インターナルコミュニケーション

コミュニケーション研修の目的と種類|ビジネスで必須のスキル習得手法

現代のビジネス環境では、正しいコミュニケーションスキルを持つことが極めて重要です。多くの企業や組織では、コミュニケーションの円滑化や効率化を図るために、コミュニケーション研修やコミュニケーション講座を開催しています。

特に近年は、リモートワークやハイブリッドワークといった働き方の多様化が急速に進み、Web会議やビジネスチャットなど、非対面でのコミュニケーションチャネルが日常化しています。これに伴い、対面であれば自然に伝わっていたニュアンスや空気感が共有しづらくなり、組織内での心理的距離の拡大や、意図せぬ認識のズレが生じやすくなっています

この記事では、コミュニケーション研修の詳細な内容に触れながら、効果的なコミュニケーションスキルを身につけるためのポイントをご紹介します。異なる立場や意見を持つ人々と円滑にコミュニケーションを図るためのテクニックやコミュニケーションの基本原則について学び、ビジネスシーンでのコミュニケーション力を向上させていきましょう。

コミュニケーション研修とは何か

コミュニケーション研修とは、業務内外における適切なコミュニケーションについて学ぶためのプログラムです。

一般的に「コミュニケーション」といえば、何かを「伝える」という行動が想起されるかもしれません。

しかしコミュニケーションの語源はラテン語の「communis」で、日本語で「共通の」「共有する」「分かち合う」という意味を持つ言葉です。

この語源を見ると、コミュニケーションという言葉には「伝える」という意味以上に、物事を「共有する」という意味があると考えられます。

組織におけるコミュニケーションは、単なる情報伝達のツールにとどまらず、企業文化の醸成や従業員エンゲージメントの向上、ひいては組織全体の生産性を左右する根幹の要素です。特に大企業においては、階層が多重化し、部門間の機能が細分化されているため、意図的な「共有」の場とスキルを組織全体で底上げすることが、持続的な競争優位性を保つための必須条件となります。

コミュニケーション研修の現在地と組織課題の実態

日本の高度成長を支えた強い同質性・凝集性は、以心伝心・いわずもがなという、話さなくても考えがわかり気持ちが通じる組織風土を醸成してきました。しかし、1980年代以降、海外進出や多角化など既存事業で培った経験則では判断できない局面が多くなると、状況と雇用慣行の変化により一変しました。

話さなくても気持ちが通じるメリットより、論理的・建設的な議論ができないデメリットの方が勝るようになったのです。一方で、企業内の教育において「コーチング」「部下育成」「○○思考」といったヒューマンスキルは、基本的にはコミュニケーションスキルをさまざまな状況や場面に応じて活用するものであり、基本的な手法はほぼ同じです。それにもかかわらず、基本的なトレーニングを行わずに応用編ばかりを実施している企業も多いと言えるでしょう。

コミュニケーションにはお互いが共通に理解している足場の上にしか成り立ちません。

我々は日常的に言語をベースとして、一般常識や、ビジネスであればビジネス常識や業界常識を、お互いが共通理解している前提でコミュニケーションをとっています。この足場がしっかりしているほどコミュニケーションはとりやすく、足場が脆弱であればいくら言葉を尽くしてもコミュニケーションは難しくなります。

つまり、コミュニケーションの基本的なスキルを獲得する前に、応用編や用途別を学習した経緯と強い同質性・凝集性は、以心伝心、いわずもがなという下地も通用しなくなったため、コミュニケーションの問題はむしろ増大しているといいかえることができます。

業界や職種、専門分野が同じならばコミュニケーションはとりやすいのに対し、異なる業界、異業種など、世代も性別も国籍も違うような人とコミュニケーションから理解を深めることは非常に難しくなります。

社会やビジネスの足場となる常識や慣習は、通用せず、人の足場となる価値観や文化は、同質性から多様性へと変化しています。

したがって、コミュニケーション研修は、基礎から応用へ、そして、若年層から経営層まで、また、ビジネス熟練者であってもアップデートする必要がある研修と言えます。

このような背景の中、現代の企業が直面している具体的なコミュニケーション課題をデータから読み解くことが重要です。「フル_IC実態調査2024」は、株式会社ソフィアが独自調査した国内インターナルコミュニケーション実態を調査した報告書です(対象:従業員数1,000人以上の企業に勤めている現場及びコーポレート部門の方、回答者数:496名、テーマ:「インターナルコミュニケーションにおける課題と対策」「コーポレート部門からの情報発信」「社内コミュニケーション媒体の活用状況」)。

