【チェックリスト付】Webデザイン 発注の流れと要件整理のコツ
最終更新日:2026.03.23
目次
社内ポータルやWeb社内報を刷新したいのに、「何を決めてからデザインを発注すべき?」「社内調整が多くて進まない」と迷う方は多いはずです。弊社ソフィアの調査でも、社内コミュニケーションに課題を感じる企業は約8割。だからこそ、発注の進め方と判断軸を持つことが重要です。
社内ポータルのWebデザインを発注する前に、”段取り”が重要な理由
社内ポータルは、単なる「社内のホームページ」ではありません。情報が探せない、見つからない、理解されない状態が続くと、施策そのものが”届かない”まま終わってしまいます。
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに「問題がある」と感じる人が79%に達しています。つまり、情報が流れにくい・届きにくい状況は、決して珍しいことではないのです。
さらに、社内広報の主要媒体として「社内報(Web)62%」「その他イントラネット(ポータルなど)39%」が上位を占めており、社内ポータル・社内報のデジタル化は多くの大企業で現実的な取り組みになっています。
では、なぜ”発注の段取り”がそれほど重要なのでしょうか。理由はシンプルで、社内ポータルは「関係者が多いプロジェクト」だからです。DX・広報・人事・情シス・総務・法務・セキュリティなど、前提条件が多いほど、要件が曖昧なまま発注すると手戻りが連鎖してしまいます。
発信側の悩みを示すデータもあります。自部門の取り組みに対して「現場から十分理解を得られている」と感じる割合は、わずか10%にとどまっており、理解の壁が大きいことがうかがえます。
また、理解されない要因として「受け取り手の忙しさ(30.7%)」「興味関心の低さ(28.0%)」「コミュニケーション文化の問題(26.1%)」などが挙げられています。忙しい社員にきちんと届く設計を、”伝え方の工夫”で補う必要があるといえるでしょう。
だからこそ、発注前に「目的・ユーザー・要件・体制・評価方法」を言語化し、ベンダーと同じ地図を持つことが、結果的に最短ルートになるのです。
Webデザインを発注する前に知っておきたい、デザインの考え方とは
「デザイン」という言葉にはさまざまな意味があり、言葉が使われる場面や時代によっても意味は少しずつ変わります。たとえば、「グッドデザイン賞」を主催宰する公益財団法人日本デザイン振興会はデザインを次のように定義しています。
「常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する」という一連のプロセスをデザインと考える、という説明は、社内ポータルのような”業務体験”の改善にもそのまま当てはまります。
ここでは、認識ギャップを避けるために知っておきたい、デザインの基本的な考え方についてご説明します。
デザインは課題解決の手段
前述のとおり、デザインは目的達成や課題解決のための手段です。見た目を良くすること、目立たせること、使いやすくすること、それ自体が目的ではありません。そうすることによって誰に対してどのような影響を与えたいのかが重要なのです。
そのため、企業側はデザイナーに依頼する前に、現状の課題や目指すゴールを明確にすることが必要です。「何のためにWebサイトを作成したいのか、デザインを変えたいのか」などを明確にし、事前にデザイナーに伝えることで、デザイナー側と企業側の認識のズレが起こりにくくなります。
良いデザインは目的やユーザーによって異なる
デザインを発注する際、「おしゃれでカッコいい見た目にしてほしい」と期待する方も多いでしょう。確かに見た目が整っていることは重要なポイントですが、何をもって良いデザインとするかは、目的や対象者によって異なります。
たとえば、どんなにスタイリッシュな見た目のWebサイトでも、「内容とデザインが合っていなくて違和感がある」「文字が小さすぎて読みにくい」「ユーザーが読みたいコンテンツになかなかたどり着けない」「発信者が読んでほしいコンテンツがユーザーに認識されない」などの問題があれば、良いデザインとは言えません。
表面的な見栄えだけではなく、その見た目がサイトの内容や機能、ユーザーの好みやニーズに合っていることが大切です。
社内ポータルの場合、「現場が忙しい」「目的の情報に最短で届きたい」「スマホでも確認したい」といった”利用状況”が品質を大きく左右します。利用者中心(人間中心)を原則とする考え方は、公的領域でも重視されています。
デザインの良し悪しはロジックで判断できる
