eラーニングのプラットフォームとは?おすすめのシステムをご紹介

#Eラーニング#ICTシステム活用支援#ラーニングデザイン#働き方#研修・ワークショップ

29.Jul.2020

eラーニング(Electronic Learning)は、パソコンをはじめとした電子機器で受けられる新しい学習形態として1980〜1990年代にアメリカで開発され、日本には2000年代初頭に導入されました。

日本でもeラーニングの歴史は長く、多く活用されてきた例のひとつが1998年に開始された「プライバシーマーク」制度の学習(個人情報研修)です。
プライバシーマークは申請や更新の際、個人情報保護の適切な知識と取り扱いを全社員が修得・遵守していることが要求されるため、それを証明する手段として一斉教育や試験がeラーニングによって行われていました。
プライバシーマークは個人情報を扱う企業にとって、もはや必須とも言える認証であり、今でもこれらの研修やテストは実施されています。企業がISOやISMSなどの認証機関から認証を取得するにあたり、申請時に学習履歴の提出を求められることが増えてきており、eラーニングが業務の中に組み込まれてきました。

従来のeラーニングは、パソコンでCD-ROMやDVD-ROMを読み込んで学習を開始する形式がほとんどでしたが、現在はオンラインで学習コンテンツをダウンロードし、スマートフォンやタブレットでも受講が可能になっています。
また、eラーニングを「管理」するための「LMS(Learning Management System)」が登場し、組織の集合研修に代わる学習システムとしてeラーニングが再び注目を集めるようになりました。

本記事ではこのLMSについて解説するとともに、おすすめのシステムをご紹介します。

LMS(学習管理システム:Learning Management System)とは?

LMSとは、eラーニングを実施する際の管理基盤になるシステムのことです。
eラーニングのプラットフォームとして、教材の配信や学習コースの設計、受講者の割り振り、成績データの保存などを一括して行う、OSのような役割を果たします。

LMSの歴史

LMSの解説をはじめる前に、電子端末とインターネットの歴史について触れておきましょう。
電子端末の代表格とも言えるパソコン(パーソナルコンピューター)が「ごく一部の専門家しか使わないもの」から「広く一般的に使われるもの」へと爆発的な進化を遂げた起爆剤となった出来事をご存知でしょうか。マイクロソフト社が開発したオペレーティングシステム「Windows 95」の登場です。

このWindows 95の発売に合わせるかのように、インターネットの普及が始まりました。
アメリカのように国土が広く国内でも時差がある国では、遠く離れた人や企業と円滑なコミュニケーションを行うためのICT技術の進歩が不可欠だったのです。

また、当時のパソコンにはCD-ROMのドライブが装備されていました。
CD-ROMはそれ以前まで使われていたフロッピーディスクに比べてデータ容量が大きく、ドキュメントに限らず、音声や画像といったデータを収録できたため、電子端末が扱う情報のマルチメディア化に大きく寄与することになりました。こういったインフラが整った結果、ネットワークやパソコンを用いた教育手法である「eラーニング」がアメリカで誕生したのです。

それまでアメリカでは、距離や時差の影響で集合研修が困難であるという大きな課題がありました。この課題を解決したのが、時間や場所にとらわれずパソコンとネットワークさえあれば誰もが受講できるeラーニングという学習形態だったわけです。
eラーニングは瞬く間に普及し、同時にeラーニングを管理するプラットフォームであるLMSが開発され、現在はeラーニングと同様に不可欠な存在として企業間に浸透しています。

実は日本でも2000年代にはeラーニングやLMSがすでに取り入れられていたのですが、日本はアメリカと比べて国内の移動距離が短く、社員が一斉に集まることが可能だったため、アメリカのようにeラーニングへ移行する必然性がそれほど高くありませんでした。
しかし昨今は、テレワークに代表されるように場所や時間を問わない働き方が普及したことにより、eラーニングによる学習やそれを管理するLMSのメリットがあらためて見直され、注目を集めています。

LMSの機能

ここでは、LMSの基本的な機能について紹介します。
基本的な機能として「受講者の管理」、「受講状況の管理」、「コンテンツの管理」、「スマホ・マルチデバイス対応」、「SCORMとの適合」があります。それぞれを解説していきます。

