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SDGsが抱えている問題点とは 企業がSDGsに取り組む前に知っておきたいこと
#サステナブル#SDGs
2015年9月、ニューヨークの国連本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催されました。このサミットを経て、2030年までに達成すべき国際社会共通の17の目標として掲げられたのがSDGs(=Sustainable Development Goals)です。
SDGsへの意識が世界的に高まる中で、日本においてもSDGsに取り組むことが企業のメリットとして捉えられるようになってきました。
SDGsに取り組む企業が増えている
・SDGsに取り組むメリット
・SDGsに取り組む際の留意点
SDGsに取り組む日本企業の事例
・三陽商会「エシカルブランドで、リブランディング」
・花王「消費者の利便性を守りながら、プラスチック使用量削減」
・第一三共株式会社「パリ協定の目標に沿って2030年までにCO2排出量27%削減」
まとめ
実際、SDGsの認知度は日本でも年々向上しており、IGES(地球環境戦略研究機関)のレポートによると、たとえば企業内のCSR担当における定着度では2015年が61%、2016年度が84%、2017年度は86%となっていて、年々増加していることがわかります。
企業の乗り組みも年々活発になってきており、コーポレートサイトの中で自社のSDGsへの取り組みを紹介する企業も多くみられるようになってきました。外務省のサイトにあるSDGsの取組事例をみても、多くの企業の名が連なります。
しかしながら、興味はあるもののSDGsへの取り組みがまだできていない企業が多いことも事実です。ここでは、企業がSDGsに取り組むメリットと取り組む際の留意点を紹介します。
SDGsへの取り組みは企業に課せられた義務ではありません。むしろ、貧困や環境問題に取り組むことは企業にとって一見コストがかかることでもあります。
ではなぜSDGsに取り組む企業は年々増加するのでしょうか。企業がSDGsに取り組むメリットをいくつか簡単に紹介します。
SDGsは貧困や飢餓をなくすことや、教育機会の拡充、持続可能なエネルギー確保、気候変動への対策など17の目標からなり、これらの目標は世界が直面している解決すべき課題でもあります。ということは、この課題を解決するための取り組みは新しいビジネスのチャンスとなります。
SDGsの17目標を起点にして、問題解決のための新規事業の創造や、他業種との協働など、さまざまな働きかけができるはずです。
「未来志向」のSDGsに取り組むことで、より一層自社の戦略に磨きをかけていきましょう。
SDGsに取り組む企業は世界が直面する課題解決に取り組む企業です。SDGsは世界共通の目標であり、企業がSDGsに取り組むということは、CSR活動として非常に重要な意義をもちます。
企業がCSRを果たすことで、ステークホルダーとの関係性も向上していきます。逆に、SDGsに取り組まない企業は、世界で取り組む課題に無関心という表明になりかねず、将来的にサプライチェーンから外されたり、株主や地域の支援を得ることができなくなったりする可能性も少なくありません。
SDGsの掲げる目標には、貧困をなくすこと、飢餓をなくすこと、ジェンダー平等や気候変動に対する取り組みなどさまざまなものがあります。いずれの目標も世界全体で取り組むものであるため、SDGsに取り組む企業は社会に対して責任を果たす企業として認識され、企業イメージの向上やブランディングにも非常に効果的であるといえます。
また、こういった先進的な取り組みを行い、高い企業イメージ、高いブランドイメージをもつ企業には、先進的な思考をもった優秀な人材が集まります。SDGsに積極的に取り組む企業は、人材の採用にも有利になります。
近年ESGを考慮した投資が重視され、拡大しています。
SDGsの17の開発目標には、貧困や飢餓をなくすことだけでなく、気候変動への対策や海の豊かさ、陸の豊かさを守ることなど、環境問題への対策も多く含まれています。SDGsに取り組むことは環境や社会、あるいはその両方に貢献することとなります。
企業が環境や社会に配慮し、CSRを果たすことはESG投資と資金調達の観点からも非常に有利となります。