デザインの良し悪しを理解するには「センス」が必要だと思われがちですが、実はそうとも限りません。デザインが目的達成や課題解決の手段である限り、その良し悪しの判断基準は「そのデザインが目的達成や課題解決に寄与するかどうか」です。Webサイトであれば、そのサイトによって達成したいゴール(ユーザーに与えたい印象や、ユーザーにとってほしい行動)に寄与するものが良いデザインといえるでしょう。
後ほど「これだけは押さえておこう!Webデザインの原則」でご説明しますが、ユーザーの見やすさや情報の伝わりやすさという観点から、デザインにはいくつかの原則が存在します。最低限のデザイン品質はこれらの原則をもとに判断することができます。しかし、これらの原則が守られたうえでのデザインテイストやディテールの違いについては、Webサイトの目的やゴールが明確でなければ判断することができません。そのため、デザインを発注する前に、目的やゴールを明確にすることが必要なのです。
また、デザインを届けるべきユーザーについて深く知ることも不可欠です。ユーザーと同じ目線で同じ体験をしたり、インタビューをしたり、潜在的に抱えている課題やニーズを汲み取るようしっかり観察することが重要です。
ご担当者がこれらの点を押さえていれば、デザイナーから上がってきたデザインに対して、「デザインの原則が守られているか」「サイトの目的・ゴールに寄与するか」「ユーザーの好みやニーズに合っているか」という点から、ロジカルに良し悪しを判断できるようになるでしょう。
Webデザイン発注の出発点となる、UXとUIとは
Webサイトには必ずユーザーが存在します。そのため、Webデザインの質を高めるためには、ユーザーにとっての使いやすさを知ることが重要です。たとえば既存のサイトのリニューアルであれば、使う側の利益を考えることでこれまでの課題が浮き彫りになり、デザインの方針が定まりやすくなります。
人間中心設計の国際規格として知られるISO 9241-210は、コンピュータを用いる”インタラクティブシステム”のライフサイクル全体で、人間中心の設計原則と活動に関する要求事項・推奨事項を示す文書です。社内ポータルもその対象例に含まれ得ます。
ここでは、Webデザインの良し悪しを判断するために知っておきたい、UXとUIについて解説します。
UXとは
UXとはユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略称で、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験のことです。
たとえばWebサイトを見て「必要な情報をすぐに得られた」、スマホアプリを利用して「使いやすい」「便利だ」と思うなど、どのような体験をしてどのような印象を持ったかを指しています。また、商品やサービスそのものだけでなく、「サイトの読み込み速度」「サイトの更新頻度(再訪問した際に新しい情報があるか)」「問い合わせに対するレスポンス」「会員登録をした後に送られてくるメール」など、商品やサービスを利用する前後の体験もすべてUXにつながる要素です。
社内ポータルのUXは、「探す→見つかる→理解できる→行動できる(申請・予約・学習など)」が一連で成立するかどうかが肝です。発注時は、この”成立条件”を要件に落とすとブレにくくなります。
UIとは
UIとはユーザーインターフェイス(User Interface)の略称で、利用者であるユーザーと製品やサービスなどの接点(インターフェイス)すべてのことを意味しています。
Webサイトやアプリでいうと「見た目」や「使いやすさ」のことです。ページレイアウトや画像、フォント、ボタンの操作性など、ユーザーが見たり触れたりするものすべてがUIであると言えます。
また、UIはUXの一部であると考えられています。その理由は、ユーザーが快適な体験(UX)をするためには、目的に沿った見た目や操作性(UI)が必要になるからです。UIはUXを高めるための重要な要素の1つなのです。
これだけは押さえておきたい_Webデザインの原則
ここまで、デザインの基本的な考え方と、ユーザーを中心にデザインを考える上で大切な「UX」と「UI」についてご説明してきました。前述のとおり、デザインの良し悪しは目的や対象者によって変化します。ただし、読みやすい文章を書くためにはルールやセオリーがあるのと同様に、Webデザインにも、相手にわかりやすく情報を伝えるための基本原則があります。
