組織変革

営業部門が抱える7つの課題とは?組織力強化の解決策を徹底解説!

営業部門は企業の収益を支える重要部門ですが、現場ではさまざまな課題に直面しがちです。属人化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れなど、複数の問題が売上拡大の障壁となっているケースも少なくありません。そこで本記事では、大企業の営業部門で起こりやすい7つの課題を取り上げ、それぞれについて戦略的に組織を強化する解決策を解説します。経営層の視点から営業組織の課題を見直し、長期的なROI(投資対効果)向上につなげるヒントとしてぜひご一読ください。

①営業部門はなぜ組織的な営業活動ができないのか

営業活動を組織で効率的に実行できていない状態は、多くの企業に見られる課題です。特に営業体制が未整備の企業では、一部の営業担当者に業務が集中しがちです。

スタートアップや中小企業のケースでは、営業関連の業務すべて(場合によっては製品・サービスの提供業務まで)を一人の社員が担っていることがよくあります。商談獲得から契約手続き、納品まで本来は複数人で分担すべき業務を個人プレーで抱えるため、1人当たりの負荷が過大です。その結果、商談機会の減少や連絡ミスが増えて売上が伸び悩むだけでなく、過剰な業務負担による営業担当者の離職にもつながります。

実際、営業担当者が実際の営業活動に割ける時間は業務全体の約35%に過ぎないとも言われており、非効率な体制では新規開拓など本来注力すべきコア業務にリソースを投下できないのが実情です。

一方、メガベンチャーや大企業のケースでは、インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサポートなど役割分担を進めた結果、「自分の担当範囲外は関与しない」意識が強まりすぎる傾向 があります。
たとえば「売上を作るのはフィールドセールスの仕事」と割り切ってしまい、部門間で協力して顧客提案やフォローを行わず、せっかくの商機を逃したり顧客課題へのタイムリーな提案ができなくなったりなど、やはり売上停滞を招きます。

さらに営業部門とマーケティング部門との連携が取れていない企業も多く、目標の不一致や情報共有不足によりリードが有効活用されないケースも見受けられます。弊社ソフィアの調査でも、社内コミュニケーション上の問題対象として「部門間」を挙げる企業が約58%にのぼり、営業と他部署の連携不足が組織全体の効率を下げる一因となっていると考えられます。

改善策:「営業支援専任チームの設置」と「部門連携の仕組みづくり」

営業活動を組織的に進めるには、まず営業部門内に営業サポート専任のチームや部署を立ち上げて負担を分散するのが有効です。例えばインサイドセールスや営業事務の担当を明確に置き、見込み顧客の育成や契約処理、顧客データ管理などの業務を専門チームに任せれば、フィールドセールス担当者は商談や顧客対応といったコア業務に集中できます。実際、営業サポート部門を設けて煩雑な事務作業から営業担当を解放することで、営業活動量を大幅に増やせた事例も報告されています。

ただし、組織を分けることで部署間のコミュニケーションが希薄になるリスクもあります。せっかく負担を分散しても現場とサポート間の連携が取れなければ効率低下を招きかねません。営業担当者とサポート担当者が定期的に情報共有・相談できる場を設けたり、共通のKPI目標を設定して協働体制を築くことが大切です。

また、営業部門とマーケティング部門の連携強化も欠かせません。両部門が統一のゴールを持ち、リード情報や顧客ニーズを互いに共有する仕組みを作りましょう。具体的には、マーケティング部門が獲得したリードの情報を営業とリアルタイムで共有するシステムを導入したり、両部門横断の定例ミーティングを設けて戦略・目標をすり合わせるといった施策が有効です。
以上のように、組織体制と部門横断の連携を見直すことで、営業活動の効率化と機会損失の防止につながります。

解決策:負担分散と目的を見失わない仕組みづくり

加えて、「忙しすぎて必要なコミュニケーションが取れない」という事態も改善すべきポイントです。弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション上の問題発生要因として「過度な業務負担による時間不足」を指摘する声が26%ありました。つまり、業務が忙しすぎて部署内外で情報共有する時間が取れないという、本末転倒な状況に陥っている企業も多いのです。

