「1on1で話すことがない」を解決!意味のある対話のために大切にしたいことを解説

1on1ミーティングにおいて、時に「話すことがない」状況に直面することがありますが、その背景や解決策について理解することが重要です。なぜ対話が成り立たないのか、その原因を探りつつ、意味のある1on1ミーティングを実施するための対策を解説します。

1on1ミーティングをより有意義なものとするために大切にしたいポイントも明らかにしていきます。

1on1の目的

1on1ミーティングの目的は「部下の成長を促進する」ことです。部下は日常業務の中で、様々な成功と失敗を体験しています。部下が体験したことについて、考えていることや成功要因・失敗要因などについて話し合い、部下の成長を促進し、支援することを1on1ミーティングで行います
部下の話を聞いて、業務やキャリアの振り返りを実施し、部下が持つ悩みや課題への解決策のアクションプランを立てたり、上司からサポートをしたりすることで、納得感を持って次の行動を促すことができるでしょう。
部下が成長することで、「上司・部下間の信頼関係の構築」、「目標の達成力の向上」、 「部下の自律的なキャリア支援・エンゲージメントの向上」といった様々なメリットを組織・上司は受けることができます。

また、組織によっては上にメリットとして挙げたような目的を掲げている場合もありますが、部下が成長することによる副産物である場合がほとんどです。

なぜ1on1で「話すことがない」に陥るのか

1on1ミーティングにおいて「話すことがない」と感じてしまう理由は何でしょうか?
上司と部下でその理由は異なりますので、両方の立場から説明していきます。

上司側が「話すことがない」と感じる理由

上司・マネージャーなど部下をマネジメントする立場で1on1ミーティングを実施する人が「話すことがない」と感じる理由は主に以下のようなことが考えられます。

  • 1on1のやり方が分からない
  • マネジメントスキルが低い
  • 部下の話を上手く聞き出せない
  • 1on1を実施する意義が分からず、時間の無駄に感じている
  • 部下との信頼関係を構築できていない
  • 部下の人材育成に関心がない
  • 業務が多すぎて話題を考える時間がない

上司側の視点では、相手の話を引き出せない・話題が思いつかない、つまりは「話し方が分からない」というコミュニケーションのスキル不足や、1on1ミーティングやマネジメントに対するモチベーションの低さ、マネージャーとしての忙しさが原因と想定できるでしょう

このように話すことがないと感じている1on1では、ただの雑談や、「最近どう?」「あれどうなった?」といった当たり障りのない対話で終わってしまう効果のない1on1となるケースがほとんどです。対策をするには、それぞれ異なるアプローチが必要になるので工夫が必要です。

部下側が「話すことがない」と感じる理由

部下・メンバーなど1on1ミーティングを受ける側が「話すことがない」と感じる理由は以下のことが考えられます。

  • 1on1を実施する意義が分からず、時間の無駄に感じている
  • 上司のことを信頼していない
  • そもそも1on1で何を話せば良いのかわかっていない
  • 実施回数が積み重なるごとに純粋にネタ切れを起こしてしまっている
  • 上司と2人で話すことに緊張感を覚えている
  • 自分の話を誰かに聞いてもらうこと自体が苦手

部下の視点では、上司と同様に1on1に対するモチベーションの低さや、そもそも何を話すべきなのかわかっていない、自分のことを話さないといけない苦痛、特に上司を信頼していないがために話したくないと心を閉ざしていることが原因と想定できます

業務以外にも将来のことやプライベートなことなど様々なテーマを話していい機会であるからこそ、話すことが分からないというケースも多いでしょう。

部下に本音で話してもらうためにも、上司と部下の信頼関係を構築することが重要です。

「話すことがない」場合の対策

1on1ミーティングにおいて、話すことがなくなる状況は誰にでも起こりうるものです。しかし、そのような状況を打破し、意味のある対話を構築するためには何が重要なのでしょうか。

事務局、上司、部下それぞれの立場でできる対策を紹介していきます。

事務局としての対策

事務局としては、実施する側、受ける側ともに負担に感じることがないようテーマ例や事例、またはテーマ設定ツールの提供をすると良いでしょう

1on1を実施する際「目的に沿って何でも自由に話してください」と現場にゆだねるケースが度々ありますが、1on1を経験したことがない、あるいは経験の少ない人に全て任せてしまっては負担になりかねません。負担を感じることで1on1への姿勢が消極的なものになってしまいます。

