組織風土を変えるには?改革の5ステップと7Sモデルで徹底解説
最終更新日:2026.07.27
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組織風土という言葉は、HR領域の仕事に携わる方々であればしばしば耳にすることがあるでしょう。ただ、組織風土とは何かとあらためて問われると、言語化することが難しいのではないでしょうか。また、自社にはどのような組織風土があって、それがよいものか悪いものなのかを考える機会も、あえて意識しなければなかなか得られるものではありません。
本記事では、組織風土を変えたいと考える企業に向けて、組織風土改革のためのステップをご紹介します。
組織風土とは
企業の文脈における組織風土とは、企業で働く従業員の意欲や動機付け、言動に影響を及ぼす環境面の特性を意味します。
「風土」は「土地の気象・気候」といった、その土地に住む人の生活を左右する特性を意味する言葉であり、それを組織に置き換えたものであると想像できるでしょう。
ここで明確にしておくべき重要な論点が、「組織風土(Organizational Climate)」と「組織文化(Organizational Culture)」の違いです。組織文化は、経営理念やビジョンに基づいて企業が意図的に設計し、従業員に共有される価値観や行動規範を指します。これは市場の変化や戦略に応じて、ある程度柔軟かつ戦略的に再構築を目指すことができる要素です。
一方で、組織風土は、長年にわたる日々の業務や従業員同士の相互作用の中で「自然発生的」に定着した習慣の集合体です。無意識のうちに人々の行動や心理に深く根付いており、世代を超えて受け継がれる傾向があるため、組織文化を変えるよりも抜本的な改革が難しく、より長期的な視点が必要とされます。両者の違いを明確に把握することが、改革の第一歩となります。
組織風土(Climate)と組織文化(Culture)の違いを整理すると、次のようになります。
- 定義:組織風土は組織内に自然発生し、長年定着した習慣や雰囲気の総体である一方、組織文化は企業が意図的に設計し、共有を目指す価値観や行動規範です。
- 形成のメカニズム:組織風土は日々の業務や従業員の行動・相互作用の積み重ねによって形成されるのに対し、組織文化は経営層のビジョンやミッション、戦略的な社内浸透施策によって形成されます。
- 柔軟性と変化:組織風土は無意識に根付いており経路依存性が高く変化しにくいのに対し、組織文化は戦略の変更や市場環境の変化に伴い、意図的な再構築が可能です。
- 影響の範囲:組織風土は日常業務の進め方や従業員のモチベーション・心理状態に影響を及ぼす一方、組織文化は組織の全体的な方向性やブランドイメージ、意思決定の基準に影響を及ぼします。
組織を構成する要素(マッキンゼーの7Sモデル)
組織風土の改革について解説する前に、企業戦略におけるいくつかの構成要素の相互関係について、大手コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタント、トム・ピーターズとロバート・ウォーターマン Jr. が1980年代に提唱したフレームワークである「7Sモデル」(通称:マッキンゼーの7Sモデル)を引用し、解説します。
このフレームワークを活用することで、組織全体の現状を可視化し、目に見える構造と目に見えない内面的な要素のバランスを最適化しながら戦略的に改革を進めることが可能になります。
ハード面
組織を構成するハード面の要素は「戦略」「組織構造」「制度」の3つです。後述するソフト面の要素と比べて、意思やプランがあれば変更しやすいため、組織の変革においても、ハード面にだけ手をつける場合が多いです。
戦略
「戦略(Strategy)」は、企業が事業をどのように進めていくかという指針であり、言語化できるものです。例えば市場をこれから切り拓こうとするベンチャー企業と、すでに市場で十分なシェアを確保した大企業とでは、事業の指針が大きく異なります。
組織構造
ここでの「組織構造(Structure)」は、組織の形態を指します。組織の形態とは組織がどのような構図で成り立っているかを示すもので、少数のトップ層と多数の一般社員から構成されるピラミッド型の企業がほとんどでしょう。この組織の形態にはピラミッド型以外にも、実質上のトップがいない型や上下関係のない型なども存在します。
制度
「制度(System)」は会社が組織として運営される上で、なくてはならないものです。なじみの深い制度の1つが人事制度なのではないでしょうか。人事制度は文書化され、社員の働きやすさや採用活動などにも大きな影響を及ぼします。
ソフト面
組織のソフト面を構成する要素は、人に関する部分のため「こういうものである」という言語化・可視化が難しく、変えることもまた難しいものです。ハード面を変える際に一緒に取り組んでもなかなか成果の出にくい部分であり、時間がかかります。
