職場で感じる「モヤモヤ」をなんとかしたいあなたへ |Vol.3 職場に会話が生まれるきっかけをつくる

#コミュニケーション#チームビルディング#多様性#研修・ワークショップ#組織開発

27.Nov.2019

会話しにくい、本音で話せない職場の背景にあるものは?

あなたの職場は、雑談をしやすい雰囲気でしょうか?
会議や意見交換の場で、あなたは本音で話せていますか?

前回のコラムで、解決できない課題がある組織やチームには、「適応課題」(解決するためには当事者の痛みや喪失をともない、その状況に適応することが求められる課題)が隠れている可能性があると述べました。そして、その解決のためには、“問題を自分の外に出して”メンバーそれぞれの考えを互いに知ることが大事だとお伝えしました。

とはいえ、そもそも会話がない、または本音で話せない職場の場合、このような展開にもっていくのは至難の業です。その前段階として、会話しやすい雰囲気を醸成する必要があります。

ではなぜ、会話のない職場になってしまうのでしょうか?

職場に会話がない理由を、職場や業務に対するモチベーションと関連付けて考えることもできます。モチベーションの低い人が多い職場は、業務に対して「自分には関係ない」「ほかの人がやればいい」という空気が充満していて、「関わろう」「一緒に頑張ろう」という認識が生まれにくくなります。職場での会話は必要最低限の業務連絡のみ、会議でも当り障りのない発言しか出なくなり、結果として、同僚同士の関係性が薄い、“冷めた”職場になってしまいます。

話すことをためらう原因になる「4つの懸念」とは?

また、会話しにくい状況を生む要因の一つとして、「話しかけることに対する不安」という面から考えることもできます。相手に拒絶されるかもしれない、何を話したらいいかわからない、といった不安です。

こうした心理について、心理学者のジャック・ギブは、次の「4つの懸念」としてまとめています。

1.受容に関する懸念
まわりから受け入れてもらえるのか、自分は受け入れることができるのか、という懸念。

2.コミュニケーションについての懸念
自分が思ったことを素直に発言していいのか、それがマイナスに働くことはないか、という懸念。

3.目標に関する懸念
目的が見えない中で、求められている話ができているか、という懸念。

4.影響力についての懸念
自分の発言が評価につながるのではないか、といった懸念。

ここで、小学校でクラスに転校生が入ってきた場面を想像してみてください。
その転校生は、これまで馴染んできたものとは違う文化の中に突然、ポンと置かれて、

「自分はみんなから受け入れてもらえるのかな?」(受容に関する懸念)
「何を言っても浮かないかな?」(コミュニケーションについての懸念)
「どんな話をしたらいいかわからない……」(目標に関する懸念)
「自分の発言がみんなに悪い印象を与えないかな?」(影響力についての懸念)

といった不安を抱えるでしょう。そして、みんなとの関わりを避けるようになる→ひとりで給食を食べるようになる→昼休みに孤立する、といった状況も容易に想像できます。

一方、まわりの子どもたちは、最初のうちはその状況に違和感や疑問をもつものの、しばらくすると慣れてしまい、「あの子はそういう子だから」と認識するようになります。そして結果的に、お互いに干渉しない・会話しない空気がつくられてしまうのです。

リーダー自らが、「安心して話せる場であること」を態度で示す

私がこれまで、さまざまな職場のコミュニケーションの問題を見てきた経験から言えるのは、自分から話さない人のほとんどは「話したくない」のではなく、実は「話したいけど、話せない」人たちだということです。職場に埋まっているかもしれない“地雷”を踏まないようにするあまり、黙ってしまうのかもしれません。