この基本原則は、どのようなユーザーに向けた、どのような目的のWebサイトであっても大きくは変わりません。これらを知っておくと、デザイナーに対する依頼や打ち合わせ、修正のやりとりがスムーズになるだけでなく、日常業務の中でドキュメントやプレゼン資料を作成する際にも役立ちます。以下に説明する原則を、ぜひ覚えておいてください。
シンプルにする
使いやすいWebサイトにするためには、できるだけ要素を絞り込んでシンプルにすることが大切です。
トップページにメニューや情報が多すぎると、自分の求める情報がどこにあるのかユーザーが迷ってしまうためです。
また、色数やフォントの種類が多すぎると、まとまりのないデザインになりがちです。色数は不必要に増やさず3〜4色程度、フォントも、読みやすいベーシックなものを1〜2種類程度に抑えるのがよいでしょう。
社内ポータルは「全部載せ」になりがちです。最初は”入口”に徹し、重要導線(例:申請、規程、福利厚生、問い合わせ、緊急連絡)から優先すると、運用も改善もしやすくなります。
位置や大きさを揃える
見た目にまとまりを持たせるには、ページを構成する要素の大きさや位置を揃えることも大切です。
たとえば同じページの文章の中で、不規則に文字の大小があったり、左揃えで配置されている文章やメニューの中に、1つだけ飛び出しているものがあったりするのは不自然です。色やフォントについても同様で、基本的には全体でテーマを決めて一貫性のあるデザインにしましょう。必要のない部分に変化を持たせると、ユーザーの気が散る要因となるだけでなく、「サイトに不備がある→プロの仕事ではない、信頼できない」という印象を与えてしまうかもしれません。
同じ機能を持つ要素は同じ大きさ、同じような見た目で揃えて配置し、例外をつくるのはとくに目立たせたい場合のみにしましょう。
関連するものをまとめる
ユーザーにわかりやすく情報を伝えるためには、関連する情報を1か所にまとめることも大切です。たとえば、ナビゲーションは左上に、最新情報はページの上方に、古い情報のアーカイブはページの最後に、など、機能や性質の似た要素はまとめて掲載するようにしましょう。
そうすることで、ユーザーはページ内やサイト内のあちこちを探す必要がなくなり、目的の情報にスムーズにたどり着けるようになります。
重要なものを目立たせる
重要な情報や頻繁に使用される機能は、ユーザーが見つけやすくなるように強調しましょう。具体的な方法としては以下が挙げられます。
- ページのトップに掲載する
- 他の要素よりも大きくする
- 目立つ色やフォントを使う
ただし、1ページ内で強調する要素がいくつもあると、どれも目立たなくなってしまいます。全体の中での優先順位を考え、本当に必要なものだけを強調するようにしましょう。
ビジュアルで世界観を表す
文字情報だけではなく画像を使用することで、ユーザーに対してサイトの世界観を伝えたり、コンテンツへの興味を喚起したり、内容の理解を助けたりすることができます。サイトのテーマや内容、ユーザーの好みに合わせた写真やイラストを効果的に使いましょう。
また、ボタンにイラストアイコンを使用することで直感的に理解できるようにしたり、個別のコンテンツへのリンクにサムネイル画像を付けることでクリック率を高めたりすることも可能です。
多様なデバイスに対応させる
ユーザーの閲覧環境によって、使用されるデバイスはさまざまです。PCでは見やすいレイアウトも、タブレットやスマートフォンでは見づらくなってしまう場合があります。また、OSの種類やWebブラウザのバージョンによって見え方が変わってしまう場合もあります。
Webデザインを発注する際は、ユーザーの閲覧環境についての情報もデザイナーに提供し、さまざまなデバイスに対応できるデザインを提案してもらいましょう。
アクセシビリティも「多様な利用状況」への対応といえます。JIS X 8341-3:2016は、高齢者や障害のある人を含む全ての利用者が、端末・ブラウザ・支援技術に関係なくウェブコンテンツを利用できることを目的としており、イントラネットの業務用システムも対象例に含めています。
Webデザイン発注の流れとコツ
作成するWebサイトの目的やユーザー像が明確になり、デザインの考え方や基本原則も理解できたら、いよいよ発注です。ここからは、基本的なデザイン発注の流れと、スムーズに進めるためのコツをご紹介します。
Webサイトに求める要件を整理する
Webサイトのデザインを発注する前にまず、Webサイトの目的と対象者を明確にしましょう。また、サイトに掲載したい情報や必要な機能なども可能な範囲で整理しておきます。このとき、以下のように5W1Hで整理すると抜け漏れを防ぐことができます。