弊社ソフィアの調査では、実に約8割(79%)の企業が「社内コミュニケーションに課題を感じている」と回答しています。その中でも、課題の発生場所として最も多く挙げられたのが「部門間の壁(58%)」、次いで「上司と部下の関係性(51%)」でした。物理的な距離だけでなく、ツールの乱立による情報のサイロ化が、組織内の「認知的不協和」や「社会的孤立」を引き起こしている実態が明らかになっています。

さらに弊社ソフィアの調査では、経営層が発信する経営目標や戦略に対して「共感している」と回答した社員はわずか約1割(10%)にとどまりました。これは、トップダウンの情報発信が現場に届く過程で風化し、「やらされ仕事」として受け取られていることを示唆しています。また、マネジメント層の取り組みとして「1on1ミーティング」が最も多く実施されている一方で、「効果を感じない施策」としても1on1が上位に挙がるというパラドックスが確認されています。

では、コミュニケーションの重要性と不可能性という一見相反するこの性質を、どのあたりで融合させればいいのかを考えていきましょう。現代においては、ありとあらゆるものが多様に変化していき、なかでも言葉の意味や解釈はとくに変化しています。

対面でのコミュニケーション以外にも、Web会議・電話・チャットツールを用いるなど、シーンもその発信方法も選択肢が増えました。会話以外にも配信動画、テキストなど、変数だらけです。こうした有為転変とした現代のビジネスシーンでは、コミュニケーションスキル自体、一度学習すればずっと有効だとは言えないのではないでしょうか

コミュニケーションの相手の変化だけでなく、世界の当たり前がこれまでにない速さで変化する時代において、多くの日本の企業では形式ばった新入社員や若手向けのコミュニケーション研修は多々あります。当然、新入社員へのコミュニケーション研修は必要なのですが、果たして新入社員だけが対象なのでしょうか。変化の波に直面しているのはすべてのビジネスパーソンであるため、課長・部長、もっといえば社長向けのコミュニケーション研修もなければなりません。

コミュニケーション研修の導入目的

コミュニケーションは、それ自体が目的となることはあまりなく、あくまで相手があって、相手とのコミュニケーションを通して達成したい目的があって行われるものです。企業が実施するコミュニケーション研修では多くの場合、コミュニケーションの目的として、正確かつ円滑に物事を進めることや、業務内外での人間関係を円満に保つことなどを想定しています。

なぜなら、仕事の中で関係者と意思疎通を図る際、双方の理解のずれや意見の対立を放置すれば、業務上の事故につながりかねないからです。実際の業務に必要なコミュニケーションスキルは業種や業態・働き方・状況などで異なります。また、何のためのコミュニケーションなのかも仕事の状況によって変わるでしょう。さらに、受講者によって得意不得意があり、コミュニケーションの習熟度も異なります。

そのため、研修の前に「どのようなコミュニケーション能力を獲得するのか」を具体的に設定する必要があります。そのうえで、そのコミュニケーションスキルが活用されるシーンも設定しなければ意味がありません。コミュニケーションの相手となる人物は誰なのか、場所はどこなのか、相手とはどのような関係なのかを明確にして研修を行いましょう

実際の研修では、まず業務内外のコミュニケーションに関する基礎知識を学んだうえで、実践を通してスキルを身につけていく形が理想的です。研修を設計する際に前提となる「コミュニケーションの目的」が漠然とした抽象度の高いものであれば、実務における再現性は低く、研修の効果性が薄くなります。

逆に言えば、活用シーンをより具体的にし、受講者の状況を考慮してカスタマイズをすれば、研修の効果性は向上します。具体的な活用シーンとリアリティのある目標を設定し、「伝えるスキル」と「聴くスキル」の双方を学ぶことが、実践的なコミュニケーションスキルの習得につながるのです。

コミュニケーションスキルは、自分と相手の間に生まれる空気感を含めてその高低が規定されます。顧客向けに商品を紹介するためのプレゼンテーションを例に挙げると、プレゼンテーション研修を受けた直後から実践に移せる人はあまり多くはいないのではないでしょうか。

