営業マネージャーの役割とは?必要なスキルと「勝てる組織」を作るための支援策を解説
最終更新日:2025.11.05
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業組織。その成果を左右するのが営業マネージャーです。リモートワークの普及やデジタル化など環境が変化する中、営業マネージャーの役割もアップデートが求められています。
現代の営業マネージャーには、どのような役割が期待されているのでしょうか。この記事では、営業マネージャーに期待される具体的な役割とスキル、そして「勝てる組織」を作るための営業支援策について解説します。
営業マネージャーの役割とは?
営業マネージャーとは何でしょうか。平たく言うと、営業担当メンバーを指揮・サポートし、営業目標の達成へ導く管理職ポジションのことです。単に部下の数字を取りまとめて報告するだけでなく、チーム全体の売上向上ひいては会社の業績アップを実現することがミッションとなります。
現場の第一線で自分が売る営業メンバー時代とは異なり、マネージャーは「チームで成果を出す」ために戦略立案や人材育成に注力する必要があります。具体的には以下のような違いがあります。
- 営業マネージャー:目標設定や戦略策定・進捗管理など、チーム全体をまとめ成果を最大化することが主な役割
- 営業メンバー:顧客への提案・商談など、自ら売上を上げる営業活動が主な役割
管理職となり役職や年収が上がる分、その責任も非常に重大です。部下を持ったからといって仕事が楽になるわけではなく、むしろ「チーム全員で売上を上げる」ことの難しさに直面するでしょう。ここでは、こうした営業マネージャーの一般的な主な役割を、具体的に見ていきます。
目標設定、目標管理
目標の設定と管理は、営業マネージャーにおける重要な役割の一つです。それぞれ解説していきます。
目標設定
自部門の売上・粗利・販売量といった目標を設定し、その目標を達成するための具体的な戦術を立案します。立案した戦術や目標については営業部長など上位管理職の合意を得る必要があります。営業マネージャーはチームやメンバー各自の能力や市場環境をよく把握した上で、無理のないバランスの取れた目標を立てていきます。
数値進捗管理
設定した目標に対し、日次・週次・月次・四半期単位で進捗管理と報告を行います。営業マネージャーは、目標に対する達成状況から、うまくいっている点・いっていない点を分析し、年間目標を確実に達成できるよう適宜施策を打っていく必要があります。
活動計画、活動管理
目標達成のための行動計画を立て、その実行状況を管理することも営業マネージャーの重要な役割です。
数値目標達成のための活動計画
「どのターゲットに対し、どのような活動を、何件実施するか」など具体的なアクションプランを立てます。目標値から逆算し、必要なアポイント件数や商談回数などを割り出して計画を策定します。
活動管理
各メンバーが十分な件数のアポイントを取得できているか、商談を行えているか、顧客パイプラインが進んでいるかなどを常に把握します。状況に応じて営業マネージャー自らフォローに回り、案件の前進を支援します。
育成、案件フォロー
メンバーの育成や重要案件のフォロー、強いチーム作りも営業マネージャーに求められる重要な役割です。新人営業に対しては、商品説明の流れや提案資料の使い方といった基礎的な営業スキルについて直接指導したり、育成担当者を配置して教育したりします。
中堅メンバーに対しては、重要顧客への同行営業や会食への同席を通じて案件進行をフォローし、営業の手本を示します。また、うまくいっているメンバーを称賛し、うまくいっていないメンバーには公式・非公式の場(飲み会など)でフォローを行うなど、モチベーションの管理も重要です。
営業マネージャーに求められる主なスキル
営業マネージャーに求められる主なスキルは以下のとおりです。
目標管理スキル(KPI設定・進捗分析・フィードバック)
営業マネージャーはチーム全体の成果を最大化するために、達成すべき目標を具体的なKPIに分解し、継続的に進捗を把握します。数値の達成度だけでなく、その裏にある行動やプロセスを分析し、適切なフィードバックを行うことが重要です。明確な目標設定と進捗管理は、チームの方向性をそろえ、成果を安定的に積み重ねる基盤となります。
行動管理スキル(活動の把握と適切なサポート)
