SDGs、DXなど、“小難しい”テーマを社内に浸透させるには?

企業などの組織活性化をサポートするソフィアでは、サービスを提供するなかで、日々感じている課題があります。それは、会社の戦略や取り組みに関連して組織内で発信される情報が堅苦しく難解であるため、社員の理解や共感を得られず、組織が前進しないということ。特にSDGsやDX、ダイバーシティ&インクルージョンといった“小難しい”テーマを社内に浸透させ、社員の心を動かすことが急がれる昨今、どうしたらいいのか――。
その課題解決に向けた第一歩として、“堅苦しいものをやわらかく伝える”ことを得意とするクリエイティブチーム、株式会社dotと共創し、『fumfum』(難しいことが“ふむふむ”理解できる冊子)の「SDGs編」をつくりました。
制作チームのメンバーたちの振り返りから、“小難しい”テーマを社内に浸透させるためのヒントが見えてきたので紹介します。


《座談会参加者》
株式会社dot:渋江みのりさん(写真中央) 前田真由美さん(左から2人目)
株式会社ソフィア:三上晃潤(写真左) 小林裕大(右) 冨澤百絵(右から2人目)

“Why”の部分を丁寧に共有

三上晃潤(以下、三上): 『fumfum(ふむふむ)〜SDGs編〜』、ついに完成しましたね。dotさんのクリエイティブ力のおかげで、インパクトのある冊子に仕上がりました。ありがとうございます。

渋江みのりさん(以下、渋江):私たちも、想像以上のものが出来上がってうれしいです。ソフィアさんが、企画がまだフワッとしている段階でミーティングに呼んでくださり、「誰の、何を解決するためにつくるのか」という“Why”の部分をしっかり共有してくださったのが、とてもありがたかったです。というのは、こういったデザインのお仕事は、 “Why”の部分がぼんやりしたまま制作を依頼されることが多くて。そこが明確でないと、「本当にこれでいいのかな?」という疑問が最後までつきまとい、納得できないものになったりするんです。

前田真由美さん(以下、前田):この冊子を活用してほしい、ターゲットのペルソナを明確に伝えてくださったのも、とても助かりました。会社や組織の実情を聞きながら制作できたので、リアリティをもたせることができたという実感があります。

小林裕大(以下、小林):今、企業はSDGsやDXなどに取り組むことが求められていて、その概念を社内に理解・浸透させることが課題になっています。そこで重要なのは、社内に情報を伝える広報担当者やSDGsなどを推進する担当者が、これら“小難しい”ことをどうやって伝え、共感を得るかということなんです。そこにみなさんは、苦労しています。真面目に、きちんと伝えようとすればするほど、受け手の社員の心が遠ざかっていくというか。
クライアントさんと話していて感じるのは、社内には情報があふれていて、それを受け取る社員側の処理能力を超えてしまっているということです。何か興味や関心をひかないと、社員が受け取ってくれないということを痛感していて。まずは興味をどう引くか、興味をひいた後にどうわかりやすく伝えるか、という順番でアプローチしていく必要があると思いました。
それから組織内には、“堅苦しいものは堅苦しいまま伝える”ことや“ちゃんとしたものをちゃんとした形で発信する”ことが是とされる風潮もありますね。そこを崩したかったんですよ。

三上:難しい情報を難しく伝えたって、そりゃ社員に浸透しないよなと思っていて。興味のないことは読まないし、大量の文書ファイルを渡されたって、見たくないですよね。ストーリー仕立てにするとか、ユーモアを交えて伝えてみてもいいんじゃないかって、小林さんと話していて。じゃあ、どうしようかと考えたとき、ソフィアがグラフィック・レコーディングでお世話になっているdotさんなら、それを実現してくれそうだということになって、お声掛けしたんです。

