現代の企業経営において、従業員エンゲージメントの重要性が注目されています。人的資本経営の進展から、単なる雇用関係を超え、人材を資本としてとらえてどうしたらその価値を最大限に引き出せるかを考えることが大切です。そのためには、従業員のエンゲージメントを可視化し、具体的な数値として把握することが不可欠です。従業員の満足度やモチベーションを数値化することで、経営戦略の改善や効果的な施策の構築が可能になり、企業の健全な成長を促進します。本記事では、エンゲージメントサーベイの重要性と、結果に基づく改善のポイントについて探っていきます。
エンゲージメントサーベイは、組織内の従業員のエンゲージメントを測定する調査のことです。調査の目的は一般的に次の2つがあります。
組織の状態を明確にする:経営層やサーベイ実施の主体である人事部としては、サーベイを通じて組織の現在の状態を明確にすることができます。状態を明確にすれば、組織の目指す方向へ進むための課題を正確に把握することができ、その課題は施策という形で解決のためのアクションへつながります。
従業員の共通体験を生む:従業員としては、サーベイに回答することで従業員全員が共通の体験を共有することができます。サーベイへの参加は、従業員が同じ課題や機会に対する意見を持つきっかけを与えます。また、サーベイの実施自体が従業員に対して組織がエンゲージメントに真剣に取り組んでいることを伝え、従業員が主体的にエンゲージメントについて考える後押しをします。
それでは、測定するエンゲージメントとは何なのでしょうか。ここではよく混同される“従業員エンゲージメント”と“ワークエンゲージメント”の違いに触れながら説明していきます。
従業員エンゲージメントとは、社員自身が自発的な熱意を持ってコミットしている度合いのこと
ワークエンゲージメントとは、「活力」「熱意」「没頭」の3つが揃った、仕事で得る“持続的かつ安定的なポジティブな感情と認知”の心理状態のこと
いかがでしょうか。従業員エンゲージメントとはワークエンゲージメントを構成する一部であり、似ているようで少し違うことがおわかりになると思います。
つまり、簡単に言うとエンゲージメントとは、自発的にポジティブな心理状態で仕事に取り組んでいることであり、サーベイはその度合いを測定することを指します。
組織市民行動のように、この「自発的にポジティブな」というところがポイントであり、組織において最も重要な要素の一つとなります。従業員のエンゲージメント向上には、業績の向上だけでなく、従業員のメンタルヘルスにも良い影響を及ぼすとされています。その詳細なメリットや従業員エンゲージメントと従業員満足度の微妙な違いなどについて、以下の記事で掘り下げていきます。
上記で述べたとおりエンゲージメントサーベイの実施は、組織において従業員の声を的確に捉え、効果的な改善策を導き出す重要な手法となっています。
しかし、サーベイの実施は良いスコアを記録することが目的ではありません。
あくまで効果的な改善策を導き出す手法であるにもかかわらず、手段が目的となってしまうケースもあります。
例えば、「回答率が低い」のでどうにかしたいと悩むケースがあります。これは、「回答率が低い」ことが問題なのではなく、「サーベイへ回答する優先順位が低い」と捉え、従業員のエンゲージメントサーベイに対する意識の低さを表していると考えることができます。
また、「アンケートへ本音を書かない」という声も聞きますが、なぜ本音を書いていないと思うのか、組織内には本音を書きづらいと思い当たる節があるのか、といった視点から組織の課題やエンゲージメントの状況を考察することもできます。
このように、ただ回答率やサーベイの結果だけを見るのではなく、自組織の置かれている状況まで視座を上げて着目することで、より本質的な課題を見つけ出す事ができます。
最後に、サーベイを行う際にポイントとなる指標やその重要性に焦点を当て、サーベイ実施後の課題に対する改善策について事例を踏まえて説明します。