頭で理解する研修よりも、経験に基づいて体を使うというのがコミュニケーションの本質です。スキルを道具として考えた場合、使えば使うほど精度は上がります。現場を意識した研修を行う場合、道具としてのスキルを身につけることを目的にしたうえで、いつ・どこで・誰に・どのスキルを使うのかを明確にした研修設計が必要ではないでしょうか。

また、コミュニケーション研修の導入目的は、単なる業務効率化にとどまらず、近年深刻化している「人材の定着・離職防止」にも直結します。人間関係に起因するストレスや孤立感は早期離職の大きな要因です。研修を通じて職場内の心理的安全性を高め、相談しやすい環境を意図的に構築することは、エンゲージメントの向上と離職率の大幅な改善に寄与します

階層別コミュニケーション研修の対象者

 あなたの職場では、こうしたお悩みはありませんか?

・初めてのお客様とのコミュニケーションや関係構築に苦手意識を感じている

・社内での円滑なコミュニケーションにより、業務を効率的に進めていきたい

・会議での発言や合意形成について課題を持っている

 具体的には、次のような悩みを抱えている方に当てはまるでしょう。

・お客様との商談時の会話や雑談などのコミュニケーションが難しい

・上司や部下に伝えるべきことを明確に伝えられず業務の停滞が見られる

・会議と業務の時間のバランスが悪い

・社内コミュニケーションに課題を感じ、業務の効率化や職場環境の改善をしたい

これらの悩みは、従業員の役職や社内での立ち位置によって大きく性質が異なります。そのため、上位企業の研修プログラム事例を見ても、対象者の階層ごとに目的を細分化した研修設計が主流となっています。各階層に求められるスキルと研修内容の対応は以下の通りです。

対象階層 直面しやすい課題 求められるスキル・研修内容例
新入社員
・若手社員
組織のルールに馴染めない、上司への報告のタイミングがわからない 社会人基礎力としての「ホウ・レン・ソウ」、テキスト・メールの書き方、ビジネスマナー、アサーティブな自己表現
中堅社員
・リーダー層
他部署との利害対立、関係者を巻き込んだ業務遂行が難しい 部下との信頼関係構築、ネゴシエーション(交渉力)、他部署を動かす巻き込み力、ファシリテーションスキル
管理職
・経営層
1on1が形骸化している、経営戦略が現場に伝わらない、ハラスメントへの過度な恐れ コーチング、傾聴力(アクティブリスニング)、心理的安全性の醸成、アンコンシャス・バイアスへの対処、合意形成
中途採用
・外国人社員
 企業特有の文化や「行間を読む」コミュニケーションに戸惑う 異文化理解、日本式コミュニケーションの基礎、社内ルールの体得と組織への早期適応(オンボーディング)

 

当然ながら、上記のようなシーンは個別の企業ごとに異なります。パッケージの汎用製品よりも、1回のカスタマイズで実施する方が受講者にとっては有用なものになります。実施計画を立てる段階で、カスタマイズやレディメイドに対応できるベンダーを選定しましょう

コミュニケーション研修の段階と切り口

コミュニケーション研修では、コミュニケーションをいくつかの段階に分けて学んでいくと理解しやすいでしょう。コミュニケーションの段階分けにはさまざまなパターンが存在しますが、ここでは、コミュニケーションを「共有」「議論」「合意形成」の3つの段階に分ける考え方を紹介します。

受講後のコミュニケーションによって現場に立ったときに明暗が分かれるため、各フェーズにおけるポイントをおさえていきましょう。

共有

「共有」の段階では、お互いに気持ちや情報を「共有」しながら、相手がどんな人なのか・どんな考えを持っているのかを知っていきます。ここでは、相手の話にしっかりと耳を傾ける「アクティブリスニング」のスキルを育てましょう

相手の意見を聞いて理解できたら、自分の考えとの相違点や今後の議論の焦点を明確にしていきます。相手の考えや言いたいことをより明確にするには、適切な「問い」を立てたり、「ディベート」のように立場を分けたりするなどの方法が有効です。

この「共有」の基盤を作るためには、相手への共感と自己開示が不可欠です。弊社ソフィアの調査でも指摘されたように、上司と部下の関係性において、上司側から意識的に自身の失敗談や思考の背景を開示する(ヴァルネラビリティの開示)ことで、部下も本音を話しやすくなり、強固な信頼関係が構築されます。

