊社ソフィアの調査では、職場を良いと感じる要因として「人間関係・上司部下関係」が最多でした。つまり、制度・待遇だけではなく”日々の関係性”が職場評価を左右しやすい構造が示唆されます。コミュニケーション能力の育成は、この日々の関係性を再現性高く改善する投資として位置づけやすい領域です。
また、職場における「聴く」を研究したメタ分析では、知覚されたリスニング(perceived listening)が仕事の成果や関係性の質と正の相関を持つことが示されています。研修で”聴く”を扱うことは、単なるマナーではなく、組織成果に関わる変数として扱えます。
コミュニケーション能力を鍛える際に知っておくべきこと
コミュニケーション能力は、いくつかの切り口に分類して考えることができます。よく挙げられるのは、「バーバル/ノンバーバル(言語/非言語)」「論と情」「前提(前提条件)と双方向性(変化)」などです。
バーバル/ノンバーバル(言語/非言語)

コミュニケーションというと、言語(バーバル)のほうが一般的には注目されやすいですが、非言語(ノンバーバル)を疎かにしてはいけません。非言語コミュニケーションとは、表情や身振り、声のトーンや態度などによる意思表示のことです。言葉だけを切り取って理解するのではなく、相手の全体を捉えることで意思を読み解くスキルが重要です。
非言語コミュニケーションは、言葉を使わずに情報を伝える方法で、身振り、表情、声のトーン、服装、環境などが含まれます。こうした要素は文化によって解釈が異なる場合も存在します。非言語コミュニケーションの適切な使用によって、商談や問題発見などのコミュニケーションを円滑に進めることができます。
一方、テキストを使った言語によるコミュニケーションでは、言葉や記号が非常に重要です。メールやSNSなど、文章を通じて思いを的確に伝えるためには、語彙力や文法の正確さ、読みやすい文章表現をしなければなりません。これらを上手に組み合わせることで、文章はわかりやすく、柔軟で、相手にとって理解しやすいものになります。
ただし、注意すべき点として、この分野ではAIがますます進化し、文章を生成する代替手段として使われることが増えています。利便性が高まる一方で、いつの間にか人が持つ思考する領域をAIにとって代わられ、それらしく置き換えてしまっていることに危うさがあります。
論と情
コミュニケーション表現には論理・理性的なタイプと、感情・共感的なタイプがあります。どちらを押し出すかによってコミュニケーションのあり方は大きく変わります。論と情に優劣はなく、いかに相手の状況を理解し、相手に伝わりやすいかたちで意思を伝えられるかが鍵になります。
論とは、論理的な整理や筋道立てを前提とした条件下で、伝える必要があるということです。自分の頭の中にあるさまざまな情報を体系的に整理し、まずは自分自身で考えを整理することをしなければ、他人に伝えたり表現したりすることは不可能です。まずは情報を整理して理解できる状態にし、ビジネス上の複雑な情報でも、頭の中で論理的に整理できれば、正確な情報を相手に伝えることができます。
一方の情には、感情を重視したコミュニケーションに「対話」があります。対話とは、お互いの立場や意見の違いを考慮しながら、感情や考え方、価値観に焦点を当て、相手との意見交換を通じて、議題や話題について客観的な理解を深めることができます。
対話においては、感情や価値観を探求し、双方の視点から議題を捉えることができます。これにより、論理だけでは解決できない問題に対処しながら、対話を通じた価値創造が生まれます。対話は日常のコミュニケーションから生まれ、重要なスキルとなります。
前提(前提条件)と双方向性(変化)
前提(常識)が一致している関係だと、コミュニケーションをとりやすく共通性コミュニケーションが成立します。ただ、前提は固定されたものではなく、双方向性を意識したコミュニケーションを行うことで、ハイコンテクストな対話、つまり差異性のコミュニケーションがとれるようになります。
共通性コミュニケーション(前提)は、言葉や文字を使ったコミュニケーションにおいて、発信者と受け手が共通の背景や前提を共有している状態のことです。たとえば、ピクトグラムのようなアイコンは、人々が共有している情報を引き出し、意味を伝えるのに役立ちます。

一方、差異性コミュニケーション(変化)では、異なる視点や要素を持つ人々がコミュニケーションすることが重要視されます。多様な文化的背景、価値観、スキルセットなど、さまざまな要素が差異性に貢献します。異なる視点を受け入れ、意見を出し合うことで、ビジネスの問題や課題に対する効果的な解決策が生まれます。
メラビアンの法則の正しい扱い方
コミュニケーション能力を語る際に紹介されるメラビアンの法則というものがあります。この法則ではコミュニケーションにおいて言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%と主張します。