上司側としての対策

上司側としての対策としては6つ挙げられます。一つずつ解説していきます。

①信頼関係の構築

1on1で気兼ねなく対話をするには、お互いの信頼関係が前提として必要です。
十分な関係性が構築できていないと、「変なことを言って怒られるのではないか」「呆れられるのではないか」という不安が拭えず、自由な発言ができなくなってしまいます。
部下との信頼関係を築くためには、日ごろから言動に配慮し、部下を的確に観察して必要に応じてサポートをすることが重要です。挨拶やコミュニケーションを怠らずに行うことも大切にしましょう。

②傾聴の姿勢を見せる

傾聴とは、真摯な姿勢で相手の話に耳を傾けて「聴く」技術であり能力です。傾聴で重要なのは、「あいづち」や「うなずき」など、しっかり聴いていることが相手にしっかりと伝わる態度と仕草です

部下の声に耳を傾けるには、部下がどんな気持ちでいるのか、どんな精神状態なのかを見極めることと同義です。言語や話している内容を頼りに、その背景に読み取ることが傾聴です。日本人の場合、自分の感情をなかなか表に出さないのが一般的です。早合点して強引に話を進めるのではなく、相手のペースに合わせながら丁寧に話を深めていくことが重要です。

そのためには、相手の様子をよく見て、その場を察することが大切です。相手が話している間は、完全に聞くことに専念し、他のことに集中してはいけません。信頼関係が崩れてしまうとコミュニケーションの目的を達成することは難しくなります。

③1on1の意味や目的の共有

1on1ミーティングを導入し始めた際に多く見られますが、部下が1on1ミーティングの意味や目的、価値をしっかり理解していないケースがあります。上司から1on1ミーティングをなぜやるのかについて、自分の言葉で部下に何度も伝えるようにしましょう。

また、上司まかせにするのではなく、企業の人事担当者も積極的に働きかける必要があります。1on1ミーティングを行う意義について集合研修やeラーニングを通じて浸透させるなど、全社的な対策を行うことをおすすめします。

④上司から自己開示する

相互理解を進める上でポイントになるのが、自己開示を行うことです。一方的に聞いているうちは、部下は本音で話してくれない場合があります。自分の話も交えて話すことで緊張感を解き、部下から積極的に話ができるような場を作りましょう。ただ、プライベートのことを聞かれるのを嫌がる従業員もいるので無理やり聞くようなことはないように注意が必要です

⑤綿密な事前準備

1on1は自由な話題が特徴の「対話」ですが、「雑談」ではないことを意識しなければなりません。そのためにも、事前に前述した話題例を参考に、議題やアジェンダをざっくりと組んで、それに沿って進める必要があります。だらだらとした雑談ではなく、メリハリのある対話にするためには、タイムキープ用の時計を用意し、時間をしっかり守ることも重要です。

しかしながら、回数を重ねていくと話題が切れてしまうこともあるかもしれません。そうした際には、過去の1on1を振り返るのも1つの手です。以前話した内容に関して、進捗はどうか、悩みはないかなどを確認すると良いでしょう

1on1が成功したのかどうかは、端的に言ってしまえば部下の本音を引き出せたかどうかですが、1on1に馴染みのない部下は、上司と二人きり=指導の場とネガティブなイメージを抱きやすく、部下が緊張や警戒をしている状態では本音を言い出せなくなり、その分話も深まりづらくなってしまいます。

⑥完璧にやろうとしない

1on1ミーティングでは、最初からスムーズに会話が進むことはほとんどありません。

上司側は、効果的なコミュニケーションとフィードバックのスキルに関して、時間をかけて学んで実践の機会を設けていく必要があります。どのようなアジェンダが部下の興味を引くのか、日々、1on1ミーティングを通じて、試行錯誤しながら検証していきましょう。

また、1on1ミーティングの中で部下の要望をすべて解決したり、的確なアドバイスをその場で提供したりすることは難しいでしょう。重要なのは、お互いのニーズや要望をしっかり伝え合う中で、「解決できることと、解決できないこと」、「支援できること、支援できないこと」などを確認していくことです。