メンバー一人ひとりの営業活動を把握し、必要に応じて支援や改善指導を行う力です。アポイントの取得や商談の進捗といった活動状況を正確に把握し、ボトルネックを特定して解消に導きます。単なる監督ではなく、障害を取り除き、成果につながる行動を促すサポート型の管理が求められます。
育成・指導力(コーチングで成長を引き出す)
営業メンバーのスキルや経験に応じて適切に育成し、成長を後押しする力です。新人には基礎的な営業スキルを教え、中堅やベテランには課題に応じたアドバイスや実践的な指導を行います。部下が自ら考え、主体的に行動できるように導くコーチング力が求められます。
コミュニケーション能力(上下・他部門との調整)
営業マネージャーは部下だけでなく、経営層や他部署とも連携しながら業務を進める必要があります。目標や戦略を正しく伝えるだけでなく、現場の声を吸い上げて上層部に伝える橋渡しの役割も担います。円滑で信頼感のあるコミュニケーションは、チームの結束や他部門との協力を強化します。
問題解決力(課題発見と施策立案・実行)
数値データや現場の声をもとに課題を見抜き、改善策を立案・実行する力です。目標未達や顧客対応の遅れといった表面的な問題にとどまらず、その背後にある根本的な要因を見極めることが重要です。解決に向けた施策を組織全体で実行に移し、再現性のある仕組みに落とし込むことで、継続的に成果を改善していくことができます。
営業環境はどのように変化している?
ここまで営業マネージャーの役割や必要なスキルについて解説してきました。では、営業マネージャーを取り巻く環境はどのように変化しているのでしょうか。
近年、デジタルデバイスの普及や働く場所・働き方の変化に伴い、営業を取り巻く環境も大きく変化しています。営業活動に影響を与える主な環境変化には、どのようなものがあるのでしょうか。改めて見ていきましょう。
リモートワークの加速
新型感染症の流行による緊急事態宣言の発令を機に、企業でのリモートワーク導入が急速に進みました。その結果、顧客も自社メンバーも「オフィスにいない」状況が当たり前となり、営業スタイルも従来の対面中心からオンライン商談を行う「リモート営業」へと大きくシフトしています。
デジタルツールの進化
営業活動に使用するデジタルツールも年々進化し、その利用が一般化しています。顧客へのアプローチを自動化できるMA(マーケティング・オートメーション)、営業案件や活動情報の一元管理に役立つSFA(セールス・フォース・オートメーション)、顧客との関係性を管理できるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)といった営業支援システムに加え、オンライン会議システムやグループチャットツールなど社内外のコミュニケーションを効率化するツールが広く活用されるようになりました。
「ワークライフバランス」の定着
各社で「働き方改革」が推進された効果もあり、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)という概念が社会に定着しました。みなし残業込みの年俸制を敷いている企業が多いとはいえ、営業組織においてもノー残業デー等の制度が導入され、就業時間の厳密な管理が求められるようになっています。また、若手社員は社内イベントや飲み会を避ける風潮も強まり、業務以外でのコミュニケーション機会は激減しました。
優秀な営業マネージャーはどんな変化を感じている?

上に挙げたような様々な環境変化の中、業績を向上させていかなくてはならない営業マネージャーの負担は増加していると言えます。 実際に現場の優秀な営業マネージャーたちはどんな変化を感じ、何を課題と捉えているのでしょうか。
広告業・通信業・精密機器販売業・コンサルティング業など各業界で活躍するエース級営業マネージャーへのインタビューから、以下のポイントが浮かび上がりました。
結果が出ない若手営業の特徴
「最近の若手営業は人に聞くことや社内ネットワーク作りの重要性をあまり感じていないようだ」「マニュアルを読んで一生懸命やろうとするが、マニュアルにないことはやろうとしない」といった声が複数挙がりました。
また、対顧客でも社内でも一歩踏み込んで質問したり提案・主張したりできず、摩擦を避けるコミュニケーションに終始してしまう若手が多いという指摘もあります。こうした受け身で殻を破らない若手営業の教育に課題を抱えているマネージャーが多いようです。
売り物・売り方の変化
