組織文化とは?組織文化の重要性、良い組織文化を作るポイントを解説!

企業組織についての話題でよく聞く「組織文化」という言葉。経営学用語のひとつですが、組織文化とはどのようなもので、なぜ企業にとって重要なのでしょうか。
また、良い組織文化は企業にとって大きなメリットをもたらすと言われますが、そのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、この組織文化について概説し、組織文化の重要性や、実際に良い組織文化を作るためのポイントについて解説します。

組織文化とは?

組織文化とは、組織の構成員間で共有された考え方に基づく、組織全体の行動原理や思考様式です。
組織文化は、企業の成長につながるものであることが重要であり、成長を阻害するような組織文化は変えていく必要があります。
組織文化や人材は企業の差別化ポイントになりやすい部分です。そのため企業価値の向上を目指して組織の構造改革を行う際には、部署を統合したり人事異動などで役員を変えたりといった施策とあわせて、組織文化の変革も図るのが一般的です。

組織文化について考える上では、1997年にナドラーとタッシュマンが提唱したコングルーエンス・モデルが参考になります。
コングルーエンス・モデルとは、組織の「組織文化」に加えて「実行課題(戦略を実行するうえでのカギ)」「組織の体制や構造(仕事上の仕組みや手順などを含む広い概念)」「人材(どういう知識・経験・スキルを持った人材がいるのか)」がフィットしている(=アライメントがとれている)と組織は機能し、成果を生み出すことが可能であるというモデルです。
これらの4つのうち、どれかが欠けたりバランスを崩したりしても組織は機能しません。これらの整合性をとることにおいて、組織文化が重要な役割を果たしているのです。

組織文化と組織風土の違い

組織文化に類似しているとされる概念として「組織風土」があります。これらの違いに関して明確な定義はありませんが、一般的に組織文化は計画的に介入していくものであり、意図的にデザインが可能なものです。
一方、意図的ではなく自然に醸成されたもの、いつのまにか定着してしまった組織の習慣を組織風土と呼びます。

組織文化の種類

組織文化をもっとよく知るために、組織文化の種類についても触れていきます。
ミシガン大学のロバート・クイン、キム・キャメロンらにより開発された、組織文化の診断フレームワークである「競合価値観フレームワーク(CVF; Competing Values Framework)」では、横軸で組織が内部志向もしくは外部志向であるかを表しており、縦軸で安定性を重視する文化なのか柔軟性のある文化なのかどうかを表しています。

競合価値観フレームワーク(CVF; Competing Values Framework)

以下に、フレームワークが示す4のタイプの組織文化について紹介していきます。ただし、これはあくまでも一例で、組織文化はこのように単純に明文化できるものばかりではありません。以下の4つのうちの1つではなく、2つ、3つに当てはまることもあります。自社の組織文化を知るためには、まず「どのような文化なのか」言語化してみることが重要です。「競合価値観フレームワーク」は、そのための切り口の一つと考えてください。

家族文化(クラン文化)

家族的な親密性や仲間意識を重んじる組織文化です。共同的な志向性を持っており、組織へのコミットメントやコミュニケーションの開発に価値が置かれています。

イノベーション文化(アドホクラシー文化)

変革や創造を重んじる文化です。創造的な志向性を持っており、変革や敏捷性、機敏性に価値が置かれています。

官僚文化(ヒエラルキー文化)

組織の安定と統制を重んじる文化です。管理的・支配的な志向性を持っており、効率や適時性、一貫性や画一性に価値が置かれています。

マーケット文化

市場競争に勝つことを重んじる文化です。市場シェアや目標達成、収益性に価値が置かれています。

良い組織文化が企業の成功につながる理由

良い組織文化は、企業にも良い影響をもたらします。組織文化を変えたいと感じた場合、変革後の組織文化が自社の現在直面している課題の解決や、将来的にありたい姿いつながるかどうかを見極めて変革を行うことが重要です。

組織内での団結力が上がる

良い組織文化が浸透した状態においては、相乗効果で組織内での団結力向上が期待できます。高い団結力は企業の生産性や作業品質を高め、離職を防止する副次的な効果も得られるでしょう。
ただし、組織文化によって共通の認識があるという前提のもとに、「〜すべきである」「〜でなければならない」という同調圧力が生まれる問題が生まれる危険性があることにも注意してください。こうした同調圧力はマジョリティの枠から外れた言動を排除しようとする傾向にあり、それは組織におけるイノベーションを阻害する要因となり得ます。

情報伝達が早く、正確になる

組織文化は組織の重視する価値観でもあるため、良い組織文化が浸透した状態では社員が共通の価値観を判断基準として行動するようになります。行動の基準が指針として浸透することで、情報伝達が早く、正確になります。

