Copilot StudioとPower Virtual Agentsの違いとは?統合・後継関係と移行方法を解説
最終更新日:2026.09.16
目次
「Power Virtual Agentsを使っていたけれど、いつの間にかCopilot Studioという名前を見かけるようになった」。そんな戸惑いを感じていませんか。実はこの2つは別々のツールではなく、密接な関係があります。結論から言えば、Copilot StudioはPower Virtual Agents(PVA)の機能を引き継いだ後継のプラットフォームです。
この記事では、経営層や推進担当の方に向けて、両者の関係や統合の経緯、生成AIによる進化のポイント、そして既存のPVAボットをどう移行するのかまでを、わかりやすく解説します。
Power Virtual AgentsとCopilot Studioの関係とは?
「この2つは何が違うのか」という疑問に、まず結論と比較表でお答えします。両者は別物ではなく、密接な関係があります。ここを押さえると、以降の内容を理解しやすくなります。
結論|Power Virtual AgentsはCopilot Studioに統合された
先に結論をお伝えすると、Power Virtual Agents(PVA)の機能はCopilot Studioに統合され、現在はPVAという名称そのものが使われなくなっています。つまり、どちらを使うか選ぶ関係ではありません。
Microsoftの公式発表「Microsoft Power Virtual Agents, now part of Microsoft Copilot Studio」によると、Power Virtual Agentsは Copilot Studio の基盤となり、その一部として組み込まれたと説明されています。PVAが土台となってCopilot Studioへ発展した、と捉えるとわかりやすいでしょう。
違いがわかる比較一覧表
まずは、旧PVAと現在のCopilot Studioの違いを表で確認しましょう。何がどう発展したのかが見えてきます。
| 比較の観点 | Power Virtual Agents (旧) |
Copilot Studio (現在) |
| 位置づけ | 会話型ボットの構築ツール | AIエージェント構築プラットフォーム |
| 会話設計 | トピックを中心に設計 | トピック・生成AI・エージェント連携など |
| AI活用 | 後期に生成AI機能を搭載 | 生成AIを中心に幅広く活用 |
| ナレッジ活用 | Webサイトや文書などを参照可能 | SharePoint・Webサイト・ファイルなど多様なソースに接続 |
| 業務処理 | Power Automate等と連携 | アクション・フロー・自律型エージェントで実行 |
| 現在の位置づけ | 旧名称・旧エクスペリエンス | 現在のプラットフォーム |
それぞれの観点は、この後の章で詳しく解説します。自社の使い方をイメージしながら読み進めてください。
Power Virtual Agents(PVA)とは?
まずは前身であるPower Virtual Agentsが、どんなツールだったのかを振り返っておきましょう。ここを理解すると、Copilot Studioへの発展がよりはっきり見えてきます。
PVAの概要(ローコードのボット構築ツール)
Power Virtual Agentsは、プログラミングの知識がなくても会話型のボットを作れる、Microsoftのローコードツールでした。GUIの画面で会話の分岐を設計し、社内外の問い合わせに答えるボットを構築できました。
Power Platformの一員として、Power AutomateやMicrosoft 365と連携できた点も特徴です。多くの企業が、社内ヘルプデスクやFAQ対応にPVAを活用してきました。
PVAの仕組みと特徴(トピック設計と生成AI機能)
PVAでは、トピック(会話の流れ)をあらかじめ設計する方法が基本でした。想定される質問と応答を組み立てて、ボットの受け答えを作っていく仕組みです。
一方で、PVAには後に「Generative answers(生成AIによる回答)」などの機能も追加され、登録したトピックだけに依存しない回答も可能になっていました。ただし、会話の道筋を人が細かく設計する負担は残っており、この課題を大きく前進させたのが、次に紹介するCopilot Studioです。
Copilot Studioとは?PVAからの進化
続いて、PVAが発展した現在のCopilot Studioを見ていきましょう。何を目指したツールなのかを整理すると、進化の意味がわかります。
Copilot Studioの概要

Copilot Studio(コパイロットスタジオ)は、ローコードで独自のAIエージェントを構築できるプラットフォームです。社内のナレッジと連携し、質問への回答から業務処理までを担えるツールへと発展しました。
作成したエージェントは、Microsoft TeamsやWebサイト、SharePoint、Microsoft 365 Copilotなど、さまざまなチャネルに公開できます。「会話型ボットを作るツール」から「AIエージェントを構築するプラットフォーム」へと立ち位置が変わった点が、大きな進化です。
統合の経緯|2023年11月にPVAがCopilot Studioに統合
Copilot Studioの土台となったのが、Power Virtual Agentsです。2023年11月15日、MicrosoftはPower Virtual Agentsの機能をMicrosoft Copilot Studioに統合し、生成AI機能を大幅に強化しました。これに伴い、Power Virtual Agentsという名称は使われなくなりました。
