人材育成

コミュニケーション能力を向上させるには?高い人の特徴も徹底解説

ビジネスパーソンには、仕事を円滑に進めるためのさまざまな能力が求められます。なかでも重要視されているのが「コミュニケーション能力」です。大企業では組織の多層化やテレワーク拡大に伴い、社内コミュニケーションの課題が一層顕在化しています。弊社ソフィアの調査でも、約8割が社内コミュニケーションに課題を感じていることが明らかになりました。この記事では、コミュニケーション能力の概要や高い人の特徴、向上させる方法について、調査結果を交えながら解説します。

コミュニケーション能力とは

一般的にコミュニケーション能力とは、「対人的なやりとりにおいて、相手とスムーズな意思疎通を図ることができる能力」のことを指します。家庭や学校、会社、社会などあらゆる場面で、他者と良好な人間関係を構築するために欠かせない能力です。

コミュニケーション能力は日常生活のみならずビジネスの場面でも強く求められます。たとえば2018年に日本経済団体連合会(経団連)が実施した「新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、企業が新卒採用時の選考で重視した点として「コミュニケーション能力」が16年連続で1位となっています。この結果から、コミュニケーション能力が社会人にとっていかに重要視されているかわかるでしょう。

そして、ビジネスシーンでは特に次の3つのスキルが必要とされています。

  • 自分の意見を相手に論理的に伝える力
  • 相手の話を聞いて正しく理解する力
  • 他者を説得したり巻き込んだりして行動を促す力(交渉力)

組織で働く人にとって、自分一人だけで完結する業務はほとんどありません。仕事を進める際には、上司からの指示を受けたり、部下や同僚に依頼したり、報告や相談をしたり、会議で議論して意思決定をしたりと、常に誰かとのコミュニケーションが必要となります。つまり、コミュニケーション能力は組織においてビジネスパーソンが成果を出すために必要不可欠な能力といえるのです。

コミュニケーション能力を高めることで、具体的には次のような効果が期待できます。

信頼関係の構築:
お互いに相手の立場や考えを理解しながら対話を重ねることで、認識のズレが減り、円滑な関係づくりにつながります。

生産性の向上:
上司・部下・同僚間の連携が取りやすくなり、情報共有の質が高まることで無駄な手戻りが減ります。その結果、業務の効率化や生産性向上に寄与します。

チームワークの強化:
メンバーが安心して意見交換できる雰囲気が生まれると互いの強みを活かした協働が進みます。一体感や信頼感が高まり、困難な課題にもチーム一丸で取り組めるようになります。

コミュニケーション能力が高い人の特徴

では、「コミュニケーション能力が高い人」にはどのような特徴があるのでしょうか。諸説ありますが、ビジネスの場面に限定していえば以下の3つの特徴を挙げることができます。

相手の意を汲み取って的確な発言・行動ができる

相手に行動変容を促すことができる

効果的なコミュニケーションを学習し、構造化することができる

以下にそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

相手の意を汲み取って的確な発言・行動ができる

円滑なコミュニケーションのためには、相手の意見や考えを瞬時に理解・判断し、コミュニケーションの目的に応じて適切な返答や行動をすることが求められます。しかし、「人を見て法を説け」と言われる通り、相手の状況や心情などを把握せずに一方的に話したのでは、良い結果にはつながりません。何かを伝えたい場合、伝える内容を整理したり表現方法を工夫することも重要ですが、まず優先すべきは相手を把握することです。

相手の言葉からその人の意図や考えを正しく理解するには、語られていない前提や背景、相手の置かれた状況を想像し、不明点は確認の質問をすることが欠かせません。これらのことを意識して実行できる人は、ビジネスにおけるコミュニケーション能力が高いと言えるでしょう。

相手に行動変容を促すことができる

ビジネスシーンにおけるコミュニケーションは、何らかの目的を持って行われます。例えば、誰かに仕事を依頼するという目標のために協力を仰ぐコミュニケーションを取るわけです。誰かに何かしらの行動を促すために行うコミュニケーションはもちろんのこと、自己紹介や雑談なども、相互理解の促進や警戒心の解除などの、何かしらの役割があります。これらの場面で適切に振舞い、目的に応じた行動変容を相手に促すことができる人は、コミュニケーション能力が高いと言えるでしょう。