ただし、この比率は”あらゆるコミュニケーション一般”に当てはまるものではありません。メラビアン本人の整理では「感情や態度(like-dislike)を扱う」「言語・声・表情が不一致(inconsistent)」といった条件下での式として提示されています。研修で扱う場合は、「言葉が7%しか伝わらない」という断定ではなく、「感情の受け取りでは非言語が強く作用しやすい場面がある」程度に留めるのが安全でしょう。
商談や同僚との会話、上司への報告など、重要なビジネスコミュニケーションにおいて、言葉の正確さだけでなく、自分の雰囲気や印象、声のトーン、ジェスチャーにも注意を払うことが肝要です。これはよく言われることですが、成功するビジネスパーソンは、日頃から自分自身を鏡で見つめることを心掛けています。
さらに、メラビアンの法則によれば、感情的なメッセージを伝える際、発言する言葉と声のトーン、ジェスチャーが一致していないと、本来意図した意味が伝わりにくくなります。たとえば、感謝の言葉を伝える際に、適切な表情や声のトーンを欠いていると、相手には嫌味に受け取られたり、誠実さを感じられなかったりすることがまれにあります。
そのため、ビジネスコミュニケーションでは、言葉だけでなく、自分の雰囲気や印象、声のトーン、ジェスチャーにも注意を払うことで、相手との信頼関係を築き、コミュニケーションの効果を高めることができます。
コミュニケーションは伝わらない前提
コミュニケーションをとる際は、コミュニケーションの効果に期待しすぎず、「どれだけコミュニケーションをとっても伝わらないことがある」という前提に立つことが大切です。どのようなタイミングで受け取ったか、どのようなシチュエーションで受け取ったかによって、同じ文言でも受け手の処理の仕方は変わります。
このような前提に立ち、100%思い通りに意図が相手に伝わる可能性はほとんどないと考えましょう。
世界最古の文字がシュメール文字で紀元前3500年頃に発明されてから、5000年以上経った今でも、コミュニケーションの絶対的な原則や完璧な枠組みは存在しません。それでも、コミュニケーションは私たちの生活に不可欠です。
ポストモダンの哲学者デリダは、人と人のコミュニケーションを「郵便」に例えました。郵便と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?まず、郵便物が届くまでには時間的な遅れが必ずあります。

つまり、発信者と受信者の間に時間的なずれが生じることを指摘しています。また、郵便物が間違った住所に誤って配達されることもあるでしょう。デリダが言いたいことは、コミュニケーションには遅延や誤配といった問題がつきものであり、情報が発信者の意図通りに伝わることは稀だということです。
コミュニケーションにおいて、誤解や意見の相違を避けることは不可能であり、世界は多様であり、同じ人はいないため、完璧なコミュニケーションは存在しないという現実を受け入れるべきです。それでも、理解を求める努力を続ける姿勢が大切です。
端的に言えば、コミュニケーション能力を鍛えるうえでの基本的な前提は、誤解や遅延があることを受け入れ、肯定的に接し、理解を求める姿勢を持つことです。
さらに一度思惑を外れた解釈をされてしまったら元には戻せないという不可逆性も意識したうえで、コミュニケーションをとることが大切です。受け手に対して思った通りに意図が伝わらなかった場合、「何度言わせるのか」「なぜわからないのか」などの否定的な言葉を決して言ってはいけません。肯定的な態度を貫くことで、コミュニケーションは成立するのです。これは相手が同僚であれ、上司や顧客であれ、すべての関係性において言えることです。世の中は多様性に満ちていて、同じ人間など1人としていません。完璧なコミュニケーションを求めず、一定の諦めを持ちながら向き合うことが大切です。
「伝わらない前提」に立つとき、組織側が整えるべき土台が”言っても大丈夫”の感覚です。心理的安全性を「チームが対人リスクを取っても安全だという共有された信念」と定義し、学習行動(フィードバックを求める、エラーを話す等)との関連を示した研究もあります。研修だけでなく、上司の関わり(質問・傾聴・承認)がセットで必要になる理由です。
コミュニケーションは理屈よりも実践
コミュニケーションは言葉の意味が時代によって常に変化するものであり、TPOによって言語の使われ方が変わることも多々あります。単に知識として知っているだけでは、意図したコミュニケーションにならないことが多いはずです。コミュニケーションはやりとりの先で構造的に生じるものなのです。
