全体最適とは?求められる背景や実施のポイントを解説

全体最適とは組織全体が最適化された状態を指します。労働人口が減少し、人材不足に苦しむ企業経営者の多くが、効率化を図り利益を最大化する目的で全体最適を目指しています。

しかしそもそも、全体最適を図ることが本当に効率化につながっているのでしょうか?この記事では、全体最適とはなんなのか、求められる背景や全体最適と対称的な概念である部分最適との関係性について解説していきます。

全体最適とは

組織全体が最適化された状態である全体最適の状態では、現状を打破しさらなる変革と効率化を図ることで利益を増やすことが期待できると考えられており、多くの企業経営者が求める経営手法でもあります。

全体最適と部分最適

全体最適とは、英語で「Total Optimization」といい、会社やチーム、システムなどの組織全体が最適化された状態を指します。会社経営や組織運営など、経営について説明する際によく使用される用語です。全体最適では、社員全員が共通の目標を持ち、共通のビジネスモデルのもと業務を行います。全体最適と対称的に用いられるのが、部分最適です。部分最適とは、全体のなかの一部分や個人にとっての最適な状態を優先する考え方です。昨今の不確実な状況において、「全体」としての組織の「最適」とは、定義することは非常に困難な状況でもあります。

全体最適が求められる背景

全体最適は、さらなる成長を求める企業の経営者によって重視されています。人材が不足していても、現在のリソースを活かして全体を最適化すれば、効率的に利益を生み出せるようになると考えられているからです。最適化を進めると、工程が分業化されたうえで適切な業務に適切な人が配置され、現場の効率性と生産性が向上するためです。ただし与えられた業務を効率化しようとすればするほど、工程は分業されサイロ化は進んでいきます。

またガバナンス的な理由や投資家への評価を上げるため、SDGsやDXなど全社に関わる取り組みを行うために全体最適が求められることもあります。

社内で求められるさまざまな最適化

最適化と一口でいっても、社内で求められる最適化はさまざまです。

今ある仕入れ先を環境に配慮したものに変更するのは、社会に最適化させる取り組みのひとつです。ほかにも業務プロセスの最適化や、人材を含む経済資源の最適化もあります。

「全体最適を進める」と言うときには、どの目線での最適化なのかを明確にしておく必要があるでしょう。

全体最適のメリット

全体最適に向けて取り組むことは、DX推進においては大きなメリットがあります。

全体最適に向けたそれぞれの役割が明確になる

全体最適のメリットは、それぞれの部署や個人が果たすべき役割が明確になることです。

企業は多くの部署に分かれており、それぞれが与えられた役割を果たすことが求められています。全体最適を実現するための方向性を示すことで、各部署や個人が何をすればいいのか、はっきりと認識するようになります。

ここで人的リソースを割く必要のある業務なのか、そうでない業務なのかを振り分けられるようになります。

業務の無駄をなくすことでコスト削減や生産性の向上につながる

全体最適化を進めることで業務の無駄がなくなり、コスト削減や生産性の向上につながることも全体最適のメリットです。

例えば部分最適で各部署がそれぞれ自分たちの業務の効率化だけを目指している場合、同じような業務を複数の部署がこなしていても気がつかないことがあります。そういった業務を洗い出し、一か所で統括して行えば、無駄がなくなりその分のリソースを別の業務に割けるようになります。

また複数部署に散らばっているデータを一元管理・連携すれば、集計や分析業務の効率化が可能です。結果的にコストが削減され、企業全体の生産性が上がるのです。

全体最適による業務改善を図るうえで、最終的に重複業務は、機械化やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)によって社内のリソースを使わなくてもよくなるようになるはずです。

組織間の連携が高まり、業務効率が上がる

各部署が全体最適化を意識するようになると、意見交換や情報共有などでコミュニケーションが活発化し、組織間がシームレスに連携されます。そうなると、営業部門が受注しすぎたことで現場が苦境に陥るようなこともなくなり関係性が良くなります。