「昔は単一の商品を一人で売り歩いてそれで売上が立った。しかし今はそれでは売れない。より複合的な提案が求められており、自部門の製品だけでなく他部門や社外と連携しながら提案を練り上げる必要がある」という声も複数聞かれました。
しかしながら、社内外と上手く連携する方法はマニュアルに載っていないため、「マニュアル通りの営業しかできない人は成果を出せない」という構図が浮かび上がっています。つまり組織横断的な協働スキルが不足していると、複雑化する顧客ニーズに応えきれなくなっているのです。
求められるコミュニケーションの変化
社内外とのコミュニケーションの取り方が変わってきていると感じる営業マネージャーも多く見られました。顧客とのコミュニケーションに関しては、「昔は、何か足りないものはないか、いくつ必要か、うちはこういう商品を扱っているというコミュニケーションをとれればよかった。今は、顧客が口にする問題らしきものの背景を読み取り、それに対して、解決策となる商材を提案していく力がより求められるようになった」 との声があります。
単にニーズを聞くだけではなく、顧客の真の課題を洞察し解決策を示すコミュニケーション能力が必要になっているということです。
また、マネージャーと営業メンバー間のコミュニケーションについても変化が語られました。「単に売上数値目標を提示して進捗を確認するのではなく、自分の担当市場における方針を提示している。目の前の事柄(例:本社から降りてくるキャンペーン)だけにとらわれず、やること・やらないこと、追う顧客と追わない顧客を明確にしてチームメンバーに示している。また、特に若手にはマニュアルに書いていない社内人脈づくりを支援しながら一緒に顧客への提案を行い成功体験を積ませ、モチベーション維持を重視している。経験が浅いメンバーには口頭で伝えるだけでは難しいので、一緒に動いて体験させることが重要。」との声も得られました。
このように、若手に対して伴走しながら現場で教えるスタイルへの転換も求められていることがわかります。
営業マネージャーはどんな施策をとるべき?
ここまで営業マネージャーが感じている変化について解説してきました。では、そうした変化に対して、営業マネージャーはどのような施策をとるべきでしょうか。
前述のとおり、売上目標の数値管理や目標達成に向けたメンバーへの働きかけといった従来からの営業マネージャーの役割自体は今も大きく変わりません。しかし、顧客のビジネス環境や考え方の変化、若手の価値観の変化、職場環境の変化などに合わせて、営業マネージャー自身の意識や行動も変えていくことが求められます。
徹底的にメンバーをサポートする
営業現場では売上目標を達成できるか否かが絶対的な評価指標です。この点は組織上の役割として今も揺るぎません。しかしながら、前述したような環境変化の中、「ただ『目標を達成しろ』と言い続けるだけ」ではメンバーのモチベーションは下がり、離職者が増えてしまいます。
この状況を見て「人事部はもっと根性のある人材を採用すべき」「最近の若者は軟弱だ」と嘆くのは簡単ですが、目標を達成できなければ当然ながらマネージャー自身の責任が問われます。では、どうすれば良いのでしょうか。
アメリカの著名な経営コンサルタント、ケン・ブランチャード氏は著書『新1分間マネジャー』の中で「自分自身に満足している人は満足できる結果を生み出す」と述べています。また、ハーバード大教授のテレサ・アマビール氏とスティーブン・クレイマー氏はビジネスマン1万2千日分の日誌を分析し、「ポジティブな感情・認識・モチベーション(インナー・ワークライフ)の高まりが高パフォーマンスを生む」と結論付けました(著書『マネジャーの最も大切な仕事』より)。
つまり、「お前はまだまだ努力が足りない」「アポイントも取れないなんて話にならない」といったネガティブな叱責型の旧来マネジメントは成果を生まないどころか逆効果になり得るということです。
ポジティブな感情・認識・モチベーションが生まれる上で最も大きな影響を与えるのは、「仕事で実際に進捗があった」と本人が認識できることだとされています。営業メンバーがそうした進捗を実感できるよう、マネージャーは自分の視点から部下にフィードバックしたり、仕事そのものから得られるフィードバック(契約というゴールだけでなく、過程で得られる顧客の反応や社内他部署からの評価など)に気付かせたりするサポートを行うことが重要です。
単に目標を与えて「後は各メンバーの頑張り次第」と突き放すのではなく、全員が成功体験を積めるよう後押しすることこそ、優秀なマネージャーが実践する「メンバーに進捗を実感させるマネジメント」なのです。
