「言い出せない」空気はなぜ生まれるのか? ~本音で話せる組織やチームづくりのヒント~

職場の「モヤモヤ」はなぜ生まれるのか?職場に発生する適応課題と、適応課題と向き合うための対話の重要性について、3回にわたってソフィアのコンサルタント古川によるコラムをお届けしてきました(前回の記事はこちら)。今回はその発展編として、対話に取り組む以前に、会話のない職場になってしまう原因と、そこから生まれるモヤモヤを解消するための方法をお届けします。

モヤモヤしている人が多く潜む組織やチームとは?

・メンバーに相談したいことがあるが、話しかけるタイミングがつかめない
・本当は反対したいのに、まわりに流されて賛同してしまう
・うまくいっていない現状について報告したいが、なかなか切り出せない

組織やチームのメンバーと一緒に働くなかで、こんなことからモヤモヤを感じたことはないでしょうか。
自分の発言によって周囲がどんな反応を示すのか、 よからぬ展開になってしまうのではないかといった不安から、「今、言うのはよしておこう」「誰かが言ってくれるまで様子を見よう」などと自分に言い訳して、言いたいことを飲み込んでしまう。そして、モヤモヤを解消できないまま時が過ぎていき、モヤモヤがモヤモヤを呼び、 “モヤっとスパイラル”に陥ってしまう。その結果、「あのとき、話しておけばよかった…」と後悔することに。

また、コロナ禍でテレワーク導入が進み、オンライン上でのやり取りが増えたことで、コミュニケーションの不安からモヤモヤしている人も多いのではないでしょうか。パーソル総合研究所が行った、テレワークに関する不安感や孤独感についての調査によると、テレワーカーの約40%が「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安」「非対面のやりとりは、相手の気持ちが察しにくく不安」だと感じているようです。

でもなぜ、顔が見えなくなった瞬間に、こうした不安が増すのでしょうか。もしかすると、本質的な問題はテレワークという環境にあるのではなく、オフィスで顔を合わせていた頃から存在していたコミュニケーション上の課題が、顕在化したと考えることもできます。
モヤモヤした人が多く潜むチームや組織には、こんな傾向がみられます。

・新入りのメンバーに対して、非公式に伝えられる制約事項・留意事項が多数ある
・事務的な連絡以外の会話をしにくい雰囲気がある
・質問をしてはいけない雰囲気がある
・大きな声で叱られる人を見たことがある
・新しいことを始める際の動きがものすごく鈍い(立ち消えになることもしばしば)

あなたの職場に当てはまるものはありますか?

モヤモヤは「ありたい姿」と「現実」のギャップから生まれる

ペンシルバニア大学 ウォートンスクール教授のシーガル・バーセイドとジョージメイソン大学助教授のオリビア A. オニールは、組織のなかで、そこにいる人たちによって醸成される文化は、「認知的文化」と「情緒的文化」の二つに分けることができると述べています。「認知的文化」は、明文化された理念やルールなど、言葉によって伝えられ、共有されるもの。これに対して「情緒的文化」は、言葉ではなく、表情や身振り手振りやなどを通して伝えられるものです。

例えば、チームが目指すミッションよりも「体面」や「人間関係」を重視する情緒的文化を持った組織であれば、何か気になることがあっても

・いまさら、こんなこと聞いたらバカにされるかもしれない
・これを言ったら、チームワークや人間関係を壊してしまうのでは……

という不安や恐れから本音を言えなくなったり、

・それを言ったら、不都合になる人が出てくるかもしれない
・このことはうやむやにして、責任の所在を曖昧にしたほうがいいのでは……

と、忖度や遠慮をしてしまうかもしれません。

また、変化よりも安定を良しとする情緒的文化を持った組織であれば、何か新しい取り組みを始める際に、変化への期待よりも失敗への不安が勝って「できない理由」探しに終始してしまうかもしれません。これらの結果、掲げられたミッションと組織の現状との間に齟齬を感じ、モヤモヤするのです。さらに、テレワークで顔を合わせる機会が減ることで、画面越しにやりとりされる言葉の微妙なニュアンスが読み取れずに不安が増す人が出てくることも想像に難くありません。

