社内報記事の書き方を徹底解説!社員の共感を生む7つのポイント
最終更新日:2025.12.04
目次
社内報を作っているつもりが、まるでどこかの報告書や官報のようなものになっていませんか?
あなたの職場でも、こんな悩みはないでしょうか。社内報は社員が知っておくべき情報や重要な伝達事項を全社員に届けるためのメディアです。しかし、事実をただ淡々と並べるだけでは社員の関心を引けず、読まれないまま終わってしまうケースも少なくありません。
では、どうすれば社員の心に響く社内報を作れるのでしょうか?
結論から言えば、社員の関心を引きつけ、共感を生み出す社内報記事を書くには、誌面構成や表現方法に工夫が必要です。本記事では、読まれる社内報を作るためのポイントとテクニックをわかりやすく解説します。一緒に、社員に届く社内報づくりを考えていきましょう。
読まれない社内報にはどんな特徴がある?
情報は文字、画像、映像、音声、データなどさまざまな媒体形状に変化し、私たちの周りに遍在しています。そんな状況下で社内報を読んでもらうためには、業務メールやSNS、webサイト、You Tubeにネット配信番組などといったメディアを相手に「読んでもらう手間と時間」の競争に勝ち抜かなければなりません。この競争に勝てない、読まれない社内報の特徴には以下のようなものがあります。
内容が硬く一方通行である:社長メッセージや業務報告ばかりを硬い文章で載せ、ビジュアル要素も乏しい社内報は、社内通知の延長のように感じられがちです。会社からの発信事項のみを列挙した上意下達の内容では、社員にとって魅力的とは言えません。平たく言うと、読み手の気持ちに寄り添えていないのです。
毎号マンネリ化している:毎回同じフォーマットで特集もなく変化に乏しい社内報は、新鮮味がなく飽きられてしまいます。登場人物や部署だけが入れ替わって企画内容が何年も変わらないようでは、他の媒体との「読んでもらう競争」に勝てません。
企画の意図が不明確である:読み手を惹きつけるメディアは企画力が勝負です。明確な狙い・テーマなく雑多な記事を詰め込んだ社内報では、読者の心に響きません。企画意図がないまま依頼された記事をそのまま掲載していると、内容に一貫性がなく薄味になりがちです。
これらに心当たりがある場合は要注意です。社内報が読まれない背景には、「読者目線の欠如」という共通点があります。あなたの社内報は、読者の立場に立って作られているでしょうか?次章では、読者に届く社内報を作るためにまず考えるべき基本を押さえましょう。
社内報を作る目的は何か?
社内報制作に取りかかる前に、「なぜ社内報を発行するのか」という目的を再確認しましょう。視点を変えれば、この目的を見失うことが、読まれない社内報を生む根本原因だとも言えます。
社内報の根本的な目的は、会社と社員をつなぎ、インターナルコミュニケーションを活性化することです。全社員に共有すべき経営理念・ビジョンや事業戦略、業績、新製品情報などを届け、経営層のメッセージを浸透させるとともに、社員のモチベーション向上や一体感醸成に寄与することが期待されています。
しかしその目的を果たすには、社員に読んでもらえなければ始まりません。社内報が形骸化して読み飛ばされていては、経営からのメッセージも届かず、現場の理解や共感を得ることはできないのです。
実際、弊社ソフィアの調査では、自社の経営目標や戦略を「十分把握している」社員はわずか8%、経営目標に「十分共感している」社員も9.9%にとどまりました。この結果は、社内報などを通じた情報発信が社員一人ひとりに十分届いていない可能性を示唆しています。だからこそ、社内報には社員に読まれる工夫が必要なのです。
社内報では何を伝えるべきか?
ここまで社内報の目的について見てきました。では、実際に社内報に盛り込む内容を考える際は、どのような視点が必要でしょうか?

