インターナルコミュニケーション

【2025年版】ナレッジマネジメントツールおすすめ選定ガイド|大企業のDX・広報担当者が知るべき導入と活用のすべて

目次

デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速と働き方の多様化が進む2025年、多くの大企業が直面しているのが「組織内の情報の分断」と「ナレッジの属人化」という課題です。リモートワークとオフィスワークが混在するハイブリッドワークが定着した今、社員一人ひとりが持つ貴重な知識やノウハウが、組織全体に共有されないまま埋もれてしまうリスクはかつてないほど高まっています。

「社内ポータルを作ったが誰も見ない」「ツールを導入したが情報が検索できない」「ベテランの技術が継承されないまま失われていく」――こうした悩みをお持ちのDX推進部門、広報部門、人事部門の担当者様も多いのではないでしょうか。

本レポートでは、ナレッジマネジメントの基礎理論から、2025年の最新トレンドである「生成AI」を搭載したツールの詳細比較、さらには弊社ソフィアが実施した最新の「インターナルコミュニケーション実態調査2024」に基づくエビデンスを交え、大企業が真に成果を上げるためのナレッジマネジメントの実践論を網羅的に解説します。単なるツール比較にとどまらず、組織の「知識経営」を成功させるための羅針盤としてご活用ください。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメント(Knowledge Management)とは、企業において社員が持つ知識や技術、ノウハウなどを社内で共有し、企業の資産にしながら経営へ生かすマネジメント手法です。一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏が提唱した「知識経営」を基礎とした理論であり、日本企業が古くから現場レベルで実践してきた「知恵の共有」を、組織的かつ戦略的なプロセスへと昇華させたものと言えるでしょう。

社員が持つ個々の知識や技術、ノウハウを一ヶ所にまとめて管理するとなると、膨大な量の情報になります。ナレッジマネジメントにおいては、この情報に社員がアクセスしやすい環境を構築する必要があり、そのために「ナレッジマネジメントツール」が存在します。ナレッジマネジメントにおいては、このツール選定と運用までも視野に入れて取り組むことが求められます。

暗黙知と形式知の違い

ナレッジマネジメントを理解する上で最も重要な概念が、「暗黙知」と「形式知」の分類です。ナレッジマネジメントは、組織のなかに存在する知識を「暗黙知」と「形式知」に分類し、暗黙知を形式知にすることを目標とします

暗黙知は個人の経験や直感に基づいた知識であり、言語化しにくいものです。ベテラン営業職の「顧客の表情からニーズを読み取る勘」、熟練技術者の「機械音の違和感から故障を予知する感覚」など 他者への伝達が難しく、属人化しやすく、退職と共に企業から失われるリスクが高いのが特徴です。

一方、形式知は書籍やマニュアルなどに記録された明確な知識です。業務マニュアル、設計図、議事録、顧客データベース、標準作業手順書(SOP)、提案書のように言語や数値で表現されているため、デジタル化・共有が容易。ITツールでの管理に適しています。

ナレッジマネジメントでは、暗黙知を形式知に変換するための手法やツールが活用されます。具体的には、情報共有のプラットフォームやデータベースの構築、社内教育プログラムの実施などが行われます。効果的に行うことで、自社内の知識資産を有効に活用でき、企業の競争力や企業価値の向上が実現します。

SECIモデルによる知識創造プロセス

ナレッジマネジメントのフレームワークとして「SECIモデル」というものがあります。個人の持つ感覚的な「暗黙知」を言語化し具現化することで「形式知」へと変換し、形式知同士を組み合わせて新たな形式知を生み、形式知は個人の中で深化した暗黙知へ還元する、これらのサイクルを通して人材のレベルアップや企業の資産価値向上を図るものです。

