ラテラルシンキングの鍛え方のポイントは?フレームワークを利用したトレーニング方法を解説

ラテラルシンキングは、今までとは異なる視点から新たな答えを導き出す思考法です。発想の転換によって、行き詰まった状況を大きく打破する解決策に導くことから、ビジネスシーンでも重要視されています。

この記事では、ラテラルシンキングを身につけたい人に向けて、鍛え方のポイントを解説します。

これまでにないイノベーティブなアイデアを生み出すラテラルシンキングという思考法について、理解を深めていきましょう。

ラテラルシンキングとは?

ラテラルシンキングとは、常識や前提を取り払うことで、これまでにない解決方法を導き出す思考法です。英語で「水平の」を意味するラテラルという言葉の通り、新しい角度で物事を見つめ、多面的に思考を広げていきます。視点だけでなく、視座を変えながら自由に発想していくこのプロセスは、具体的なテーマを抽象化していく作業とも言えます。

ラテラルシンキングは、これまでにないイノベーティブな解決策を見つけるきっかけになるでしょう。一見行き詰まっているように思える状況も、ラテラルシンキングによって一気に打破されることがあります。このことから昨今、ビジネスシーンでも重要視されています。

ラテラルシンキングがビジネスにおいて重要な理由

ラテラルシンキングはビジネスシーンにおいても重要視されています。その理由として、ビジネスの世界には学校の課題のように、あるひとつの明確な答えが存在しないことが挙げられます。ビジネスの現場は、あらゆる可能性を対象に分析と判断を繰り返していくことで、最善の解決策を見出していくものです。特に現代は変化や不確実な要素が多く、先行きを予測することが困難な時代で、過去の前提や常識の多くが通用しなくなってきています。

だからこそ今、変化に柔軟に対応し、自由な思考を持つ人材が必要になっているのです。

たとえば、ある企業が経営するアイスクリームショップで、食べ終わったあとの容器のゴミが周辺に散らばることが問題になっていたとします。
この解決策を考える場合、多くの人は、ゴミをいかに回収するのかを考え、ゴミ箱を増やすなどの解決策を提案するでしょう。

しかしラテラルシンキングでは、そもそもゴミが出ない方法を考えます。一例として「アイスクリームのカップをコーンにして、食べてもらう」という回答が導かれます。これが、ラテラルシンキングに基づいた考え方です。

特に、大企業では、古くからの慣習や上下関係、風通しの悪さなどによる、業務フローの定型化が問題視されているケースがあります。
前例に倣ってアイデアを出すのが基本になっているのです。しかし、誰かが辿っていた道を進むやり方では、変化に対応することはできません。ラテラルシンキングを身に付けることで、問題を多角的に捉え、新しい発想に期待できます。結果、ビジネスを有利に進められることができるでしょう。

ロジカルシンキングとラテラルシンキングがよく比較されますが、比較対象として適切ではありません。しかし、ビジネスにおいて汎用の高さという点において ロジカルシンキングとラテラルシンキングは重要な思考でありコミュニケーションスキルと言えます。

ラテラルシンキングの鍛え方・トレーニング方法

ここまで、ビジネスシーンにおいての、ラテラルシンキングの重要性について解説をしました。

ここからは、ラテラルシンキングの鍛え方について、ポイントを整理していきます。ラテラルシンキングを鍛える参考として活用しましょう。

仮説や前提を破壊する

ラテラルシンキングでは、前提とされているあらゆる条件を取り払うことが大切です。
そのためにまず、今自分がどのようなものを前提条件として認識しているのか、思考内容を整理しましょう。自分自身で思考の偏りを認識するのは難しいので、第三者的な立場に立つよう心がけます。場合によっては、他人とのコミュニケーションを通して俯瞰してみてもいいでしょう。

いずれにしても、誰しも無意識のうちに思い込みで考えてしまうものと自覚し、その思い込みを取り払う ことが求められます。

前提となっている条件のすべてを、前提ではないものとして考えてみることで、ラテラルシンキングのスタート地点に立てます。

シックスハット法

シックスハット法は、客観・直感・否定・肯定・創造・俯瞰の6つの立場で、アイデアを捉え直す思考法です。それぞれの視点には6つの色が割り当てられています。6色の帽子、もしくはそれに変わる色紙などを用意しスタートします。

たとえば黒は、否定の色とします。黒い帽子や色紙を手にとっている間は、自分の本心に関わらず、テーマについてネガティブな意見を述べます。黒のターンのときに、否定以外の意見を述べてはいけません。もし本来そのテーマをポジティブに考えていたとしても、じっくりと考えれば、リスクや不安材料が見つかるはずです。

このようにして、自分の考えとは違う視点でアイデアを得ることで、議論の幅を広げていくのです。ラテラルシンキングでは、特定の発想にこだわらずに広い視野で思考することが大切です。シックスハット法は、視野を広げるためのトレーニングとして有効な方法なのです。

