SDGsをワークショップで学ぶ方法をご紹介!

SDGsは、2015年の国連サミットで採択された「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す」ための国際的な目標です。

近年、テレビやWEBメディアなどでも積極的にSDGsが取り上げられており、目にする機会も増えているのではないでしょうか。

日本政府が推進する「SDGsアクションプラン2021」では、社会的課題の解決を通じて、政府と地方自治体、企業、各種団体が一体となってSDGsの達成を促進するアクションプランが定められています。

環境・社会・ガバナンスの3つの観点を含めた投資活動であるESG投資が広がってきていることも、企業がSDGsに取り組む大きな理由になっています。

そのような流れを受け、企業ではSDGsを意識した事業モデル・戦略の推進を可能にするために、SDGsに対する従業員の理解を促進し、SDGsを自分ごととして深く考えられるようにするためのワークショップや研修を行うことが多くなりました。

当記事では、SDGsに対する従業員の正しい理解を促進し、自分ごととして考えてもらうことができるワークショップスタイルのプログラムをいくつかご紹介し、その特徴について解説します。

SDGsワークショップとは?

SDGsをゲーム感覚で学び、自分ごとにする取り組みとして、さまざまなワークショップがあります。基本的な進め方は、下記の流れのとおりです。

  1. SDGsへの基本理解を促す
  2. グループワークや個人ワークを行う
  3. 振り返りを行う

企業の人材教育や組織開発の取り組みにおいて、近年、ワークショップスタイルのプログラムが多く取り入れられています。

ワークショップはもともと作業部屋、工房を意味する言葉ですが、企業の人材育成や組織開発で実施されるワークショップとは、参加者が主体的に思考し、体験し、ディスカッションする場や機会のことを指します。

講師と受講生がはっきりと分かれ、インプットを中心に進める従来型の研修に比べて、ワークショップ型のプログラムは、参加者が抽象度の高いテーマに対して、より主体的に関わることで、「自分ごと」として捉えることを促します。

SDGsのような長期的なテーマに対して、ワークショップスタイルのプログラムは有効です。
次に、具体的なワークショップの種類について見ていきましょう。

SDGsワークショップの種類

SDGsをテーマとしたワークショップを、いくつかご紹介します。なかにはゲームを取り入れるなど「体験」を重視しているワークショップもあります。

共通しているのは、体験したり思考したりするプロセスを経た後、振り返りを行うことで「自分ごと化」を進めやすくしていることです。

バックキャスティング

SDGsをの目標を意識して企業の事業活動に取り組む上で有効なプログラムとして、「バックキャスティング思考」を取り入れたワークショップが挙げられます。

企業のビジョン策定や戦略立案において「バックキャスティング思考」が採用されるのは、従来の延長線上で未来やビジョンを描くのではなく、まずは「ありたい姿」を定めて、そこから逆算して現在の戦略を考えるためです。

バックキャスティングで考えることで、今までの延長線上にない戦略やサービスを考えることができるからです。
「バックキャスティング思考」を使ったプログラムの特徴的な大きな流れは、以下のとおりです。

① 自社にとって魅力的な、将来の「ありたい姿」を描く
② ありたい姿を目指す上での、自社の強みや課題を洗い出す
③ 時間軸を含めて、ありたい姿の実現に向けた具体的なアクションを設定する

SDGsを意識した「バックキャスティング思考」のワークショップを行う際は、①の前段にSDGsに関するレクチャーを盛り込むなどして、参加者の理解を促しておくとよいでしょう。そのうえで、「ありたい姿」を描く際には現在の市場環境や競争環境にあまりとらわれず、SDGsの目標達成に寄与している理想的な自社の姿を描きます。

このワークショップは、企業のビジョンや戦略にSDGsを盛り込む際などに役立ちます。ただし、現実的にSDGsと事業活動を両立させていくには、企業が社会・顧客へ提供する価値をSDGsをの観点から再定義することが必要になります。

カードゲーム「2030SDGs」

2030SDGs」は、従業員にSDGsの本質的な理解を促す、ゲーム感覚のワークショップです。

このワークショップは、ゲームを通じてSDGsに対する理解を促すだけではなく、体験の過程で「多様性」を体感しながら進めることができ、多様性の中でSDGsの壮大なビジョンをどうやって実現するのか疑似体験することができます。

ワークショップの流れは、SDGsを意識したいくつかのテーマを選択し、与えられたお金と時間でプロジェクトを実行する疑似体験をした上で、振り返りを行うというものです。