価値観
企業における「価値観(Shared value)」は、ビジョンやミッション・バリューへ色濃く反映されます。これらの価値観が職場環境に影響を与え、そこで働く人へも影響を及ぼすわけです。たとえば、企業が「絶えず挑戦する」という価値観を持っているならば、価値観に沿った行動を従業員に求めるために、価値観の明文化や可視化、従業員への浸透が行われるでしょう。しかし、後段に挙げる「人材」「経営スタイル」「組織能力」という要素が価値観と連動していなければ、企業の価値観と実際の企業活動や社員の行動が一致せず、価値観の実現はうまくいきません。
人材
「人材(Staff)」は企業にとって不可欠な存在であり、どんな人材を集めるか、あるいはどんな人材が集まるかによって、企業の業績に影響を及ぼします。企業が目標や計画を達成するためには、企業が求める専門性を保有する人材を採用し、その人材の配置などを適切に行うことが必要です。人材市場から自社に必要な人材を採用し配置する際に問題になるのが「カルチャーフィット」です。これは、採用する人材が自社の文化に馴染むのかどうかということです。
経営スタイル
「経営スタイル(Style)」は「経営において重視すること」を意味し、これは組織風土そのものとも言えます。経営スタイルは、7Sの中でも特に経路依存性が高く、非常に変化しにくい項目になります。経営危機や、経路依存性のない外部人材による経営陣刷新などをきっかけに経営スタイルの変革に成功した事例も過去にはありますが、経営スタイルの変革が原因で企業が衰退するケースもあり、組織にとっては良薬にも毒薬にもなるものです。
組織能力
あまり聞き慣れない「組織能力(Skill)」は、企業が持っている組織的な能力や強みを指し、企業が市場において競争優位性を獲得し、持続的に成長していく上で重要な要因となります。組織能力は、組織が生み出す技術やビジネスそのものではありません。組織能力は経営スタイルや人材と不可分のものであり、それが組織の中で技術やビジネスを生み出す源泉として機能している場合には、他社がまねることのできない本質的な競争優位性として位置付けられます。
このフレームワークで重要なのは、ハード面とソフト面のどちらが大事かということではなく、ハード面とソフト面が整合性を持っているかどうかということです。例えば、経営戦略を変更しても、従業員がその戦略に合ったスキルをすぐに身につけることは難しいでしょう。ハード面かソフト面のどちらかではなく、どちらも考慮した上で戦略を実行していくことが重要となります。
近年では、これらハード面・ソフト面に加えて「メンタル面(心理的基盤)」の重要性が強く認識されるようになっています。これは従業員の心理的な状態や、職場における安心感を統制する要素です。失敗を恐れずに意見を発信できる「心理的安全性」の確保や、メンタルヘルスケアプログラムを活用したストレスマネジメントが該当します。このメンタル面を健全に保つことは、ハード面とソフト面をつなぐ潤滑油となり、チーム全体の創造性やパフォーマンスを持続的に引き出すための不可欠な基盤となります。
組織風土の構成要素を整理すると、次のようになります。
- ハード面(構造・制度):経営戦略、ピラミッド型などの組織構造、人事評価や給与体系などの制度・システムが該当します。経営層の意思で比較的短期間に変更可能ですが、単体では定着しにくいという特徴があります。
- ソフト面(人・価値観):共通の価値観、人材の質とカルチャーフィット、暗黙の了解を含む経営スタイル、組織独自のスキルが該当します。言語化が難しく変更には長い時間を要しますが、本質的な競争優位の源泉となります。
- メンタル面(心理的基盤):心理的安全性、モチベーション管理、ストレスマネジメント、個人の安心感が該当します。ハードとソフトを機能させる土台であり、日常的なケアとマネジメントの意識改革が必要です。
組織風土改革が急務とされる背景
現代のビジネス環境において、企業が過去の成功体験や硬直化した組織風土に固執することは、組織の存続に関わる致命的なリスクとなります。デジタル化(DX)の急速な進展、グローバル化、そして顧客ニーズの多様化に迅速に対応するためには、従業員が変化を恐れず主体的に学ぶ風土が不可欠です。
弊社ソフィアの調査では、大企業におけるインターナルコミュニケーションの最新の課題が明確に示されています。株式会社ソフィアが実施した「フル_IC実態調査2025」の概要は次の通りです。
・調査名:フル_IC実態調査2025
・調査時期:2025年10月
・調査方法:インターネットリサーチ
・対象:従業員数1,000人以上の企業に勤めている現場およびコーポレート部門の方
・回答者数:496名
・質問数:46問
・主なテーマ:インターナルコミュニケーションにおける課題と対策、コーポレート部門からの情報発信、社内コミュニケーション媒体の活用状況