仮に大きな案件で失注し重大なミスがあった場合でも、ミスは挽回できること、自分はメンバーを信頼していて部下の成功を応援していることを伝えるなど、著しくネガティブな感情や認識を残さないよう配慮することが大切です。
自らの信念・ルーティンの変更
人は子供の頃に親から受けた教育を自分の子にも行いがちと言われます。それと同様に、営業メンバーだった時代に上司から受けたマネジメント手法を、自分がマネージャーになった際につい部下に踏襲してしまう傾向があります。
「自分は若手時代、上司の叱責にも耐えて努力し、実績を出したから昇進できた」という成功体験のある人ほど、部下を持ったときに当時の上司と同じようなマネジメントをしてしまうのです。
多くの営業組織では、メンバーは互いに競争を促され、同僚に負けないよう実績を上げることに励み、成績上位者がマネージャーに任命されます。その環境下で育まれるのはどうしても競争的なマインドです。しかし一方で、マネージャーになると部門全体の実績を上げるためにメンバーを助けるスキルが問われるようになります。
昨今、プレイングマネージャー(管理職でありながら自ら営業活動も担う役割)が増えていることもあり、メンバー時代と同じマインド・スキルのまま部下を持ってしまっているケースも少なくありません。マネージャー就任後も競争マインドのままでは、部下を自分との比較で評価し、できない部分を叱責してしまいがちです。
しかしながら、ケン・ブランチャード氏が『1分間マネジャー』で提唱していた「1分間叱責法」を約30年後の『新1分間マネジャー』で「1分間修正法」へと改めたように、マネジメント方法も時代に応じて変えていく必要があります。
目標達成している部下だけ褒め、達成できない部下を責める。この繰り返しのマネジメントルーティンに陥るのではなく、各メンバーの成長度や抱えている案件の状況に応じて指示・アドバイスをする、提案書作成を手伝う、商談に同行する等、個々の成功を支援する多様な方法を取り入れていくことが組織全体の成功につながるでしょう。
勝てる営業組織を作るにはどんな営業支援策が必要?

ここまで営業マネージャーが取るべき施策について解説してきました。では、組織全体として勝てる営業組織を作るには、どのような営業支援策が必要でしょうか。
顧客の要求水準が高度化・複雑化する中、自社の業績を上げていくのはただでさえ大変ですが、更にリモートワークの常態化や飲み会の減少等、営業マネージャーがメンバーをフォローすることも難易度が上がっています。
営業マネージャーに丸投げして、あとはその力量次第とすることは簡単ですが、組織力は上がらず、敏腕マネージャーが会社を去れば業績は急激に悪化するという事態も起こり得ます。営業マネージャーの負担が増加する中で、組織として営業マネージャーをサポートする施策も必要であると言えるでしょう。
ツールの提供
変化に立ち向かい業績向上や組織力向上を図るにあたって、ITツールをうまく使うことが必須条件となりました。営業企画部や営業推進部などの後方支援部門は、情報システム部等と連携をしながらITツールを導入するだけではなく、営業部門と連携してその用途を開発していきましょう。以下にいくつか例を挙げます。
「管理ツール」ではなく「サポートツール」としてのSFA(セールスフォース・オートメーション)の提供
SFAは営業メンバーがきちんと入力する限りにおいては、マネージャーが営業パイプラインや実績を管理しやすくなります。しかし、管理ツールとして導入すると、管理されたくない心理と入力作業負荷により、メンバーが入力しない事態に陥ることがあります。
メンバー個人の学習と成果を生む支援ツールという位置づけでの導入と、マネージャーの運用(前述のポジティブなフィードバックの材料とする等)方法をセットにした導入・浸透活動をしていくことで、管理・監視ツールではなくサポートツールとして活用できるでしょう。
顧客やメンバーと連絡を取りやすくするためのビデオ会議システムやチャットツール(Microsoft365やGoogle Workspace、Slack、他)の提供
経費節約の観点でZoom無料版を使用している営業組織がありますが、顧客と十分に話せない、営業メンバーの会社に対するエンゲージメントを下げる、顧客企業側に不信感を生むなどのマイナス効果もあるので注意しましょう。また、導入したらそれで終わりではなく、組織として有効な使い方を検討しましょう。