初めてSDGsを学ぶ方でも、SDGsの本質を体験で理解できることが大きな特徴です。

カードゲーム「SDGs de 地方創生」

SDGs de 地方創生」は、日本政府が推進する「SDGsアクションプラン2021」でも主要な項目として挙げられている「SDGsを原動力とした地方創生」というアクションプランに特化した、ゲーム型のワークショップです。

このワークショップでは、参加者は「人口」「経済」「環境」「暮らし」という4つの指標で、行政や住民のそれぞれの役割の中で、限られた時間を使って、どういうアクションを行うのかを検討します。

それぞれのアクションは、日本の自治体における具体的な事例をモデルにしています。
地方創生という具体的な課題に対して、実際にアクションを検討し、地方創生がかなうかどうかを、具体的に体験できることが大きな特徴です。

カードゲーム「SDGsアウトサイドインカードゲーム」

SDGsアクションプラン2021」にも記載のあるとおり「社会課題の解決」は重要なアクションプランのひとつです。「SDGsアウトサイドインカードゲーム」は社会課題の解決を事業化するマインドと思考を体験できるワークショップです。

従来、企業の事業活動として自社製品(プロダクトアウト)や、自社の顧客のニーズ(マーケットイン)を軸に事業を行うことが一般的でしたが、「アウトサイドイン」とは自社の顧客の先の、社会のニーズにまで目を向けて事業をとらえる考え方です。

このワークショップの特徴は、SDGsを意識した新規事業を考え、事業の認知を拡大する一連の流れを、ゲーム感覚で進めることです。ゲームの分かりやすさもあり、参加者は夢中になることが多いようですが、ゲーム終了後の振り返りの言語化により、深い気づきを得られることが大きな特徴です。

ボードゲーム「Sustainable World BOARDGAME」

Sustainable World BOARDGAME」は、SDGsの各ターゲット(目標)に対して、自分だったらどのように貢献できるのかを考えながら実施できるボードゲームを使ったワークショップです。

SDGsの達成と自己成長の2つの目標を、ゲームの中でめざす仕掛けとなっており、SDGsという漠然とした壮大なゴールに対して、参加者の自分ごと化を促進できる設計になっていることが特徴です。

SDGsの本質的な理解には、壮大なゴールに対して、さまざまな事例から自分でできることを想像することが重要になります。このワークショップは、まさに参加者の自分ごと化を促すことに狙いを絞ったものといえるでしょう。

ボードゲーム「Get The Point」

Get The Point」は、小学生から社会人まで幅広く「持続可能性とは何か」を短時間のゲームで考えることができるゲーム型のワークショップです。

このワークショップの特徴は、ボードゲームとしての品質が高く、楽しみながら学べることです。また、ゲーム終了後の振り返りにより、日常の行動にどう落としていくのかについて、考えることができます。

SDGs/持続可能性という抽象度の高いテーマについて、自分自身の行動と照らし合わせて考えることができるワークショップです。

SDGsワークショップは体験と振り返りが重要

SDGsについて正しい理解ができていないビジネスパーソンは、まだまだ多いかもしれません。
自社の事業を通じて社会的な貢献度を高めていくために、従業員にSDGsを理解してもらうことは、最初の一歩と言えます。

SDGsを経営に統合する際には、往々にして管理部門と現場での亀裂が生じます。なぜなら、SDGsと整合性のある業務の進め方をすることで、コストや手間が発生するからです。現場の従業員にとって、本来の業務以外でかかるコストや手間は「厄介事」でしかありません。

亀裂を防ぐためには、決してただの慈善活動ではない「SDGsの取り組み」に対して、社員の共感を得ることはもちろん、SDGsへの取り組みが自社とってどんな価値や利益をもたらすか、理解を促すことが重要となります。そして、SDGsという抽象度の高いテーマにおいて、従業員の正しい理解と、納得と共感を得るには「体験」が必要です。

前章まででご紹介したプログラムは、すべてにおいて「体験」を通して気づきが得られるものばかりです。体験を通した上で「振り返り」を行うことで、参加者の納得と共感の度合いはさらに高いものになっていくでしょう。

まとめ

大手上場企業を中心に、CSRレポートからサステナビリティレポートへと、対外的な発信を変更していることからもわかるように、SDGsは企業の事業活動に不可欠なものとなりつつあります。

ビジネスパーソンとしては、単にSDGsが何かを理解するだけではなく、SDGsを「自分ごと」として捉えたうえで、日々の活動に落とし込んでいく必要があります。

SDGsを本質的に理解し、自分ごととして捉えるには、ワークショップでSDGsを自分ごととして考える体験をした上で、振り返りを行うことが有効です。

当記事をきっかけに、自社の従業員のSDGsへの理解を深められるようなワークショップを検討されてみてはいかがでしょうか。

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