また、「こうしたい」「こうすべき」という自分の理想と、組織やチームから求められていることにギャップがある場合も、モヤモヤを感じるでしょう。たとえば、「時間をかけて着実に顧客の信頼を得たいのに、短期的な成果ばかりを求められてしまう」といったようなケースです。自分の理想か組織から求められていことのどちらかに振り切ることができればいいのですが、どっちつかずの状況にいると、モヤモヤしてしまいます。

ミッションに全くコミットしていない人は「こうしたい」「こうすべき」という理想も存在しようがないので、現状とのギャップを感じることがなく、モヤモヤすることはないでしょう。一方、ミッションに100%コミットしていて、成果を出すためにわき目もふらず突き進んでいる、あるいは「結果を出さないと先がない」という崖っぷちに立たされている人は、躊躇したり忖度したりする余裕はなく、やはりモヤモヤを感じることはないはずです。

上記の図で言うと「閾値」の周辺にいる、「組織やチームが目指すミッションにある程度コミットしている人」が、ミッションと組織の文化や、ミッションと自分の理想との間に齟齬を感じてモヤモヤしやすいことがわかります。そして、モヤモヤするということは、あれこれ考えるだけの“余裕がある”と言うこともできるのです。

モヤモヤの根源を突き止めるためにすべきこと

もしあなたが、組織やチームのなかでモヤモヤしていたら、次のことを実践することをおすすめします。あなた個人のモヤモヤが緩和されるだけでなく、「情緒的文化」をあぶり出したり、組織のコミュニケーションのあり方を変えることにもつながるかもしれません。

1.セルフリフレクションしてみる

自分のなかにある「こうすべき」という想いと、組織やチームから求められていることを整理して、俯瞰して眺めてみる。それとともに、感じるモヤモヤの根っこにあるのは、不安なのか、不満なのかといったように掘り下げ、自分の感情とじっくり向き合ってみる。

2.本音で対話する機会をつくる

自分の理想にも求められている方向にも振り切ることができず、どっちつかずの状況のなかでモヤモヤしていることを、組織やチームのメンバーに話してみることをおすすめします。もしかしたら、ほかのメンバーも違う理由でモヤモヤしているかもしれません。互いの考えに耳を傾け、対話しながら解決策を見いだすことで、本音で語り合える組織やチームをつくることができるのではないでしょうか。

3.第三者の意見を聞いてみる

自分の理想にも求められている方向にも振り切ることができず、どっちつかずの状況のなかでモヤモヤしていることを、そのチームや組織から離れたところにいる社内の人などに話して、客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。

モヤモヤする原因は、組織文化にも自分自身にもあると言えます。さらに、あなたが誰かのモヤモヤを生んでいる可能性もあります。いずれにしても、組織やチームのリーダーだけでなく、そこにいるメンバー一人ひとりがそれぞれの考えを認め合い、納得感をもって業務に取り組める環境をつくろうと努力する必要があるのではないでしょうか。それが、モヤモヤする人がいない、“爽やかな”チームをつくる近道なのかもしれません。

株式会社ソフィア

Learning Designer

古川 貴啓

組織の風土、行動を変えていく取り組みを企画設計から、実行継続まで支援しています。ワークショップなどの対話を通して新たな気づきを組織に生みだし、新らたな取り組みを始めるための支援を得意としています。

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株式会社ソフィア

フィールド・リサーチ&コンサルティング事業責任者 シニア・コンサルタント

森口 静香

先が見えない、課題が曖昧でどうすればよいかわからないプロジェクトの伴走をすることが多いです。議論をその場で図解したり、時にはグラレコや動画を使って、みなさんの共通認識をつくることを得意としています。

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