議論

「議論」の段階は、「共有」の段階で発見したお互いの考えの相違点や議論の焦点について、実際に議論・討論をしながら問題点を発見し、解決方法を探っていくステップです。問題解決の方法を考える際は、ブレインストーミングが効果的です。ブレインストーミングとは議論の手法の一つで、複数人で意見やアイデアを出し合います。

さまざまな視点から意見を出し合うことで、考えが整理されたり、創造的な発想が生み出されたりする効果があります。

合意形成

最後は、問題解決に向けた「合意形成」の段階です。合意形成とは、意見が食い違っている状況の中で、互いに納得がいくポイントを見出すことです。ブレインストーミングで出した意見やアイデアから、合意できるポイントを見つけていきましょう。

なお、プロジェクトの遂行など、共通の目的を持って業務にあたる場合は合意形成がとくに重要になります。参加者それぞれが心から納得していれば、全員が当事者意識を持って、同じ熱量で取り組めるようになるからです。

コミュニケーション研修の具体的な内容と種類

ここまで、コミュニケーション研修の段階を整理してきました。では、実際の研修にはどのような手法があるのでしょうか。さまざまな切り口のあるコミュニケーション研修の中から、具体的な内容や手法をご紹介します。

ディスカッション研修

ディスカッション研修はその名の通り、コミュニケーションに欠かせない「ディスカッション」に特化した研修です。参加者全員が納得する結論の導き方や、意見の整理の仕方を身につけていきます

ディベート研修

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの能力を開発したい場合は、ディベート研修が効果的です。実際に論争を行いながら、論理的な意見の伝え方や批判的に考える方法を体験的に学習できます

ファシリテーション研修

議論を先導していくスキルを育てるためには、ファシリテーション研修が最適でしょう。人の意見を引き出したり、異なる意見をまとめたりというスキルに特化した研修です。

対話/問いの立て方研修

お互いの意見の違いをすり合わせたり、相手の意見をより深く理解したりするためには、対話や問いの立て方についての研修が最適です。テーマに基づいてそれぞれの意見を述べ合い、より相手を深く理解することでお互いの意思疎通を図ります。

傾聴研修

1on1ミーティングにおいて上司が部下の意見を理解するためには、傾聴研修が有効です。傾聴とは、平たく言うと「きちんと耳を傾けて聴くこと」、つまりアクティブリスニングです。より深く相手を理解するために、聴く姿勢や質問の方法など、傾聴の具体的なやり方を知っておきましょう

ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキングは、述べることで説得力を持たせるための資質を培うことができます。例えば商談の際には、自社の商品やサービスの価値を科学的根拠に基づいて理解してもらうことができます。

また、ロジカルシンキングは矛盾を生みにくく、相手にわかりやすく説明することができます。研修を行うことで学んだことを実践に移し、スキルとして発揮できるようになります。最終的には、問題解決スキルや生産性、そして効率を高める能力を備えることができます

クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキングとは、分析的に物事を考え、本質的な問題を把握するための思考プロセスです。反証プロセス・弁証法・反証法のように、事実や根拠を用いてより高次元の問題を再構築します。

重要なのは、クリティカルシンキングが意見を否定することではなく、背後にあるエビデンスやデータを精査することで正しい答えを導き出すことです。クリティカルシンキング研修は、実践的に活用することによって理解を深め、先入観や仮定を疑い、客観的に分析しながら問題の本質を探究していきます。

ラテラルシンキング研修

ラテラルシンキングは、従来の思考の枠組みから自由で、創造的な解決策を導き出す思考法です。ラテラルという言葉は英語で「側面の・横方向の」という意味であり、慣れ親しんだ常識や前提を取り払うことで、物事を新たな角度から見ることができます

このアプローチにより、多面的な考え方を育むことができます。ビジネスの世界では、学校の課題のように一つの正解が明確なわけではありません。あらゆる可能性を分析し、最適な解決策を見つけるために常に試行錯誤が必要です。とくに現代のビジネス環境では変化や不確定要素が多く、過去の常識や前提が通用しないことが多々あります。ロジカルシンキングとラテラルシンキングは、ビジネスにおいて重要な思考技術であり、コミュニケーションスキルの向上にも役立ちます。