こうした状況を打破するためにも、業務プロセスの棚卸しとムダな業務の削減・標準化を進めましょう。営業担当者の入力作業や資料作成の時間を削減するために、SFA(営業支援システム)や自動化ツールの導入も有効です。ツール導入によってノンコア業務を効率化し、営業が顧客対応に使える時間を増やすことで、結果的に売上拡大へと繋げることができます。

②なぜ営業業務が属人化してしまうのか

営業ノウハウや顧客対応方法が特定の個人に属人化してしまう問題も、多くの企業で見られます。営業という職種上、一人ひとりが経験を通じてスキルを身につけていく面が大きく、BtoB営業や高額商材の営業では「個人の勘と経験」に頼りがちです。その結果、各営業担当者のやり方・ノウハウが個人の中に蓄積され、共有されない傾向があります。

理想的には部署内でノウハウを共有し、特定の人が不在でも業務が回る状態が望ましいのですが、現実には優秀な営業が退職すると部門の成績が急落する、といったケースも少なくありません。弊社ソフィアの調査でも、「業務に関連する情報が共有されない」と感じている従業員は46%に上り、情報共有の遅さや場所不明も含め現場では知見の断絶が大きな課題となっています。

改善策:営業ノウハウの可視化と伝承の仕組み化

属人化を解消するには、営業ナレッジを可視化し組織で活用できる状態を作ることが急務です。まず取り組みやすいのは、営業マニュアルの整備です。新人や若手向けに基本的な営業プロセスや商談の進め方を言語化すれば、一定の標準スキルを底上げできます。

ただし、トップ営業の高度なテクニックまでマニュアル化するのは容易ではありません。特にハイパフォーマーの属人化が課題の場合、画一的なマニュアルよりもトップ営業本人にノウハウを共有してもらう場を設けるほうが効果的です。
たとえば、実績の高い営業社員に自らの成功パターンを社内勉強会やミーティングで発表してもらったり、ナレッジ共有を促すインセンティブを与えたりする方法があります。営業チーム内で「知見を共有し賞賛し合う文化」を醸成できれば、属人化の回避だけでなく営業部門全体のスキル底上げにつながります。

さらに、ITツールの活用もノウハウ共有の促進に役立ちます。ファイルストレージ機能とチャット等のコミュニケーション機能を備えたツールを導入し、いつでも誰でも営業資料や成功事例を閲覧・投稿できる環境を整えましょう。ツール導入時には、単に用意するだけでなくマネージャー自ら率先して活用し、共有に貢献した社員を評価する仕組みを設けることが重要です。
例えば「今月最も有益なナレッジを共有したで賞」を設けて表彰するなど、従業員にノウハウ共有の動機付けを行います。これにより社員は自発的に知見を公開し、組織学習が進みます。

もちろん、共有されたノウハウを読めば即誰でも高成績を出せるわけではありません。共有された知見を実践し、うまくいった点・いかなかった点を振り返り共有するといったサイクルも必要です。そうすることで、「どの状況で、そのノウハウが有効か/逆に無効か」という組織的な知見が蓄積され、営業組織全体の学習能力が高まります。

属人化解消の取り組みは一朝一夕にはいきませんが、地道なナレッジマネジメントによって「誰がやってもある程度成果を出せる営業組織」に近づけることができます。営業の属人化を脱却し標準化・共有化された組織になれば、メンバー入れ替えによる業績変動を最小限に抑え、長期的な安定成長が期待できるでしょう。

③営業部門の成約率が低迷するのはなぜなのか

部門全体で商談の成約率が伸び悩んでいる場合、営業部門の存在意義に関わる重大な問題が起きていると言えます。個々の営業社員の成約率はスキルや経験にも左右されますが、組織全体で低成約率が続くときは、現場で顕在化していない根本的な要因が潜んでいる可能性 があります。成約見込みの薄い案件ばかり追い続ければ、営業担当者のモチベーションも下がり、無理なプッシュ営業で顧客の信頼を損ねる悪循環にも陥りかねません。

