全体最適と部分最適の違いとは?

深刻な人材不足を背景に、手持ちの経営資源を効率的に活用して利益の増大化を図る全体最適が注目を集めています。その一方、企業の一部だけが最適化した部分最適は、ネガティブに捉えられることが多いようです。

本記事では、全体最適と部分最適の違いや両者が抱えるジレンマを解説し、両者のバランスを取る方法を紹介します。

全体最適と部分最適

全体最適と部分最適はどのように違うのか、概要を確認しておきましょう。

全体最適とは

全体最適とは、英語で「Total Optimization」といい、会社やチーム、システムなどの組織全体が最適化された状態を指します。企業が全体最適に成功すると、業務の無駄がなくなり生産性の向上やコストの削減につながるほか、組織間の連携が強まり業務効率の改善にもつながります。

部分最適とは

部分最適とは、英語で「Partial Optimization」といい、全体の中の一部分や個人だけが最適な状態を優先する考え方のことです。企業においては、自分や所属部門だけのことを考えて行動すると、部門間の壁ができたり衝突したりする原因になります。

全体最適と部分最適のジレンマ

相反する概念であるように思える部分最適と全体最適ですが、両者を実現しようとすると経営者は必ずと言っていいほどジレンマに陥ります。なぜなら、全体最適を進めようと取り組めば取り組むほど、部分最適が進行してしまうのです。

たとえばERPを取り入れ仕組み化することで全体を最適化したとします。全体を最適化すると、人や業務の固定化を生み、ルーティンワークが増えていきます。組織都合ではメリットが多いと考えられる全体最適は、現場レベルではさまざまな制限がかけられるため自由度が下がり、組織の活性化や成長は期待できません。

逆に現場に裁量を与えすぎてしまうと部分最適が進み、全体最適におけるバランスはとりにくくなります。さらに、個人最適を追求し局所的な最適を図り続けていくと、全体としては最悪の結果になってしまう“合成の誤謬”を生む可能性があるので注意が必要です。

合成の誤謬が起きてしまった組織の例をご紹介します。

ある会社では、全体最適を目指し働き方変革を推進していました。各部署で施策をブレイクダウンしていく中で、残業時間の削減をKPIとする部署が出始め、管理職の評価を部下の残業時間で図るようになっていきました。本来は働き方を変化することで社員の残業時間を減らすことが目的だったはずの施策が、いつの間にか残業時間を申告できない雰囲気を作り出してしまうようになったのです。結果的に社員は残業しているにもかかわらず、残業時間を申告できない状態となってしまい、会社は労働基準監督署から指導を受ける結果となりました。

また、組織で全体最適を進めていくと、利益を生み出しているという理由で、これから発展させたい部署へとお金が流れていく傾向があります。そうすると、今現在利益を生み出している部署は、体力を失い弱体化してしまいます。

約20年前は世界最大の企業であり、コングロマリット(多業種間にまたがる巨大企業)の象徴でもあった米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、今では3社に分割されていることも、組織内の権力の集中を避けるために行われた例です。

全体最適と部分最適はバランスが重要

ひとつの事業、業務を任されているそれぞれの社員が、全体最適を目指して動くのは難しいものです。社員が自分のベストパフォーマンスを出そうと取り組むと、どうしても部分最適になりがちだからです。

とはいえ、全体最適が実現すると、前述したERP導入の例のようにイノベーションが生まれにくくなります。さらに全体最適のために改善を繰り返すたびに、形式主義でルーティンワーク化した仕事が増え、仕組みでしか現場が回らなくなってしまうようのです。

全体最適の実現はほぼ不可能?

前述したように、全体最適を実現しつつ、社員のパフォーマンスを高めることは残念ながらほぼ不可能です。
部分最適や個人の活動の集合体を、変革やある方向性に向けるために「“全体“最適を行う」という体をとっているにすぎません。

ではなぜ、個々が良かれと思ってとった行動が、全体の結果として悪い方に向かってしまうのでしょうか?なぜ、グローバル化、DX、働き方変革、SDGsなど、全体最適を標榜した施策は、なかなか最適化されないのでしょうか?

全体最適と部分最適はどちらに偏ることなく、両方のバランスが取れていることが大切です。

つまるところ、企業内の各部署などで行われる部分最適や個人最適は、業務の改善や新しい事業を生み出すためのイノベーションのタネであり、部分最適や個人最適を全体最適へ昇華していく段階で、「こうした方がもっと良くなるのではないか?」といった仮説を生み出します。全体最適と部分最適を行ったり来たりしながら、事業におけるより良いやり方を組織で学習していくことが理想的です。

この流れや経緯を社員が理解し、可視化できる状況にしながら学習を促進することで、部分最適から新しい改善やアイディアが出てくるようになるでしょう。

部門間の連携に欠かせないインターナルコミュニケーション

全体最適と部分最適のバランスを取るためには、インターナルコミュニケーションの取り組みが必要です。部分最適が進むことで部門間の連携に必要性を感じない状態が問題なのであり、部分最適そのものが悪いわけではありません。

全体最適に向かうにあたって、それぞれの部署がどうすればいいのかを考え、そのうえで形式主義に陥る前に会社が現場に適切な権限を与えたり、コミュニケーションを取ったりすることが大切です。

会社目線では全体最適が理想です。経済状況が安定していれば実現することはさほど難しくありませんが、不確実性が高い今の時代、全体最適だけを目指すのは現実的とはいえません。

不確実性の高い未来を乗り越え企業として生き残っていくためには、全体最適と部分最適を両立し、インターナルコミュニケーションで組織力を強化していくことが大切です。

まとめ

前述したように、各部署のより良いパフォーマンスを重視し、会社として完全な形を目指せば目指すほど部分最適に近づいていきます。全体最適と部分最適を両立しながらも企業の成長を目指すためには、インターナルコミュニケーションを強化することが必要です。

全体最適を進めたい、インターナルコミュニケーションを強化したい企業の方は、ソフィアまでご相談ください。

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