アサーション研修

お互いの価値観を尊重しつつ、自分の意見を明確に言葉にして深い議論を行うためには、アサーティブ研修が有効です。アサーションとは、意見の対立があるシーンにおいて、相手と対等な立場で自己主張や説得をするコミュニケーション方法です。伝える状況に沿って自己主張や説得を行う練習をすることで、相手の立場を理解しつつも「無理なものは無理」とはっきり伝えて代替案を出すといったことができるようになります。

オンライン研修・リモート研修

上に紹介したようなさまざまなコミュニケーション研修を、オンラインで実施する企業も増えています。オンライン研修・リモート研修を行う際には、対面の研修との違い・メリットとデメリットを理解して実施する必要があります。

オンラインやリモートで研修を行うメリットの一つとして、デジタルツールを利用することで講師と受講者や受講者同士の双方向コミュニケーションが容易になることが挙げられます。チャット機能・リアクション機能・アンケート機能を積極的に活用しましょう。

一方で、デメリットとしては、どうしても画面越しのため参加者の表情や反応が読み取りにくい点や、通常業務とは異なる環境で受講する集合研修と比べて参加者が気持ちのメリハリをつけにくいなどの点が挙げられます。これらへの対策としては、受講者のラーニングエクスペリエンスに着目した研修設計を行うことが効果的です。学習の各段階における受講者の心情を想像し、受講者が業務に結びつけやすい学習体験を得られるよう研修を設計しましょう。

体験型ワークショップ・ビジネスゲーム研修

近年、座学中心のスキル習得だけでなく、体験を通じて無意識のコミュニケーションの癖に気づき、心理的安全性を高めるための「ワークショップ形式」の研修が非常に高く評価されています。具体的には、以下のような独自プログラムが展開されています。

研修手法 具体的な内容と特徴 期待される効果
レゴ®
シリアスプレイ®
レゴブロックを用いて、自身の価値観やチームの目指す未来像を立体的に表現する 言語化が苦手なメンバーも参加しやすく、深い自己開示と相互理解・心理的安全性の構築に直結する
インプロ
(即興劇)
台本のない即興のやり取りを行うワークショップ 相手の言葉を肯定して受け入れる「Yes, And」の精神を体感し、柔軟な共感力やとっさの対応力を養う
ビジネスゲーム 「ドミノ電鉄」など、チームで一つの目標に向けてゲーム形式でミッションを達成する 楽しい雰囲気の中で、自然なコミュニケーションや報連相の重要性・協力し合う風土を醸成できる

 

このような体験型プログラムは、弊社ソフィアの「フル_IC実態調査2024」で浮き彫りになった「部門間の壁」や「部署間の対立」を解消するためのアイスブレイクや、チームビルディングの初期段階において非常に有効に機能します

コミュニケーション研修の選び方と具体的な進め方

ここまでコミュニケーション研修の種類を見てきました。では、いざコミュニケーション研修を行うとなった場合、どのようにプログラムを組み、進めていけばいいのでしょうか。ここからは、具体的なプロセスを解説します。

目的の設定と活用シーンの明確化

初めに、研修の目的を設定することが大切です。受講者にとってのコミュニケーションの相手として想定するのは顧客なのか、上司なのか、あるいは社員なのか、という対象を明確にしましょう。

また、コミュニケーションをとる場が会議なのか商談なのかなどを定め、コミュニケーションのシーンを細かく設定していきます。そこからさらに、意見相違を解消したいのか・相手の不安を解消したいのかなど、コミュニケーションの先にある目的を定めていきます。

対象やシーンを詳しく設定すればするほど実際の現場で起こるコミュニケーションに応用しやすくなり、より実践的な研修が可能になります。しかし、目的や受講者の状況を具体的に設定すると研修内容をカスタマイズする必要が出てくるため、効果性は向上するものの一人あたりのコストは上がります。研修の費用対効果を考慮してうまくバランスをとりましょう

目的設定の際には、「コミュニケーションスキルを習得できた状態」や「コミュニケーションスキルが発揮されているシーン」を言語化することから始めることが重要です。実践の場が明確になることで、研修の結果を現場での実践に反映(研修転移)することが容易になります。複雑なコミュニケーション設計が必要な場合は、外部のベンダーにヒアリングや自社のケーススタディを作成してもらうなどしましょう。