小林:「一緒に面白いものをつくりませんか?」っていうノリで、ほぼ“ゼロ”の段階でdotさんに声を掛けましたよね。

三上:ソフィアでは普段、冊子などをつくるとき、まずはソフィア内で理屈を固めてから、実際に手を動かしていただくデザイナーさんと打ち合わせすることが多いんですけど、dotさんとは、いつもとは違うプロセスで制作できて、とても新鮮でしたね。最初の打ち合わせでざっくりとしたイメージを伝えたら、それがビジュアルで表現されて返ってきて。しかも、第一弾としてあがってきたデザインが、ほとんど僕らのイメージ通りで。

小林:「そうそう、そういうものをつくりたいの!」って、めちゃくちゃ盛り上がりましたよね。

冨澤百絵(以下、冨澤):提案いただいたアイデアが、どれも素敵で。「それで行きましょう!」って、ほとんど採用しましたよね。例えば、冊子のタイトル。最初にソフィアで考えていたのは“情報おもしろ研究所”とか“おもしろ情報ラボ”だったんですが、dotさんが「難しいことを“ふむふむ”理解できる冊子ということで、『fumfum』はどうですか?」と提案してくださって。

ヒントは“エンタメ化”にある?! “面白おかしい”をフックに

小林:こういう冊子づくりでは、デザインの“トンマナ”みたいなものがあるじゃないですか。今回は、そこを絶対にぶち壊したかったんです。「なんだこれは!?」という衝撃を与えること、真面目な話を“エンタメ化”して伝えることにこだわりました。例えば【SDGsのうわさ!?】のところを劇画タッチで、おどろおどろしくしてほしいと前田さんにお願いしたり。僕は、全ページ劇画でもいいと思っていたくらいです(笑)。

前田:私は幼い頃から絵を描くのが大好きで、それがdotでのグラレコなどの仕事につながっています。実は劇画もめちゃめちゃ好きで、漫画雑誌『ガロ』の世界観が大好きなんです(笑)。でも、そこに共感してくれる人がまわりにいなくて、一人寂しくちょろちょろ描いていて。まさか仕事で、劇画タッチの絵を描く日が来るとは思ってもいませんでした。だから楽しすぎて、エスカレートするのを抑える自分もいたんです、「もっとポップにしなきゃ」って。でも小林さんが、「もっとおどろおどろしくていいんですよ」と言ってくれたので、振り切ってみました。

三上:小林さんは最初から、劇画タッチにしたいって話してたよね。でも、dotさんのグラレコはかわいいタッチだから、ダメ元で恐る恐る「あのー、げ、げ、劇画っぽいイラスト、描けますか?」って聞いたら、前田さんが「めっちゃ、描けます!」って即答したから、ビックリして(笑)。

前田:こだわりと言えば、印象に残っていることがあります。【組織の衝突大百科】の、プロレスをする人たちの表情について、冨澤さんからとても細かな修正の指示をいただいて。「あっ、そのほうが面白いかも!」と、ワクワクしながら修正していました。

冨澤:そう言っていただけたら嬉しいです。“真面目にふざける”ことを意識していたので、その表れだと思います(笑)。

三上:冨澤さんプロレス好きだから、プロレス愛が炸裂したんじゃないの?

冨澤:どちらかというと、そうですね(笑)。シチュエーションを妄想していたら、そこにどうしてもこだわりたくなったというか。

小林:僕もプロレスのところで、紙を突き破って人が飛び出て来るようにしてほしいとお願いしたんですよね。そこはどうしても、紙を破って登場してほしかったので(笑)。

三上:僕はデザインについては、 “餅は餅屋に任せよう”という感じでしたね。テキスト作成は頑張りましたよ。【組織の衝突大百科】【組織の病い図鑑】【おくすり】のテキストを、夢中で書き書きしました(笑)。でも、文章が長くなりすぎちゃって、仕上げは冨澤さんにバトンタッチしました。「もっとコンパクトにしてね」って。

冨澤:【組織の衝突大百科】のテキストは、リズム感をもたせるようにしました。「あっという間に、相手はギブアップ」「大ダメージをフォーユー」「両者リングアウト」みたいに。そこが、ちょっとお気に入りです。プロレスを知っている人が、プププって笑ってくれるのを狙いました(笑)。

