インターナルコミュニケーション

大企業のDX推進を成功に導く3つのステップと社内浸透の鍵

目次

昨今、ビジネスの現場で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の重要性が叫ばれていますが、単なるITツールの導入で終わってしまい、本質的なビジネスモデルや企業文化の変革に至っていない大企業は少なくありません。本記事では、大企業のDX推進部門、広報部門、人事部門で社内ポータル等を担当される方に向けて、DXの正しい定義から、成功を阻む「2025年の崖」や「SAP 2027年問題」などの最新課題を解説します。さらに、組織全体でDXを推進するための実践的なノウハウをお届けします。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

昨今ビジネスの場において、DX(デジタルトランスフォーメーション)という概念が頻繁に取り上げられるようになりました。しかし、まだDXをただの「デジタル化」と捉えている企業担当者も少なくありません。

今回はこのDXについて定義をおさらいしたのち、自社でDX推進を進めていくにあたって押さえておきたい3つのステップについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がAIや5Gなど最新のデジタルテクノロジーを活用しながら、世の中にないサービスを生み出したり、自社のビジネスモデルを変革したりすることで、より高い顧客価値を創造しながら市場競争力を高めていくことです。

企業におけるDXについては、経済産業省が次のように定義しています。

ビジネスにおけるDXの定義

経済産業省が定義するDXは以下のとおりです。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DXは単なるデジタル化ではなく、それによって業務やビジネスモデル、企業文化にまでも変革を与えるものなのです。

デジタイゼーション・デジタライゼーションとの違いと関係性

デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)について検討する際、引き合いに出されるのが「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Digitalization)」です。DX推進を正しく理解し、社内に浸透させるためには、これら3つの発展段階の違いを明確に区別して認識しておく必要があります。

・デジタイゼーション

デジタイゼーションとは、単なるデジタル化を指します。すなわち、ビジネスのプロセスをデジタル化することで業務効率化やコスト削減を図るものです。

例:紙のリストをデータベース化する、手作業で行っていたコピー&ペーストを自動化する

・デジタライゼーション

デジタライゼーションは、デジタル技術を利用してビジネスモデルを変革することで、新たな事業価値や顧客体験を生み出すことです。

例:カーシェアリング(自動車を購入させるビジネスモデルから、購入させずに利用権利を購入させるビジネスモデルへの変革)、ストリーミングサービス(DVDを貸すというビジネスモデルから、インターネット上で配信した動画を視聴できる権利を購入させるビジネスモデルへの変革)

DX化とIT化の違い——「量」から「質」への転換

上位のDX推進企業が共通して意識しているポイントが、「DX化」と「IT化」の決定的な違いです。IT化は、既存の業務プロセスを維持したまま、作業の自動化やコスト削減を目指す「手段」であり、いわば「量的変化」をもたらすものです。一方のDX化は、ITという手段を用いて、ビジネスモデルや顧客体験(CX)、さらには組織風土や従業員体験(EX)を根本から作り変える「質的変化」を目的としています。

大企業のDX推進において陥りがちな罠は、新しいシステムやツール(社内ポータルやチャットツールなど)を導入すること自体が「目的化」してしまうことです。以下に、それぞれの段階の違いを整理します。

段階 / 目的 / 変化の性質 / 具体例
IT化(デジタイゼーション) / 業務効率化・コスト削減 / 量的変化 / 紙の稟議書を電子ワークフローに移行する
デジタライゼーション / 新たな価値・顧客体験の創出 / プロセス変化 / 店舗販売だけでなくECサイトでのパーソナライズ販売を開始する
DX化(デジタルトランスフォーメーション) / 競争優位性の確立・企業文化の変革 / 質的(抜本的)変化 / 顧客データ基盤を統合し、全社横断で全く新しいサブスクリプション型ビジネスを展開する

DX推進部門だけでなく、広報部門や人事部門が連携し、「導入した技術を使って組織文化をどう変えるか」という質的な変革を見据えることが、真のDX推進の第一歩となります。

大企業においてDX推進が急務として注目される背景

DXが注目を集めるのには理由があります。ここでは大きく3つを解説します。それに加え、最新のテクノロジー動向や基幹システムに関する切実な課題を含めた背景を深掘りします。