信頼構築から相互理解までの4ステップ

目的が定まったら、コミュニケーションの実践プロセスを次の4ステップで設計するとよいでしょう。

1.信頼構築

まずは相手と会話のペースやテンポを合わせ、相手が話しやすい雰囲気になるよう徐々に信頼関係を築きます。

2.相手の話を聞く

次に相手の話に耳を傾け、相手の話を引き出します。このとき、オウム返しを使って話の整理をしながら聞くことも大切です。

3.伝える

理解した内容をわかりやすく伝えます。このときに意識することは、これまでに出てきた思考法を用いて情報を整理し、コミュニケーションの相手のゴールへ意識を向けることです。思い込みで進めると結果的に遠回りすることにもなりかねません。

4.相互理解

最後に、相手から発信されるメッセージを理解し、相手の立場や視点・価値観に立って理解を深めます。自分の立場で相手の意見を理解するだけでなく、相手の立場に立って考えると、より深く理解できるようになります。

研修で扱うコミュニケーションの種類と機能の洗い出し

次に、現場において起こりうるコミュニケーションの種類(手段・ツール)や、コミュニケーションの機能を定義していきます。やり取りはメールや電話で行われるのか、それとも直接会話するのか、他にもオンライン会議・ビジネスチャット・対面会議などさまざまなケースが考えられます。

どのような種類のコミュニケーションを研修で扱うべきかを明確にしましょう。また、そこで行われるコミュニケーションがどのような機能を担っているのか、たとえば単なる連絡や調整なのか・合意形成や意思決定なのか・交渉なのかなども具体的にしておきましょう。

近年は、チャットツール等での「テキストコミュニケーション研修」の需要も高まっています。対面では冷たく聞こえないよう配慮ができる人でも、テキストになると意図せず強い表現になってしまうケースが多発しているため、それぞれのチャネルに特化した配慮の仕方を研修で扱うことが重要です

実践と振り返り

研修で扱うコミュニケーションの種類や機能についての定義が完了したら、いよいよコミュニケーション研修を開催します。集合研修やeラーニングによって、アクティブリスニングや質問スキルといった細かなスキルを身につけます。

必要な知識に関する学習を終えたら、ペアワークやグループワークなどでコミュニケーションの実践を行いましょう。たとえば、コミュニケーションの目的が「部下に対する動機づけ・エンゲージメントの維持」だとします。その場合、面談という設定のもとで1on1ミーティングのロールプレイを実施し、振り返りを行います。

振り返りを行う際の着眼点の一つとして、「メタ認知」が挙げられます。「メタ認知」とは、自分自身の思考プロセス・認知活動を理解・把握・制御することです。

参加者の声:

「後輩や同僚への接し方がこれまでとは別のアプローチができそうです。こちらからの声掛けやアプローチ方法について多くを学びました。」

「無意識のうちに思い込みにとらわれないよう、視点を変えようと思いました。多様性を意識して周囲と接します。」

「相手の判断軸を知ることや、自分の思ったことがすべて思い通りに伝わることはないことなど、会話の中で理解度を確認しながら先に進められるので、すれ違いのようなことが減りコミュニケーションをとりやすくなると思いました。」

コミュニケーション研修は実務に転移させなければ意味がない

コミュニケーション研修で重要なのは実践です。

研修におけるロールプレイなどで模擬形式の実践を行うことも大切ですが、実際の業務の中で実践を行うとより早く効果を実感することができます。

そのため、コミュニケーション研修を行った後は、実際の業務において実践する機会を設けましょう。

コミュニケーションスキルの獲得においては、実践と振り返りの量を増やすことがもっとも早道です。

なお、コミュニケーション研修では外部講師に依頼するケースが多いかと思いますが、実践の量を増やすためには研修の内製化を検討することも必要です。

社員が研修を設計し、講師も社員が務めることによって、より現場の実情に即した研修プログラムを組み立てることができるだけでなく、研修内容に企業風土を反映することも可能になります。