弊社ソフィアの調査では、リモートワークをはじめとする働き方の多様化により、対面を前提とした従来の情報共有の手法が通用しなくなっている実態が明らかになりました。その結果、企業内では「ナレッジの分散」や「知識の活用不足」といった新たな課題が顕在化しています。
さらに、大企業特有の「組織の多層化」や「部門間・世代間の分断(サイロ化)」といった構造的要因が、情報の滞留を引き起こしています。このような環境下で、旧来型のトップダウンの指導や心理的安全性の欠如したコミュニケーションを若手社員に強要することは、彼らの萎縮を招き、情報の隠蔽や早期離職に直結する危険性があると指摘されています。外部環境の変化に適応し、内部のコミュニケーション不全を解消するためにこそ、今、多くの大企業で組織風土の抜本的な改革が急務となっているのです。

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組織風土改革がもたらすメリット
組織風土の改革は、単なる「社内の雰囲気改善」にとどまらず、企業のビジネス成果に直結する強力な経営戦略です。古い価値観や習慣を現代の環境に適応する形へ刷新することで、以下のような多岐にわたるメリットを享受することができます。
- 生産性の劇的な向上:風通しの良い環境が醸成されると、社員同士が横断的に連携し、相互に成長を促す文化が根付きます。社員が「組織の利益=自分の利益」と捉え、業務効率化やプロセス改善のアイデアを自発的に提案するようになります。
- エンゲージメントの高まり:働きがいのある職場環境が整うことで、社員の中にチームの一員としての帰属意識が芽生えます。自分の役割と会社への貢献を明確に認識できるようになり、自律的かつ意欲的な行動が引き出されます。
- 人材の定着率(リテンション)改善:互いを承認し合う文化や柔軟な働き方を容認する風土は、優秀な人材の離職を防ぐ強力な防波堤となります。米国Axios HQの調査等でも、コミュニケーション環境への投資が定着率を大きく向上させることが実証されています。
- 人間関係とチームワークの強化:オープンな情報共有が推奨されることで、部署間の壁が取り払われます。お互いの業務状況をリアルタイムで把握し合えるため、孤立を防ぎ、困難な状況でも自発的に協力し合うチームビルディングが促進されます。
- ビジョン・方向性の社内浸透:経営層の掲げる理念が、日々の業務レベルにまで落とし込まれて理解されるようになります。個人の役割が全社目標にどう貢献しているかを実感できることで、全社が一丸となって戦略を推進する求心力が生まれます。
- 職場環境の根本的な改善:現場の課題や不満が迅速に経営層に届く風土ができることで、問題が深刻化する前に早期解決が図られます。ハラスメントの防止やワークライフバランスの向上にも直結し、組織全体のストレスレベルが低減します。
組織風土の改革が必要な状況とは
組織風土は企業で働く従業員だけでなく、間接的ながら企業にかかわる外部の人間や顧客、一般消費者に影響を与えることもあります。この影響には良いものもあればそうでないものもありますが、一面だけを見て組織風土の良し悪しを判断することは困難であり、危険なことでもあるため、組織風土の改革は慎重に進める必要があります。
ここでは、組織風土(または7Sの「経営スタイル」)に問題があるときにあらわれる兆候をご紹介していきます。組織にこれらの兆候が出ていたら、まず組織風土上の問題を疑い、事業環境や組織内外の状況を全体的に評価して問題を見極めた上で、現状の改善に向けた取り組みを進めましょう。
組織風土に問題があるときの兆候
組織風土に問題があると、組織における求心力が低下し、さまざまな兆候があらわれます。以下に代表的なものを挙げます。
- 社員の成長意識が低い:経営が安定し守りに入った企業に見られ、新たな挑戦を阻む同調圧力が蔓延している状態です。イノベーションの枯渇、市場変化への適応不全、優秀な人材の流出を招きます。
- 競合他社の動向に興味がない:自社内にのみ目が向き、外部市場やライバルの動きに対する危機感が完全に欠如している状態です。気づいた時には市場シェアを奪われ、企業の存続危機に直面するリスクがあります。
- 雰囲気が暗く、対話がない:職場に陰鬱な空気が漂い、業務上必要な最低限のコミュニケーションすら避けられている状態です。業務の停滞、メンタルヘルス不調者の増加、エンゲージメントの著しい低下を招きます。
- 独断で行動する社員が多い:現場の統率がとれず、チームワークやマネジメントが不完全なまま個々人が身勝手に行動している状態です。不測の事態や重大なコンプライアンス違反の発生、組織的なリスク管理の崩壊につながります。
- 若手社員の離職率が高い:新たな人材にとって受け入れがたい旧態依然とした風土があり、成長機会が見出せない状態です。慢性的な人材不足、採用コストの増大、次世代リーダーの欠如による組織の衰退を招きます。