改善策:営業プロセス全般の見直しと市場戦略の再考

成約率低迷を改善するには、まず営業プロセスや戦略の全般的な見直しが必要 です。多くの企業で陥りがちなポイントを以下に挙げます。

商品・サービス自体に問題がないか

提供価値が時代に合っていない、品質が低い、価格設定が不適切など、自社商材そのものの競争力不足が成約率低下の原因の場合があります。競合他社の商品・価格と比較し、自社製品の魅力や価格戦略を再検討しましょう。必要に応じて商品ラインナップの見直しや付加価値向上も検討します。

ターゲット市場のミスマッチ

攻めている顧客層や市場セグメントが自社商材と合致していないと、いくら営業しても成約に至りません。自社の理想顧客像(ICP)を明確に定義し、本当にニーズの高い市場にリソースを割いているか確認しましょう。
営業目標と現状を比較してギャップを分析すると、どこに課題があるか見えてきます。たとえば現状売上が目標より17%低いなら、そのギャップの原因(新規顧客開拓不足、既存顧客の購買頻度減少など)を洗い出します。ギャップ要因として営業プロセスの不備営業人員の不足顧客リピート率の低下など様々な可能性が考えられるため、データをもとに原因を特定しましょう。

新規開拓の停滞

新規顧客開拓が進まず既存顧客への依存度が高い組織も注意が必要です。新規開拓ができていないと、景気変動で既存顧客からの売上が落ち込んだ際に収益が大きく減少するリスクがあります。事業の安定成長には、新たな顧客・市場を継続的に開拓し収益源を多様化する戦略が不可欠です。

営業アプローチ方法の問題

顧客へのアプローチ手段が適切でないと、良い商品でも興味を持ってもらえず成約に結びつきません。たとえばターゲット顧客に応じて、飛び込みやテレアポ、DM、セミナー、SNSなど最適なチャネルを選定できているか検証しましょう。単に「手当たり次第アプローチする」のではなく、顧客属性に応じた伝え方を工夫する必要があります。
また、KPIを設定してプロセスを可視化すれば、どの段階でボトルネックが生じているか早期に発見できます。たとえばアポイント獲得率や提案後の歩留まり率などをトラッキングし、問題箇所を特定して対策を講じましょう。

営業プロセス管理の不足

案件ごとの進捗管理や顧客フォローの抜け漏れも成約率に影響します。適切なタイミングで顧客にコンタクトし、情報を記録・共有することで商談の断絶を防ぎます。ITツールのリマインダー機能等を活用すれば、人手に頼らずフォロー漏れを減らすことが可能です。

また、マーケティングやインサイドセールスなど他部門との情報共有不足によって顧客対応が後手に回り、顧客の信頼を損なっているケースもあります。部門間で顧客情報を一元管理し、問い合わせや資料請求など顧客接点の情報を営業担当がタイムリーに把握できるようにしましょう。顧客管理がエクセル等で分散している場合は、SFA/CRMの導入による一元化も検討すべきです。顧客情報を営業全員が共有することで、抜け漏れのないシームレスな対応が可能になります。

提供チャネルの最適化

商品によっては、営業担当が直接売るよりオンライン販売に切り替えた方が効率的な場合もあります。成約率が低く利益率も低い商品については、思い切ってECサイト等での自動販売に切り替えられないか検討しましょう。人的リソースを真に力を入れるべき商材に集中させることができます。

以上の観点で現状を洗い出し、原因に応じた手を打つことが重要です。ただ闇雲に営業現場を叱咤激励するだけでは限界があります。営業部員の「やる気」以外の部分にしっかり対処することで成約率は改善できます。たとえば「商品が魅力不足」なら商品開発チームと協働して製品改良を進める、「ターゲットがズレている」なら狙う市場を再設定する、「顧客フォロー不足」ならSFAでタスク管理を徹底する、といった具合に組織的対応を行いましょう。営業マネージャーは現状の課題を正しく把握し、ボトルネックとなっている要因を一つひとつ改善することで、最終的に成約率向上と売上増加を実現できます。

④営業社員のモチベーションが上がらない

営業部門では社員のモチベーション管理も大きな課題 です。営業は成果が数字で明確に表れる分、モチベーションが低下した状態では業績にも直結します。トップダウンで叱咤したり、同僚同士で励まし合うことで一時的に士気が上がる場合もありますが、組織的・継続的にモチベーションを維持向上させる施策が欠かせません。