端的に言えば、「会社が伝えたいこと」「事実(+α)」「読者が知りたいこと」の3つの視点を意識することが重要です。この3つが重なるポイントを狙って記事の内容を組み立てると、伝えるべき情報を漏らさず、かつ読者の心にも届きやすくなります。それでは具体的に、社内報記事で伝えるべき内容のバランスを見てみましょう。
経営側が社内報で伝えたいこと(記事の目的)
まず押さえるべきは、記事を通して会社や経営陣が社員に伝えたいメッセージです。たとえば社員インタビュー記事であれば、その成功事例から社員に学んでほしい教訓や広めたい価値観があるはずです。
記事の狙い・目的を明確に定め、その狙いに沿ったエピソードやコメントを引き出すようにしましょう。狙いがぼやけていると、質問と回答をただ漫然と並べても核心が伝わらず、読み手には「何が言いたい記事なのか」伝わりません。記事の軸となるメッセージをブレさせないことが肝心です。
事実+αでメッセージを際立たせる
記事にはインタビュー対象者の発言や取材で得た事実を盛り込みます。しかし事実関係をただそのまま記すだけでは不十分です。
発信者が本当に伝えたいポイントを際立たせるために、事実に「+α」の加工を加えることが社内報記事では求められます。具体的には、話し手がうまく言語化できなかった背景情報や想いを補足したり、読者に伝わりやすい言葉に言い換えたりする工夫です。
たとえば、インタビューで明確に語られなかった部分も、取材者が背景を理解した上でエピソードを補完し、伝えたいメッセージが読者に伝わるよう表現を整えることが大切です。そのためには事前に取材対象やテーマに関する十分な予備知識を持ち、どんなストーリー展開にするか仮説を立てておくとよいでしょう。
読者が知りたいことを盛り込む
最後に忘れてはならないのが、読者目線で「知りたい情報」「共感できる話題」を盛り込むことです。
読者は単なる成功談よりも、その裏にある失敗や苦労、乗り越えた工夫に興味を惹かれます。成功事例を記事にする場合でも、うまくいった点だけでなく、そこに至るまでの課題や乗り越えた壁、その時の葛藤などを織り交ぜることで、読み手の共感を得られる内容になります。
別の角度から言えば、「自分にも起こりうる話だ」と思える要素があると、読者は記事にぐっと引き込まれるのです。常に「読者は何を知りたいか」を考え、読者の参考になる情報や教訓を提供することが大切です。
以上の3つの視点をバランスよく記事に反映させることで、伝えたいことをしっかり伝えつつ、読者にとっても興味深い社内報記事に仕上げることができます。
社員に読まれる社内報記事を書くにはどうすればよいか?
社内報の目的と伝えるべき内容が定まったら、次は実際の制作段階での工夫です。「社員に最後まで読まれる記事」にするためにはどうすればいいのか?具体的なポイントを見ていきましょう。
インタビュー・情報収集のコツ
良い記事作りは取材前の準備から始まっています。まず企画の意図をチーム内で共有し、記事の大まかなストーリーや結論の方向性を仮設定しましょう。
「何のためにこの記事を書くのか」「誰に届けたいのか」「どんなメッセージを伝えたいのか」を明確にしたうえで、取材対象者に聞くべきことを整理します。また、必要に応じて業界動向や社内の背景知識を事前に調査し、理解を深めておくことも重要です。
取材の際には事前準備した質問項目がものを言います。取材対象者へは、取材趣旨や質問リストをまとめた依頼状を事前に渡し、回答の下準備をお願いしておくと効果的です。質問項目に対する事前回答をもらえれば当日の取材時間の短縮になり、取材時に回答内容の深掘りもしやすくなります。
実際のインタビューでは、質問の順序にも工夫しましょう。
- 個人インタビューの場合:「過去 → 現在 → 未来」の順で、経歴や現在の仕事内容、今後の展望を聞いていくと話が整理されやすくなります。
- プロジェクト紹介などの場合:「概要 → 具体的な内容 → 乗り越えた壁 → その時の想い」のように、全体から部分へとストーリーを構成すると読み手も理解しやすくなります。
このように、あらかじめ話の流れをデザインした質問設計によって、取材で必要な情報を効率よく引き出すことができます。入念な準備と段取りが、読み応えのある記事の土台になるのです。
構成と文章作成のポイント
取材で情報が揃ったら、次は記事の執筆ステップです。いきなり完璧な文章を書こうとせず、まずは記事のアウトライン(見出し構成)を考えましょう。
記事全体の結論やメインメッセージを再確認し、それを読者に届けるための最適な順序で見出しを配置します。骨子が決まれば、導入文で記事全体の概要と興味を引く要素を短くまとめます。導入部分にストーリーの舞台設定や登場人物の簡単な紹介を入れ、読者が「続きを読みたい」と感じる工夫をしましょう。
本文を書く際は、各見出しごとに伝えたい内容をシンプルに書き出し、あとから肉付けしていきます。一度に完璧な文章を目指す必要はありません。全体を書き終えたら、不要な部分や冗長な表現を削って簡潔に整えます。特にWeb社内報では紙と違い文字数制限が緩いため、ダラダラと長くなりがちですので注意しましょう。