組織にフィットした人材の確保

良い組織文化とは、組織文化に企業の理念が反映されており、社員がそれに理解を示し、納得している状態です。これは逆に言えば、どのような構成員を組織が必要としているかが明確な状態でもあります。組織にフィットした人材を確保できる状態ともいえ、採用において優位となります。また、企業の理念にもとづいてオープンなコミュニケーションができる文化が定着していれば、企業が従業員に提供できる価値(EVP; Employee Value Proposition) も上がります。

良い組織文化をつくるためのステップ

最後に、良質な組織文化を作るための4つのステップを解説します。

企業ビジョンへの理解・共感を得る

前提として、組織文化を形成する企業ビジョンについて、社員が深く理解し、納得し、共感していることが不可欠です。企業ビジョンに理解や共感を得られていない状態で良い企業文化を作ることはできません。まずは企業ビジョンがどの程度理解・共感を得られているかの見直しから進めていってください。

企業ビジョンに沿った行動を促す

企業ビジョンが理解・共感を得られている状態になったら、次に、企業ビジョンに沿った行動を促します。そのためには、企業ビジョンに沿って業務やタスクを見直すとともに、企業ビジョンを体現した行動はどのようなものなのか、上司・部下間のコミュニケーションや社内メディア等を使ったコミュニケーションを通じて具体的に示していく必要があります。また、行動は次に解説する「体験」のフェーズを経ていないと定着しないため、行動によって得られる体験までを合わせてデザインすることが大切です。

社員の体験をデザインする

例えば企業ビジョンに沿って模範的な行動をした社員の人事評価が上がったり、全社の前で表彰されたりすれば、社員は企業ビジョンに沿った行動をとることを好ましいと捉えるようになります。すると、行動は習慣化され、周囲にもそれを伝えるようになるでしょう。これを実現するためには、組織内のルールや制度の見直しや、マネジャー層の意識改革が必要になります。

学習をデザインする

行動によって好ましい体験を得ることは、社員が企業ビジョンに沿った行動に対して「好ましいことである」という意味づけを行うこと、すなわち学習につながります。良い組織文化を形成し、維持するためには、繰り返しこういった学習の機会を設けることが必要です。なお、学習の機会を作るにあたっても、すでに社員が企業ビジョンを理解し、共感していることが前提となります。そのような状態があって、はじめて良い組織文化の形成が可能になるのです。

組織文化変革に必要な「物語」

すでに昔の組織文化があり、その組織文化を変化させたい場合は、今までの組織文化を「変える」のではなく、「新たな流れを作る」ことが大事です。しかし新たな流れを作ろうとしても、既存の組織文化にもとづいた、いわば経路依存的な習慣や感情から、社内の抵抗が発生します。なぜなら、社員一人ひとりは、大なり小なり既存の組織文化に慣れているからです。

こういった状況で「新たな流れをつくる」ためには、変革の「ナラティブ(narrative)」を作ることが重要です。ナラティブは社員自身について語られた「物語」を意味する言葉であり、第三者について語られる「ストーリー(story)」とは異なります。

ナラティブを作るには、社員自身が「自明のものである」「正しいものである」と考えている古い組織文化を、視点を変えて客観的に眺めてみることが必要です。そのうえで、企業ビジョンをもとに、自分たちの今後あるべき姿やありたい姿について、社員自身が問いを立て、対話を重ね、今後目指すべき「新しい流れ」を自分事として語ることです。具体的な方法はこちらの記事を参考にしてみてください。

参考記事:
職場で感じる「モヤモヤ」をなんとかしたいあなたへ |Vol.2 問題を、自分の外に出してみる

押し付けられた「あるべき論」では人は動きません。リーダーの語る納得感や驚きのあるストーリー、社員の中にある何かしらの違和感と対話を通じた気付きなどが組織を動かします。そしてそれらは、社員一人一人に変化への期待やワクワク感を醸成するものでもあるのです。

まとめ

組織文化は抽象的な概念などではなく、企業を成功へと導く重要な要素の一つです。そして、良い組織文化を形成する前提条件として、「企業ビジョンの浸透」があることに着目してください。
企業ビジョンは策定して終わりにしている企業が散見されますが、行動レベルまで落とし込み、学習をデザインし、企業内に浸透できていることが、組織文化を良質なものへ進化させる重要な要素となります。自社が企業ビジョンを浸透させられていないと感じたら、まずはそこからテコ入れすべきです。
もし組織文化を変革したいが企業ビジョンの浸透からできていない、企業ビジョンをどうやって浸透させればいいかわからないという場合は、ソフィアまでお気軽にご相談ください。

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