レジリエント企業になるための方法は?特徴や構成要素を解説!

「レジリエント(resilient)」という英単語には「弾力性がある、回復力がある」といった意味があり、社会の変化や危機に柔軟に対応できる企業がレジリエントな企業と言われます。では、レジリエントな企業とは具体的にどのような企業なのでしょうか。この記事で詳しく見ていきましょう。

レジリエントな企業とは?

レジリエントな企業とは、事業環境の変化に対して迅速かつ柔軟に対応し、リスクを反発力に変えて成長を遂げる企業のことを言います。
企業経営は、自然災害や不況などさまざまな外部要因にさらされています。社会全体の経済的なダウントレンドは、どの企業も避けては通れません。しかし、そうした危機を柔軟に受け止め、時代に即して経営のあり方を変えたり新しい仕組みを取り入れたりすることで、以前よりも大きく成長する企業があります。これが、レジリエントな企業です。
長引くコロナ禍による社会の変容が証明するように、世の中は不確実です。たとえば現在の社会ではグローバルなIT企業として世の中を支配しているように見えるGAFA(google、Apple、Facebook *現Meta、Amazon)であっても10年後、20年後にどうなっているかはわかりません。盤石に見える企業であっても、社会に大きな変化があれば潰れてしまう可能性もあります。だからこそ、企業にはレジリエンスが必要なのです。

レジリエントな企業の特徴

レジリエントな企業には、共通する特徴がいくつかあります。代表的な特徴を3つご紹介します。

データや情報がフラットに共有されている

まずは、経営や各事業に関わるさまざまなデータや情報が、組織の上層部のみではなく組織全体に対してフラットに共有されているということです。企業がレジリエントであるためには、緊急時などにおいて、必要な人やチームが求める情報やデータに容易にアクセスできることが必要です。たとえ組織内にデータがあっても、それぞれが別々に管理されていて簡単にアクセスできないのでは役に立ちません。あらゆる情報が決められた場所に集約され、きちんと管理される仕組みがあることが重要なのです。
また、緊急対応のためには、情報へのアクセスだけでなく、必要な権限も確保されていることが必要です。通常の業務ではさまざまな承認フローやルールがあっても構いませんが、緊急対応のために構成されたチームにはそうした決まりを超越して行動ができる権限を与えることで、情報を活かして柔軟な対応を敏捷に行うことができる体制を整えましょう。

コミュニケーションスキルが高い

レジリエントな企業には、高いコミュニケーションスキルがあるということも共通しています。データや資料、世の中の情勢などから理解したり分析したりした事柄について、内外のステークホルダーに説明し、それを元にディスカッションできる能力が求められるからです。
また、コミュニケーションのプラットフォームも確立されています。リモートワーク等を活用している会社であっても、社員やチームメイト同士などで状況に応じて簡単にコミュニケーションをとれる環境が整っていることで、変更が必要なときや問題が生じたときなどにも共有がしやすく、さまざまな状況にスピーディに対応できるようになるからです。
コミュニケーションのためのスキルやプラットフォームが備わっていることは、社員同士やチーム間でのつながり形成にも役立ちます。社員間・チーム間のつながりによって意見の交換などが容易になるうえ、生み出した理論やスキルなどが部署間の壁を超えて共有されやすくなり、会社としてのリソースの効果的な使用を可能にします。

理念やビジョンが浸透している

企業の理念やビジョンが組織全体に浸透しているというのも、レジリエントな企業の特徴の1つです。企業の理念やビジョンは、経営や各現場が意思決定を行う際の判断基準にもなります。そして、判断基準として機能するためには、理念やビジョンが組織全体に浸透し、共通の理解が形成されていることが必要です。判断の拠り所となる理念やビジョンが存在しなかったり、理念やビジョンの文言だけがあってもその文言に対する全員の共通認識が形成されていなければ、意思決定の軸がぶれたり、予期せぬ方向に進んでしまったりすることがあります。
世の中が大きく変わっている状況下で、組織が意思決定したことを全員が納得して遂行するためにも、組織全体に理念やビジョンが広く認識されていることがレジリエントな企業としての条件です。

レジリエントな企業経営の構成要素

では、レジリエントな企業を構成している要素はどのようなものでしょうか。財務面で数値化できない定性的な要素から、3つの代表的なものをご紹介します。

自律型の人材

レジリエントな企業になるために必要な要素の1つが、自律型の人材です。レジリエントな企業では、常に指示された業務を指示された通りに続けるのではなく、状況に応じて自ら適切に判断し、行動できる人材が必要です。常にやり方が決まっているわけではないため、自分で考えることのできる能力を備えていることが重要なのです。
また、判断する際には個人の感情を基準とするのではなく、必要なデータや情報を集め、それらを的確に分析して論理的に議論し、企業の理念やビジョンに沿って適切に判断できる能力が必要です。思考力があり柔軟性の高い人材が集まることで、迅速で適切な対応にもつながり、世の中に思わぬ変化があっても対応できる下地がつくられます。
なお、たとえ人材の能力が高くても、判断に必要なデータが共有されていなかったり、行動に必要な権限が与えられていなかったりすれば、そもそも状況に応じた判断や対応自体ができません。そのため、自律型の人材を育てるためには教育や研修も必要ですが、情報・データのフラットな共有や、柔軟な判断や行動に必要な権限の付与も欠かすことができないのです。

社員同士、会社と社員の間の信頼関係

個々の社員が自律的に考え、行動できるだけでなく、会社と社員、社員同士の間に信頼関係が成立していることも、レジリエントな企業になるためには大切です。困難な状況や何らかの脅威が生じたときに、同僚やチームメイトが助けてくれるという安心感や、会社が最終的な支えになってくれるという信頼があることで、社員はより積極的に動くことができます。
また、働く環境や周りの人々を信頼できることで、モチベーションが向上したり仕事に対する自信につながったりもします。人と人、組織と人とのつながりが、レジリエントな会社を支える重要な構成要素なのです。