このプロセスは以下の4つの段階(Mode)で構成され、スパイラル状に上昇しながら組織の知識を深化させていきます。

1. 共同化 (Socialization):「暗黙知」から「暗黙知」へ。

対話や共同体験を通じて、言葉にならない経験や勘を直接共有するプロセスです。OJT、メンター制度、喫煙所での雑談、1on1ミーティングなどが該当します。

2.表出化 (Externalization):「暗黙知」から「形式知」へ。

個人のノウハウをマニュアル、図解、比喩などを用いて言語化するプロセスです。ナレッジマネジメントツールへの投稿やドキュメント作成がこのフェーズに当たります。

3. 連結化 (Combination):「形式知」から「形式知」へ。

共有されたマニュアルやデータを組み合わせ、体系的な新しい知識を作り出すプロセスです。社内ポータルでの情報集約や、AIによるデータの統合分析がこれにあたります。

4. 内面化 (Internalization):「形式知」から「暗黙知」へ。

形式知として学んだことを実践し、自分のスキルとして体得するプロセスです。eラーニングや業務での実践を通じて、知識が再び個人の血肉となります。

ナレッジマネジメントツールが必要な理由

冒頭で述べたとおり、ナレッジマネジメントにおいては、社員が持つ個々の知識や技術、ノウハウといった情報に全社員がアクセスしやすい環境を構築する必要があります。その環境の構築には「ナレッジマネジメントツール」が役立ちます。昨今のナレッジマネジメントツールは、「資料や情報をいかに整理して必要なときにすぐ取り出せるようにするか」が選定のポイントとしてフォーカスされています。

では、なぜ今、アナログな手法ではなくデジタルツールによる管理が不可欠なのでしょうか。その背景には、現代の大企業が抱える構造的な課題があります。

日本企業はナレッジマネジメントを事実上している

日本において企業内のナレッジマネジメントは、組織の内外、部門間で既に幅広く実践されています。これには、伝統的なコーポレート機能(人事、総務、広報、経営企画、情報システム部など)に加え、新たな組織的取り組み(働き方改革推進室、ESG推進室、HRBP、DX推進部門など)が含まれます。これらの部門やイニシアティブは、外部環境の変化に対応すると同時に、特定の目的や課題に集中するために設立されています。

さらに、非公式ながらも部門横断的なチーム(特定プロジェクトチームや委員会など)が組織内に存在し、これらは全社的かつ戦略的な課題に対処するためのものです。これらのチームは、ナレッジマネジメントをITツールに依存するのではなく、主に人的資源を通じて行っており、組織内で共有される知識や情報を活用して既存の課題を解決しています。
このアプローチは、組織内でのコラボレーションの必要性を強調しています。ナレッジマネジメントの成功は、部門間の壁を超え、多様なスキルと知識を持つ従業員が共同で作業を進めることに依存しています。このような横断的なチームの形成は、組織が直面する複雑な問題に対する革新的な解決策を生み出す機会を提供します。これは、単一部門内のリソースや視点だけでは不十分な場合に特に重要です。

しかし、ナレッジマネジメントの実践は、組織内の意思決定プロセスに大きな影響を与えます。ナレッジの共有やコラボレーションが不足している場合、組織は重要な情報に基づいて迅速かつ効果的な意思決定を行う能力が制限されます。そのため、組織内でナレッジマネジメントを促進することは、組織の戦略的な柔軟性と対応能力を高めるために不可欠です。
このような環境下で、企業はナレッジマネジメントを戦略的に取り入れ、組織内外のリソースを最大限に活用することが求められます。これにより、組織は変化する市場や社会の要求に効果的に対応し、競争優位性を維持することが可能になります。

労働生産性の問題

労働人口の減少と高齢化が進行する日本のビジネス環境において、労働生産性の向上が急務となっています。2022年のデータによると、日本の労働生産性は主要7カ国(G7)の中で最下位に留まり、OECD加盟国平均との差も大きく開いている状況です。この背景には、労働力の質的な改善や効率化の遅れが指摘されています。ナレッジマネジメントツールは、この問題を解決する鍵を握っています。

知識共有と活用を促進するナレッジマネジメントツールは、個人の暗黙知を組織全体で利用可能な形式知に変換することで労働生産性の向上に直結します。一例として、経験豊富な従業員の技術やノウハウを文書化し、データベース化することで、新入社員や他部署の従業員もその知識を活用できるようになります。これにより、業務の効率化はもちろん、イノベーションの創出にも繋がります。