受講者の管理

過去には、管理と言えば企業側のメリットを中心に考えられていましたが、現在のLMSにおいては受講者である社員の学習のしやすさにも重点が置かれています。

  • 受講IDの発行
  • 受講者マイページの設置
  • 受講権限の付与(受講者によって研修を選択的に割り振ることができます)
  • 受講者へのお知らせ/通知(未受講アラート・採点結果など)

受講状況の管理

  • 受講状況/受講履歴/成績の確認

コンテンツの管理

  • 研修コンテンツ(eラーニング)の登録
  • テストの登録や編集

ブラウザ・マルチデバイス対応

  • 専用のソフトウェアが不要(Webブラウザで動作)
  • モバイル端末(スマートフォン・タブレット)での受講

SCORMとの適合

SCORM(スコーム)は、eラーニングの世界標準規格です。
LMSではSCORMに準じて制作されたeラーニングデータの更新性や再利用性、アクセシビリティなどの互換性を保持したまま運用できます。
なお現在はSCORMだけではなく、HTML5によるeラーニング教材の制作・LMS運用も可能です。

なお、管理機能に加えてeラーニングのコンテンツ制作もセットで販売するLMSや、タレントマネジメントシステム(人材の経験やスキルをデータ化して可視化するシステム)やMicrosoft 365(旧 Office 365)やTeamsを組み合わせた高機能なLMSも存在します。

LMSの種類

LMSには大きく「オンプレミス」型と「クラウド」型の2種類が存在し、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
オンプレミスとクラウドはしばしば対になって比較されるので、システム担当者以外の方も覚えておくことをおすすめします。

オンプレミス型

オンプレミス型のLMSは自社のサーバ内に設置し、自社で開発・運用する形式です。
カスタマイズ性に優れるという大きなメリットがあり、とても細かな部分まで柔軟に手を加えることができます。
デメリットとしては、導入・構築・運用に時間とコストがかかる点です。
自社内で十分なリソースを確保できる大手企業には向いていると言えますが、中小企業にはハードルが高いかもしれません。

クラウド型

クラウド型は、物理サーバではなくクラウド上の仮想環境でLMSを利用できる形式です。
初期費用をかけることなく定額の利用料金だけで運用できるという大きなメリットがあり、中小企業でも導入がしやすく、現在はクラウド型が主流となりました。

参考記事:
人材開発のトレンド「ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム(LXP)」とは?  

おすすめのLMS

上記に挙げた機能はどのLMSもほぼ網羅しており、現在は各LMSがオリジナルの付加価値を設けて独自性や差別化を図っています。
この付加価値は、eラーニングの機能を拡充するものから他の人事業務も網羅するもの、最近のトレンドであるデジタルワークプレイスの一部となるものなどさまざまです。
LMSを自社に導入する際は「LMSを導入することでどのような学習のスタイルを実現させたいか」を考え、それに適したLMSを選択してください。
本記事では、それぞれオリジナルの特徴ごとに4つのLMSをご紹介します。

UMU

https://www.umu.co/home/

UMU(ゆーむ)はユームテクノロジージャパン株式会社の提供するLMSで、導入企業には国内外の大手企業が名を連ねています。
UMUはeラーニングに「双方向学習」の機能を搭載することを強みにしており、UMUアプリで構築した学習コンテンツに、学習中のレスポンスや学習後のフィードバック、AIによるアンケートを行える機能を追加できます。
これまでの双方向学習は教育担当者が付きっきりになる必要がありましたが、UMUを活用すればそれがLMSによって行われるわけです。
また、「双方向学習」だけでなく「テスト」「評価」までをワンストップで管理できるため、人事担当者の負担を減らすことのできるLMSと言って良いでしょう。

Moodle

https://moodle.org/?lang=ja

Moodle(ムードル)はオープンソースのLMSです。
インストールやアップグレードが容易で、フリーウェアのためライセンスコストもかかりません。
また、無料で利用できるサードパーティの追加モジュールも豊富です。
Moodleを選ぶ基準としては、自社に社外秘のノウハウを蓄積した学習コンテンツが豊富にあり、管理システムを含めたすべてを自社の資産として内製したいかどうかです。
事業の専門性が高く、社内に開発や運用のリソースを有する大手企業であれば選択肢に含めても良いでしょう。
導入支援を行うパートナー企業も多く存在するので、もし自社だけで不安な場合は相談してみても良いかもしれません。