2025年の崖

経済産業省が提唱した「2025年の崖」とは、レガシーシステムの刷新や業務プロセスの見直しといった課題を企業が克服できなかった場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降に最大12兆円(現在の約3倍)ともいわれる経済損失が生じる可能性があるというものです。

多くの大企業では、過去の歴史の中で事業部門ごとに個別最適化されたシステムが長年稼働しており、データが社内で分断(サイロ化)されています。このブラックボックス化した既存のレガシーシステムを維持・管理するために、企業のIT予算の約8割が費やされていると指摘されています。データ活用やクラウド移行といった新たな付加価値を生み出すための「攻めのIT投資」へ十分な資金を回せない状況が続けば、技術的負債が蓄積し、企業の革新的な成長を阻む致命的な要因となります。

2027年SAP ERPサポート終了への対応(SAPの崖)

「2025年の崖」に加えて、現在多くの大企業が直面しているのが「2027年のSAP ERPサポート終了」という切実な課題です。日本国内で2,000社以上の企業が利用しているとされる基幹システム「SAP ERP」の標準サポートが2027年に終了します。

この新システムへの移行(マイグレーション)には、要件定義から実装まで平均して1年半以上の長い期間と膨大な人的リソースが必要となります。このシステム刷新を単なる「ツールの入れ替え」で終わらせず、全社的なデータ活用基盤の再構築というDXの絶好の機会と捉え直す企業が急増しており、これがDX推進を加速させる強力な外的要因となっています。

新しいビジネスモデルの創出

DXの目的のひとつは、新しいデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革することです。そのため必然的に、これからの時代に即したビジネスモデルがDXによって創造されるでしょう。

特に昨今では、業界の垣根を越えたデジタルディスラプション(破壊的イノベーション)が世界中で頻発しています。例えば、米国では動画ストリーミングサービスの台頭により大手レンタルビデオチェーンが経営破綻に追い込まれるなど、デジタルネイティブな新興企業に市場シェアを奪われるリスクが現実のものとなっています。既存の優良企業であっても、データドリブンな意思決定を取り入れ、生き残りをかけた新たな価値創造を行うことが急務となっています。

IT人材不足

ITの人材不足はすでに深刻です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)社会基盤センターのIT人材白書2019によると、IT企業におけるIT人材の不足は、75.5%だった2016年と比較して2年後の2018年では92%にものぼっています。企業のDXが推進されていくと、ITやデジタルの知見がふえるためにIT人材の不足が解消される可能性があります。

さらに、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、2030年には国内で約644万人の人手不足が発生すると予測されています。外部からの高度なIT人材の獲得が困難を極める中、DXによる徹底的な業務の省力化と、浮いたリソースを付加価値の高いクリエイティブな業務へ再配置することは、企業存続のための必須条件です。また、既存社員に対するデジタルスキルの再教育(リスキリング)を通じて内部人材をDX人材へと育成することが、人事部門にとっても最重要の経営課題となっています。

急速なテクノロジーの進化と生成AIの台頭

クラウドコンピューティング、IoT、ビッグデータといった技術の進化が統合され、リアルタイムでの高度なデータ分析が現実のものとなりました。中でも、第4次産業革命の象徴とも言える「AI(人工知能)」、特に「生成AI(Generative AI)」の急速な普及はDXを強力に後押ししています。

生成AIは、従来のAI技術とは異なり、膨大なテキスト、画像、プログラムコードなどの非構造化データを瞬時に生成・処理できるため、新たなコンテンツの創造や自然なコミュニケーションを実現します。これにより、社内広報におけるコンテンツ作成の自動化、需要予測の高度化、社内ポータルでの従業員からの問い合わせ対応(社内ヘルプデスクの無人化)など、圧倒的な生産性向上と新たな顧客体験の提供が可能になっています。

経済産業省のDX推進ガイドラインとデジタルガバナンス・コード3.0の要点

大企業がDXを推進する上で、国が定める最新の指針を深く理解しておくことは、投資家やステークホルダーとの対話において極めて重要です。経済産業省は、企業がDXを推進する際の経営者の役割を明確にするため、「デジタルガバナンス・コード」を定めています。