安心して話ができる職場にするためには、前述した「4つの懸念」を排除する必要がありますが、懸念を感じている人にただ「安心して話してください」と伝えても、排除することはできません。ここで重要なのは、「安心して話してください」と言う側の人、つまり組織やチームのリーダーが、周囲の懸念を解消するような発言や態度を示すことです。例えば、普段はあえて口にしないようなことや、自分自身が感じていること(期待や不安)を積極的に伝える。また、「他の人の意見はどんなものであれ歓迎する」ということを発言や態度に表すこともその一つです。その姿勢は、他の人から気持ちを引き出すきっかけとなり、職場のメンバーが「自分はこの職場で受け入れられている」という認識を持つことにつながります。最も大切なのは、同じ職場にいる仲間が「私たちはみんな違う考えを持っていて、それ自体を否定されることはない」と感じられる雰囲気を作り出していくことです。

また、相手の意見に“ノー”と言わなければならない場面では、「あなた自身を否定しているのではなく、一緒にもっといいものをつくっていきたいからこそ、意見に“ノー”と言っている」ということを、きちんと伝えます。ここで全員の納得感を作り出すためには、「それぞれ違う考えを持つメンバーが集まって、ひとつの目標に向かっている」という前提と、「全員の考えを100%取り入れるのは不可能だから、誰もがどこかに不満を感じるかもしれないし、決断には痛みをともなうかもしれないけど、それらを無駄にしないで進めていこう」という認識を共有することが重要です。

“漢方薬”でジワジワと職場環境を改善

あなたが周囲に対する態度を変えることで、職場の雰囲気は少しずつ変わり始めます。ただ、あなたの態度が変わっても、他の要因があって職場の雰囲気が変わらないこともあります。例えば、あなた以上に影響力が大きい人が職場に存在したり、あなた自身がその職場の新参者であった場合です。

そんなときは、第三者や職場の雰囲気に染まっていない人・利害関係にない人に介入してもらい、自分たちの職場をテーマに話をするのも一つの手段です。例えば私たちソフィアでは、職場アンケートの依頼をいただいた際に、アンケートの結果をコンサルタントからお客様企業の役員にフィードバックする報告会を開催することがあります。たとえ同じ報告内容であっても、アンケートを担当している部門の担当者(お客様企業の社員)が話すよりも、組織内の利害関係と無縁な第三者が話した方が素直に聞き入れてもらえることも多いのです。
また、「職場の雰囲気に染まっていない人」という意味では、新入社員や隣の部署の人、派遣スタッフなどに意見を聞く方法もあります。私が関わったあるケースでは、新入社員に自分たちが所属する職場を観察してもらうという研修を行いました。研修最後の発表会で、観察を通して感じた違和感や疑問を新入社員に挙げてもらい、その意見をテーマに新入社員と先輩社員が対話する場を設けました。それによって、新入社員だけでなく先輩社員たちも、普段から抱いていて口に出せなかった感情を伝え合い、双方の認識をすり合わせることができました。

職場の中で会話のない状況が当たり前になってしまっていたら、すぐに変えることは難しいかもしれません。これまでに挙げてきたような方法は、何かを劇的に変える手術ではなく、“漢方薬”のようにじっくり時間をかけて現状を改善していくものです。まずは、その組織の雰囲気に染まっていない人たちから、発言しやすい雰囲気を作っていきましょう。この動きに共感する人たちが半数を超えてきたころから、会話に混ざらない人も会話せざるを得ない状況が生まれていきます。

まずは“自分のドア”を開けて、相手を迎え入れてみる

あなたが会話のない職場にいて空気を変えたいと思っているなら、その第一歩として、職場で感じる違和感や疑問を同僚に話してみてください。それすらも難しければ、同僚をランチに誘って、仕事とはまったく関係のないドラマやニュースなどの話題を通してコミュニケーションを積み重ねながら、お互いの考え方の違いを知っていくのはいかがでしょうか。

“相手のドア”を開けるのは難しいですが、“自分のドア”は自分次第で開けることができます。もし、ドアを開けることにモヤモヤとした不安を感じているなら、それを書き出してみてください。「“自分のドア”を開けると何が起きるか?」「みんなの話を聞くことによって、自分はどんな影響を受けるのか?」などと想像してみると、案外、マイナスに働く要素はないかもしれません。

思い切って、“自分のドア”を開けてみてはいかがでしょうか。

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