人材育成

最新eラーニングのトレンドと成功するLMSの選び方【企業向け】

最新eラーニングは、短時間で学べるマイクロラーニングや、対話・実践を重視するアクティブラーニング、XR(AR/VR)や生成AIの活用など、学び方そのものが大きく進化しています。とはいえ「結局どんなLMSを選べばいいの?」「受講しても現場で使われない…」と悩む企業は少なくありません。そこで本記事では、最新トレンドの全体像とともに、研修を成果につなげる設計・運用・基盤(LMS)選定のポイントまで、一次情報と弊社調査を根拠に俯瞰的に解説します。

最新eラーニングのトレンド

ICT技術の進歩や市場需要の高まりにより、eラーニングのトレンドは大きく変化しています。

現在のトレンドは「マイクロラーニング」と呼ばれ、ボリュームが細分化され、かつ動画やアニメーションを中心においた学習コンテンツです。企業の従業員はこれまでのように数時間〜半日を研修に割くことなく、業務中の待機時間などを使って適宜学習に取り組めます。

近年の研究でも、マイクロラーニングは「短時間で、目的に直結する学習」を設計しやすく、学習成果(知識・行動・意欲面)にポジティブな影響が報告されています。特に”数秒〜数分”で達成できる目標に絞り、必要な時に必要な内容へアクセスできる設計が鍵です。

また、短い学習を「一度で終わらせない」ことも重要です。学習科学の知見では、繰り返し想起(テスト)する学習が長期保持を高めること、学習間隔をあける分散学習が有効であることが示されています。

ここで言う「最新」とは、単に新しいツールを指すものではありません。①忙しい業務の中でも学べる設計(短時間・継続)、②実務で試しながら学ぶ設計(体験・対話)、③学習データにもとづく改善(分析・レコメンド)、④学習を”文化”として根付かせる運用(コミュニティ・発信)がセットになっている状態、と言えるでしょう。

マイクロラーニングを企業で”研修にする”コツは、1本単体の完成度より「シリーズ設計」にあります。たとえば、①前提知識(1〜3分)→②現場ケース(3〜5分)→③小テスト(1分)→④行動課題(現場で10分)→⑤振り返り(1分)のように、短い体験をつなげていく構成が効果的です。

特に効果が出やすいのは、学習者が”すぐに試せる”行動を1つだけ決めることです。覚える内容を増やすほど継続率は下がるため、「今日の仕事で1回やる」レベルに落とし込むと定着しやすくなります。

eラーニング市場の拡大背景

市場規模と成長ドライバー

株式会社矢野経済研究所の調査では、2024年度の国内eラーニング市場規模は提供事業者売上高ベースで3,812億円、うちBtoB市場は1,232億円とされています。同調査では、リスキリング需要とeラーニングの親和性(個別レコメンド、時間・場所の制約が小さい)についても言及されています。

また、働き方改革関連法により改正後の労働基準法が2019年4月から順次施行されたことも、柔軟な働き方と学び直しを後押ししました。テレワークについても、厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を示しており、働く場所が分散する前提の整備が進んでいます。

一方で、市場が伸びているからといって、「導入すれば自動的に学習が進む」わけではありません。次章以降で、学習が現場で使われる形にするためのポイントを整理していきます。

eラーニング学習への取り組み方の変化

LMSの普及がもたらした変化

日本でeラーニングが取り入れられた当初、そのメリットは紙教材がデジタル化(CD-ROMやDVD-ROM)したという程度でした。しかし近年は、LMS(Learning Management System;学習管理システム)というeラーニングの管理プラットフォームが普及しつつあり、学習への取り組み方が変化してきています。

主体的に学ぶアクティブラーニングへ

従来のeラーニングは、一方的に与えられたコンテンツを閲覧し、テストを受けて終了という極めて受動的なものでした。こういった学習方法は一定水準の知識を一斉に修得させることには向いていますが(個人情報の取り扱いなど)、受講者が学習内容を「自分ごと」と捉えにくいため、現場で実践できるスキルにつながりづらいという課題があります。

知識ではなく技術である「対話力」や「交渉術」「マネジメントスキル」などは、実務に反映できなければ意味がありません。このような背景から、eラーニングにおいても、受講者が能動的に学習に取り組むアクティブラーニングが求められるようになってきています。

そして、この課題を解決し、eラーニングをアクティブラーニング化する方法として、「ICTツールとの連携」が注目されるようになりました。例えば先述のLearn365(旧LMS365)上で受講したeラーニングの内容について、オンラインでディスカッションができるチーム(グループ)をMicrosoft 365の一機能である「Microsoft Teams」上に設ければ、学びをより深めることができるでしょう。また、より能動的に関わってもらうためにディスカッションをディベート形式にし、参加を必須にするのも有効かもしれません。

「能動的に学ぶ」ことの効果は、教育研究のメタ分析でも示されています。たとえばSTEM分野の225研究を対象にした分析では、アクティブラーニングは試験成績を平均で0.47標準偏差向上させ、講義中心の場合は不合格率が高い(オッズ比1.95)と報告されています。

企業研修に置き換えると、「見るだけ・聞くだけ」で終わらせず、短いアウトプット(小テスト、ケース、ロールプレイ、現場での行動課題)を組み合わせる設計が重要になります。

弊社ソフィアの調査では、社内研修や学習コンテンツへの問題意識として「受講しても実務に役立たない/役立て方がわからない」(25.8%)、「内容がつまらない」(22.4%)が上位に挙がりました。また「質疑応答の機会が少ない/インタラクティブではない」(12.5%)も課題として指摘されています。

さらに「実務に役立たない」と感じる理由は、「現場の具体的なニーズに合っていない」(46.9%)、「インプット中心で実践のイメージがわかない」(40.6%)、「社内事情やノウハウを踏まえたカスタマイズがされていない」(38.3%)が上位でした。つまり、“学びの個別最適化”と”実践設計”が成果の分かれ目になると言えるでしょう。

  • 最新eラーニングとLMSの違い
  • eラーニングは学習手法全体、LMSは配信・受講管理・進捗管理などを担う基盤です。学習を継続させ、効果測定する上でLMSは重要な役割を担います。

  • SCORM対応だけで十分かどうか
  • 既存教材資産の活用や互換性確保には有効です。一方で、現場課題やオフライン学習など学習体験全体を計測したい場合はxAPI(LRS)も検討するとよいでしょう。

  • 生成AIを研修に使う際の注意点
  • 入力する情報(機密・個人情報)を定義し、規程・ログ・権限・教育をセットで整備することが重要です。

  • 導入後に社員が使わない場合の対処法
  • 目的別のコース設計、短いアウトプット、上長の関与、コミュニティ、リマインドなどを組み合わせ、学習が仕事の流れに組み込まれる設計を作るのが有効です。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。