この背景には、大規模言語モデルの進歩があります。生成AIによって、ボットが自然でパーソナライズされた回答を返せるようになったことで、ツールそのものが新しい段階へと引き上げられました。名称の変更は、単なる呼び名の変更ではなく、中身の発展を伴うものだったのです。
Power Virtual Agents(PVA)からCopilot Studioへ|何が変わったのか
名称が変わっただけではありません。中身がどう発展したのかを、4つの観点で具体的に見ていきましょう。旧PVAとの違いがはっきりわかります。
手動中心の会話設計から生成AIオーケストレーションへ
大きな進化のひとつが、生成AIオーケストレーションです。旧PVAでは、トピックやトリガーフレーズをあらかじめ設計し、会話の流れを構築する方法が中心でした。Copilot Studioでは、生成AIがユーザーの意図を理解し、トピックやツール、ナレッジソースなどから適切なものを選択して、必要に応じて組み合わせながら回答や処理を行えます。
これにより、想定される質問ごとに会話の流れを細かく設計する負担を抑えながら、より柔軟なエージェントを構築できます。
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ナレッジ接続と生成AIによる回答の強化
Copilot Studioでは、SharePointやWebサイト、アップロードしたファイルなどをナレッジソースとして接続できます。AIがその内容を検索・参照しながら、社内情報に基づいた回答を生成します。
こうした、外部の情報を検索・取得して生成AIの回答に活用する仕組みは、一般にRAG(検索拡張生成)と呼ばれます。多様なナレッジソースを組み合わせられるため、準備の手間を抑えつつ、回答の幅を広げられます。
チャットボットからAIエージェントへ(アクション実行と自律化 )
発展したのは、回答機能だけではありません。Power Automateのフローをアクションとして組み込むことで、会話の中で業務処理まで実行できるようになりました。
たとえば「会議室を予約して」と話しかけると、裏側でフローが起動し、空き状況の確認から予約、通知までを自動で行います。
さらにCopilot Studioでは、イベントトリガーを利用して、ユーザーからの指示を待たずに動作する自律型エージェントも構築できます。あらかじめ設定した指示や条件、ガードレールに基づき、イベントの発生をきっかけとして処理を実行できます。
「答える」だけのボットから、「実行する」エージェントへと役割が広がりました。
利用単位の変更(メッセージからCopilotクレジットへ)
課金にかかわる利用単位にも変化がありました。従来は「メッセージ」を単位にしていましたが、2025年9月1日以降、Copilot Studioでは利用量を表す共通単位が「メッセージ」から「Copilotクレジット」へ変更されています。利用する機能や処理内容によって消費するクレジット数が異なるため、導入時にはMicrosoftの最新情報を確認することが重要です。
PVAからCopilot Studioへの移行方法
「今まで使っていたPVAのボットはどうなるの?」という不安を持つ方も多いでしょう。ここでは、移行の考え方と手順を整理します。
既存ボットはCopilot Studio上で引き続き利用できる
まず知っておきたいのは、既存のPVAボットはCopilot Studio上で引き続き利用できるという点です。旧PVAで作成したボットは、Copilot Studioの管理画面に自動的に表示され、これまでどおり編集や運用を続けられます。
そのため、既存のクラシックボットはCopilot Studio上で継続して利用できます。ただし、最新機能を利用する場合には、構成や利用している機能に応じて移行や設定変更が必要になることがあります。
クラシックボットを統一オーサリングへ移行する
生成AIなどの新機能をより活かしたい場合は、クラシックボットを新しい「統一オーサリング」へ移行する方法があります。Microsoftの公式ドキュメント「Copilot Studio 統一オーサリングへのアップグレード」によると、Power Virtual Agentsで作成したクラシックボットは、Copilot Studioでクローンして新しいエージェントに変換できます。
ここで重要なのは、クローンは新しいエージェントを作成するものであり、既存のクラシックボットをそのまま改変するわけではないという点です。元のボットを残したまま新しい形で作り直せるため、影響を抑えながら移行を試せます。
ただし、すべてのクラシックボットがクローンできるわけではありません。利用言語やCustomer Serviceとの連携、ナレッジ管理機能の利用状況などによって、クローンの対象外となる場合があります(※2026.09現在、日本語で構築されたPVAボットはクローンの対象外)。移行前には、Microsoftの最新ドキュメントで対象条件を確認してください。
移行時の注意点(認証・チャネル・連携の見直し)
一方で、移行にあたって押さえておきたい注意点もあります。新しい生成AI機能を十分に活用するには、トピック(会話の流れ)の再設計が必要になるケースがあります。移行の際は、次の点を確認しておきましょう。
- 認証やアクセス権の設定を見直す
- 公開するチャネル(Teams・Webなど)を再設定する