- Why 何のために(目的とゴール)
- Who 誰に向けて(対象者)
- When / Where いつ・どこで(ユーザーがWebサイトを利用する場面)
- What 何を伝えるのか(Webサイトの内容)
- How どのように伝えるのか(Webサイトの機能や構造)
Webサイトのコンセプトや、希望するデザインの方向性(色合いやキービジュアル)、ページ構成なども、すでにイメージしているものがあればドキュメントにまとめておきましょう。
また、決まっていない部分がある場合は、別途社内で検討するのか、デザイナーに提案を依頼するのか考えておく必要があります。概算予算や、スケジュール(希望のリリース時期)も決めておきましょう。
社内ポータル特有の”要件の漏れ”チェック
社内ポータルは「デザイン」だけでなく、情報・権限・運用がセットです。要件整理の段階で、最低限ここまで言語化できると手戻りが減ります。
- 利用者の種類:本社/拠点、管理職/一般社員、新入社員、兼務者など(誰が、どんな頻度で使うか)
- 情報の種類:規程、申請、ニュース、学習、FAQ、緊急連絡(”探す”導線が必要か)
- 権限:全社公開/部署限定/役職限定(ログイン、SSO、閲覧制御の前提)
- 更新体制:誰が、どの頻度で、どのツールで更新するか(運用しながら育てる前提)
- 評価方法:アクセス解析、アンケート、ヒアリングなど(何をもって成功とするか)
効果測定の設計を”発注前”に入れるのがおすすめです。弊社ソフィアの調査では、社内広報の効果測定について「十分実施」と言える企業は15%にとどまり、測定が不十分・未実施のままになりがちな傾向が示されています。
測定方法は「アクセス解析(52%)」が最多で、アンケートが続く一方、ヒアリングは一桁台という傾向も出ています。最初から”何をどう測るか”を発注要件に落とすと、改善が回りやすくなります。
依頼先の選定
デザイナーへの依頼事項が明確になったら、依頼候補先を探しましょう。
候補先の探し方としては、Web検索や比較サイトで探す、知り合いに紹介してもらう、人材エージェントを利用する、クラウドソーシングを利用する、などの方法があります。
制作会社やデザイナーを選定する際には、依頼事項に応えられるだけの技術を持っているか、きちんと期日通りに納品してくれるか、予算感に合うかどうかを見極める必要があります。これまでの制作実績を確認し、概算見積もりを出してもらったうえで、面談して決めるのがよいでしょう。
初めてデザインを依頼する場合は、相手が必要な技術を持っているかどうかや、見積もりが妥当な金額かどうかの見極めが難しいものです。そのため、社内でWebデザインの発注実績のある部署からデザイナーを紹介してもらう、人材エージェントを利用するなどの方法で探すのが安全かもしれません。
社内ポータル発注で見落としがちな「選定基準」
- アクセシビリティ対応の経験:JISを踏まえた設計・実装・試験までできるか(外注範囲を確認)
- セキュリティ要件の理解:権限・ログ・運用を前提に提案できるか(情シス/セキュリティ部門との会話力)
- 運用を見据えた設計:デザイン納品で終わりではなく、更新体制・テンプレ・ガイドラインを作れるか
発注(オリエンテーション)
依頼先が決まったらオリエンテーションを行い、イメージのすり合わせをします。企業の基本情報や、Webサイトの目的とゴール、Webサイトに求める要件、デザインに関する希望などを伝えましょう。オリエンシートにまとめておくと情報が整理しやすくなります。
このとき、どこからどこまでが依頼する企業側のタスクで、どこからどこまでがデザイナー側のタスクなのか、役割分担と責任範囲をあらためて確認しておきましょう。納期を明確に伝え、詳細なスケジュールのすり合わせを行うのも忘れないように気を付けましょう。
大企業では「NDA」「RFP(提案依頼書)」「検収基準」の合意が、後工程の平和を作ります。契約前にNDAとRFP、検収基準、役割分担まで明確にする流れを整理しておくことをおすすめします。
アクセシビリティは”発注者が言語化すべき要件”です。デジタル庁のガイドブックは、技術者ではない人でも発注・受託に取り組む際に知っておくべきポイントを確認できることを目的にしています。つまり「あとで直す」ではなく、「最初から要件に入れる」べき領域です。
セキュリティ要件も同様に、企画・要件定義→調達・構築→運用というライフサイクルで対策を考える前提が整理されています。
(参考)社内ポータルで最低限合意しておきたい”成果物”
- デザインデータ(例:Figma)、コンポーネント/スタイルガイド