言葉遣いや話し方といったバーバル(言語)コミュニケーションだけでなく、身振り手振りなど意図的なノンバーバル(非言語)コミュニケーションや、表情・癖・態度といった無意識のノンバーバルな要素も含めて、あらゆる手段で相手に影響を与える力が求められます。言い換えれば、自分の意識的・無意識的な言動が相手に変化をもたらす可能性があるということです。

効果的なコミュニケーションを学習し、構造化することができる

コミュニケーションの経験を積めば積むほど、様々な状況での展開を予測しやすくなります。経験からうまくいったパターンを学び、自分なりに整理して意識的に準備に活かせる人は、継続的にコミュニケーション能力を高めていくことができます。こうした学習能力は情報の受信と発信の両方に活かされ、コミュニケーションの目的に応じて自分と相手を動かす力につながっていきます。

言い換えると、コミュニケーションで得た成功・失敗の経験を自分の中でパターン化・構造化し、「どうすれば目的を効果的に達成できるか」を常に振り返りながら改善できる人です。そのため、単に話し上手なだけでなく、聞くスキルや質問するスキルも磨き、適切なツールを選択・活用するといった総合的な力を習得していく必要があります。

コミュニケーション能力が低い人の特徴

一方で、コミュニケーション能力が低い人にはどのような特徴が見られるでしょうか。コミュニケーション能力の不足は社内コミュニケーション上の問題要因の一つにも挙げられており、具体的には以下のような傾向として現れます。

自分本位で一方的に話し続ける:
相手の反応や表情を気にせず、自分の話ばかりをしてしまいます。一対一の会話で話す時間のほとんどを占めてしまうと、相手は「聞いてもらえない」と感じて疎外感を抱きます。

相手の話を最後まで聞かない:
相手が話し終える前に口を挟んだり、自分の意見を被せてしまうことが多いです。途中で遮られると、相手は「尊重されていない」と感じてしまいます。

非言語コミュニケーションに無頓着である:
会話時に目を合わせなかったり、距離感を誤ったり、表情が乏しいなど、言葉以外の要素への配慮が欠けています。表情や態度といった非言語メッセージを軽視すると、真意が伝わりにくくなります。

自己中心的に伝えがちである:
相手の立場や感情を考慮せず、自分の考えばかりを押し付けてしまいます。他者の意見に耳を傾けず反論ばかりしていると、建設的な対話ができません。

このような特徴を持つ人は、コミュニケーションの行き違いや摩擦を生みやすくなります。実際、弊社ソフィアの調査でも「コミュニケーションスキルの不足」が社内コミュニケーション問題の原因のひとつに挙げられており(27%が回答)、組織内での重要な課題となっています。コミュニケーション能力が低い人ほど、自身では気づかぬうちに周囲との意思疎通を阻害してしまう可能性があるため、早めに改善策に取り組むことが大切です。

「伝わらない」という前提に立つことの重要性

岩波書店から出版され、言語学者の新村出が編纂した国語辞典『広辞苑』では、コミュニケーションを「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達」と定義しています。ビジネスの場においても、上司への報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)や上司から部下への指導、顧客との対話など、さまざまな状況でコミュニケーションが欠かせません。円滑なコミュニケーションは生産性の向上につながるため、多くの企業で職場内の人間関係構築の取り組みが行われています。内部の質の高いコミュニケーションは従業員同士の相互理解を深め、問題や課題の解決、創造的なアイデアの創出・共有にも貢献します。言い換えれば、コミュニケーションは間接的に業務品質やイノベーションにも大きな影響を与える重要な要素なのです。

しかし、受信者の反応も含めたコミュニケーションの種類は多種多様でありその状況に依存する場合が多く、受信者の解釈は無限に想定され、コミュニケーション能力も方法論として無限に存在するわけです。つまり、コミュニケーションという行為自体が、「伝える」という行為を意味しながら、「伝わらない」という不可能性をはらんでいます。従って、コミュニケーション能力は、「伝わらない」という前提に立つことが非常に重要です。