さらに、ナレッジマネジメントツールはリモートワークやテレワークが普及する現代において、情報のアクセス性と共有性を高めることで、地理的な制約を超えた協働を可能にします。これは、労働力不足に直面している日本企業にとって、限られた人材を最大限に活用する上で極めて重要です。
労働生産性の向上は、経済成長と社会の持続可能性を保つ上で不可欠です。ナレッジマネジメントツールの導入と積極的な活用は、知識の有効活用を通じて生産性を高めることに加え、企業の競争力強化にも寄与します。日本が直面する人口動態の課題に対処し、持続可能な成長を実現するためには、ナレッジマネジメントツールの必要性がこれまで以上に高まっているのです。

企業の暗黙知を形式知へ転換するために

ナレッジマネジメントの概念は、企業が直面する大きな課題に対処するための重要な戦略です。この戦略は、個人の経験やスキルに依存する「暗黙知」と、共有しやすく、形式化された「形式知」の二つの知識形態を中心に展開されます。

暗黙知は、個人が持つ直感や経験、技術的なスキルなど、言葉にしにくい非形式的な知識を指します。この種の知識は、その持ち主が企業を去るとき、彼らと一緒に去ってしまう可能性があります。一方で、形式知は文書、指導書、マニュアル、データベースといった形で組織内で共有される知識です。

たとえば、優れた技術者が長年の経験から独自の問題解決法を開発した場合、その方法は技術者個人にしか理解できない暗黙知になります。技術者がその方法を文書化し、手順や理論を詳細に説明することで、この暗黙知は形式知に転換され、他の従業員も理解し活用できるようになります。このプロセスを通じて、企業は重要な知識を保持し、拡散することができます。

また、IBMでは、従業員がプロジェクト経験や専門知識を社内ネットワーク上で共有する「エキスパートデータベース」を構築しています。これにより、必要なスキルや知識を持つ従業員を迅速に見つけ出し、プロジェクトチームの編成や問題解決を効率的に行うことが可能になります。

これらの例からわかるように、暗黙知を形式知へと変換し、組織内で共有することによって、企業は知識の流失を防ぎ、持続可能な競争力を構築することが可能になります。ナレッジマネジメントは、人材の流動化が進む現代において、企業の生存と成長を支える基盤となっています。

大企業が抱える課題とソフィア調査の示唆

ここで、大企業における社内コミュニケーションとナレッジ共有の実態について、弊社ソフィアが実施した「インターナルコミュニケーション実態調査2024」の結果をもとに掘り下げます。

社員に戦略が響かない:共感わずか1割の現実

同調査において、非常に衝撃的な結果が明らかになりました。自社の経営目標や戦略に対して「共感している」と回答した社員は、全体のわずか約1割にとどまっています。

これは、経営層や企画部門が発信するメッセージ(形式知)が、現場の社員にとっては「自分事」として捉えられていない(内面化されていない)ことを意味します。イントラネットにPDFを掲載するだけの一方的な情報発信では、社員の心には届きません。ナレッジマネジメントツールを活用し、双方向のコミュニケーションや、背景にあるストーリー(文脈)を含めた共有を行うことで、この「共感のギャップ」を埋める必要があります。

1on1ミーティングのパラドックス

また、社内コミュニケーション活性化のために実施している施策の第1位は「1on1ミーティング」でしたが、同時に「効果を実感できていない施策」としても名前が挙がっています。実施率は高いものの、現場からは「何を話せばいいかわからない」「雑談で終わってしまう」といった声が多く聞かれます。

これは、対話の「場(共同化)」を用意しただけでは不十分であることを示唆しています。ナレッジマネジメントツール上に、1on1で話すべきトピックや、部下の育成に役立つナレッジ、経営情報の噛み砕いた解説などが用意されていれば、対話の質は向上します。ツールは単なる保存庫ではなく、質の高い対話を生み出すための「媒介」としての役割も担うべきなのです。

ナレッジマネジメントのタイプ(ナレッジマネジメントツールの種類)

はじめに、ナレッジマネジメントツールの種類について、「情報へのアクセスの方法」の観点から大きく4つに分類して解説します。

ナレッジマネジメントツールは、その機能や目的によって大きく4つのタイプに分類されます。自社の課題がどこにあるのかを見極め、適切なタイプを選定することが成功の第一歩です。はじめに、ナレッジマネジメントツールの種類について、「情報へのアクセスの方法」の観点から大きく4つに分類して解説します。