- ミスを責任転嫁し合う:業務が極端な縦割りになり、「自分たちの仕事の範疇ではない」となすりつけ合いが横行している状態です。顧客対応の遅れ(たらい回し)、製品・サービスの品質低下、ブランド価値の毀損につながります。
- 同僚に対して無関心:メンバーへの配慮が足りず、自分本位の働き方が蔓延し、相互サポートの精神が失われている状態です。業務の属人化、チーム全体の生産性低下、職場の心理的安全性の喪失を招きます。
組織風土の問題に関連して、面白い話が一つあります。米国の諜報機関であるCIAをご存知でしょうか。第二次世界大戦中にCIAの前身である米国の諜報機関OSS(Office of Strategic Services)が作成した、「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」というマニュアルが公式文書としてCIAの書庫に保管されています。これは、ドイツ占領地域の一般市民がサボタージュ活動を行う方法を指導するためのマニュアル(OSSの諜報員が現地市民を訓練する際に使用した)で、いわば、組織風土の問題を作り出すためのものです。自社の組織の問題に気付くためのヒントになるかもしれません。
シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアルより、次のような一節が挙げられます。
- 「何事も決まったルートで行うようにし、決断を早めるための近道を認めるな」
- 「業務の承認手続きをなるべく複雑にする。一人で承認できる事項でも3人の承認を必須にする」
- 「会議はできるだけ長く、自分の意見をスピーチしろ。会議で決まったことを蒸し返して再討議を促せ」
守るべき組織風土
組織風土が「人に悪影響を与えるもの」であるということは、問題を見極めて解決する一方で、「人によい影響を与えている」組織風土についてはそのまま維持していくことも重要です。組織が存続している以上は、経営業績だけではなく、ステークホルダーになにかしらの価値を提供していることは間違いありません。守るべき組織風土を見出すためには、組織が生み出している価値と組織風土との関連性や、7Sなどほかの経営要素との関連性を、1つひとつひも解き、明確にしていくことが重要です。
例えば、創業期から受け継がれてきた「顧客第一主義」や、現場の社員が自発的に助け合う「互助の精神」などは、いかに外部環境が変化しようとも企業のアイデンティティとして保護すべき要素です。改革を推進するあまり、こうした自社独自の強み(コア・コンピタンス)まで破壊してしまっては本末転倒です。改革の初期段階において、変えるべきものと絶対に守るべきものを明確に仕分けするプロセスが、従業員の納得感を得る上でも極めて重要となります。
組織風土を変えるステップ
最後に、問題のある組織風土を変えるための5つのステップを解説します。
社員意識調査、社員インタビュー
まずは状況を把握するため、社員に対して調査やインタビューを行います。調査はマクロな視点で、インタビューはミクロな視点で実態を掴むことができますので、必要に応じて使い分けてみましょう。
このステップは、理想の組織風土と現状との間に存在するギャップを抽出し、課題を明確化するための最も重要なフェーズです。組織風土は感覚的で目に見えない側面が多いため、経営層と現場の間に認識のズレが生じやすくなっています。弊社ソフィアの調査では、従業員の評価や認識を「前提」として正確に把握することが、その後のコミュニケーション施策の成否を分けることが示されています。従業員の不満や組織成長を妨げる要因を丁寧に特定し、分かりやすく言語化することで、全社的な共通認識を形成する土台を作り上げます。
経営層による改革理由の説明
組織風土の改革をトップダウンのみで進めようとすると十中八九失敗します。組織風土の改革には現場の納得と理解、協力を得ることが不可欠ですが、何かを大きく変えようとする際に現場の抵抗が生じるのも自然なことです。そこで、組織風土を変えたい理由やどう変えていきたいか、それによって組織がどう変わっていくのかを経営層自らが社員に説明することで、納得感を得やすくなります。
この際、CEOをはじめとする経営陣は、全従業員に向けて透明性の高いコミュニケーションを徹底する必要があります。単に一度説明して終わるのではなく、改革の目的や得られるメリットについて根気強く継続的に発信を続けることが求められます。この対話のプロセスを通じて従業員の共感を得ることができれば、改革をスムーズに進行させるための強固な土壌が形成されます。
組織風土における強みの再分析、行動指針の策定
はじめは、自社のコアな組織風土を再度見直してみるとスムーズかもしれません。自社固有の組織風土において優位性を持つものは何か、それをどう生かしていけるかという強みと行動指針を見つけ出すと、進むべき方向が見えてきます。