- 主要テンプレ(トップ、カテゴリ、記事、申請導線、検索結果等)
- 検収観点(表示崩れ、導線、アクセシビリティ、負荷、権限)
- 運用設計(更新フロー、承認フロー、ガバナンス)
デザインの確認とフィードバック
デザイナーからデザイン案が上がってきたら、イメージに合っているか、Webサイトの目的に叶うものであるかどうかを確認しましょう。フィードバックを行う際には、どのような理由でどこを直してほしいのか、できるだけ細かく丁寧に伝えるとやり取りがスムーズになります。また、「このサイトのようなナビゲーションにしたい」など具体的なイメージがある場合は、実物を提示して伝えましょう。「かっこよく」や「いい感じに」といった抽象的な言葉は禁物です。
社内ポータルは「情報が届く」ことが目的になりやすく、フィードバックは”主観”より”目的への寄与”で揃えるのがコツです。
たとえば次のように理由を添えると、修正が速くなります。
- 「トップから申請まで2クリック以内にしたい(迷いを減らす)」
- 「新入社員が迷うので、導線名を『人事手続き』に統一したい(言葉の揺れを減らす)」
- 「重要なお知らせは”見落としにくい配置”にしたい(優先順位の可視化)」
アクセシビリティ確認も、制作途中から繰り返すのが安全です。JIS X 8341-3:2016は、ウェブコンテンツが満たすべき品質基準(達成基準)をレベルA/AA/AAAで示し、企画・設計・制作・確認・試験・運用に関わる人を想定読者に含めています。つまり、発注者・担当者も”関係者”なのです。
また、WCAG 2.2はW3C勧告として公開され、2.1から追加の達成基準があることも整理されています(ベースライン更新の参考になります)。
実装・運用
デザインがFIXしたら、いよいよ実装です。Webサイトの場合は、実装まで含めてデザイナーや制作会社に依頼する場合と、デザインを買い取って社内で実装する場合が考えられます。
実装する際に、機能との兼ね合いでデザイン修正が必要になったり、サイトリリース後の運用フェーズにデザインを調整したりする場合も考えられます。デザインを納品してもらう際には、デザイン修正の際には同じデザイナーに依頼するべきか、納品されたデータを改変しても問題ないかなど、権利関係を明確にしておきましょう。
社内ポータルでは「運用」が本番です。更新されないポータルは使われなくなります。だからこそ、運用KPI(例:アクセス、検索成功率、申請完了率、滞在時間、アンケート満足度)を置き、改善サイクルを回す設計が重要です。
弊社ソフィアの調査では、社内広報の効果測定が「十分実施」と言える企業は15%にとどまり、測定が不十分・未実施のケースが多いことが示されています。運用で”改善しない”状態になりやすいので、発注時点から設計に含めましょう。
なお、社内ポータルが”単なる情報掲載”を超えて業務機能を持つ場合、会計・税務上はソフトウェア(無形固定資産)として扱われ得ます。国税庁は、ソフトウェアの取得価額に算入する費用の考え方や、耐用年数(原本/研究開発用は3年、その他は5年)を示しています。予算設計や稟議の観点で、関係部門と早めに握っておくと進行が安定します。
個人情報・雇用管理情報を扱う導線(人事手続き、名簿、申請等)がある場合は、セキュリティ・法務と連携し、事故時の対応も含めた整理が必要です。個人情報保護委員会は漏えい等に関する対応・報告の枠組みを案内しています。
まとめ
これまでデザインに関わってこなかった方にとって、Webデザインの発注は難しそうに見えるかもしれません。しかし、目的とゴール、対象者を明確にし、必要なリソースを揃えて実行し、成果物をチェックして検収するという流れは、通常のプロジェクトと変わりません。大切なのは、誰のための、何のためのデザインなのかを理解し、デザインの基本原則と進め方のコツを押さえておくことです。
一言でいえば、ちょっとした知識があれば、Webデザインの良し悪しはロジカルに判断することが可能です。「デザインのことはよくわからない」「自分にはセンスがないから」と思っている方も、この記事を参考にすることで、きっとスムーズにデザインの発注ができるはずです。
最後に、社内ポータル担当者の方は「伝えたいのに伝わらない」「見てもらえない」「理解されない」という壁に直面しがちです。弊社ソフィアの調査でも”十分理解を得られている”は10%にとどまり、設計のやり直し余地があることがうかがえます。だからこそ、発注の段階から、ユーザー中心・測定可能・運用可能な形で要件を固めることが、成功の近道です。