ドキュメント管理型

ドキュメント管理ツールの機能をナレッジマネジメントに応用させたものです。ドキュメント管理型のナレッジマネジメントツールは、情報をマニュアルなどの文書で管理し共有する際に有用です。ファイルの保管や共有といった基本的な機能に加えて、オンラインでの共同編集や編集時に変更履歴が残る機能を持ったものもあります。

・主な機能: バージョン管理、権限設定、大容量ファイル共有
・代表的なツール: Box, Dropbox Business, Microsoft SharePoint, Google Drive
・適しているケース: 契約書、設計図、企画書など、完成されたファイルの管理が主目的の場合。

グループウェア型

グループウェア型のナレッジマネジメントツールはドキュメント管理型のツールよりも管理機能が豊富で、会社のさまざまな情報を一元管理できます。ドキュメント管理機能に加えて、ワークフロー機能、レポート共有機能(議事録やメモを関係者内に共有できます)、タスク管理機能などを備えており、業務全体の業務効率化を主軸に置いていることがポイントです。

・主な機能: スケジュール、掲示板、チャット、ワークフロー
・代表的なツール: Microsoft Teams, サイボウズ Office, Garoon, kintone
・適しているケース: 日々の業務フローの中にナレッジ共有を組み込みたい場合。

ヘルプデスク型(FAQ・社内Wiki型)

BtoCのWebサイトに設置されている「よくある質問」をベースに設計したナレッジマネジメントツールです。情報を一問一答式で引き出すことができ、カテゴリ分類やワード検索もできる特徴があります。マニュアルとは異なり「逆引き辞典」のように利用されます。情報の粒度が細かく、必要なときに必要な部分だけ参照したいという場合に重宝されるでしょう。社内ポータルサイトの構築も情報を一元管理するための手段の一つです。

・主な機能: Q&A作成、全文検索、テンプレート、スコアリング
・代表的なツール: Helpfeel, Qast, NotePM, Notion
・適しているケース: 「経費精算の方法は?」「PCのパスワードを忘れた」といった定型的な問い合わせを削減したい場合。

検索特化型(エンタープライズサーチ)

検索特化型は、散在したデータやファイルをさまざまな方法で検索し抽出するという、強力な検索機能をもって情報を集約するナレッジマネジメントツールです。こうしたツールでは検索対象がファイル名に限らず、本文やファイルに加えたコメント、添付ファイルの中身までも検索が可能です。またこうしたツールはワークスペースを内包していることも多く、そこでの情報一元化もできるようになります。

・主な機能: 横断検索(ファイルサーバー、クラウド、チャット)、AI要約、OCR
・代表的なツール: QuickSolution, saguroot, Neuron ES
・適しているケース: 既に多数のツール(Box, Teams, Slackなど)を利用しており、情報がどこにあるかわからない「情報迷子」が多発している大企業。

ナレッジマネジメントツールおすすめ比較 12選

ここでは、特に大企業のDX・広報・人事担当者におすすめの実績豊富なツールを、タイプ別に厳選して紹介します。2025年の最新トレンドであるAI機能やセキュリティ面も含めて比較します。

ドキュメント管理・コラボレーション型

Confluence(コンフルエンス)

世界標準のナレッジベース、開発・IT部門との親和性が抜群

・概要: Atlassian社が提供する、Wiki形式の情報共有ツール。世界中で75,000社以上が導入しており、グローバル企業での実績が豊富です。
・特徴:
-高い検索性と構造化: ページを階層構造(ツリー状)で管理でき、情報が整理されやすい。
-開発ツールとの連携: Jira、Bitbucket、Trelloなど、同社の製品群とシームレスに統合可能。
-生成AI(Atlassian Intelligence): 2024年に搭載された「AI Copilot」が、ドキュメントの要約や質問への回答を自動生成します。
・適した組織: IT部門、エンジニアリング、プロダクト開発など技術系組織。グローバルチームでの協業に最適。
・価格帯: Free / Standard(690円/ユーザー/月) / Premium(1,310円/ユーザー/月) / Enterprise(要問合せ)

参考URL:

・Atlassian Confluence公式サイト https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
・Atlassian Intelligence機能紹介 https://www.atlassian.com/ja/software/confluence/features

NotePM(ノートピーエム)

日本企業向けに最適化された社内Wiki、操作性とセキュリティを両立

・概要: プロジェクト・モード社が提供する国産ナレッジ共有ツール。国内で12,000社以上の導入実績があり、日本企業の商習慣に合わせた設計が特徴です。
・特徴:
-Markdown対応: プログラマー向けの軽量記法に対応し、技術文書も作成しやすい。
-強力な全文検索: Word、Excel、PDFなどの添付ファイルの中身まで検索可能。
-生成AI(ChatGPT連携): 2023年に実装された機能により、蓄積されたナレッジを基に質問に自動回答。
-セキュリティ: SSO(SAML認証)、IPアドレス制限、操作ログの記録など、エンタープライズ要件をカバー。
・適した組織: 中堅〜大企業の総務・人事・カスタマーサポート部門。日本語UIの操作性を重視する組織。
・価格帯: プラン8(4,800円/月・8名まで) / プラン15(9,000円/月・15名まで) / プラン25(15,000円/月・25名まで) / プラン50(30,000円/月・50名まで) / プラン100〜(要問合せ)

参考URL:
・NotePM公式サイト https://notepm.jp/
・NotePM導入事例 https://notepm.jp/case

ヘルプデスク・FAQ型

Helpfeel(ヘルプフィール)

「意図検索」で探す手間をゼロに、問い合わせ削減率90%超の実績

・概要: Nota社が提供する次世代型FAQシステム。独自の「意図検索エンジン」により、曖昧な表現でも正確な答えに辿り着けます。
・特徴:
-独自の検索技術: ユーザーが入力したキーワードから「質問の意図」を理解し、完全一致でなくても関連する回答を表示。
-検索学習: 検索パターンを自動的に学習し、ヒット率が日々向上。
-導入効果: 導入企業の平均で、社内問い合わせが約70%削減されたという実績。
・適した組織: カスタマーサポート、社内ヘルプデスク(IT部門への問い合わせ)、人事総務のFAQ整備を急ぐ企業。
・価格帯: 初期費用 + 月額費用(規模により変動、要問合せ)

参考URL:
・Helpfeel公式サイト https://helpfeel.com/
・Helpfeel導入事例 https://helpfeel.com/case

Qast(キャスト)

Q&A形式で知識を蓄積、投稿のハードルが低くナレッジが自然に集まる

・概要: any社が提供する社内Q&Aプラットフォーム。シンプルな質問投稿から始められ、暗黙知の形式知化を促進します。
・特徴:
-Q&A中心設計: Slack感覚で質問を投稿し、誰かが回答することで自然とナレッジが蓄積される仕組み。
-メモ機能: 質問以外にも、業務マニュアルや議事録を自由に投稿可能。
-サンクス機能: 役立った回答に「ありがとう」を送れるため、投稿モチベーションが向上。
-AI要約: 過去のQ&Aを要約し、新入社員向けのオンボーディング資料を自動生成。
・適した組織: ITリテラシーのばらつきが大きい組織、投稿文化を育てたい企業、スタートアップから中小企業まで幅広く対応。
・価格帯: Free(〜10名) / Standard(600円/ユーザー/月) / Enterprise(要問合せ)

参考URL:
・Qast公式サイト https://qast.jp/
・Qast機能紹介 https://qast.jp/features

検索特化型(エンタープライズサーチ)

saguroot(サグルート)

RAG対応で社内資産を最大活用、生成AIで「聞ける」ナレッジベース

・概要: PKSHA Communication社が提供する、生成AI搭載の社内検索プラットフォーム。2024年に本格リリースされた新世代ツールです。
・特徴:
-RAG技術: 社内の全ドキュメント(ファイルサーバー、Slack、Teams、Salesforce等)を横断検索し、ChatGPT風のUIで質問に自然言語で回答。
-セキュアなAI: 社内データは外部に送信されず、オンプレミスまたはVPC内で処理可能(機密保持)。
-学習機能: 検索履歴やフィードバックを学習し、回答精度が自動改善。
・適した組織: 複数のクラウドツールが乱立している大企業、AIによる情報活用を本格化したい組織。
・価格帯: 要問合せ(企業規模・データ量により変動)