渋江:私がデザインを担当した後半部分は、【組織の衝突大百科】や【組織の病い図鑑】など、暗くて重めの内容だったので、衝突をプロレスにたとえたり、色味を暗くしすぎないようにしたりして、ネガティブな印象にならないようにしました。「うちの会社でも、こういうことあるかもね」と、クスッとしながら読んでもらうことを目指しました。

小学生にもわかる言葉で

渋江:会社の中は難しい言葉であふれていると思いますが、それって本当は、小学生にもわかる言葉に置き換えられると思うし、伝えたい核の部分って、シンプルなことだと思うんです。

三上:そうそう、根っこの部分はシンプル。でも、難しいことを難しく伝えるほうが、簡単なんですよね。

渋江:dotでは資料をつくるとき、小学生にもわかる表現にすることを心掛けています。それは、“堅苦しいものをやわらかく伝える”という社風があるから、できることだと思いました。堅苦しい組織や堅苦しい会議の中で、それを実行すると浮いてしまうので、勇気がいりますよね。ですが例えば、会議にグラフィック・レコーディングを導入したり、資料にかわいいイラストを入れたりすることでも、場の雰囲気をやわらかくすることができます。

前田:会議などでクラフィック・レコーディングをしていて、難解なテーマがたくさんあると感じています。情報発信して社員の共感や理解を得ようと頑張っても、耳を傾けてもらえず、孤独を感じている人も多いのではないでしょうか。でも、“堅苦しいものをやわらかく伝える”のは面白いことなので、まずは情報発信する方ご自身に、面白がってほしいです。困っている方はご相談いただきたいですね。

冨澤:情報を発信する担当者はもちろん、社員のみなさんも、堅苦しい情報にあふれた状況にもどかしさを感じていると思います。それを解消するために、今後も『fumfum』をつくり続けていきたいです。「こんなテーマをわかりやすくしてほしい」「こんな小難しい情報を社員に浸透させたい」といったことがあったら、ぜひリクエストをいただきたいです。

三上:ソフィアは“人と組織を元気にする”ことをミッションとしているので、情報を発信する担当者自身にも、楽しみながら取り組んでいただきたいです。情報を受け取った社員が「うちの会社って、面白おかしく情報発信してくれるんだよ」と、得意先や自分の家族、友人に自慢するとか、そんな状況が生まれたらいいですね。

小林:『fumfum』第一弾としてSDGs編を制作しましたが、今後もテーマを変えて制作を続けていきますので、乞うご期待ということで! 難しいことを面白おかしく伝えるのって、ハードルも高いし勇気がいることだと思いますが、まずは『fumfum』を手に取った人に、“面白おかしい”を入り口に、“小難しい”テーマに関心をもっていただけたらうれしいです。「なぜ小難しいことを面白おかしく伝える必要があるのか?」理論立てて説明することはできますので、社内に話を通すところからお手伝いさせていただきたいです。

(文:小笠原 綾子)

株式会社ソフィア

事業開発部 リーダー

三上 晃潤

人事部、広報部、経営企画部、情報システム部などにうかがい、企業によって異なる組織のお悩みや課題、お困りごとを聞き、解決するための提案をしています。

株式会社ソフィア

事業開発部 リーダー

三上 晃潤

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株式会社ソフィア

プロデューサー

小林 裕大

調査、メディアコンテンツディレクション、イベント企画、運営を担当しています。一番の得意分野は進め方がわからない、やり方が決まっていないプロジェクトを伴走して推進していくことです。

株式会社ソフィア

プロデューサー

小林 裕大

調査、メディアコンテンツディレクション、イベント企画、運営を担当しています。一番の得意分野は進め方がわからない、やり方が決まっていないプロジェクトを伴走して推進していくことです。

株式会社ソフィア

意味の共有を大事にするデザイナー

冨澤 百絵

学生時代から、ゼミナール報の制作を通して、相互理解を深めるための仕掛けづくりに取り組んできました。その人自身の内側にある思いを引き出し、「言葉の意味の共有」を行うことが得意です。

株式会社ソフィア

意味の共有を大事にするデザイナー

冨澤 百絵

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