組織間の連携が強まると、互いがおかれている状況を把握・理解したうえで業務を進められるので、業務効率が上がります。

ただし全体最適は、部分から見ると不最適であることは理解しておく必要があります。

例えばツールを導入すると、誰しもが一定レベルの業務を行えるようになるため全体最適には有用です。全体最適の最終的な形は機械化することです。人が行うことを最小化していけば、人件費を削減できるため利益は上がります。しかしその分、社員の業務への関わりが薄れることから、従業員エンゲージメントは下がりやすくなります。分業が進むことでサイロ化も進行します。

そういった意味では、完成された全体最適はなく、全体最適が必ずしも効率化を生むとは限らないことを認識しなくてはいけません。

組織を全体最適化する際のポイントと部分最適との共存

組織を全体最適化する際には、トップが方針を決めて社員の理解を得ながら進めるなど、押さえておくべきポイントがあります。

トップが中心となった方針の決定と間断ないコミュニケーション

全体最適化を進めるときには、まずはトップが中心となり、全体最適の定義を決めることが重要です。トップが企業として向かう方向を明確にしたうえで、自社の全体最適の状態を現場に周知し、どのように進めていくのか行動計画を示します。

全体最適化を進めるために、現場それぞれの部署に行動計画策定を任せると、結局は部分最適になりかねないため注意が必要です。

社員の理解と腹落ちを得ながら進めるコミュニケーション

全体最適化は、社員の理解と協力がなければ成功しません。

全体最適化を目指すと、社員間で損する人と得する人が出てきて対立が生じやすくなります。例えば全体最適化を目指すために、現場がこなせるだけの受注量に制限すれば、営業は成績を伸ばせず不満を抱える恐れがあるためです。

また全体最適を目指すと、全体の和を乱すことにもなりかねないイノベーティブなアイデアが生まれる組織になることは期待できません。与えられた役割を無難にこなす作業者の集まりになっていく傾向があるのです。

そういった事態を避けるためには、経営者は全体最適で目指す姿、目指す理由を説明し、納得感を得たうえで、社員それぞれの業務レベルに落とし込んでもらう必要があるのです。

社内の対話や議論の場を用意する

全体最適化を進め、維持するためには、部署間の連携を強める必要があります。

前述したとおり、全体最適化を進めると、社員の間で得する人と損する人が出てきます。さらに完全な状態を維持しようとすると業務が固定化されて面白みがなくなります。利害の対立や、モチベーションの低下を防ぎ、全体最適という目標に向かって相互に理解を深めるためには、仕組み作りが欠かせません。

例えば社内に気軽にコミュニケーションできるプラットフォームを用意すると、コミュニケーションが活発になるため連携を強めるのには効果的です。社内チャットツールや社内SNSなどを検討するといいでしょう

部分最適と全体最適のジレンマを超えてレジリエントへ

部分最適もしくは全体最適を進めようとすると、必ずジレンマが生じます。

全体最適を実現しようとすると、業務を仕組み化したうえで適材適所に人員を配置することになります。そうすると業務はルーティンワーク化するため面白みに欠け、イノベーションが生まれなくなっていきます。そして全体最適を維持しようとすればするほど結果的にサイロ化が進み、部分最適化していくのです。

つまり、完全な全体最適というものは存在しないのです。うまくいっている事業を全体に広げようと思っても、やがてそれは部分最適化していき、分社化などに進みます。

集団である限り、部分最適と全体最適はジレンマに陥り続け、膨張と集約を繰り返すのです。

この流れや経緯を社員が理解し、可視化できる状況にしながら学習を促進することで、部分最適から新しい改善やアイディアが出てくるようになっていきます。

会社全体や組織全体の全体最適と部門最適/職場最適や個人最適のジレンマと共存が前提になります。つまり、全体と部分というバランスをむしろ大きく振るだけの組織が必要とされています。

それは、大きく振れても壊れないレジリエントな状態を目指すべきではないでしょうか?

まとめ

全体最適は、限られた人材を有効活用して利益を最大化するために、経営上欠かせない取り組みであると考えられていました。全体最適を実現すると、部署や社員それぞれの役割が明確になり、業務の無駄がなくなり効率性や生産性が上がりますが、実際には人がやる業務を機械化しているに過ぎないのです。

会社目線では全体最適が最善であるように思えますが、全体最適と部分最適を行ったり来たりしながら、組織として学習していくことで成長していくことができます。

全体最適と部分最適のあり方についてお悩みの企業は、ソフィアにお気軽にご相談ください。

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