コミュニケーションは本来、受信者から「理解できた」「分かった」という意思表示を得て初めて成立するものです。発信者(話し手)は相手の反応を予測し、望ましい反応を引き出すためにさまざまな工夫を凝らします。しかし、いくら発信者に高いコミュニケーションスキルがあっても、受信者から返ってきた反応が意図通りでなければ、コミュニケーションは成功したとは言えません。極端に言えば、発信者が一方的に上手に話したつもりでも、相手に伝わっていなければ意味がないのです。

要するに、コミュニケーションという行為自体、「伝える」という行為でありながら同時に「伝わらない」という不確実性をはらんでいます。受け手の解釈は千差万別であり、コミュニケーションの方法論も無限に考えられるでしょう。従って、コミュニケーション能力は「伝わらない」という前提に立つことが非常に重要です。常に「自分の伝えたいことは相手には十分伝わらないかもしれない」と意識しながら、相手の理解度を確認したり、伝え方を工夫したりする姿勢が求められます。

コミュニケーション能力の向上方法

コミュニケーション能力を高めるためには、自分とは価値観や属性が異なる人と積極的にやりとりを重ねることが重要です。互いによく知った者同士で話しているだけでは、新しい視点や知見に触れることができません。新たなインプットがなければ、相手の状況を想像して会話の展開を予測する力や、引き出しとなる話題・語彙も増えず、コミュニケーション能力は現状維持のまま停滞してしまうでしょう。

そう考えると、営業職など仕事の中心にコミュニケーションがある人は自然とコミュニケーション能力が磨かれそうに思えます。しかし実際には、その人がコミュニケーションをどれだけ意識的に構造化できているかによって、能力の伸び方は大きく異なってきます。言い換えれば、日々多くの人と話す機会があっても、漫然とこなしているだけではスキルは伸びにくく、経験を振り返って学びに変える意識が必要なのです。

では、コミュニケーションを構造化するとは具体的にどのようなことなのでしょうか。

ビジネスの場におけるコミュニケーションは、何らかの目的を達成するための手段であり、コミュニケーションそのものが目的となるわけではありません。例えば、上司や顧客・同僚に対して、会議や商談など特定の場面で、自分または相手のもつ課題(不安の解消、問題の解決、関係構築、協力の要請、合意形成など)を満たすことを目的に意見交換や議論を行う――ここで重要なのは、コミュニケーションによって相手の意識や行動の変容を促し、目的を達成することです。

このようにコミュニケーションの構造(誰が・どの場で・何のために・どう働きかけるか)を意識した上で、「そのコミュニケーションが目的達成にどれだけ寄与したか」を振り返ることができれば、伝え方や関わり方の妥当性を判断できます。このサイクルを繰り返し、コミュニケーションの成功パターンや失敗パターンを学ぶことが、さらなる能力向上につながっていくのです。逆に言えば、コミュニケーションの構造を意識せず闇雲に経験を積んでも、効果的に学びを活かすことはできません。

コミュニケーションを構造的に捉えて改善していく上で特に重要なのが「メタ認知能力」であり、また構造的に捉えたコミュニケーションを効果的に実践するためには「コミュニケーションツールの活用」も欠かせません。以下、この2点について詳しく説明します。

メタ認知能力を高める

メタ認知(metacognition)とは「自分自身の認知(知覚・思考・学習・記憶など)をより高い視点から認知すること」です。噛み砕いて言えば、頭の中にもう1人の自分を置いて自分の考えや行動を客観視するようなイメージです。コミュニケーションの場面でいえば、相手とやり取りをしながら頭の中で次のような点を冷静に意識することがメタ認知になります。

  • このコミュニケーションの目的は何なのか
  • 相手の置かれた立場や、相手の要望は何なのか
  • 目的達成に向けて相手を動機付けするにはどのような働きかけが必要なのか
  • 自分はいまどんな表情・口調で、どんな言葉を発しているか
  • 自分の発した言葉に対して相手はどんな反応をしたか、なぜその反応をしたのか
  • 相手は自分の発言を適切に理解できたか