- Power Automateや外部システムとの連携を確認する
- Bot Framework Skillsやカスタムコンポーネントの引き継ぎを確認する
- 移行後のボットが想定どおり動くか、公開前に十分テストする
旧PVAの資産を活かしつつ、生成AIの強みを引き出すには、こうした準備が欠かせません。
Copilot Studioでできること・活用例
発展したCopilot Studioで何ができるのかを、具体的な活用例で見ていきましょう。自社の業務に当てはめて考えると、使い道がイメージしやすくなります。
社内ヘルプデスク・FAQの自動応答
代表的な活用例が、社内ヘルプデスクやFAQ対応 の自動化です。就業規則やIT操作、申請手順といった定型的な問い合わせを、AIエージェントが自動で回答します。SharePointに蓄積したマニュアルをナレッジソースとして接続すれば、その内容を検索・参照しながら社員からの質問に回答できます。情シスやバックオフィスの問い合わせ対応工数を、大きく削減できます。
ナレッジ検索エージェント
社内に散在するマニュアルや議事録、規程集などを横断的に検索するエージェントも構築できます。複数のソースから情報を取得し、統合して回答を生成します。必要な資料がどこにあるのか分からないといった属人的な情報探しの手間を減らせます。必要な情報にすばやくたどり着ける環境は、業務のスピードを底上げします。
業務処理まで自動化するエージェント
回答だけでなく、業務処理まで会話で完結させる使い方もあります。Power Automateと連携し、申請の起票や会議室の予約、通知の送信などを、対話の流れの中で実行できます。
たとえば「経費精算を申請したい」と伝えると、必要な情報を確認しながら承認フローを起動する、といった流れを組めます。「調べる」から「実行する」までをつなげることで、業務そのものを前に進められます。
Copilot Studioの導入・移行を成功させるポイント
PVAからの移行や新規の導入で成果を出すために、押さえておきたいポイントを整理します。事前に知っておくと、よくあるつまずきを避けられます。3つの観点で解説します。
目的とKPIを先に決める
まず、どの業務を効率化し、何を成果指標とするのかを先に定めましょう。問い合わせ削減率や一次解決率といったKPIを決めておくと、導入後の効果を客観的に振り返ることができます。目的が曖昧なまま進めると、途中で方向性を見失いがちです。ゴールを明確にすることが、成功への第一歩になります。
ナレッジ整備と運用体制
エージェントの回答品質を高めるには、接続するナレッジの品質を整えることが重要です。社内文書を最新の状態に保ち、誰がいつ更新するのかを決めておきましょう。移行は、ナレッジを見直す絶好の機会でもあります。構築して終わりにせず、継続的にメンテナンスする体制を整えておくことが大切です。
スモールスタートで段階展開する
はじめから大きく展開するのではなく、小さなFAQボットから試すことをおすすめします。効果を見ながら、対象の業務を少しずつ広げていく進め方が現実的です。一部門で成功事例を作れば、他部署へ展開する際の説得力にもなります。コストと効果を見極めながら段階的に育てていきましょう。
Copilot Studioの導入・移行はソフィアが支援
「PVAからの移行をどう進めればいいか」「何から始めればいいか」で迷ったら、専門家に相談する方法もあります。ソフィアでは、現状の整理から移行・定着までを支援しています。
現状整理から移行・定着まで伴走する支援内容
ソフィアのAX支援では、既存ボットの棚卸しや導入目的の整理、ナレッジの整備、エージェントの構築、運用定着までをサポートします。単にツールを移行して終わりではなく、現場が自らエージェントを改善し続けられる体制づくりまで見据えて伴走します。
Microsoft 365上の社内文書やTeams、SharePointと連携しながら、問い合わせ対応や社内手続きの案内、業務の下書き作成といった業務を支援する仕組みを一緒に設計します。「Microsoft 365内で完結する範囲」と「追加ライセンスや外部連携が必要な範囲」を切り分けて整理するため、無理のない形でAI活用を進められます。
まずは現状整理とスモールスタートから
「移行の進め方を相談したい」「Copilot Studioを試してみたい」という段階でも問題ありません。まずは現状の課題や、既存ボットの状況を整理するところから始めましょう。
小規模なPoC(概念実証)から着手すれば、どの業務にどれくらいの効果が出せそうかを、実際に確かめながら判断できます。ソフィアでは無料相談も受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ|PVAの資産を活かしてCopilot Studioへ
Copilot Studioは、Power Virtual Agentsの機能を引き継いだ後継のプラットフォームです。2023年11月の統合を経て、会話型ボットの構築ツールから、生成AIとナレッジ接続を備えたAIエージェント構築プラットフォームへと発展しました。
既存のPVAボットはCopilot Studio上で引き続き利用でき、必要に応じて統一オーサリングへ移行して新機能を活かせます。移行を成功させる鍵は、目的とKPIを定め、ナレッジを整え、小さく始めて段階的に広げることです。
これまで積み上げてきた PVAで蓄積した資産の多くは、移行後も活用できます 。むしろCopilot Studioへの発展を機に、より大きな効果へとつなげられます。移行や導入の進め方に迷ったときは、ソフィアがそのパートナーとしてお手伝いします。


