大企業における新規事業失敗の原因分析と“成功を導く鍵”とは?【前編】

変化の激しい現代では、既存ビジネスが成功していても積極的に新規事業を立ち上げなければなりません。今や中小企業に限らず、安定性を有する大企業でも積極的に新規事業開発を進めるケースが増加しています。
今回は前後編に分けて、新規事業創出の重要性や企業が新規事業創出を推し進める際につまずいてしまう原因などを解説します。
前編では、大企業における新規事業開発が求められている理由とメリット、ソフィアが新規事業創出をサポートする「新規事業創出プログラム」についてご紹介します。

新規事業開発を行う大手企業の現状と流行している背景

冒頭で述べたとおり、新規事業創出に前向きな大企業は近年増加しておりその背景には様々な要因が存在します。
この章では、大企業をとりまく環境について解説します。

市場環境の変化

現在では、ユーザーの価値観やライフスタイルの変化により、多様な顧客ニーズに対応できる製品やサービスが求められるようになっています。
また、ITの成長によりビジネスモデルが急速に変化しているため、商材のライフサイクルも短縮化しています。どのような商品やサービスであっても、ごく一部の定番商品を除き必ず衰退期は訪れます。新たなビジネス領域を開拓する必要性が高まっているのです。
しかし、多くの企業では既存事業の安定経営や鈍化に加え、新規事業への投資が不足していました。そうした事情もあって現在は新規事業創出への積極性が高まっているといえるでしょう。

組織課題

前述に加え、人財育成やエンゲージメント向上を狙っていることも理由の一つです。組織の活性化や風土形成につながる施策として社内提案制度を取り入れる企業も増えています。
従業員エンゲージメントの向上は、企業の成長のために重要な要素です。従業員エンゲージメントの強化により、従業員が高いモチベーションを保ちながら業務に取り組むことで、長期間にわたり優れた品質の製品やサービスを提供することが可能となります。これによって売上や利益の持続的な増加が見込まれ、企業の競争力向上にも寄与します。

新規事業開発の重要性

これまで述べてきたように、新規事業開発は企業が持続的な成長と競争優位性を維持するために不可欠です。市場環境や顧客ニーズが急速に変化する中、既存事業だけに依存することはリスクを伴います。技術の進化やグローバル競争の激化により、従来のビジネスモデルがありきたりになる可能性も高まっています。こうした環境下で、新たな収益源を確保し、時代の変化に適応するためには新規事業の創出が欠かせません。

さらに、新規事業開発は、企業にイノベーションをもたらし、他社との差別化を図る手段ともなります。とくに、デジタル技術の進展や環境・社会課題への対応が求められる中で、新しい事業を通じてこれらの課題に応えることは、企業価値を高めるだけでなく、顧客や社会からの信頼を得ることにもつながります。また、新規事業に挑戦するプロセスそのものが、社員の意欲を高め、企業文化を活性化させる効果もあります。

新規事業開発は単なる成長戦略ではなく、企業が長期的に生き残り、持続可能な発展を遂げるための重要な基盤となっています。

しかしながら、多くのビジネスマンが認識しているように新規事業を創出し、成功させることは難しいものです。失敗や非難を恐れてアイデア出しに及び腰になってしまうこともしばしば起こる可能性があります。
活発な事業創出を促すためには意見が出しやすい環境づくりが必要です。そのためには、新規事業がどう転んでも上層部や職場が許容できる余裕と腹積もりを持たなければなりません。

新規事業開発のメリット

新規事業開発を行うことによって、社員の意欲を高め、企業文化を活性化させる効果があります。その効果についてさらに具体的に解説します。

組織の風土醸成や活性化

新しいアイデアを積極的に提案できる環境づくりを行うと、風通しの良い社風を築くことができ、チャレンジする社員が増加します。社員個人・各部署のモチベーションの向上にも貢献します。また、従業員の主体性を高めていけば、イノベーションの促進や企業の競争力が強化され、新しい製品やサービスを生み出していくことによって、新たな収益源の創出、ひいては組織・企業の活性化にもつながります。

人財育成の流れが生まれる

大手企業では、既存の社員を最大限に活かし、新規事業に欠かせないスキルやマインドセットを身につけた人材を育成することが重要です。新規事業開発は社員に未知の課題に取り組む機会を提供し、新たなスキルや知識を身につけることができます。そのため、将来のリーダーやイノベーターとして活躍できる人材が育成され、組織全体の成長と活性化を促す流れが生まれます。

キャリア形成

経団連で行われた人材育成に関するアンケート(参考:人材育成に関するアンケート調査結果)では、自律的にキャリア形成をしていると回答した企業は2割程というのが現状です。しかし、今後自律的なキャリア形成をするために支援が必要な対象層として、若年層(新入社員~30歳程度)と中堅層(30~40歳程度)が合わせて7割にのぼります。
キャリア形成において特に社内提案制度は、社員に新たなスキルや経験を提供する機会になります。市場調査、事業計画策定、提案内容のプレゼンテーションなど、通常の業務では得られないスキルを習得することができ、新たなキャリアパスを創出できるのです。イノベーション人財を発掘できる可能性もあり、これは長期的な人財投資ともいえます。

リーダー層の育成

不確実性の高い新規事業の発展に関わることで、多様な状況への適応能力が向上します。加えて、事業提案に向けてチームの構築や目標達成をリードすることによりリーダーシップが培われます。

ソフィアの考え、ご支援が可能なこと

一般的な新規事業開発プログラムでは、個人の能力開発に焦点が当てられており所属する組織の未来や事業計画が視野に入っていないものが多いです。
ソフィアでは、会社や経営の視点を持ち社会問題を捉え、個人としてではなく会社や組織、ひいては社会の一員としての事業開発能力を位置づけし実践に繋げる新規事業創出プログラムを薦めています。このプログラムでは自発的に行動出来ていない社員や新しいことにチャレンジしたい社員などへアプローチを行い、イノベーション風土の点火や人材の発掘を目標としています。

新規事業創出プログラム全体の流れ

では、ソフィアの考える新規事業創出プログラムとはどのようなものなのか、簡単な流れをご説明します。
大まかに以下の3つのフェーズに分かれています。

フェーズ1:設計/構築
従業員からのヒアリングやアンケートを通して、社員の体験マップ(エンプロイージャーニーマップ)を作成しコンセプトを立案、社員の動機付けや興味喚起を行う社員サイト・効果的な情報発信体制の構築。
フェーズ2:社員の巻き込み
特別研修や有識者を招いたセミナーなどのイベントを行い、社員の認知や興味喚起の促進。
フェーズ3:事業化
状況に合わせたアイデアコンテストのテーマ検討や応募要項の整理、応募後の絞り込みの支援。

その後、事業化に向けたブラッシュアップやスキルアップの支援を実施。
これらの支援を通して、社員の自立性や自発性の醸成、風土改革を促します。

まとめ

この記事では、大企業における新規事業開発の重要性とメリットについて解説しました。しかし、どれほど優れた戦略も、実行に移さなければ意味がありません。まずは自社の現状を分析し、新規事業開発に向けた具体的なステップを踏み出してみてはいかがでしょうか。

後編の記事はこちら

新規事業創出について課題感をお持ちの方や、もう少し詳しく知りたい方は、お気軽にソフィアまでご相談ください。

株式会社ソフィア

エディター

田中 佑季

主に社内報や社内コンテンツの編集を担当しています。原稿執筆、ディレクションといったひと通りのエディター業務が得意です。PhotoshopやIllustratorなどを用いたデザイン制作も対応します。

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