LMS365

https://lms365.jp/

LMS365は、株式会社ソフィアが提供し、マイクロソフト社・Microsoft 365(旧 Office 365)のSharePoint Online上で動作するLMSです。
は社内ポータルサイトの制作に適したSharePoint Onlineを活用し、同じ場所にLMSを設置して連携できるという大きな強みがあります。
また、オフィスワークに欠かせないOfficeツール(Word、Excel、PowerPointなど)のドキュメントを教材にすることも容易です。
Microsoft 365はテレワークとも親和性が高いサービスであり、業務に必要なツールを一ヶ所に集約する「デジタルワークプレイス」を実現するツールでもあります。
Microsoft 365とあわせて導入することで、国が推進する「働き方改革」にも対応できる、もっとも汎用性の高いLMSと言えるでしょう。

参考記事:
より質の高い学習体験を実現するLXPを目指してーLMS365パートナーカンファレンスに参加しましたー  

SAP SuccessFactors

https://www.successfactors.com/ja_jp.html

SAP SuccessFactorsは、米SAP SuccessFactors社が提供するLMSです。
全世界で6,000社以上、日本でも100社以上の実績があります。
eラーニングの管理以外に、タレントマネジメント・人材管理・給与計算までも網羅できるという特徴があり、人事機能をひとつにまとめたい場合は最適なLMSと言えます。
こちらも日本で導入支援を行う企業がいくつか存在します。

eラーニングのこれから

eラーニングのメリットは、アナログだった教材がデジタル化するという点だけではありません。ICT技術の進化によって、より高度な人材開発が可能となります。

オンライン化

昨今のテレワーク導入により、あらゆるの業務がオンラインで完結する時代となりました。
これは研修においても例外ではなく、これまで社員を会議室に集めて講師が行っていた研修を、いつどこにいても受講できるようになったわけです。
オンライン化が実現するフレキシブルな人材育成は、企業と従業員の両方に大きな恩恵をもたらすでしょう。

インタラクティブな学習

もともとは受講者が聴講するだけの講義形式が多かった企業研修も、ディスカッションやロールプレイング、ゲーム形式など、社員がより主体的に参加できるものへと進化してきました。
そして現在は、Microsoft Teamsをはじめとしたオンラインミーティングツールが発達したことにより、全員が同じ場所に集まらなくても、これらのインタラクティブな研修をボイスチャットや動画を使って実施することが可能です。
また、Microsoft Azureを活用したウェビナー(web上のセミナー)の普及も見られるようになっています。

受講データの蓄積とパーソナライズ

LMSの導入により、個人がどの研修をいつ受講し、どのくらいの成績を収めたかというデータを収集できるようになります。
これらのデータを活用することで、研修のフォローアップとして新たな学習をサジェストしたり、不足している知識を補習させたりと、よりパーソナルな人材開発を実現できるようになります。
一斉に実施されるコンテンツより、「あなたのために」とパーソナライズドされた研修を適切なタイミングで実施することは、間接的に従業員のロイヤルティを高めることにもつながるでしょう。

参考記事:
お客様インタビューvol.5「想いが挑戦を生む 西松建設株式会社 バーチャルラーニングを取り入れた階層別研修」  

まとめ

これから「新しい生活様式」とともに、「働き方」も大きな変革を迎えることになります。
働き方が変わるということは、それに伴って人材の評価や育成の手段も変わらなければならないということです。

人材は「人財」とも呼ばれるほどかけがえのない資産ですが、変わらない企業に人材は残りません。優秀な人材を確保し、変わりゆく時代に合わせた方法で育成していくことは、企業の持続性にも影響します。

ビジネス課題に対するITソリューションは日々革新を遂げており、HR領域でも同様にLMSをはじめ新たなシステムが次々と生まれています。
積極的に情報収集を行い、自社に取り入れていきましょう。

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