読まれる社内報のデザインとレイアウトのコツは?

「せっかく労力をかけて社内報を作っているのに、あまり読まれていないのかもしれない…」。報われない担当者の労力と心情はさることながら、コストのかかる部分ですので、せっかく作るのであれば、読まれる社内報を作りたいものです。
本記事では、事例を交えながらそのコツを解説していきます。
※本記事での社内報は、紙とWebの両方を想定しています。

社内報のデザインやレイアウトで大事なこと

社内報のデザインやレイアウトには、守るべきセオリーがあります。

ターゲットと目的にあっていなくては意味がない

前提として、社内報には「誰に読んでもらいたいのか」というターゲットの設定が必要です。若手社員向けなのか、中堅以上の社員向けなのか。オフィスで働く人向けなのか、工場や店舗などの現場で働く人向けなのかによっても、読者にフィットする表現は大きく変わってきます。これらを踏まえたうえでコンテンツを考える必要があります。

例えばマネジャー層に向けたものであれば内容が最優先なため、文字が多めのシンプルなデザインでもよいかもしれません。しかし、現場社員が読むとなると、まずは興味を持ってもらい、読んでもらうことが第一目的なので、イラストや図、写真などを多く使い、デザインやレイアウトを工夫して、目を引きやすいものにする必要があるでしょう。

万人受けを狙った無難なデザインにしてしまうと、誰にも見てもらえない可能性があります。社内報のターゲット読者となる社員は、どんな情報を必要とし、何に関心を持っているでしょうか。人物像をまずイメージしてみてください。

ブランドイメージを守ること

自社のブランドは社内の人間が体現し、形作っていくものです。社員の発言や行動を社外に向けたブランディングにつなげるためには、まずは社員に向けたブランディング活動、すなわちインターナルブランディングが必要です。社内報もインターナルブランディングの一環で、自社のブランドを社員に浸透、定着させるための重要なツールのひとつです。

特にコンシューマー向け商品を扱う大企業であれば、社員も社員の家族も大事な顧客であり、彼らが目にする社内報は彼らの会社への愛着度を左右します。すなわち、社外向けのマーケティングツールと同様のクオリティで作り込むことが、ブランディングのために重要ということです。会社が売りにしているものに関して、決して手抜きをしてはなりません。それは社内報も同様です。

例えば独創的なアイディアやクリエイティブが売りの会社なら、それを社内報にも発揮しましょう。社内報らしさをあえて捨てて、ひねった表現や斬新なデザインを盛り込んでも良いでしょう。それこそ社内報ではなく、一般の雑誌などからアイディアを得てもいいでしょう。

社内報は、必ずしもキレイなデザインである必要はない

社内報のように大勢の人の目に触れるものを作るとき、ほとんどの人が見映えのよく美しいものが良いものと思いがちです。しかし、目的や役割に合っていて、ターゲットに合致した内容であれば、必ずしもキレイなデザインではなくともターゲットの社員や経営層にはきちんと読んでもらえます。

それらの要素を満たしていれば紙面はモノクロでも構いませんし、WordやExcel、PowerPointで手作りしたものでもまったく問題ありません。逆に、どんなに見た目が綺麗で立派な社内報でも内容が読者の興味・関心からかけ離れていて、役に立たないものであれば、読者には「費用の無駄遣い」というマイナスイメージしか残さないかもしれません。

これは文章面においても同様で、プロのライターのような丁寧で正確な日本語でなくてもよい場合があります。
もちろん、冊子全体で統一感のあるブランドイメージを訴求するなどの目的があれば、すべての記事のクオリティを一定レベルまで上げ、表記ルールなどにも気を配る必要があるでしょう。

しかし、例えばWeb社内報上で「現場の社員が情報発信する」ことが目的の記事であれば、よっぽど読み辛くなければ多少文章が拙くても問題ありません。そのほうが、現場の雰囲気や社員の個性を出すために適しているからです。堅苦しくないカジュアルな文章には読者の親しみもわくでしょう。

また、「現場社員」をターゲットに「経営情報」を届けるとしたら、メッセージは極限まで絞り込んでシンプルにすべきです。現場社員に経営情報に興味を持ってもらうためには、まずは読んでもらうことが最初の目標となります。伝え方にも工夫し、あまりにも堅い文体や難解な表現は避けたほうが無難です。

このように、誰に読んでほしいのかを考えながら、ターゲットに合った表現を心がけましょう

読まれる社内報のためのデザインとレイアウトのポイント

前述したように、社内報は必ずしもキレイなデザインである必要はありません。ただし、忙しい読者にとって「読みやすく・わかりやすい」ことは最低限必要です。以下の要素は押さえておきましょう。

見出しやリードを効果的に使う

見出しやリードを使って文章に緩急と区切りを持たせましょう。同じトーンの長文は負荷が高く敬遠される傾向にあります。斜め読み、拾い読みできるデザインを心がけてみてください。