参考URL:
・saguroot公式サイト https://saguroot.com/
・PKSHA Communication社 製品情報 https://www.pksha-communication.com/

QuickSolution(クイックソリューション)

圧倒的な検索速度を誇る純国産エンタープライズサーチ

・概要: 住友電工情報システムが提供。大規模データ検索で長年のシェアNo.1を誇ります。
・特徴:
-高速検索: 数十TB(テラバイト)級のデータでも数秒で検索可能。
-RAG対応: ChatGPTと連携し、社内規定やマニュアルに基づいた回答を自動生成する機能を搭載。
-権限継承: ファイルサーバーのアクセス権限をそのまま検索結果に反映できるため、セキュリティ管理が容易。
・適した組織: 製造業、金融機関など、膨大なファイル資産を持つ大企業。
・価格帯: 要問合せ(サーバー構成・データ量により変動)

参考URL:
・QuickSolution公式サイト https://www.sei-info.co.jp/quicksolution/
・住友電工情報システム 製品ページ https://www.sei-info.co.jp/

その他の注目ツール

Notion(ノーション)

オールインワン型ワークスペース、柔軟性と美しいUIで若手に人気

・概要: Notion Labs社が提供する、ドキュメント・Wiki・タスク管理を統合したプラットフォーム。スタートアップ企業での導入率が高いです。
・特徴:
-柔軟なページ設計: データベース、カレンダー、ボード、リストなど自由にカスタマイズ可能。
-Notion AI: 文章の執筆支援、要約、翻訳などの生成AI機能が標準搭載(2023年〜)。
-視覚的UI: 直感的で美しいインターフェースにより、探索そのものを楽しくさせます。
・適した組織: デザイン性を重視する企業、クリエイティブ部門、小〜中規模の組織。
・価格帯: Free / Plus(10ドル/ユーザー/月) / Business(18ドル/ユーザー/月) / Enterprise(要問合せ)

参考URL:
・Notion公式サイト https://www.notion.so/ja
・Notion AI紹介 https://www.notion.so/product/ai

ナレッジマネジメントを行うメリットと重要性

ナレッジマネジメントシステムは、ICTシステム(イントラや社内ポータルなど)と人間が双方に連携しながらコラボレーションやイノベーションを創出することです。アイディアの発想などそういったものが求められるイノベーションや新規事業は言うまでもなく人から生まれるため、部門間連携や社内政治、セキュリティなど多くの障壁を乗り越えて推し進めなければなりません。

属人化の防止・スキルの底上げ

属人化とは、特定の人に依存している業務やスキルの集中化を指します。この状態では、業務が可視化されていないため、マニュアルもスキルも提供することができません。また、新入社員や異動した社員がすぐに、どのような仕事をすれば分からない上に、退職した場合に引継ぎができないなどの問題が生じます。

ナレッジマネジメントで暗黙知が形式知になることによって、この業務の属人化を防ぐことができ、さらには全従業員のナレッジ・スキルを底上げできます。また休職者や退職者が出た際にも、業務の進め方などが共有されているため、ほかの従業員がカバーに入ることができます。特に、雇用流動性が高まる中、中途入社者が早期に戦力化できる環境(オンボーディング)の整備は、人事部門にとって最優先課題の一つと言えるでしょう。

イノベーション・コラボレーションによる組織力強化

これまで属人化していた業務を可視化、共有化することで他の社員がそこから自分の仕事と照らし合わせて、ヒント得たり、着想したり、アイディアをもらうことがあります。ナレッジマネジメントはコラボレーションやイノベーションのきっかけになり得るのです。

しかし、コラボレーションやイノベーションを実現するためには、単独ではなくチームでの取り組みが必要になるため、下支えとなるツールとメンバー間のコミュニケーションを充実させることが重要となります。ソフィアの調査で明らかになった「部門間の壁」や「戦略への共感不足」といった課題も、ツール上で日常的に他部門の活動や成功事例(ベストプラクティス)に触れることで、徐々に解消されていきます。