コミュニケーションがうまくいかない要因には、大きく分けて(1)相手の状況に対する理解不足(2)自分自身のコミュニケーション方法に対する認識不足があります。具体的に言うと、前者は「その話題について相手がどれだけの予備知識を持っているのかを知らない」「相手がどのような立場にあるのかを知らない」「相手がどんな想い・背景を持っているのかを把握していない」などです。後者は「その話題について自分が何を知らないかを知らない」「話題の前提を相手と共有できていない」「定義があいまいな言葉を使っている」「論理的に話せていない」などが挙げられます。

メタ認知能力の高い人は、こうした要因を客観的に認識することで、相手について自分が分かっていない点を知るための質問をしたり、相手の状況に配慮した発言をしたり、自分の弱みを補い強みを活かすようなコミュニケーションスタイルを取ったりできます。また、目的達成に向けて相手に関する情報を計画的に収集したり、不足しているスキルを身につけるため自己研鑽に努めたりもします。これによってディスコミュニケーション(意思疎通の断絶)を防ぐとともに、継続的なコミュニケーション能力の向上を図り、目標を達成しやすくすることができるのです。

さらに、コミュニケーションの目的と内容を構造的に理解することで、相手に論理的に伝えたり説得したりすることも可能になります。コミュニケーションを構造的に理解するためには、メタ認知能力を高めることに加え、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、ファシリテーション、プレゼンテーション、レトリックといったスキルを学ぶことが役立ちます。

ツールを上手に利用する

コミュニケーションを効果的に進めるためには、コミュニケーションツールをうまく活用することも有効です。伝える内容以前に、目的に合った適切な手段を選べなければ、どんなに話し方を工夫しても相手に伝わりにくくなります。

例えば以下のように、目的や内容に応じて最適なコミュニケーションチャネルを選択しましょう。

対面:
デリケートな話題や細やかな配慮が必要な相談の場合に適しています(表情や声色から相手の感情を汲み取りやすい)。

電話・ビデオ通話:
急ぎの連絡や相談には直接声を伝えられる電話やオンライン会議が有効です(対面ほどではないものの、声の調子でニュアンスを伝えられる)。

メール・ビジネスチャット:
緊急度は高くないが確実に記録や返信が欲しい内容の場合に適しています(文章で残せるため後から内容を確認できる)。

コミュニケーションの目的と相手の状況を踏まえて、こうしたツールとチャネルを使い分ける力も求められます。もし手段の選択を誤れば、コミュニケーションの効率は上がらず、相手から「空気が読めない」「コミュニケーション能力が低い」と評価されかねません。

人間のコミュニケーション手段は、もともとの対面での会話から始まり、やがて文字の発明や紙・印刷技術、電話やインターネットによる通信へと絶えず進化してきました。現代では利用できる手段やツールが飛躍的に増え、遠隔地の相手とも容易にやりとりできます。それだけに、「状況に応じて適切なコミュニケーションツールとチャネルを選べる」能力の重要性もますます高まっているのです。

話し方の練習方法

効果的な話し方を身につける方法はいくつもあり、日常生活の中で今日からでも実践可能です。まずは自分の話し方や発音を意識的に改善してみましょう。例えば鏡の前で話す練習をすることで、自分の表情や声のトーンを客観的に確認し、より自信を持って話せるようになります。

また、話し方だけでなくリスニング力(聞く力)を高めることも大切です。普段から相手の話に積極的に耳を傾け、共感を示しながら適切なフィードバックを返すことで、コミュニケーションがより円滑になります。

さらに、日常会話そのものをトレーニングの場にしてしまいましょう。例えば同僚や知人との会話で、自分の意見や感情を適切に伝える練習をすることで、実践的にコミュニケーション能力を鍛えることができます。始めはうまく伝えられなくても、継続的な努力と実践の積み重ねによって、より自然で的確な話し方・聞き方が身につくでしょう。