行動指針の策定にあたっては、前述したマッキンゼーの7Sフレームワークを用い、ハード面(制度や構造)とソフト面(人材やスタイル)の整合性が取れているかを確認します。現場の従業員が日常業務の中で具体的にどのような行動をとるべきか、誰もが理解できるレベルまで解像度を上げて言語化することが成功の鍵となります。
従業員の本音・感情を引き出す対話の場づくり
簡単に言えば「腹を割って話す」機会を作るということです。ここでは上司や部下、同僚の目を気にしてしまうと本音を引き出せないので、会社や仕事において利害関係のないメンバー同士を集めるとよいでしょう。なお、このような機会の創出は定期的に行うことで、組織風土改革後もメンテナンスの意味で役立ちます。
弊社ソフィアの調査では、公式な1on1ミーティングなどの運用にばらつきがある一方で、社内イベントや雑談といった「非公式なコミュニケーション(インフォーマルコミュニケーション)」の重要性が高まっていることが指摘されています。役職や部署の垣根を越えたフラットな対話の場を意図的に設けることで、心理的安全性が担保され、従業員の本音や新たなアイデアが自然と湧き上がる環境が構築されます。
組織風土改革プロジェクトチームの設立
組織心理学のパイオニアであるエドガー・シャインによれば、組織文化には①目に見える「アーティファクト(人工物・行動様式)」、②明文化された「表明された価値観(Espoused Values)」、③無意識に共有される「基本的前提(Basic Assumptions)」が存在します。これらは、組織文化がどのように知覚されるかによって分類されます。
黙示的な組織文化は組織風土に影響し、明示的な文化を強要させる性質を持ちます。例えば「みんなで笑顔の絶えない職場を作りましょう」という明示的な組織文化によって、好ましい組織風土を醸成しようとすると、「笑わなければならない(笑っていない人は糾弾されるべき)」という黙示的文化が生まれ、問題のある組織風土につながっていきます。このように、これまでとは異なる組織風土を醸成する取り組みは、ややもすると強要に近くなり、現場の反発が起きやすくなります。
組織風土の改革を進める際には、外部の専門家を招聘して社内にプロジェクトチームを設立し、一丸となって取り組む方法をおすすめします。
内部の人間だけではどうしても過去のしがらみや部門間の力関係に影響されてしまうため、客観的な視点を持つ専門家の介入は非常に有効です。プロジェクトチームは、進捗状況を定期的に評価し、現場の意見を吸い上げながら施策の軌道修正を行う「推進エンジン」としての役割を担います。
組織風土改革を成功させるポイント
組織風土を変革するプロセスにおいて、一過性のキャンペーンで終わらせず、実質的な行動変容へと結びつけるためには、以下のポイントを戦略的に押さえる必要があります。
長期的な視点と段階的なアプローチの徹底
組織風土は日々の行動の積み重ねによって形成された「習慣」であるため、改革には数年単位の時間がかかることを覚悟しなければなりません。短期的な業績向上や即効性を求めすぎると、現場に過度なプレッシャーを与え、かえって疲弊を招きます。大きなビジョンを掲げつつも、まずは特定の部門や身近な業務プロセスの改善から着手し、「小さな成功体験(クイックウィン)」を積み重ねていく段階的なアプローチが有効です。
コミュニケーション総量の意図的な増加と構造化
組織のサイロ化を打破するためには、社内コミュニケーションの量と質を同時に高めることが不可欠です。弊社ソフィアの調査では、多様化する関係性構築の手段(公式・非公式)について、それぞれの役割を整理する必要性が高まっていると分析されています。マネジメント層からの発信だけでなく、部門横断的なワークショップや社内SNSの活用など、情報が双方向に流通する仕組みを意図的に「構造化」することが、信頼関係の醸成につながります。
評価・報酬システム(ハード面)との連動
新しい価値観や行動指針を定めても、それが人事評価や報酬制度に反映されなければ、従業員の行動は変わりません。挑戦的な行動やチームへの貢献、オープンな情報共有を実践した従業員に対して、リアルタイムでポジティブなフィードバックや適切な評価を与える仕組みを導入することが重要です。お互いの努力を認め合う文化を制度として裏付けることで、改革の持続性を支える強固な基盤が完成します。
まとめ
組織風土は人に影響を与える重要な要素であり、組織風土を変えることは人が意識・行動を変えることにもつながるため、変革は容易ではありません。組織変革を成功へ導くには、実績を持った専門家と手を取り合いながら進めていくとよいでしょう。ソフィアでは組織風土改革に多くの実績を持っていますので、自社の組織風土に関してお悩みがある際はお気軽にご相談ください。

