従業員調査が従業員満足度を低下させる!?~アンケートに本音を書かない・書けない理由~

#インナーブランディング#コミュニケーション#組織開発#調査

15.Jan.2020


【この記事のポイント】
・従業員アンケート調査に必要な視点は「答える側にメリットがあるか」
・アンケート結果の取り扱い(経営陣には報告するが社員にはしない、都合の良い部分しか報告しない等)が、従業員の「アンケート離れ」につながる
・アンケート調査は、従業員へのメッセージ。会社の本気が伝われば、従業員も本気で応じる


 

<目次>

 

なぜ、調査をすればするほど「会社はわかってくれない」と思われるのか

社内で何かしらの課題が発生しているとき、解決のために何をすべきか。こんな状況に置かれたとき、多くの人が選択する手段が「従業員に対するアンケート調査を行って現状を把握する」ということだ。それ自体は決して間違っていない。いないのだが、コンサルティングで実際に接するお客様企業の現場からはこんな声が聞こえてくる。

 
「先週、従業員満足度調査に答えたと思ったら、今週は働き方改革に関する意識調査。同じ部署から立て続けにけっこうボリュームのアンケートを依頼されると、『答える側の都合なんて考えてないんだな』と思う。しかも、同じような内容だった」

「いろんな部署からいろんなアンケートを依頼されるけど、その結果がどうだったか共有されたことって、ないんですよね」

「最初はフリーコメントもけっこう書いていたんだけど、結局書いてもなんにも変わらない。今回のアンケートだって、答えたところで役に立たないんでしょ?」

「結局、何を書いても会社はわかってくれない
 

アンケートを依頼する側は、何かしらの目的を持っている。その目的が、あなたが担当する会社の業務に関わるものであれば、従業員にアンケートを依頼して「業務の一環として」回答してもらうのは正しいことのような気がする。アンケートの回答を集めることはあなたの業務にとってプラスになるだろう。しかし、答える側にとってプラスになることはどれだけあるだろうか

こんな場面を想像してみてほしい。あなたが休日に自宅のソファーでSNSを見ていて、面白そうな動画や記事のリンクをクリックしたら、ポップアップで自分の興味とは全く関係のないアンケートが表示された。出かける準備で忙しくしている時に自宅の固定電話が鳴って、慌てて受話器を取ったら自動音声のアンケート調査だった。友人との待ち合わせ場所へ急いでいる時に、突然街角でアンケート調査員につかまった。そんなとき大抵、私たちはがっかりしたり、腹が立ったりする。でも、もしそのアンケート内容が少しでも自分の関心のあること、自分が問題意識を持っていることに関連していたら時間がなくても答えたいと思うかもしれない。もしくは、賞品などのインセンティブがあれば回答する気になるかもしれない。しかし、自分にとって答えるメリットがない、またはメリットがあるかどうかわからないときは迷わず無視したり断ったりするだろう。

ここで職場での話に戻ろう。あなたが普段答えるアンケート、またはあなたが普段依頼しているアンケート。それらは「答える側のメリット」が明確になっているだろうか。答える側の状況や感情に配慮して、答えやすい、答えたくなるような工夫がされているだろうか。たとえ、その結果がどこかで生かされて、従業員のメリットにつながっていたとしても、答える側にとって、そのメリットと「アンケートに答えたこと」がつながっていなければ、「忙しいなか時間を使ってアンケートに回答して良かった」とは思えないだろう。それどころか、「こちらの都合も考えずに、余分な仕事を増やしやがって」と、アンケートを依頼した部署や担当者、ひいては会社に対する不信や不満につながってしまう(従業員満足度が低下する)こともある。
 

社内アンケートに「本音が書けない」「本音を書かない」その理由

ここまでの話は、あくまで「会社を良くする」という目的があってアンケート調査が行われていることが前提になっている。しかし、さまざまな企業の現場を見ていると、必ずしもそうでないケースにも遭遇する。たとえば、(会社にとってプラスになるかどうかはわからないが)自分が担当する仕事において「やりたいこと」を実行する裏付けを取るためのアンケート。自分が推進している施策の「効果が出ている」こと、施策の方向性が「間違っていない」ことを証明するためのアンケートなど。

そんなときによくあるのが「アンケート結果を会社の上層部には報告するが、回答してくれた社員には報告しない」「アンケート結果の中で、自分の仕事に都合の良い部分しか報告しない」ということだ。中には、「実態を知るためにアンケートを実施したい」と担当者が提案しても「悪い結果が出ると困るからアンケートなんかやるな」と上長が阻止するケース、一番恐ろしかったのは、実際に実施したアンケート結果に対して、「これは、出したらいろいろ良くないから、このアンケートはなかったことに」と、引き出しの奥の方にしまわれ、最終的にシュレッダー行きになったことがあるという体験談も聞いたことがある。