改善策:評価制度の整備と適正運用によるエンゲージメント向上

社員のやる気を引き出す最もシンプルかつ強力な方法は、報酬制度・評価制度の見直しです。パーソルキャリアによる転職者意識調査でも、「給与が低い・昇給が見込めない」が転職理由の総合1位となっており、「会社の評価方法に不満がある」も上位に挙がっています。営業職に限ってみても、「給与への不満」が転職理由の上位(※営業系職種では4位)、「評価方法への不満」もランクイン(同9位)していました。このように、正当に評価され適切な報酬が得られる仕組みは社員のモチベーションに直結します。成果に応じたインセンティブや明確なキャリアアップの基準が示されていれば、営業社員は高い目標に挑戦しやすくなるでしょう。

ただし、若手社員や経験の浅い社員の場合、いきなり売上という明確な成果を出すのは難しいケースもあります。そのため、プロセスを評価するKPIと報酬を設定し、中間目標の達成を認めることも必要です。たとえばアポイント獲得件数や提案資料作成数などプロセスKPIを定め、小さな成功体験を積ませることでモチベーションを維持できます。

また、制度があっても運用が不透明・不公平では意味がありません。評価者の主観や「好き嫌い」で評価が決まると社員のやる気はかえって下がってしまいます。そうならないよう、評価ルールの周知徹底や評価者トレーニングの実施、フィードバック面談の充実など、制度を適正に運用する仕組みも整えましょう。

加えて、個々の営業メンバーが担う顧客や市場規模によって、与えられる目標の感じ方が「高すぎる」「低すぎる」といった不満が生じないよう注意が必要です。一律の数字目標ではなく、担当領域の難易度に応じた目標配分や、それを補う支援策を組み合わせると公平感が高まります。とはいえ、安易に目標を下げてしまうのではなく、組織としてフォローしながら高い目標達成をサポートすることも重要 です。目標を達成できれば達成感と報酬増加につながり、自信と意欲の向上をもたらします。

いずれにせよ、各メンバーとしっかりコミュニケーションを取りながら目標を設定し、継続フォローすることが肝要です。こうした取り組みにより、社員との信頼関係が深まりエンゲージメントも高まります。社員が「この会社で成果を出して成長したい」と思える環境を作れれば、営業現場のエネルギーは格段に向上するでしょう。

⑤若手営業パーソンの育成が進まない

営業組織の未来を担う若手社員の育成がおろそかになっているケースも見受けられます。特に少人数の営業部門では日々の業務に追われ、計画的な育成プログラムを用意できずに「現場で勝手に育ってくれ」となりがちです。
実際、パーソルの調査による20代の転職理由ランキングでは「社員を育てる環境がない」が3位に入っています。根性論で業務を任せるだけでは若手は成長実感を得られず、早々に他社へ流出してしまうリスクが高まります。

また、教育担当として期待される現場のマネージャーや先輩社員も、自身の営業ノルマを抱えているため十分な時間を割けないのが実情です。結果として「先輩の背中を見て覚えろ」式の属人的なOJTに頼らざるを得ず、育成内容・質にもばらつきが出てしまいます。

近年はTeamsやZoom等を使ったオンライン商談が増え、さらに営業人材の採用難から「フルリモート勤務OK」で地方の若手を採用するケースもあります。こうした環境では、若手社員は先輩のオンライン商談に同席して画面越しに学ぶ以外にありません。優秀な若手なら先輩の発言や顧客の反応を分析して積極的に質問し、自己学習につなげるでしょうが、それができるのは一握りです。しかもオンラインでは、訪問営業のように移動中に前提共有したり、帰り道で商談を振り返る自然なコーチング機会がありません。意図的に時間を作って振り返り指導をしなければならないため、高効率なオンライン営業スタイルではその時間すら確保が難しくなりがちです。さらに、たとえ振り返りの場を設けても先輩社員の指導スキルに左右され、若手が受ける指導内容にばらつきが出てしまいます。

改善策:現場の負担を増やさず若手を育成する仕組みの導入

慢性的な現場リソース不足を補いつつ育成の質を上げるには、外部の力を活用するのが有効です。具体的には社外の営業研修サービスやプログラムへの参加を検討しましょう。日常業務で得た経験を研修の場で体系的に振り返ることで、若手それぞれの中で点在していた知識を整理・定着させる効果があります。