内容が平板に感じる場合は、エピソードを追加したり、話の順序を入れ替えたり、言い回しを変えたりしてリズムを調整します。また、物語性を持たせるストーリーテリングの手法も有効です。単なる事実列挙ではなく、起承転結を意識して読ませる文章構成にすることで、読み手の心に残る記事になります。
文章のテイストはテーマに合わせましょう。例えば社内イベントレポートなら親しみやすく軽快に、経営方針の解説記事なら論理的で簡潔に、と記事の目的に合った文体を選びます。いずれの場合も、誤字脱字がなく日本語として意味が通ることが大前提です。
また社内報の文章はビジネス文書と文学作品の中間くらいに位置します。専門用語の多用や回りくどい表現は避け、誰にでも読みやすい平易な言葉で書くことを心がけましょう。
デザイン・レイアウトの工夫
文章の内容が良くても、誌面の見せ方次第で読まれ方は大きく変わります。ページを開いてまず目に入るデザインやレイアウトも、社内報記事では重要な要素です。
写真や図表と文字のバランス、フォントの種類や大きさ、余白の取り方ひとつで、読者の受ける印象は変わります。余白が全くなく文字がびっしり詰まっている紙面では、それだけで読む気が削がれてしまうでしょう。見やすさを意識して適度に余白や図版を配置し、読みやすいレイアウトにすることが大切です。

また、伝えたい相手に合わせてデザインやトーンを調整することも検討しましょう。若手社員向けならポップでカジュアルに、管理職向けなら情報量豊富で落ち着いたレイアウトにするなど、読者層にマッチした演出が効果を高めます。
実際、社内報媒体は紙からWebへとデジタル化が進んでおり、弊社調査でも「Web社内報」を活用する企業は62%と最多でした。一方で「紙の社内報」も37%の企業が活用しており、依然根強い利用があります。
媒体の特性に合わせたデザイン選びもポイントです。たとえばWeb社内報ならスマートフォンでも読みやすいレイアウトや文字サイズを心がけ、紙社内報なら写真の美しさや紙質にも配慮するといった工夫が考えられます。
デザインの流行や表現手法は時代とともに変化します。従来からのフォーマットを踏襲するだけでなく、最新のクリエイティブに触れて感性を磨くことも担当者には求められます。常にアンテナを張り巡らせ、他社の社内報や雑誌・Webメディアからレイアウトのアイデアを吸収しましょう。視覚面での工夫は、せっかく書いた記事を最後まで読んでもらうための後押しになります。
校正とフィードバックの重要性
記事が完成したら、校正(プルーフリーディング)を念入りに行いましょう。
書き上げた直後は達成感から細かな誤りを見落としがちです。一晩おいて新鮮な気持ちで読み直すと、誤字や表現のぎこちなさに気づきやすくなります。社内の別のメンバーにチェックを依頼し、客観的なフィードバックをもらうのも有効です。
読み手の立場で意見をもらうことで、「伝わりづらい部分はないか」「不快に感じる表現はないか」といった改善点が見えてきます。決して1人で完結させず、チームで品質を高める意識を持ちましょう。
紙媒体であれば最終的なレイアウト校正も重要です。誤植のチェックだけでなく、写真キャプションの漏れや配置のズレなど、細部まで確認してください。Web社内報の場合も、公開前に実際の画面でレイアウト崩れがないか、リンクが正しく機能しているかなどを点検しましょう。丁寧な校正プロセスを経ることで、完成度の高い社内報に仕上がります。
さらに、発行後には読者からのフィードバックを集める仕組みを作ることもおすすめです。社内SNSで感想を募ったり、閲覧数やアンケートで反応を測ったりして、次号以降の改善に活かすPDCAサイクルを回すと良いでしょう。読まれる社内報は一朝一夕には作れませんが、地道なブラッシュアップを続けることで着実に品質が向上していきます。
まとめ
ここまで、読まれる社内報を作るためのポイントを解説してきました。最後に、重要な点を整理しましょう。
- 社内報の記事が読まれない理由は、読者目線の意識が足りていないから
- 「伝えたいこと」「事実(+α)」「読者が読みたいこと」の3つの視点を意識して、目的や狙いを明確にする
- 文章構成(ロジック)、文体(レトリック)、視覚(ビジュアル)を最適化する
これらを常に念頭に置いて、企画~取材~執筆に取り組んでみてください。
社内報の競争相手は、社内イントラ上の通達や資料ではなく、世の中にあふれる放送や印刷媒体、WebやSNSなどのメディアです。社員の興味を引きつけ、キャッチするために、伝えたい情報をうまく「整理し演出する」スキルを身につけましょう。
とはいえ、社内報制作は往々にして少人数で担われる業務です。小規模な企業では1人の担当者が他業務と兼任で社内報を発行しているケースも少なくありません。そのようなときは、一人で悩まずに企画会社やプロのライターといった外部の力を借りるのも有効な選択肢です。
社内報はその企業ならではの価値に特化したメディアであり、社員同士のコミュニケーションを活性化しモチベーションに火をつけることで、会社を動かす原動力にもなり得ます。本記事を参考に、ぜひ”社員に読まれる社内報”づくりを目指してください。