多様なキャラクター・ストレングス

キャラクター・ストレングス(character strength)とは、ポジティブ心理学において研究成果を元に規定された、「知恵・知識」「勇気」「人間性」「正義」「節度」「超越性」の6カテゴリにおける24種類の普遍的な「強み」のことを指します。
レジリエントな企業になるためには、従業員がこのキャラクター・ストレングスにおいて多様な強みを持っていることが大切です。もちろん、必ずしも1人ですべての強みを持っていなければいけないわけではありません。チームメイトがそれぞれの強みや弱みを補完し合うことで、仕事を進めていけるような状況を生み出すことができたらよいと言えます。
キャラクター・ストレングスは、場所や環境を問わずに発現される人間の本質的な強みを表しているため、この指標において多様な人材がいることで、組織がよりレジリエントになるのです。

レジリエントな企業になるための方法

以上、レジリエントな企業の特徴や要素について解説してきました。では、レジリエントな企業になるためにはどうすればいいのでしょうか。とくに重要なポイントとなる3つの方法をご紹介します。

ネックとなるソフト面を変革する

データを収集し統合するプラットフォームを構築することで情報を可視化したり、意思疎通を迅速化するためのコミュニケーションツールを導入したりすることは、それほど難しいことではありません。企業としての意思決定が必要で、費用もかかりますが、それさえクリアできれば組織のハード面は変えることが可能です。
実際にネックとなるのは、人材育成や企業風土といったソフト面でしょう。ソフト面は時間をかけて醸成されていく部分も多く、お金さえかけたら変えられるものではないからです。変化に対応するスピード感や、前例のないことに取り組む柔軟性というのは、組織の風土などソフト面が大きく関わってきます。
だからこそ、組織のレジリエンスを高めるためにこれらのソフト面に着目し、変革していく必要があります。組織レジリエンス向上に向けて組織のどのような面をどのように変えていくのか、経営側が明確に打ち出した上で、ハード面とソフト面双方の変革に向けた具体的な施策を検討しましょう。

経営が非効率になることを受け入れる

レジリエントな企業になるためには、組織の冗長性や多様性が必要です。ビジネスに冗長性や多様性を取り入れるということは、ある意味で経営を非効率にする面もありますが、これを受け入れなければなりません
これまで、企業が売上と利益を増大させるためには、経営効率の向上に向けて改善策を繰り返し、バリューチェーンを最適化していくことが王道でした。また、企業風土にマッチした同一性の高い人材が、語られない文脈や暗黙の了解事項も理解した上で、ハイコンテクストなコミュケーション(阿吽の呼吸)で仕事を進めることが、スピード感のあるビジネスの秘訣でもありました。
しかし、効率化に向けて業務の定型化や分業を進め、バリューチェーンを最適化することで短期的には成果が上がるかもしれませんが、同時に組織の硬直化も招きます。効率化を求めれば求めるほど、その過程で余力を失い、レジリエントな企業とは反対の方向に傾いてしまうのです。企業のレジリエンスを高めるためには、スケジュールや在庫や人員にバッファを持たせたり、仕入れ先や生産ラインを複数化したりするなど、組織の冗長性が必要です。また、多様なアイデアや能力をビジネスに取り入れるためには、多様なバックグラウンドを持った人材も必要です。組織に冗長性を持たせるためにはコストがかかり、多様な人材で仕事を進めるためにはローコンテクストなコミュニケーションが必要なためコミュニケーションコストがかさみます。つまり、レジリエンスの向上のためには、効率を犠牲にしなければならない面があるのです。
レジリエンスと業績というコンフリクトを完全に解消することは困難です。しかし、テクノロジーを活用することである程度の両立は可能であると考えられます。企業のレジリエンスを高めるためには、企業の経営層が一時的な非効率を受け入れる覚悟を持ちつつ、現状の組織構造や風土を見直し、レジリエンスと業績の両立に向けて組織を改革していかなければならないのです。

インターナルコミュニケーションで組織の柔軟性を高める

先の見えない不確実な社会で適切な意思決定をし、たとえうまくいかなくても状況に応じて進む方向を微修正したり方向転換したりするためには、組織のインターナルコミュニケーションも重要です。
企業の役割が利益の追求から社会課題の解決へと変化してきている昨今においては、企業が経営の意思決定を行う際にも環境や人権、地域社会や未来世代など各方面への配慮が必要です。こういった制約の中で適切な意思決定を行うためには、社内外のさまざまな関係者の声に耳を傾け、最善の選択肢について議論する必要があります。権限移譲によって各現場が自律的に判断・行動することと、幅広いインターナルコミュニケーションを通じて熟慮すること、この2種類のアプローチが組織のレジリエントを高めるために必要です。
そのためにも、経営陣は一つの選択肢のみに沿って組織を効率化していくのではなく、多様な選択肢を持って、時には立ち止まって話し合い、方向転換をしながら進んでいくことができる柔軟な組織を作っていく必要があります。これを下支えするのがインターナルコミュニケーションなのです。

まとめ

不確実性の高い世の中で他社との競争に打ち勝ち、中長期的に生き残るためには、変化への適応力が高く柔軟性のあるレジリエントな企業にならなければなりません。そして、レジリエントな企業を築くためには、自分で考えることができ多様性のある人材が必要です。世の中の変化や顧客のニーズに対応するため、レジリエントな企業づくりを進めたいとお考えの際は、ぜひソフィアまでご相談ください

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