グループワークにおけるファシリテーターの役割とは?すぐに使える10のコツも紹介!

ビジネスの現場ではグループワークの中で特定のテーマについて議論する機会が多くあります。グループワークにおいては、ファシリテーターを配置することで参加者の自発的な発言を促して議論を活発にし、時間の制約がある中でも会議の目的を達成することができます。本記事では、グループワークにおけるファシリテーターの役割と、上手なファシリテーションのコツについて紹介します。

グループワークとは?

グループワークとは数人規模のグループを作り、決められた課題に対して討論や制作などを行う活動です。新卒採用などの選考でも取り入れられており、候補者のコミュニケーション能力や議論をまとめる力についての判断材料となります。

グループワークと似た活動にディスカッションがありますが、ディスカッションではグループ内での討論を行い、その結果を発表することが主目的になります。一方で、グループワークでは討論の結果に加えて、何らかの成果物を完成させることが目的となる場合がほとんどです。グループワークにおける成果物は何らかの作業をグループで完成させる、与えられた課題に対する解決策のプレゼンを行うなどさまざまです。

グループワークにおけるファシリテーターの役割

ファシリテーターの主な役目は参加者に発言を促し、議論をスムーズにすることです。場合によっては、司会進行やタイムキーパーも兼任することもあります。ここでは、グループワークにおいてファシリテーターに求められる具体的な役割について解説します。

ゴールを設定し共有する

グループワークにおいては必ずゴールがあります。また、グループワークはより大きな会議やプログラムの一部として行われることもあります。そのため、事前にアジェンダを配布する、ゴールへの意識づけを行うなどして参加者の認識を一致させることが重要です。グループワークにおいては、フィッシュボールなどの参加者の対話を促進し、認識を一致させるための方法が存在します。このような方法も状況に応じて活用するとよいでしょう。

聞き役に徹し話を整理しながら、先導役にも徹しリードもする。

ファシリテーターの主な役目は参加者が発言しやすい雰囲気を作り、議論を活性化させることです。グループワークは基本的に参加者が主体で進めるため、ファシリテーターは聞き役に回ります。一方で参加者の理解に誤りがあった場合、議論が紛糾している場合はグループワークに介入して軌道修正を図らなければなりません。
ファシリテーターはあくまで中立の立場を取りながら、結論に至るまでのプロセスを重視した形でグループワークが進められるように参加者を先導することが重要です。

結論に導くまたは布石を打つ

グループワークにおいては、限られた時間内に結論を出すことが求められます。しかし、結論を急ぐあまり無理な形で議論を収束させることは望ましくありません。また、議論して決めたことがきちんと実行されるかどうかにも注意する必要があります。グループワーク終了時に次回までに各自がやっておくことや申し送り事項を参加者に認識させ、行動につなげてもらうこともファシリテーターの役割です。


グループワークでファシリテーターが役割を達成するための10のコツ

グループワークにおいてファシリテーターが担う役割は多数あります。ここでは、ファシリテーターとしての役目を果たすために必要な10のコツについて解説します。

コミュニケーションのティップス

ファシリテーターに求められる能力の一つがコミュニケーション能力です。ここでは、ファシリテーターが知っておくべきコミュニケーションのコツについて解説します。

話している相手を向いて相槌して、聞く姿勢

ファシリテーターの重要な役割の一つに、参加者が安心して発言できる場を作ることがあります。参加者によっては人前で発言することに抵抗がある場合もあるでしょう。もし勇気を持って発言したとしても、ファシリテーターが無関心な表情をしていたり、否定的なコメントを返されたりすると一気にグループワークへの意欲が薄れてしまいます。

もし発言の内容に誤りがある、議論の本筋が外れているといった場合でも、まず一度は受け止める姿勢が重要です。具体的には相槌を打つ、参加者に体を向けるなどの肯定的なアクションを意識するとよいでしょう。

パロット

「パロット(Parrot)=オウム(Parrot)返し」とは、相手の発言をそのまま繰り返すような返答をすることを指します。相手の発言を反芻するように返答するため、「オウム返し」と呼ばれることもあります。

ファシリテーションの場合、パロット=オウム返しは有効な手法となることがあります。ファシリテーションにおいては、参加者の意見を尊重し、意見の出し合いを促進するために、まずは相手の発言を正確に理解し、それをそのまま繰り返すことが重要です。これにより、相手の発言に対する共感や理解を示し、相手との信頼関係を築くことができます。また、パロット=オウム返しを行うことで、意見が飛躍的に変化することを抑制し、参加者全員が議論に参加しやすい環境を作り出すことができます

パラフレージング

パラフレージングは、相手が述べた内容を自分自身の言葉で言い換えることで、相手の発言を理解しやすくするコミュニケーションの技法です。この技法は、相手が伝えたいことの本質を的確に把握し、相手が理解しやすいように再表現することで、共感的理解を促進することができます。