SDGsに興味をもち、これから取り組んでいこうとする企業も多くあると思います。取り組むにあたっては注意が必要なポイントがあります。ここでは、SDGsに取り組む際の留意点を簡単に紹介します。
SDGsに取り組むことは、ビジネスチャンスやブランディング、CSR活動などさまざまな意義があります。しかし、この取り組みに企業の経営理念との乖離があれば、そのひずみはやがて大きくなっていくことでしょう。
SDGsの導入にあたっては、まず「SDG Compass」に沿って、経営理念・指針との統合を行い戦略の方向を決定する必要があります。
トレードオフとは、特定の社会課題を解決することで新たな社会課題が生まれてしまう状況をさします。
たとえば、貧困をなくす(SDGsの目標1)ために森林を開発して農地に転用し、雇用を生み出しても、森林の消失と生態系の破壊で陸の豊かさ(SDGsの目標15)が失われてしまいます。
これがトレードオフです。上記は直接的で分かりやすい場合ですが、SDGsへの取り組みが直接的・間接的にトレードオフとならないか、注意が必要です。
SDGsウォッシュ(SDGsウォッシング)とは、SDGsへの取り組みを掲げながらその実態が伴っていない、実際と異なることを揶揄する言葉です。
たとえば、環境に配慮した農業経営を謳いながら、その農地では幼い子どもたちが低賃金で働かされているような場合です。
社会は上辺だけのSDGsウォッシュに敏感になっているため、企業としても注意が必要です。企業のイメージや価値がマイナスに転じてしまいます。SDGsに取り組んでいるようにみえて、実態が伴っていないビジネスとならないようにしなければなりません。
最後に、SDGsに取り組む日本企業の事例をいくつか紹介します。17あるSDGsのどの目標に対してどのように取り組んでいるかを簡単に解説します。
三陽商会は、SDGsの目標12:「つくる責任、つかう責任」を念頭に、「地球を、愛する。」「服を、愛する。」の2つのカテゴリーに活動を分け、推進を目指しています。
取り組みの事例としては、ビニールショッパーの廃止やリアルファーの使用禁止、サプライチェーンにおける現場に注視した、児童労働や働く環境において公正である服づくりなどがあります。サステナブルアクションプランの総称を「EARTH TO WEAR」と名付け、取り組みの姿勢を社内外へ示し続けながら、取り組み推進を強化していくことを目指しています。
参考:三陽商会のサステナブルアクションプラン「EARTH TO WEAR」
花王は、プラスチック使用量削減を目指し、SDGsの目標14:「海の豊かさを守ろう」に取り組んでいます。
プラスチックによる海洋汚染は深刻で、特に近年はプラスチックが砕かれて微細化したマイクロプラスチックが海洋生物に与える影響が大きな問題になっています。
プラスチック使用量削減を目指しながら、消費者にとって使いやすいつめかえ・つけかえ容器を開発し、日本国内で発売しているトイレタリー製品におけるプラスチック使用量を約74%削減しました。今後は、「海洋プラスチック廃棄ゼロ、内容物残存ゼロ、100%リサイクル可能」を目指し、さらなる取り組みを進化させていく方針です。
第一三共株式会社ではCO2削減目標達成を目指し、SDGsの目標13:「気候変動に具体的な対策を」に取り組んでいます。
2019 年10月に同社グループの小名浜工場(福島県いわき市)内に、医薬品業界では国内最大級となる自家消費型太陽光発電設備(出力3.3MW)の導入を決定し、2020年度内の完成・稼働開始を予定しています。この太陽光発電設備により、同工場からのCO2年間総排出量の約20%相当(約1,800トン/年)の削減が見込まれています。
日本は、2019年に発表されたSDGsの達成度ランキングで15位と、決して世界的に取り組みが遅れているわけではありません。しかし、世界的にSDGsへの取り組みが加速していく中で、企業が自社のミッションに基づいたサステイナブルな取り組みを行うことは、持続可能な開発を実現するために不可欠となっています。まずは自社の商品・サービスがSDGsの17の目標に対しどう働きかけることができるのか、SDGsへの理解を深めるところからスタートしていきましょう。
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