その際、研修会社を選ぶポイントは自社の業務や状況に寄り添ったカスタマイズ研修を提供してくれるかです。
ありがちな「伝説のトップ営業マンが講師」といった画一的研修より、自社の商品・市場に即した実践的な学びを提供してくれる研修の方が、研修後に現場で成果に直結しやすい(研修転移が起こりやすい)からです。研修で学んだ内容は持ち帰ってチーム内で共有し、上司や先輩は研修内容が現場で実践されるようサポートしましょう。研修直後に職場で振り返りの機会を設け、学んだスキルを日々の営業活動で使ってみる→結果をフィードバックする、というサイクルを回せば研修効果が最大化します。

そのほか、社員が自主的に学べる環境を整えることも大切です。オンライン学習ツールやeラーニングコンテンツを充実させ、スキマ時間に営業知識や業界知識を身につけられるようにしましょう。社内ポータルに営業関連のナレッジコンテンツを蓄積し、「困ったときにすぐ調べられる」仕組みがあると安心です。

また、若手に限らずメンター制度やピアラーニング(社員同士の学び合い)を導入するのも有効です。先輩社員が若手のメンターとなり定期的に相談に乗ったり、営業ロールプレイの練習相手をするなど、日常の中で実践的に学べる場を用意しましょう。

さらに前述の属人化対策とも関連しますが、社内のナレッジ共有ツールを活用して成功事例やスキルを誰もが見られる状態にしておくことも有効です。そうすれば若手社員は日々業務を遂行しながら、必要に応じてベテランの知見に触れて学ぶことができます。勝ちパターンが言語化され組織全体で発信される営業組織は、若手が成果を出すスピードも速く、結果として組織全体の業績が安定していきます。このように、社内外のリソースと仕組みを組み合わせて育成環境を整備することで、現場の負担を増やすことなく次世代の営業人材を育てることができるのです。

⑥「モノ売り営業」から「ソリューション型営業」へ移行するには

昨今、顧客の課題を解決する提案を行う「ソリューション型営業」への転換が重要だと言われます。ソリューション営業とは、顧客の抱える課題を丁寧にヒアリングし、自社の商品・サービスを活用した解決策を提案する営業手法です。一方で、単に自社商品の特徴を説明するだけで終わる従来型の営業は「モノ売り営業」と呼ばれます。

モノ売り営業では自社商品に決定的な優位性がない限り、価格競争に陥りがちで収益が伸び悩む傾向があります。また、そもそも顧客に顕在ニーズがなければ話を聞いてももらえません。こうした背景から「提案型・課題解決型の営業への転換」が叫ばれるのですが、形だけ真似しようとしてもうまくいかないケースが目立ちます。よくある失敗パターンは大きく2つあります。

ヒアリングの失敗

商談の第一声で「御社の課題は何ですか?」と切り出してしまうケースです。よほど心を開いている顧客か、こちらの商品に強い興味を持っている場合でもなければ、初対面の営業にいきなり自社の課題を詳細に話すことはありません。結果、「表面的な悩み」しか引き出せずに終わったり、「まず商品説明して」と言われたり、場合によっては「課題は自社サイトに載せているから読んでおいて」と会話を打ち切られてしまいます。これでは本質的な課題を共有できず、解決策提案にはつながりません。

課題と自社商材の紐づけ失敗

うまく顧客の課題を引き出せても、それに対する解決策提案が的外れでは意味がありません。新規商談で相手が自社の課題を色々話してくれたなら営業側として大きなチャンスですが、せっかく多くの課題を聞き出したのに提案が定型的というケースも少なくありません。「色々聞いたはいいが解決ストーリーを組み立てられない」ことが原因です。これでは顧客に「話を聞いた意味がなかった」と失望させてしまい、信頼関係の構築にも支障をきたします。