コミュニケーションとコミュニケーション能力についての情報は、誰もが必要とするものであり、多くの啓発本、Eラーニング、研修などが提供されています。しかし、コミュニケーション能力は理論だけで身につくものではなく、実際の経験が不可欠です。言葉や理論だけではなく、実際に行動し、経験を積むことが何よりの近道です。
自分の行動が変化すると、相手の反応も変わり、その結果が自分にフィードバックされ、学習と成長が生まれます。コミュニケーションには正解がなく、完璧に伝わらないこともあります。しかし、試行錯誤を通じて失敗や成功を経験し、学んでいくことが大切です。
常に人は実践から新しいコミュニケーションを生み出しています。実践の場においてどのようなコミュニケーションスキルが身につくのかを、次の章で考えていきましょう。
コミュニケーション能力を鍛える方法
コミュニケーション能力を鍛えるには、語彙力や文章の作り方を工夫するだけでは十分ではありません。実践を通して多角的なメソッドを取り入れることが、スキルアップのために必要です。
「コミュニケーション能力」を分解して考えると、発信者が頭の中にある「思考」を他者に伝えるプロセスであり、受信者はその伝えられた情報を聴いて受け取り、自身の頭の中で「思考」し、それを分析する一連の過程を経ています。
つまり、コミュニケーションは、「思考」「伝える」「聴く」「解釈」「分析」という同時かつ連続的なプロセスから成り立っています。
このことから、発信者は自分の思考が整理されていないと、伝えたとしても整理されていない情報が相手に伝わり、相手には理解されません。また、言語はその国の文化に強く依存しているため、日本語の1人称がすべて「I」と表現される英語のように、直訳では伝えきれない表現も存在します。
要するに、コミュニケーションには複雑なプロセスがあり、情報の整理、適切な伝え方、相手の理解を考慮した伝達が重要です。言葉の選択や表現方法も、コミュニケーション能力の一部です。上記を踏まえたうえで、以下ではコミュニケーション能力を鍛えたい場合の、いくつかの方法をご紹介します。
弊社ソフィアの調査では、情報共有の施策として「チームメンバーとの定期面談・ミーティング」「1on1」「研修・トレーニング」が上位に挙がっています。つまり、研修だけで完結させず、1on1や会議体に”使いどころ”を埋め込むほうが、定着率を上げやすい設計です。
コミュニケーション自体を鍛える方法
コミュニケーション能力は、コミュニケーション自体を鍛える方法と思考を鍛える方法に分けられます。ここでは、コミュニケーション自体を鍛える方法をご紹介します。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、いわゆる「オウム返し」です。相手の言ったことをそのまま返すだけで、会話を深めていくことができます。カウンセリングでもよく用いられている有名な手法です。
パラフレーズ
パラフレーズとは、難しい表現をやさしい言葉に変更することです。たとえばビジネス用語が多すぎる会話は、新入社員など、ビジネス知識が多くない層にはうまく伝わりません。他の言葉に置き換えることで理解を促します。
エレベータートーク
エレベータートークとは伝えたいことを端的にまとめるスキルのことです。「同じエレベーターに乗り合わせたくらいの短時間で伝える」という意味合いからこの名前がついています。短い会話で相手の印象に残るようになると、人間関係やビジネスにおいて多くのメリットを得られるでしょう。
ミラーリング
ミラーリングとは、相手の動作を真似ることです。鏡のように写し取ることからこう呼ばれます。身振り手振りを真似すれば、相手は「波長が合う」と感じて、安心したり共感を覚えたり同調を高める傾向がしばし見られます。
アクティブリスニング
相手が話す内容にじっくり耳を傾ける姿勢のことです。真剣に相手と向き合うことで、言葉だけでなく、表情、ジェスチャーなどからもサインを読み取れます。スムーズな意思疎通ができるようになるでしょう。
すぐできる行動の習慣化
上位記事に多い”すぐできる行動”は、実は既存のメソッド(エレベータートーク、傾聴、パラフレーズ)を日常に落とすための「入口」です。研修では、次のような”1日単位の行動”まで落としてから練習に入ると、現場実装が速くなります。
- 挨拶+一言:雑談の”発生確率”を上げる(例:朝一の30秒)
- 結論ファースト:会話の冒頭で「今日決めたいこと」を言う
- 否定を保留:反対意見でも最初は要約して確認してから返す
対話
対話は会話とは違い、何かしらのテーマに基づいてそれぞれの意見を述べ合う行為です。対話によって、自分の感情や考え方、価値観などについて深く語れるようになります。自分の意識に自覚的になり、言語化できるようになるので、スムーズで正確な意思表示ができるようになります。
傾聴
傾聴とは、単に相手の話を聞くのではなく、積極的に耳を傾け、共感する行為です。このトレーニングによって、相手に共感を示し肯定的な態度をとれるようになります。より深く本質的なコミュニケーションが期待できるでしょう。