表面的に取り繕うのではなく、「すぐに回答やアドバイスはできない」など正直に部下に伝え、正直で透明性のある開かれたコミュニケーションを、1on1ミーティングを通じて実現していきましょう。「一緒に考えてみよう」という姿勢で、部下と同じ立ち位置で対話をすることも、時には必要です。

部下側としての対策

部下側としては、1on1の意味をしっかり考えて事前準備をすることが大切になります
1on1は、上司が部下の本音を聞くことができる貴重な機会です。その時間を無駄にすることがないよう自身が思い悩んでいること等を整理しておくと良いでしょう。

意味のある1on1のために大切にしたいこと

ここからは意味のある1on1ミーティングを実施するために大切にしたいことを上司側、部下側に区分して紹介していきます。

上司側

上司側としては、部下の本音を引き出すということが大きな目的になりますが、その後の対応も重要です。1on1で本音を引き出してもその後の対応次第では、ただの雑談となってしまうこともあります

心理的安全性の保障

普段は自然に会話をしている部下でも、1on1面談という形式になると、通常とは異なる緊張感が生まれることがあります。

そのため、1on1面談をする際には、最初に今日の話の目的を明確にし、リラックスして話をしてもらえるようにお願いすると同時に、この面談が部下にとって安心できる場であることを説明し、相手の緊張を和らげる配慮が必要です

もし緊張感が解消されないままの状態であれば、上司が何気ない話や世間話をしても部下は緊張したままで聞いてしまい、上司が意図することがなかなか伝わりにくくなります。

部下一人ひとりの特性に合わせたサポートを行う

部下が悩んでいること、突き当たっている壁を知ることができたら適切なサポートを行いましょう。部下への適切なサポート方法は、個々の特性や習熟度によって異なります。したがって、上司は部下の状況やスキルの獲得度を把握する必要があります。

一つの考え方として、「SL理論」があります。SLは「Situational Leadership」の略であり、相手の状況に適応して自身のリーダーシップ行動を調整することを意味します。

SL理論では、リーダーシップを「説明型」「説得型」「参加型」「委託型」の4つのタイプに分類し、部下とのコミュニケーションを調整します。下図では、部下は習熟度の低い者から順に右下→右上→左上→左下へと成長していきます。

それぞれの特性や習熟度に応じてコミュニケーション量や業務指示の方法を変えていくことにより、部下がストレスを感じづらく、前向きに取り組めるようになるでしょう

部下側

続いて部下側が大切にしたいことを紹介します。

事前準備は大事だが準備しすぎない

上で事前準備が大切だと述べましたが、準備しすぎてしまうのも1on1の本質からかけ離れてしまうため、注意が必要です。というのも、質問を想定し、完璧な回答を準備してしまうと自身の本音とは異なるものになってしまう可能性があるためです。部下側としても完璧にこなそうとする必要はありません。自身の考えがまとまらずに回答に詰まってしまっても、対話の中で答えを見つけたり自身の考えに気付いたりすることもあります。まずは気楽に話してみる、話しながら考えるというスタンスで1on1に臨むと良いでしょう。

本音を伝える

1on1面談は、普段言えないような話などもしてお互いの本音を確認する場でもあります。

しかしながら、普段接点の薄い上司との対話で即座に本音を打ち明けることは、誰にとっても容易ではありません。本音を隠してありきたりのトピックで回避しようとしたくなりますが、ここで守りの態勢に入ってしまうと、上司も一生懸命本音を引き出そうとしてより掘り下げた質問をすることがあります。

その結果、さらなるプレッシャーを感じて本音を口にしにくくなってしまい、上司にとっても部下にとっても、何も得るもののない状況となってしまいます。繰り返しになりますが、1on1の目的をしっかり理解して意義のあるものにするには、本音を伝えることが何よりも大切です

まとめ

1on1ミーティングで「話すことがない」という場面には様々な要因があり、その要因に合わせた対策を打つことが重要です。対策をするのは実施する上司まかせになってしまうケースが多く見られますが、事務局側、部下側、組織が一丸となって対策に当たることが意義のある1on1ミーティングをスムーズに実施するためのポイントとなります。

1on1を有意義に活用することで部下の成長を促進し、組織全体のパフォーマンス向上につなげていきましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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