これによって、より研修と実践を密接に結びつけることが可能になるのです。

コミュニケーションの要素はさまざまありますが、基本は「伝えるスキル」と「聴くスキル」です。

小手先の交渉術などを知っていたとしても、基本がおさえられていなければ効果的なコミュニケーションはできません。

時間をかけてでも、まずは基本的なコミュニケーションを身につけ、的確に伝え・聴くことによって相手の信頼を得ることが重要です。

そこから、さらに高度な知識やスキルを積み上げてスキルアップをしていきましょう。

効果測定とROI(投資利益率)の可視化

コミュニケーション研修が単なる「やりっぱなし」に終わらないためには、研修の効果を客観的な指標で測定し、経営層にROI(投資利益率)を提示する仕組みが必要です。研修直後の満足度アンケートだけでなく、職場の行動変容を追跡するためのKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。

測定対象のコミュニケーション 効果を測定するための具体的なKPI例
会議・ファシリテーション アジェンダの事前共有率、決定事項の明文化率、会議時間の短縮時間、発言の偏りの改善度
1on1ミーティング 実施率および実施頻度、上司の傾聴姿勢に対する部下からの評価スコア、職場の心理的安全性スコア
部門間の連携 部署間の情報入手経路の多様化、連携満足度のアンケート推移、部門間トラブルの減少数

 

さらに、研修の前後で「エンゲージメント診断」や「HRテックを活用した組織診断サーベイ」を実施することで、組織全体に対する信頼度や貢献意欲がどのように変化したかを可視化することが可能です。これにより、コミュニケーション研修が組織の業績向上や離職防止にいかに寄与したかを定量的に証明することができます

まとめ

社内外とのやり取りを円滑化させるスキルを社員が身につけるうえで、コミュニケーション研修は重要なものです。まず研修の目的を明確にし、自社に必要なコミュニケーションスキルは何かを洗い出していきましょう。目的のないまま研修を行っても、思うような効果は得られません。

また、コミュニケーション研修を行った後は、学んだことを実践する機会を用意し、実践と振り返りを繰り返すことで、より早く効果的なコミュニケーションスキルを身につけることができます。

要するに、弊社ソフィアの「フル_IC実態調査2024」が示す通り、現代の組織は多様化と分断の危機に直面しています。だからこそ、「対象者に応じた的確な研修設計」「体験型ワークショップによる心理的障壁の撤廃」「効果測定を通じた継続的な改善」が、企業の未来を切り拓く強力な武器となるのです。

お問い合わせ

コミュニケーションスキル研修についてよくある質問
  • コミュニケーション研修はオンライン形式と対面形式のどちらが効果的ですか?
  • 研修の目的や扱うテーマによって異なります。基本的な知識の習得や、ロジカルシンキングのフレームワークを学ぶ座学であれば、時間や場所を選ばないオンライン研修やeラーニングが効率的です。一方で、相手の空気感を読み取る「傾聴」の実践や、レゴブロックなどを用いた体験型ワークショップ、インプロ(即興劇)を通じたチームビルディングは、非言語情報を直接共有できる対面形式のほうが高い効果を発揮します。事前に動画で知識をインプットし、集合研修で実践的なロールプレイのみを行う「反転学習」のスタイルも近年推奨されています。

  • 現場の管理職が研修に対して「忙しい」「必要ない」と抵抗感を示す場合、どう対処すべきですか?
  • 管理職の抵抗感を払拭するためには、研修が彼ら自身の「実務の課題解決」に直結することを事前に理解してもらう必要があります。例えば、弊社ソフィアの調査(フル_IC実態調査2024)等のデータを提示し、「コミュニケーション不全が結果的に部門間のトラブルや部下の離職を招き、管理職の業務負担を増加させている」という事実を共有します。また、現場のリアルな課題をケーススタディとしてカスタマイズし、研修内で直接その解決策を議論する形をとることで、当事者意識を持たせやすくなります。

  • 新入社員と中途採用者で、コミュニケーション研修の内容は分けるべきですか?
  • はい、分けることが推奨されます。新入社員には、社会人としての基礎的な「ホウ・レン・ソウ」やビジネスマナー・アサーティブな自己表現の基礎を教えることが中心となります。一方、中途採用者はすでに一定のビジネススキルを持っていますが、新しい職場の「暗黙のルール」や「企業文化」に速やかに適応(オンボーディング)するためのコミュニケーション手法に特化する必要があります。対象者の現在地(スキルレベルや抱える悩み)を正確に把握し、プログラムを最適化することが研修成功の鍵です。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。