ファシリテーション
ファシリテーションとは、会議や社内研修などの指揮をとり、円滑に進める立場のことです。ファシリテーションのトレーニングをすることで、コミュニケーションを客観的に見る力、参加者の関係性を見抜く力などが培われます。
ロールプレイ
ロールプレイは、さまざまなシチュエーションを想定し、模擬的に会話を行うことです。自己紹介だったり、感謝の表現のやりとりだったり、クレーム対応だったりと、想定するシチュエーションはさまざまです。ロールプレイによって、コミュニケーションへの自信がつき、積極的にコミットできるようになるでしょう。
思考からコミュニケーションを鍛える方法
ここまでコミュニケーション自体を鍛える方法を見てきました。では、思考面からコミュニケーションを鍛えるにはどのような方法があるのでしょうか。どのような思考法がスキル向上の役に立つのか、以下にてご紹介します。
ロジカルシンキングやクリティカルシンキング
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングを行うことで、コミュニケーションの幅を広げることができます。物事を筋道立てて整理するロジカルシンキングは、矛盾のない説明ができる能力につながります。一方で、物事を批判的に捉えるクリティカルシンキングは、事実や根拠を否定的に捉えることで、より高次元の考えにたどり着くことができます。
メタ認知
コミュニケーション能力の向上を目指すなら、メタ認知能力が重要です。メタ認知は通常のコミュニケーションではなかなか意識しにくいものですが、言葉を別の言葉で言い換えることで、自分と相手が同じ前提にいて、同じ言語機能を共有できているのかを、一度立ち止まって考えるのです。コミュニケーション能力を磨くには、現状を正しく捉えて、不協和音が発生している部分に目を凝らすことが必要です。メタ認知能力を取り入れて、普段のコミュニケーションから効率的なスキルアップを目指しましょう。
大企業でのコミュニケーション研修設計
大企業では「研修を実施した」だけでは成果が見えにくく、現場の会議・1on1・越境連携に”接続”できた時に、ようやく行動変容が観測できます。そのため、研修を「個人スキル」だけで完結させず、職場の運用(会議体・上司の関わり)とセットで設計するのが前提です。
設計の型(例):
- 定義を揃える:厚生労働省の3要素(意思疎通・協調性・自己表現)や、経済産業省の発信力・傾聴力を軸に行動指標へ落とす
- 現状診断:アンケート+インタビューで「どこで詰まっているか」を特定(会議、1on1、部署間連携、ナレッジ共有など)
- 場面別に分ける:会議/1on1/チャット/クレーム対応など”現場シーン”別にロールプレイを作る
- 上司の関わりを同時育成:心理的安全性・傾聴・質問(コーチング)を管理職研修に組み込み、現場の”言える/聞ける”を支える
コミュニケーション研修の効果測定
研修の効果測定は、(1)受講満足(2)理解度(3)行動(4)業務成果のようにレベルを分けて捉えると、無理なく設計できます。特にコミュニケーションは”成果が遅れて出る”ことが多いので、行動指標(会議の質、1on1頻度、要約確認の実施率など)を先に置くのが現実的です。
測定例(KPIのたたき台):
- 会議:アジェンダ共有率、決定事項の明文化率、発言偏りの改善
- 1on1:実施率・頻度、上司の傾聴評価、率直に話せる感覚(心理的安全性)
- 部署間:情報の入手経路の多様化、連携満足度の改善
コミュニケーション施策のROIを示す方法 世界のインターナルコミュニケーション最前線①
広報部など企業のコミュニケーション部門の担当者にとって、経営陣へコミュニケーション施策のROI(投資利益率)を示…
まとめ
「コミュニケーション能力」とは、他者との意思疎通を上手に行うスキルのことです。現代社会では、メールやツールを用いたテキスト上のやりとりも含まれており、デジタル化やグローバル化の進行によってその難易度はますます上がっています。コミュニケーション能力が高まると、ステークホルダーとの関係性向上やイノベーションの創出、業績向上など、多数のメリットが期待できるでしょう。
コミュニケーションスキルには、比較的簡単に意識できる要素もある一方で、何度も実践を重ねることでようやく身につくものもあります。実践において、コミュニケーション全体をメタ認知で評価していけるようになることが、効果的なスキルアップのコツです。
コミュニケーション施策は「研修だけ」「ツールだけ」では最適化しにくいため、まずは現状把握(定量・定性)から始めると打ち手が整理しやすくなります。弊社ソフィアでは、大企業のインターナルコミュニケーション実態調査を踏まえた設計・伴走も行っています(資料ダウンロード・お問い合わせをご活用ください)。