業務効率化

ナレッジマネジメントツールにより社内にいる誰もが個々の知識や経験、散在したデータやファイルに簡単にアクセスできるようになると「探す」という行為に割いていた時間を削減することができます。ビジネスパーソンは勤務時間の約20%を「情報の検索」に費やしていると言われています。この非生産的な時間を削減することは、数千人規模の大企業であれば、年間で数億円規模のコスト削減効果に匹敵します。

さらには、誰もがアクセスできるということは、共有した知識や経験を取得した他の社員が付加価値(違った立場からの経験など)を追加して、再度共有することが可能です。こうして乗数的に情報の付加価値が向上していき、より密度の高いナレッジを蓄積していくことができます。

ナレッジマネジメントツールの選定ポイント

ナレッジマネジメントツールを選ぶ際には、種類に加えて機能面でのポイントも押さえておきましょう。

誰でも操作できるか(UI/UX)

こうしたツールはマニュアルを読み込まなくても直感的に使えるインターフェイスになっていることが重要です。あるいは、初回起動時にチュートリアルを設けているかどうかもポイントとなります。ナレッジマネジメントは部門単位だけではなく最終的には全社で実施すべき取り組みですが、こうしたITツールへのリテラシーにはどうしてもばらつきが生まれてしまいます。そのため、ある部門では使いこなせても別の部門ではまったく手に負えないということも珍しくありません。

極力、説明がなくてもすぐに始められるシンプルなインターフェイスのものを選びましょう。特に、投稿画面のエディタが使いやすいか、画像の貼り付けが簡単か、といった「入力のハードル」の低さは、ツールの定着率を左右する決定的な要因です。

マルチデバイス対応か

昨今はテレワーク化が進んでいることもあり、オフィス外でスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末から業務情報にアクセスすることも多くなってきました。こうした背景から、パソコンだけでなくすべての端末で、閲覧・編集できるツールが望ましいでしょう。営業担当者が移動中にスマホで顧客事例を確認したり、現場の保守担当者がタブレットでマニュアルを参照したりできる環境は必須です。

セキュリティは万全か

上記に関連して、社外からのアクセスなども踏まえて情報漏えい防止の仕組みが万全かどうかも重要なポイントです。例えば、ログイン時に二段階認証を求めたり、端末紛失時に該当端末からのアクセスロックをかけたり、特定のネットワークを経由しないと接続できないなどの仕組みがあると安心です。

大企業の場合、以下のエンタープライズセキュリティ機能に対応しているかが選定の足切りラインとなります。

・SSO(シングルサインオン): SAML認証により、全社のID管理基盤と統合できるか。
・監査ログ(Audit Log): 「誰がいつどの情報を閲覧・ダウンロードしたか」を追跡できるか。
・IPアドレス制限: 許可されたネットワーク以外からのアクセスを遮断できるか。
・ISMS/プライバシーマーク: ベンダー自体がセキュリティ認証を取得しているか。

生成AI・RAG技術への対応(2025年の必須要件)

2025年のナレッジマネジメントにおいて最も重要なトレンドが、「生成AI」と「RAG(検索拡張生成)」技術の活用です。従来の「キーワード検索」では、正確な単語を知らなければ情報に辿り着けませんでした。しかし、RAGに対応したツールであれば、「〇〇の手続きについて教えて」と自然言語で質問するだけで、AIが社内ドキュメントを横断的に検索し、その内容を要約して回答してくれます。

これにより、「探す」手間が「聞く」体験へと変わり、情報の到達率が劇的に向上します。ツール選定の際は、AI機能の有無と、その精度(どのデータを参照するか)を必ず確認しましょう。

費用対効果が見込めるか

多くのナレッジマネジメントツールは、人数に応じてかかる費用が異なる場合が多いので、自社の規模と選んだツールがマッチしているかどうかも重要な選定のポイントです。また、導入しても入力に時間がかかるなどの理由で使われなくては意味がありませんので、無料のトライアルなどを活用して、導入前に費用対効果を測定することも大事です。

ツールの導入には社内コミュニケーションが必要

せっかくナレッジマネジメントツールを導入しても、ツール単体でナレッジマネジメントが実現するわけではありません。ツールを使用する上での難しさや、注意すべきポイントがあります。