ロールプレイ・比喩発想法

ロールプレイ・比喩発想法は、自分とは別の立場に立ち、相手になりきって物事を考える思考法です。ビジネスの場面では、競合他社の立場になるシーン設定などが考えられます。

演じるという行為を通して、自分の思考から一旦離れ、別の視点から物事を考えることができます。相手の立場だからこそ辿り着けるような新しい枠組み・アイデアに出会う事ができるでしょう。

また、ロールプレイを録画して見返すことは、より効果を高めることができます。動画を見ながら、思ったことや学んだことを話し合い、思考プロセスを整理するのもいいでしょう。自発的に思考を広げられるので、ラテラルシンキングのトレーニングになります。

ブレーンストーミング法

ブレーンストーミング法は、あるテーマについて複数人で自由に意見を出し合う方法です。一般的には付箋を使って、付箋1枚につき1つのアイデアを書いていきます。このときに重要なのは、誰の意見も否定せずに進めることです。アイデアの是非を考えるのではなく、出されたすべてのアイデアを発展させていく姿勢で行いましょう。

アイデアの質を問わない代わりに、たくさんのアイデアを出すことがポイントになります。一般的なアイデアを出すのではなく、既視感のないユニークなアイデアを出すように意識するとより効果的です。一定量のアイデアが出たら、それらを整理していきましょう。自由に発想を広げていくという姿勢は、ラテラルシンキングを鍛えることにつながります。

アフィニティ・ダイヤグラム

アフィニティ・ダイヤグラムは、情報をグループ化していくフレームワークです。アイデアやデータ、意見などの情報を、いくつかのグループに細かく分類することで、より状況を把握しやすくなります。

一般的には、情報が書かれた付箋を壁やホワイトボード上で移動させながら、まとまりを作っていきます。アフニティ・ダイヤグラムを活用することで、散らばって把握しづらい大量のデータを、つながりやまとまりを持ったグループとして把握できるでしょう。アイデアをグルーピングして、上位の概念をつけてまとめる作業も、ラテラルシンキングを鍛える助けになります。

クレージー・ブレーンストーミング

クレージー・ブレーンストーミングは、一般的なブレーンストーミングの一部を大きく変えた思考法です。まずはテーマとなる問題を、できるだけわかりやすく文章に落とし込みます。その文章の一部を、普通では考えられない、まったく違うものに置き換えることで、発想を一気に活性化させます

たとえば、課題の主語が「社員」であるところを、「イヌ」に置き換えるようなイメージです。一見して突拍子もない議論になりそうですが、そこから、まったく新しい解決方法のヒントを得られる可能性があります。問題を置き換え別の視点から問題について考えるこの手法も、ラテラルシンキングに通ずるものがあります。

SCAMPER法

SCAMPER法は、アイデアを拡張し、自由に広げていくための思考法です。「SCAMPER」とは、次の頭文字をとってできた言葉です。

Substitute(何か他のもので代用する)
Combine(何かと何かを組み合わせる)
Adapt(他のものを適応させる)
Modify(どこかを修正する)
Put to other uses(別の用途を考える)
Eliminate(どこかを削除する)
Reverse/Rearrange(何かを組み替える)

これら7つの角度から既存のアイデアを見直すことで、より精度の高い新しいアイデアを導き出します。思考中は、アイデアの質について考える必要はありません。どのような意見でも一度受け入れ、判断や評価は後でまとめて行いましょう。

ラテラルシンキングを鍛える際に意識したいポイント

ラテラルシンキングを活用することで、これまでにないイノベーティブなアイデアを見つけることが期待できます。抱えてきた課題が簡単に解決されるケースもあるでしょう。

では、社員がラテラルシンキングを身につけるために、企業はどのようなことを意識すればいいのでしょうか。

まず大切なのは、社員に課題を明確に意識させることです。そして、課題の置き方や、前提について、一旦疑ってみる姿勢をもたせることがポイントです。

状況を客観的に捉えることができたら、次は自分自身に思考の矛先を向けます。「自分が今なにをどう認識しているのかを認識する」という、いわゆるメタ認知することで、自分が抱え持っている常識や先入観を理解します。そして、それらを取り払うことで、視野狭窄に陥っていた自分の思考を広げるのです。

メタ認知を上手く行うためには、客観的な視点を持つことが不可欠です。社員に客観的視点を形成したい場合、いろいろな立場の人と関わる機会を与えるのが効果的でしょう。他者の視点を取り入れることで、広い視野で物事を捉え、他の可能性について意識できるようになります。

まとめ

ラテラルシンキングは、これまでの常識や前提を取り払い、まったく新しい答えを見つける思考法です。不確実な要素の多い現代のビジネスシーンでは、ラテラルシンキングによる柔軟な思考で打開策が生み出されることも多くあります。

ラテラルシンキングを鍛えたい場合は、本記事で紹介した方法で思考をトレーニングするのがおすすめです。これまでにないイノベーティブなアイデアを導き出すために、ぜひラテラルシンキングをご活用ください。このほかロジカル・シンキングやクリティカルシンキングなどもあわせてご活用ください。


株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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