上記の失敗を避け、真のソリューション営業を実現するにはどうすればよいでしょうか?鍵となるのは「事前の仮説構築」と「社内ナレッジ・協働体制」です。

改善策:事前に仮説準備を行い、組織ぐるみで協働できる文化を醸成する

まず、商談前の入念な準備(仮説構築)が不可欠です。訪問前や打ち合わせ前に相手企業の情報を徹底的に調べ、業界動向や過去の取引事例から「ひょっとするとこの会社は○○に課題を抱えているのでは?」という仮説を立てておきます。いきなり「御社の課題は何ですか?」と漠然と質問するのではなく、調べた情報を踏まえて仮説をぶつける形で質問するのです。

たとえば「御社では△△のプロセスにお悩みではないでしょうか。当社の他のお客様では同様のケースで〇〇という課題が見られました」と切り出せば、仮に仮説が外れていても「実はそうではなく□□で課題を感じています」と顧客から本当の情報を引き出せる可能性が高まります。このように営業側が仮説を用意し、それを検証する対話をすることで、限られた商談時間内でも顧客の課題を深く掘り下げられるのです。

そして、ヒアリングで得られた課題に対し最適な解決策を導き出すには組織の力が必要です。個々の営業担当の知識・経験だけでは対応が難しい課題が出てきたとき、社内にナレッジが蓄積され誰もがアクセスできる状態であれば解決策のヒントを得られます。たとえば社内ナレッジデータベースで過去の類似事例を検索し、成功パターンを参照するといった活用が考えられます。

また、組織内に経験がない課題でも、部署の垣根を超えて協働できる風土があれば知恵を出し合って対処できます。例えば製品開発部門やカスタマーサクセス部門と連携してカスタマイズ提案を検討する、他部署から専門知識を持つ人材を招いてチームで課題解決策を練る、といった動きです。

このようなナレッジ共有と組織横断の協働が当たり前にできる文化は一朝一夕には築けません。しかし、「当社はソリューション営業を掲げる」と決めた以上、時間をかけても醸成していく必要があります。経営層が旗を振り、部署間連携を促進する施策(合同研修や定期交流会の実施、ナレッジ共有ツールの導入など)を継続して行いましょう。組織として常に知識を蓄え、皆で問題解決に取り組む文化が根付けば、個々の営業力だけに頼らない強い提案型営業チームが実現します。

⑦営業DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるには

デジタル技術の活用による業務変革、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)は営業組織でも大きなテーマです。DXという言葉自体は総務省の情報通信白書で定義されていますが、一言で言えば「デジタルを手段として顧客提供価値を創出し、競争優位性を確立すること」です。しかし現場では「DX=最新のITツールを導入すること」と捉えがちで、目的を見失うケースもあります。

営業DXの真の目的は、デジタル技術を活用してより多くの潜在顧客にリーチし、効率的に課題解決提案を届けることで顧客価値を高め、自社の競争力を強化することにあります。例えば国内BtoB市場であれば約368万社もの企業がありますが、デジタル活用によりその中から自社商材に課題意識を持つ企業を効率よく見つけ出し、人的リソースでは届かなかった範囲までアプローチできるようになります。これが営業DXによって目指すべき理想の姿です。

しかし現実には、目的を明確にしないまま最新のSFA(営業支援)やMA(マーケ自動化)ツールだけ導入して満足し、使いこなせずに費用だけ増えるという失敗も散見されます。現場の営業社員からは「入力作業が増えてかえって顧客対応時間が減った」「何のためにこのツールを使うのか分からない」といった不満が漏れ、本末転倒の事態に陥ることもあります。

改善策:「理想の営業像の明確化」と「ツール目的の周知・巻き込んだ運用」

営業DXを成功させる第一歩は、営業組織としての「ありたい姿」を描くことです。デジタル化ありきではなく、「将来的に当社の営業はどのように顧客に価値提供したいのか」を制限なく議論しましょう。例えば「現在中小企業が主な客層だが、大企業にもリーチしたい」「大企業に絞って客単価を上げたい」「人手を介さずデジタル上でリード育成し、商談獲得を自動化したい」「初回商談前にデジタル接点で興味関心を掴んでおき、初回から仮説提案できるようにしたい」等、企業によって理想像は様々です。

幹部だけでなく若手営業の意見も取り入れながら、顧客への価値提供と自社の成長を両立できる営業の未来像をチームで描き出してください。このとき「自社の利益追求」だけでなく「顧客への価値提供」をセットで考えるのがポイントです。