パラフレージングは、相手の話を理解するために非常に有効な手段であり、相手が自分自身を理解されていると感じることができるため、相手のストレスや不安を軽減することも可能です。また、パラフレージングを行うことで、自分自身が相手の話により深く関与することができ、より意義深いコミュニケーションを実現することができます

状況により介入・放任を意識する

会議を円滑に進めるにあたってファシリテーターの介入は欠かせないものですが、あまりにも介入しすぎるのも良くありません。場合によっては、参加者の自主性に任せた方が議論を活発化し、良い結論が得られることもあるでしょう。

また、会議の終わらせ方においてもファシリテーターによる介入と放任のバランス感覚が求められます。一部の参加者が強引に議論を締めくくったり、ファシリテーターが無理に結論を出したりするようなことがないように注意し、参加者全員が納得のいく形で会議を締めくくることが重要です。結論が出ない場合は、すぐに次回以降の話の流れを考えて、次回の会議を設定しましょう。

わざと議論を割り、2極対立を創る

グループワークの中で発言者が偏っている場合、発言した人の意見がそのままグループの結論になってしまうケースがあります。そのような場合は、「あえてまとまりかけた結論を否定する観点を提示する」などして、2極対立の構図を作ることも効果的です。
明確な対立関係があれば、これまで見えてこなかった論点が現れたり、これまで発言のなかった参加者から発言が出たりするなどグループワーク全体が活性化することが期待できます。

声のトーンや表情の明るさを気にする

ファシリテーターは、グループワークをどのような雰囲気の中で進めていくかについても気を配る必要があります。和やかな雰囲気で進めたいのか、あるいは落ち着いた雰囲気の方がよいのかは議論するテーマによってさまざまです。ファシリテーターの判断で声のトーンや表情を意識的に変えていくとよいでしょう。

3つの思考回路のティップス

ファシリテーションにおいては参加者の共通理解を醸成することが求められます。ここでは、ファシリテーターとして参加者の理解を一致させるために役立つコツを紹介します。

①具体的に?たとえば?と質問をする

参加者の発言を深掘りしてグループ全体に共有することもファシリテーターの重要な役割です。抽象的なテーマについて議論している際、発言者は意図せず難解な用語を使ってしまったり、論点が不明確になったりしてしまうことがあります。このような場合は、ファシリテーターから「具体的に言うとどうなのか」、「例えばどのような例があるのか」といった質問を投げかけるとよいでしょう。また、内容が冗長になってしまってわからないときには「つまり、どういうこと?」と促すこともよいでしょう。このような質問によって、発言者自身も話の内容を整理でき、参加者全員の理解も深めることができます。

②議論や論点、視点や視野をわざとずらす

当事者として議論を進めている参加者は時に視野が狭くなり、重要なことに気づかないままグループワークを進めてしまうことがあります。しかし、重要な論点が欠けたままグループワークが進むと時間内に目的を達成できなくなります。このような事態を防ぐため、ファシリテーターはグループワークの視点や視野をずらして参加者に気づきを与えることが重要です。
ずらし方の手法としてシックスハット法を利用する方法もあります。シックスハットは、エドワード・デ・ボノ博士によって提唱された、問題解決や意思決定を行うための枠組みです。具体的には、6つの異なる視点から問題を考えることで、より広い視野で問題を捉え、より多角的な解決策を見出すことができるというものます。

また、グループ当たりの人数を少なくすることで議論をコントロールしやすくなります。一般的には4~7人のグループがよいとされています。

③言語化・可視化・図解化して論点を絞り、合意形成に導く

グループワークにおいては、専門的な知識を要するテーマや複雑な概念について議論することがあるでしょう。この時、ファシリテーターには議論されている内容をわかりやすい言葉で言い換える、図示するなどして論点を整理することが求められます。特に参加者によって議論の理解度に差がある場合は、合意形成を図るためにファシリテーターが積極的に介入して議論を紐解くことが重要です。

ティップスだけではなく、ファシリテーターとしてスキルを身に着けることも重要

ここまでで、ファシリテーションにおけるコツを中心に解説しましたが、良いファシリテーターになるためにはスキルを磨くことも重要です。
会議において議論がスムーズに進むかどうかはファシリテーターのスキルに大きく依存します。そのため、ファシリテーターの役割を担うことが決まったら、事前にファシリテーションに必要なスキルを養うことが望ましいでしょう。
ファシリテーションには、コミュニケーション能力、論理的思考力など一朝一夕では身につかないスキルが必要になります。そのため、普段の業務から積極的にファシリテーターの役割を引き受けて、場数を踏むことも重要です。

まとめ

ビジネスの場ではグループワークを通してあるテーマに関する議論や検討を進める場面が数多くあります。ファシリテーターとしてのスキルは一朝一夕で伸ばすことは難しいものの、今回紹介したコツを意識して場数を踏むことで上達させていくことは可能です。本記事を通してグループワークにおけるファシリテーションのコツを知っていただき、ビジネスの現場で役立てていただけますと幸いです。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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