商談において、パワーポイントを画面共有し、顧客の言うことをそこにメモしていくことで、顧客との意識共有を図る等、ちょっとした工夫でオフラインと同等以上の効果的なコミュニケーションを取ることも可能です。
業務に必要な書類や営業資料、セールストークに使えるネタ、学びとなるコンテンツを一覧できるポータルサイト
スピーディーに情報を取得し、数多く顧客訪問し、結果をだすためのドキュメントやコンテンツをまとめた社内向けサイトの構築をおすすめします。情報が様々な場所にあり、欲しい情報にアクセスできない営業組織が多い中で、使いやすいポータルサイトが運用されていることは競争力の向上につながります。
コンテンツの提供
現場の営業担当や営業マネージャーを助けるドキュメントや動画を整備することも大切です。
新人の基礎学習を助けるマニュアルおよびマニュアルに付随する教材の提供
マネージャーや先輩社員が一から教えなくても済むようなマニュアルと、その活用法に関する教材を提供しましょう。ロールプレイング動画を撮ってUPすることでAIが表情、話し方についてフィードバックしてくれるツールもあるので、活用すると良いでしょう。
ソリューション提案を助ける成功事例、失敗事例コンテンツの提供
どのような準備をし、どのような提案、フォローをすることで案件を獲得できたのか、もしくはどのような要因で失注したのかなどを、当事者が語る記事コンテンツや動画コンテンツを整備しましょう。
資料だけでは伝わらない部分を共有する場や、詳しく知りたいと思った人がすぐに情報提供者とつながれる仕組みも合わせて提供することが効果的です。
トレーニングの提供
営業現場のことは個別だから現場に任せるべしという思考から脱却し、しっかりとスキルトレーニングも行っていきましょう。以下は一例です。
営業メンバーのポジティブな感情・認識・モチベーションを生むためのトレーニング
前述したように、ポジティブな認識・モチベーションを生むために最も大きな影響を与えるのは、仕事で実際に進捗があったと認識することです。営業マネージャーがしっかり部下の進捗を助けられるよう、ティーチング、コーチング、評価研修、1on1ロールプレイング研修といったトレーニングを提供しましょう。
課題解決スキル向上トレーニング
顧客の問題発見、課題設定、解決策提示ができなければ複雑な顧客要望に応えられません。OJTで行うだけでは体系化できず、再現性があがらないことも多々ありますので、研修の場で、しっかり思考法トレーニングやケーススタディを実施しましょう。
風土づくり
上記の施策と並行して、良い風土をつくっていく取り組みも行っていくと良いでしょう。
ナレッジシェア
リモートワークが進んだことで、雑談の中で展開されていたナレッジシェアが難しくなりました。ナレッジシェアをする場(共有会やグループチャット、社内SNSなど)を整備するとともに、シェアした人が得する仕掛け(社内アワードやサンクスカード、評価指標の導入)も検討すると良いでしょう。
関係づくりの促進
ポジティブな認識・感情・モチベーションを保ち、成果を上げるためには、チームや部署を越えた関係性づくりも大いに役立ちます。
同年代の関係は自然に形成されますが、どうしても傷の舐め合いになりがちです。斜めの関係(営業メンバーと隣の部署の営業マネージャー、営業メンバーと製造部門のマネージャーなど)を作ることは業務を推進するだけでなく、離職率を下げる効果もあると言われています。
プレッシャーがかかる営業マネージャー同士が相互援助できるような関係性を持つことも組織の成功には欠かせません。経営層や組織のトップがこういった関係性づくりを促す、会社として交流機会(たとえば食事会など)に対する金銭的補助を出す、部署を越えた共同提案を称えるなど、様々な手段で関係づくりを促進していきましょう。
まとめ
変化の激しい現代において、営業を取り巻く環境も常に変化しています。従来通りのやり方を続けていては、人は動かず業績も上がりません。そのため営業マネージャー自身が過去の成功体験にとらわれず、市場環境とメンバーの状況をよく観察して柔軟に動くことが成果を出す上で欠かせません。
また、営業マネージャー個々の能力だけに依存するのではなく、最新のテクノロジーを活用しつつ組織的な営業支援策(セールスイネーブルメント)を展開していくことが、勝てる営業組織を作る条件だと言えるでしょう。大企業においても、営業マネージャーの役割を正しく認識し、組織ぐるみで支援策を講じることで営業部門全体の競争力を高めることができます。