理想像を描いたら、次に現状の営業業務を洗い出し、定量・定性の両面でギャップを把握します。どの業務にどれだけ時間がかかっているかなどの定量データはもちろん、営業担当者が「何にストレスを感じているか」「どんな作業が嫌だと思っているか」といった心理的負担もヒアリングしましょう。面倒に感じるかもしれませんが、これはDX推進における「内部エコシステムの変革」に必要なプロセスです。社員の生の声を拾うことで、ツール導入後に現場が感じる抵抗ポイントも事前に炙り出せます。

理想像と現状のギャップが明確になれば、有効な施策を立案し、それを支える適切なデジタルツールを選定しましょう。あくまでツールは理想の営業プロセスを実現する手段であることを忘れてはいけません。例えば、「顧客情報の一元管理で部署間連携を強化する」という施策が必要ならCRMを導入する、「定型提案書の作成時間を削減する」施策には提案自動作成システムを検討する、といった具合に目的に紐づけて選びます。

ツール導入にあたっては、導入目的――「このツールによっていかに顧客提供価値を増大し、自社競争力を高めるか」――を営業メンバーにも周知徹底しましょう。現場が目的を理解し腹落ちしていなければ、定着は望めません。導入して終わりではなく、メンバーを巻き込んだ運用と継続改善が成功のカギです。最初はうまくいかないこともありますが、定期的に効果検証し、運用方法を自社に合う形に改善していきましょう。営業担当からのフィードバックを取り入れ、使いにくい部分は設定変更や追加研修を行うなど柔軟に対応します。そうして自社に最適化されたツール運用方法を確立していくことが重要です。

また念頭に置くべきは、自社の営業課題は自社特有であるということです。他社の成功事例を鵜呑みにして安易にツール導入すると、期待外れに終わる可能性があります。他社でうまくいっても自社では合わないことは往々にしてあるため、効果が出ないと感じた場合は一度「理想像と現状の確認」に立ち戻り、プロセス設計や運用を見直すことも大切です。ツール導入には決して安くないコストがかかるからこそ、目的意識を持って慎重かつ大胆にPDCAを回してください。最終的に、自社ならではの営業DX成功パターンを築き上げることがゴールになります。

まとめ

ここまで、営業部門が抱えがちな7つの課題とその解決策を見てきました。お読みいただいたとおり、営業組織の課題解決に銀の弾丸(単一ですべてを解決する策)は存在しません。組織・人・プロセス・テクノロジーといった複数の観点から複合的に取り組む必要があります。経営層としては戦略的な視点でこれら課題に優先順位をつけ、一つひとつ着実に改善策を実行していくことが重要です。時間とリソースの投資は伴いますが、その先には営業組織全体の底力向上と持続的なROIの向上が期待できます。

弊社ソフィアでは、貴社営業部門が直面する様々な課題に合わせて適切な解決策の立案から実行までを支援いたします。営業組織改革のプロフェッショナルとして、戦略策定から現場定着まで伴走します。「属人化を解消したい」「営業DXを進めたいがどこから手を付ければいいか分からない」等、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。組織変革やコミュニケーション活性化の知見を持つソフィアが、貴社の営業部門強化をサポートいたします。お問い合わせをお待ちしております。

よくある質問
  • 営業部門の課題は何ですか?
  • ・課題①組織的な営業ができていない
    ・課題②業務の属人化
    ・課題③成約率の伸び悩み
    ・課題④社員のモチベーションが上がらない
    ・課題⑤若手などの人材育成ができていない
    ・課題⑥社員の提案力が弱い
    ・課題⑦DX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない

  • 営業部門の課題を解決する方法はどんなものですか?
  • 課題1の解決策
    「営業支援などの部署を作り負担分散を行う」
    課題2の解決策
    「営業ノウハウの共有」
    課題3の解決策
    「営業部員のマインド以外の部分で対処する」
    課題4の解決策
    「評価制度やその運用の見直し」
    課題5の解決策
    「現場マネージャーの過度な負担とならない教育機会を提供する」
    課題6の解決策
    「顧客のニーズを把握する」
    課題7の解決策
    「ありたい状態や営業部員の心理を考慮したツール導入と運用」

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。