コミュニケーション能力の向上は日々の小さな積み重ねから始まります。次に、誰でも簡単に取り組める具体的なテクニックをいくつか紹介します。

 ロジカルシンキング/コミュニケーション

ロジカルシンキングとは、物事を論理的に考える思考法のことです。ロジカルに物事を考え、順序立てて説明できるようになると、相手との認識のズレを防ぐことができます。論理のつながりや順序を意識せずだらだらと話してしまうと、聞き手は混乱してしまいかねません。ただ闇雲に話すのではなく、伝える前に自分の中で内容を整理し、結論や要点から簡潔に伝えることを意識しましょう。短時間で本質を伝えられるロジカルシンキングのスキルは、会議や商談、提案・説得などビジネスの幅広い場面で役立ちます。

 クリティカルシンキング/ディベート

クリティカルシンキングとは批判的思考とも呼ばれ、物事を鵜呑みにせず第三者的視点で疑問を持ち続ける思考法です。現状や前提への「本当にそうだろうか?」という批判を繰り返すことで、より深く鋭い洞察にたどり着けます。ディベート(討論)などでは相手の主張に反論しつつ議論を深めますが、クリティカルシンキングはそうした場面で威力を発揮します。ビジネスシーンでは、問題の深掘りや課題発見、的確な意思決定に役立つスキルです。

 ラテラルシンキング

ラテラル(Lateral)とは英語で「側面の」という意味です。ラテラルシンキングは既成概念にとらわれずに新しい視点で物事を見る思考法を指します。論理的なアプローチだけでは行き詰まるような問題も、別の角度から見てみると解決の糸口が見えてくることがあります。ビジネスでは、課題解決やブレインストーミング(ブレスト)でアイデアを発想する際に有効で、従来にないイノベーティブな発想を生み出すきっかけにもなるでしょう。

 エレベータートーク

エレベータートークとは、「エレベーターに一緒に乗っている短時間で、自分の伝えたいポイントを相手の印象に残るよう伝えるスキル」のことです。長時間かけて丁寧に話すプレゼンテーションとは異なり、30秒から1分程度の短い時間で要点を伝えることで、相手に負担をかけず自分の主張を理解してもらう手法です。

エレベータートークが求められる場面としては、例えば上司への報告・連絡・相談(報連相)や、オンライン会議での自己紹介、取引先や顧客との冒頭のやり取りなどが挙げられます。特に新入社員の場合、日々の業務で上司に報連相を行う機会が多いでしょう。そうした場面で「必要なことだけを簡潔に話す」訓練をすることで、自然とエレベータートークのスキルが身につきます。聞き手である上司側も、部下の報告内容が要領を得ているかフィードバックすることで、社員のスキル向上を促すことができます。

 バックトラッキング

バックトラッキングは「オウム返しのように相手の発言をそのまま繰り返す」コミュニケーション技法です。カウンセリングでも用いられる手法で、例えば相手が「○○ということがあったんだ」と話したら、「○○ということがあったんですね」のように、そのまま返します。こうすることで相手に「自分の話をきちんと理解して受け止めてもらえている」という安心感を与え、好印象につながりやすくなります。

ただし、単に言葉を繰り返すだけでは不十分です。相手が話している間に無表情だったり、うつむいたままで相槌のトーンが弱かったりすると、「本当に聞いているのか?」と不安にさせてしまいます。バックトラッキングを行う際は、内容に合わせてうなずきや笑顔など適度なジェスチャーも交え、自然なリアクションを心がけましょう。

聴き方の練習方法

効果的な聴き方(聞くスキル)を身につけるには、まず何より積極的に相手の話に耳を傾ける姿勢が大切です。相手の話を途中で遮らず、最後までしっかり聴き切るよう意識しましょう。話を聞く際には相手と目線を合わせ、相づちや表情で関心を示すこともポイントです。聴く姿勢は、聞き手が思っている以上に相手に伝わります。もし上の空だったり、相手に関心がない様子を見せてしまうと、相手は「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じてしまいます。相手へのリスペクトと理解しようとする姿勢がなければ、そもそもコミュニケーションは成り立ちにくくなるでしょう。

また、相手の話を正しく理解するためには質問を投げかけることも効果的です。相手の話の中で不明な点があれば、「それは具体的にどういうことですか?」などと尋ね、相手の真意や詳しい背景を引き出しましょう。さらに、適切なフィードバックを返すことも欠かせません。相手の話を要約したり、「なるほど」「おっしゃる通りですね」などと共感・同意を示したりして、相手に「きちんと理解してもらえている」という安心感を与えます。これらを継続的に実践することで、聴き方のスキルは着実に向上していきます。