SECIモデルを導入する難しさ

ナレッジマネジメントツールはこのSECIモデルを支援するものではありますが、ツールを導入したからといって形式知が勝手に生み出されるということはなく、ツールを含めてSECIモデルの循環を推進するための社内コミュニケーションが必要です。

こうしたツールを導入することは、既存の社内コミュニケーションのあり方を大きく変えることにもつながります。これまでの口頭伝承の機会が失われたり、一時的に不便さを感じられたりすることから、現場からの不満が上がりやすいところでもあります。決して現場を置き去りにすることなく全社を挙げて取り組みを推進していきましょう。

導入の目的を明確にし納得してもらうこと

こうしたツールをトップダウンで導入することによってしばしば起こる問題が、「意図が現場に伝わらない」「現場で浸透しない」というものです。これは、上からすると「わかって当然だ」という意識があり、下からは「なんのために導入するのか」「十分な説明がなく納得がいかない」という感覚のすれ違いによって生じます。しかもナレッジマネジメントツールは先述のとおり一時的な不便さを招くことから、社内の雰囲気や上下関係を悪くしかねません。

ツールを導入する際は「どんな目的・意図で導入するのか」「現場にはどんなメリットがあり、どんな課題を解決するのか」「どうやって使えばよく、どんな場面で活用することが適切か」といった説明を行い、現場の納得と共通認識を持った上で開始しましょう。また、使用後のフィードバックにも耳を傾けてチューニングを行うことで、利用離れ防止につなげることもできます。

導入失敗事例と成功へのロードマップ

失敗する企業の多くは、「ツール導入=ゴール」と考えてしまっています。以下に典型的な失敗パターンと対策を紹介します。

・情報のゴミ箱化
ルールを決めずに何でも保存したため、検索しても古い情報ばかり出てくる。
「情報の鮮度」を保つ運用ルール(更新責任者、保存期間)を策定する。

・誰も投稿しない
投稿しても評価されず、ただ仕事が増えるだけと感じられている。
投稿数や感謝された数(いいね)を人事評価や表彰制度に組み込む。

・検索されない
フォルダ構造が複雑すぎる、または検索機能が弱い。
強力な全文検索やAI要約機能を持つツールを選定する。タグ付けルールを統一する。

成功のためには、まずは特定の部署(例:ヘルプデスクや技術部門)でスモールスタートし、成功事例を作ってから全社に展開する段階的なアプローチが有効です。

まとめ

一口にナレッジマネジメントツールといっても性質は大きく異なるため、情報の取り出し方や用途など、さまざまな視点から自社に最適なツールを比較して選ぶことが重要です。

2025年、生成AIの進化により、ナレッジの活用方法は劇的に進化しています。しかし、その根底にあるのは「暗黙知を形式知に変え、組織の力にする」という普遍的な原理です。また最後に述べたとおり、ツールを導入することでめでたくナレッジマネジメントが完了するということはなく、むしろそこからが本番であるといえます。

ソフィアの調査が示すように、戦略への共感が低い現状を打破し、個人の知を組織の競争力へと転換するためには、適切なツールの選定と、それを支えるコミュニケーション設計の両輪が必要です。もし、社内のナレッジ共有がうまくいっていないとお困りのようでしたら、ぜひご相談ください。

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よくある質問
  • ナレッジマネジメントとは何ですか?
  • ナレッジマネジメントは、企業において社員が持つ知識や技術、ノウハウなどを社内で共有し、企業の資産にしながら経営へ生かすマネジメント手法です。

  • 「SECIモデル」とは何ですか?
  • 個人の持つ感覚的な「暗黙知」を言語化し具現化することで「形式知」へと変換し、形式知同士を組み合わせて新たな形式知を生み、形式知は個人の中で深化した暗黙知へ還元する、これらのサイクルを通して人材のレベルアップや企業の資産価値向上を図るものです。

  • なぜ ナレッジマネジメント?
  • 社員が持つ個々の知識や技術、ノウハウを一ヶ所にまとめて管理するとなると、膨大な量の情報になります。ナレッジマネジメントにおいては、この情報に社員がアクセスしやすい環境を構築する必要があり、そのために「ナレッジマネジメントツール」が存在します。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。