企業の中でこのようなことが当たり前に行われるようになると、答える側もうんざりして、適当に、無難に、本音とは異なる回答をするようになっていく。都合の悪い結果は発表されず、発表される結果は実態を反映していない。ひとたび組織内の信頼関係が壊れてしまうと、たとえ誰かが本気で会社を良くしようとしてアンケート調査をしようとしても、誰も本気で答えてくれず、意味のないデータしか出てこない。そして「うちの社員は信用できない」「うちの会社は信用できない」と、相互不信が深まっていってしまうのである。

あらためて、従業員アンケートを行う意味について考えてみてほしい。アンケートを依頼する側は、設問を考えて、フォームを作って、依頼メールを配信する。それらをすべて1人で行うのなら短くて数時間あればできる。数人で検討を重ね、作業分担してもせいぜい人数×数時間だろう。作業を外注しないのなら、アンケートを行うのにはたいしたコストもかからないような気がする。しかし実際は、

(アンケートの作成や依頼・集計や分析や報告にかかる時間×人数+アンケートに答える時間×アンケートに答える従業員の数)×人件費 

これだけかかっている。それだけのコストをかけることを、「担当者の都合」や「担当部署の都合」のためだけに行っていいわけがない。
 

アンケートはコミュニケーション媒体。そこに愛はあるか?

アンケートを行う前に、ひと呼吸置いて考えてみてほしい。

 
「このアンケートに回答してくれる従業員は、どのような状況にあるのか

「このアンケートに回答することで、従業員にとって良いことはあるのか。それは何か」

「アンケートの目的や、回答者の状況に最適な依頼のしかた、質問のしかた、まとめかた、報告・共有のしかたはどのようなものか」

「この依頼文や質問文を読んで、回答者はどんな気持ちになるのか

「このアンケートの結果をどのように生かしていくのか

予想外の結果、思わしくない結果が出たとき、どのようにそれを報告するのか」
 

たとえば、大きなインシデントが起こって社員が不安にかられているとき、または長年の積み重ねで経営と従業員の信頼関係がすでに壊れてしまっているとき、その状態を修復するのは容易ではない。しかし、まずは「リアル」な実態を知ることができなければ修復のしようもない。もし、第一歩としてアンケート調査を行うならば、運営側が本気を見せることが必要だ。たとえば、あえて普段はかけないような手間暇をかける。アンケートを依頼するための社長メッセージを発信する、アンケート事務局が各拠点に足を運んで直接説明する、経営陣に不都合な結果も隠さず受け止める覚悟を見せる。結果を綺麗にグラフ化し、わかりやすく要約し、運営側の考察と今後の施策の説明も加えて社員向けの報告書や社内報で報告する。結果をまとめて、半年後に報告ではなく、速報としてすぐに発信する。

社員の本音や熱量を把握したいのであれば、一見時代遅れに見える「紙のアンケート」も有効だ。ある企業では、不祥事で経営危機に直面した際、紙のアンケートを行った。現場から戻ってきたアンケートの一部には、余白や裏面にまでびっしり、会社への不満や不信が書き殴ってあった。それは、経営陣を前にして直接語られることは決してない社員の本音であり、経営陣の心を動かして余りある熱量が込められていた。その企業では、アンケート結果は各部門のトップ、グループ各社のトップに報告され、現状の改善のためのアクションを出してもらい、ちゃんと実行されたかどうか本社が調査して各トップの業績評価にもつなげている。

「アンケートは愛である」

これは、弊社が長年社内調査をお手伝いしているある大企業のある部長の言葉だ。アンケートをどのように依頼するか、アンケートで何を聞くのか。それは「会社が社員をどのように思い、どのように扱っているのか」「会社はいまどんなことに関心があり注力しているのか」という従業員へのメッセージでもある。そこに愛があるかどうか、会社が本気なのかどうか、受け取る側には伝わっている。会社の本気が伝われば、従業員も本気で応じる。担当者や担当部署が本気を見せて汗をかき、現場に足を運び、「会社を良くしたい」「現場のことを見て、現場の声を聞いて、経営陣に届けている」と繰り返しメッセージを発信すれば、回答する側も「あの部署から頼まれたのならしかたない」「あいつのためなら協力してやるか」と次第に信頼が生まれていくだろう。

会社が本気なら従業員満足度を高め、本気でなければ不満足につながる。社内アンケート調査は、会社と従業員とを結ぶコミュニケーションツールなのだ。

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