 ミラーリング

ミラーリングとは「鏡に映したかのように相手の動作を真似る」テクニックです。人間関係を築く中で、「この人とは波長が合う」と感じて話しやすくなった経験はないでしょうか。それは、知らず知らずのうちに相手と自分のしぐさや態度が似ていて、心理的な一体感が生まれているからかもしれません。

コミュニケーション能力が高い人は、このミラーリングの技術を意図的に活用して相手とのペースを合わせます。会話の中で相手の動作や姿勢にさりげなく合わせていくことで、「この人は自分と感覚が近い」と相手に感じさせ、親近感や信頼感を高めるのです。例えば相手が飲み物を口にしたら自分も同じように飲んでみる、相手が腕組みしたら自分も少し後で腕組みする、といった具合です。

ただし、あからさまに真似をしすぎると不自然に映ってしまうため注意が必要です。あくまで相手に気付かれない程度の自然さで行うことが大切です。

 パラフレーズ

パラフレーズとは「元の表現を他の言葉で言い換える」技法で、難しい言い回しや専門用語をより平易な言葉に置き換えることを指します。相手にとって馴染みのない言葉やカタカナビジネス用語などは、そのまま使うとかえって伝わらないことがあります。

例えば、「ASAPで対応お願いします。今日できなかったらリスケしてもいいから!」という表現は、新入社員や業界用語に不慣れな人には意味が伝わりにくいでしょう。そこで、「なるべく早く対応してもらえますか?もし今日中に難しそうなら予定を変更するので教えてください」と言い換えるだけで、誰にでも理解しやすくなります。

また、「知らない」という事実を伝える場合でも、表現の仕方によって受ける印象は異なります。「存じ上げません」「そのような知識を持ち合わせておりません」「その分野は明るくないです」など、丁寧さや柔らかさの度合いを調整して言い換えることも可能です。このように、相手に合わせて適切な言葉遣い・表現を選ぶことが、相手への配慮と思いやりにつながります。

まとめ

ここまでコミュニケーション能力の概要から、高い人・低い人の特徴、そして向上方法まで解説してきました。改めて整理すると、コミュニケーション能力とは対人的なやりとりにおいて相手と円滑に意思疎通を図ることができる能力のことです。相手との信頼関係を構築するために、ビジネスはもちろんあらゆる場面でコミュニケーション能力は欠かせません。

一般的に「コミュニケーション能力が高い人」というと話し上手な印象がありますが、単に会話が途切れず話し続けられること自体が能力の高さを意味するわけではありません。むしろ相手の話をしっかり聞いて理解すること、効果的な質問で相手から情報を引き出すこと、そして相手の状況に合わせた働きかけによって相手の行動変容を促し、結果的に目的を達成できることが重要です。そのためには自分が話すスキルだけでなく、聞くスキル質問するスキルも必要ですし、適切なコミュニケーション手段(対面・電話・メール等)を選んで活用するために読む力・書く力も求められます。

コミュニケーション能力を高めるには、日頃から自分と異なる価値観や属性を持つ人と関わり、新たな視点に触れること、そしてメタ認知を鍛えて自分のコミュニケーションを客観視する習慣が重要です。本記事で紹介したポイントや弊社ソフィアの調査結果も参考にしながら、ぜひ貴社の研修や日々の職場でコミュニケーション能力向上に取り組んでみてください。コミュニケーションの質を高めることは、組織全体のエンゲージメント向上や業務効率化にもつながる大切な一歩です。今日できることから少しずつ実践し、着実にコミュニケーション能力の向上を目指していきましょう。