情報を構造化する

情報はまとめて整理し、構造化してわかりやすく伝えましょう。特にインタビュー記事などに多いのですが、内容を詰め込みすぎてどこが重要なのかわからなくなる場合があります。

読み手の視線の動きを想定する

読み手の視線は「Z」型に動くといわれています。横書きなら左上→右上→左下→右下、縦書きなら右上→右下→左上→左下という動きです。特に読んでもらいたい内容の記事を、目に留まりやすいところに配置するといった工夫が可能です。
また、スマートフォンで閲覧する際は縦長のレイアウトになるので、横幅と一行の長さを意識しながらデザインしてみましょう。

ユニバーサルフォントを使う

ユニバーサルフォントとは、誰にとっても読みやすいフォント(書体)です。書体は社内報のイメージを大きく左右します。ロゴやイラストに使うフォントは独創的でもよいですが、読んでもらいたい文章に使うフォントは読みやすいものを使うように心がけてください。

イラストや図、写真を効果的に使う

表現は文章だけで完結させず、イラストや図、写真もふんだんに使って多彩な伝え方を心がけてみましょう。文章だけになると読み手が退屈して離脱してしまうリスクがあります。特にイラストや図が不要な場合でも、関連するイメージ写真を挿入しておくだけで読者の興味を引きやすく、レイアウトにもメリハリがつきます。

余白を生かし、強弱をつける

余白が多いと軽い印象、少ないと重い印象を与えます。前者は余裕があり後者は窮屈でもあります。また、たっぷりとした余白の真ん中にある文章や画像には目が留まりがちです。こうした特性を生かして強弱をつけていくと、さらに読みやすい社内報を作ることができます。

イメージに合ったデザインを実現する依頼の仕方

最後は、デザイン会社などに社内報のデザインを依頼した際に、「思っていたものと違った…。」「何かが違うけどどう説明すればいいかわからない…。」といったことを防ぐためのコツをお伝えします。

読者像や利用シーン、目的を伝える

そのメディアやそれぞれのコンテンツの想定読者はどのような人なのか、どのようなシーンで読まれることを想定しているのか、読むことによってどうなってほしいと思っているのかなど、できるだけ具体的な情報を伝えましょう。社内で共有されている社内報の発行目的や編集方針があれば、社内報制作に携わるパートナー企業にも共有しましょう。

また、会社のCIやVIに関連したデザインガイドラインはもちろんのこと、これまで制作した会社案内や各種パンフレットなど、企業や社員のイメージが伝わるものがあれば積極的に共有してください。そのうえで「コーポレートカラーをベースに、このパンフレットのような色合いにしたい」「これまでのものとはガラッと雰囲気を変えたい」などの要望を伝えます。

具体的な手がかりがない中で、担当者や経営者が求めるデザインがどのようなものか探るのは、社外の編集者やデザイナーにとっても雲をつかむような仕事です。できるだけ求めているものが具体的に伝わるような情報を集めて共有しましょう。とくに、読者像や利用シーンを伝える際には「社員タイプ」や「社員ペルソナ」が役に立ちます。活用を検討してみてください。

デザインを見る目を鍛える

もうひとつのポイントは、デザインを見る目を鍛えることです。最初は理論でなくても構わないので、自分がよいと思ったデザインがなぜいいのかを理解することから始めましょう。

「色使いがキレイ」「文字の段組みが自然」「強弱がついていて最後まで読める」「この会社らしい」といったものです。そしてこれらのデザインはストックしておいてください。スマホで写真を取ったり、スクリーンショットを撮るなどしていいデザインをストックしておくと、いざ依頼するとなったときに「このような感じにしてほしい」と依頼しやすくなります。

さらに、提案されたデザインに対して違和感を感じた際に、「どう変えて欲しいか」を説明できるようにもなります。

まとめ

社内報の他社事例は多々ありますが、それが必ずしも自社に合っているとは限りません。参考程度に留めておくことが好ましいでしょう。また、自治体の広報紙のように万人に向けられた表現は無難すぎて誰の目にも留まらないというリスクがあります。

社員の「読んでみよう」という心を引きつけるためには、媒体あるいは各コーナーのターゲットを明確にしてレイアウトやデザインを作り込むことが重要です。自社に社内報デザインのノウハウがない場合には、社内報制作支援の実績が豊富なソフィアへお気軽にご相談ください。

 

株式会社ソフィア

ディレクター・エディター

岡田 耶万葉

主に社内報や社内制作物の企画・編集を担当していますが、加えてライティング・ストーリー制作も得意です。演劇に携わった経験から、演劇の手法を使った研修・インターンシップなどのご提案もしています。

株式会社ソフィア

ディレクター・エディター

岡田 耶万葉

主に社内報や社内制作物の企画・編集を担当していますが、加えてライティング・ストーリー制作も得意です。演劇に携わった経験から、演劇の手法を使った研修・インターンシップなどのご提案もしています。

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