お問い合わせ

よくある質問
  • 大企業で社内コミュニケーションの課題が多いのはなぜですか?
  • 組織規模が大きくなると部署間の垣根や上下関係が複雑になり、情報伝達や意思疎通が難しくなるためです。弊社ソフィアの調査によれば、社内コミュニケーションに問題を感じる層として最も多いのは「部門間」(58%)、次いで「部門内(上司と部下)」(51%)や「経営層と現場社員」(42%)となっています。つまり、部署横断の連携(いわゆるサイロ化の問題)や縦のコミュニケーション不足の両面で軋轢が生じているのです。また、「必要性の認識が共通化されていない」(34%)、「組織の文化や体質の問題」(33%)、「部門間の利害の不一致」(32%)といった組織要因に加え、「コミュニケーションスキルの不足」(27%)や「業務過多による時間不足」(26%)も問題の原因に挙げられています。これらが複合的に影響し、大企業ほど社内コミュニケーションの難しさが増す傾向にあります。

  • コミュニケーション能力は先天的な才能ではなく伸ばすことができますか?
  • はい、コミュニケーション能力はトレーニングや経験によって十分に伸ばすことができます。よく「コミュニケーション能力を鍛えるのは筋トレのようなもの」と言われますが、まさに継続的な練習の積み重ねによってスキルアップが可能な領域です。たとえ現在あまり得意でなくても、日常で意識して会話の機会を増やしたり、当記事で紹介したようなポイントを実践したりすることで徐々に改善できます。実際、話し方・聞き方のコツや構造的な振り返りを身につけることで、誰でもコミュニケーション能力を高めていけるのです。

  • コミュニケーションが苦手な社員に対して企業はどのような支援ができますか?
  • 企業としては、社員のコミュニケーション能力向上を支援するために研修やコーチングの機会を提供することが効果的です。たとえば、新入社員やコミュニケーションに課題を感じている社員向けにワークショップ形式の研修を実施し、ロールプレイやグループ討議を通じて実践的なスキルを学ぶ場を設けます。そこで上司やトレーナーが適切にフィードバックし、本人の気付きと改善を促します。また、メンター制度やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)によって先輩社員が日常業務の中でコミュニケーションの取り方を指導・サポートするのも有効です。さらに、社内報や社内SNSなど情報共有ツールの活用促進や、部署横断のプロジェクト・懇親会の実施など社内交流の機会を増やす取り組みも、社員同士のコミュニケーション活性化につながります。こうした多角的な支援によって、コミュニケーションが苦手な社員も徐々に自信をつけ成長していけるでしょう。

  • 効果的なコミュニケーション研修とはどのような内容ですか?
  • 効果的なコミュニケーション研修には、実践練習と振り返りの要素がバランス良く組み込まれていることが重要です。具体的には、単なる座学だけでなくロールプレイやグループディスカッションを通じて社員が自ら話し、聞く体験を積める研修が望ましいでしょう。研修内で、例えば「上司に提案を行う」「顧客からクレーム対応をする」といったシチュエーションを設定し、参加者同士で演習します。トレーナーはその様子を観察し、良かった点や改善点について具体的にフィードバックします。これにより参加者は自分の癖や弱点を客観的に知ることができます。また、研修カリキュラムには傾聴やアサーション(率直な自己表現)、非言語コミュニケーションなど、コミュニケーション能力を構成する各要素をバランス良く含めます。最後に、研修で学んだことを職場で実践し、後日再度振り返るフォローアップ研修やコーチングセッションを行うことで、学びを定着させるとより効果的です。

  • 内向的な人や人見知りでもコミュニケーション能力を高めることはできますか?
  • もちろんできます。外交的=コミュニケーション能力が高いとは一概には言えません。コミュニケーション能力で重要なのは単に話す量ではなく、相手と双方向のやりとりができるかどうかです。内向的な方でも、相手の気持ちを察する力が高かったり聞き上手であったりすれば、十分に高いコミュニケーション能力を発揮できます。実際、口数が多く社交的な人でも相手の話を聞かず一方的に話してばかりではコミュニケーション上手とは言えませんし、逆に大人しい人でも相手に寄り添い適切なリアクションができれば良好なコミュニケーションが取れます。人見知りの方は最初は緊張するかもしれませんが、少しずつ場数を踏んで慣れていくこと、そして自分の強みである観察力や共感力を活かして会話に臨むことで、着実にコミュニケーション能力を伸ばしていけるでしょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。