2024年9月、経済産業省はこのガイドラインを改訂し、「デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」を取りまとめました。この改訂版では、DXが単なるITシステムの導入ではなく、「持続的な企業価値の向上」に直結する経営課題であることが副題にも明記され、より一層強調されています。

コード3.0が掲げる「3つの視点と5つの柱」

改訂されたコード3.0では、経営陣がDXに取り組むべき全体像として、新たに「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」というフレームワークが整理されました。

【視点1】経営ビジョンとDX戦略の連動:データ活用やデジタル技術の進化による競争環境の変化(リスク・機会)を踏まえ、目指すべきビジネスモデルと戦略が直結しているか。
【視点2】As is-To beギャップの定量把握・見直し:自社の現状(As is)と理想の姿(To be)の乖離をデータで定量的に可視化し、客観的な見直しを行っているか。
【視点3】企業文化への定着:DXの取り組みが一過性のプロジェクトではなく、組織の風土や文化として持続的に根付いているか。
【柱1】経営ビジョン・ビジネスモデルの策定:経営方針や中期経営計画において、DX推進に向けた明確なビジョンを提示し公表する。
【柱2】DX戦略の策定:ビジョンを実現するための具体的な戦略を立案し、そのロードマップを描く。
【柱3】DX戦略の推進:①組織づくり(体制構築)、②デジタル人材の育成・確保(リスキリング等)、③ITシステム・サイバーセキュリティの3領域を整備する。
【柱4】成果指標の設定・DX戦略の見直し:KPI等の成果指標を設定し、取締役会等で定期的にモニタリングと自己評価を行う。
【柱5】ステークホルダーとの対話:価値創造ストーリーとして、投資家や従業員等のステークホルダーに対して経営トップ自らが情報発信する。

特に今回の改訂で独立・拡充されたのが、「柱3」における「デジタル人材の育成・確保」です。DX銘柄に選定されるような先進企業になるためには、広報部門や人事部門が主導して、全従業員がDXマインドを持てるような社内環境(教育機会の提供や社内ポータルでの活発な情報発信)を構築することが、国からも強く求められています。

大企業がDX推進を成功させるための具体的なステップ

ここからは、DX推進を成功させるためのステップを経済産業省のガイドラインにそって解説します。前述のデジタルガバナンス・コード3.0の理念を現場の実務に落とし込むためには、経営層の意識改革から始まり、システム構築、そして現場の運用に至るまでの一貫したプロセスが必要です。

ステップ1:DX推進のための経営のあり方を変える

大きく5つに大別されます。

経営戦略・ビジョンの提示

これは、想定されるディスラプション(非連続的/破壊的イノベーション)を念頭に、データとデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどのような新たな価値(新ビジネスの創出、即時性、コスト削減など)を生み出すことを目指すか、そのために、どのようなビジネスモデルを構築すべきかについての経営戦略やビジョンが提示できているかが指標となります。

また、昨今主流となっている技術起点のPoC(Proof of Concept:概念実証)ですが、戦略なく繰り返される実証は現場の疲弊を生んでいます。経営者が明確なビジョンを持っていないのに、部下に丸投げして考えさせるばかりでは、成功が確約されたものしか実践されることはなく、DX推進自体が途中で終わるか、少しばかりの改善でお茶を濁すこととなります。

経営トップのコミットメント

DXの推進にあたっては、ビジネスや仕事の手法、組織・人事の仕組み、企業文化・風土そのものの変革が不可欠です。そこで、経営トップ自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組む必要があります。DXを推進する部門だけが意識を変えても企業は変わりません。

DX推進のための体制整備

DX推進という挑戦的で新たな取り組みを、社をあげて促し継続できるよう体制を整えることが重要になります。経営者から各事業部門に対して、マインドセットの醸成や支援体制の整備、人材の確保などを行う必要があるでしょう。

投資等の意思決定のあり方

DX推進に関する投資などの意思決定において、コストのみでなくビジネスに与えるプラスのインパクトを勘案して判断しているか、定量的なリターンやその確度を求めすぎて挑戦を阻害していないか、DXが実現できないことによりマーケットから排除されるリスクを勘案しているかについて検討してください。

DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力

DX推進によってもたらされるビジネスモデルの変革が、経営方針転換やグローバル展開などへのスピーディーな対応を可能とするものになっているかについても押さえておく必要があります。

ステップ2:ITシステム構築のための体制・仕組みを整える——ベンダー選び

ベンダー選定においては、ベンダーに丸投げしてしまうのではなく、自社がシステム連携基盤の企画・要件定義を行うことが必須です。ありがちなのが、これまで付き合いのあるベンダーからの提案を鵜呑みにしてしまうことや、実績があるベンダーの提案であれば問題ないという判断に傾いてしまうことです。

自社のDXに適した提案をベンダーから集め、そうした提案を自ら取捨選択し、それらを踏まえて各事業部門自らが要件定義を行い、ベンダーと対等な立場で意見を出し合いながらシステム構築を行いましょう。

ステップ3:ITシステム構築のための実行プロセスを整える

DX推進の実行プロセスにおいては、「チェンジマネジメント」の必要性が生じます。

組織が変革を行うことを決めた際、その組織に長年慣れ親しんできた従来の方法に固執し、変革に対して反対をする構成員が現れます。彼らの阻害を防ぐため、社員全員の足並みを揃えつつ企業変革を行うこと、すなわちチェンジマネジメントが社内体制として求められるでしょう。

具体的には、自社のDX推進とそれによって生じる変革を社員一人ひとりが理解し、納得して受け入れられるように促すマネジメント手法を指します。個人レベル、プロジェクトレベル、組織レベルでのマネジメントが必要となるため、チェンジマネジメントを実践したことのない企業は、その手法についても確認しておきましょう。


大企業のDX推進部門・広報部門・人事部門の連携による壁の乗り越え方

大企業においてDXを成功させる最大の壁は、高額なITシステムの導入そのものではなく、導入後の「現場の理解と協力」を獲得し、組織全体に定着させることです。先述の「チェンジマネジメント」を実効性のあるものにするためには、DX推進部門(ツール導入・戦略立案)、広報部門(社内へのビジョン浸透・インターナルコミュニケーション)、人事部門(人材育成・評価制度の変革)の3部門が強固に連携し、社内ポータル等を通じたコミュニケーションを最適化する必要があります

弊社ソフィアのIC実態調査2024から見る社内コミュニケーションの壁

ここで、現場のリアルな課題を示すデータをご紹介します。

弊社ソフィアの調査では、2024年8月21日〜9月17日にかけて、従業員数1,000名以上の大企業に勤める現場およびコーポレート部門の方496名を対象に「フル_IC実態調査2024」を実施しました。

この調査から、DX推進を阻害する組織内の深刻な「ズレ」が浮き彫りになりました。最も驚くべきデータのひとつが、経営層が発信する企業戦略やDXのビジョンに対して、「共感している」と答えた従業員がわずか1割程度にとどまっているという事実です。経営トップがどれほど精緻なDXビジョンを掲げても、それが現場の従業員に腹落ち(納得)されていなければ、DXは絶対に前進しません。

デジタルツール導入の格差と情報共有の「三重苦」

また、弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーション媒体の活用状況についても分析しています。現在、大企業におけるビジネスチャットツール等のデジタルツールの導入率は76%に達しており、社内ポータルやWeb社内報などのデジタル化は急速に進んでいます。

しかし一方で、部門間や世代間での「ツール活用度の格差」が深刻な課題として報告されています。情報発信がデジタル化・多様化したことで、かえって情報が社内に溢れかえり、従業員は「情報がない・情報が遅い・情報が見つからない」という情報共有の「三重苦」に直面していることが明らかになりました。

弊社ソフィアの調査で判明した主な課題(IC実態調査2024) / DX推進への悪影響
戦略への共感度が「わずか1割」 / 現場がDXの目的を理解できず、旧来の業務プロセスに固執し、新システムの導入に抵抗・反発する。
チャット導入率76%の一方で生じる「活用格差」 / 一部のITリテラシーが高い層のみが恩恵を受け、全社的なデータ連携や業務標準化が進まない。
情報共有の三重苦(ない・遅い・見つからない) / 社内ポータルが形骸化し、必要なナレッジやマニュアルに辿り着けず、生産性が逆に低下する。

3部門連携による解決アプローチ

これらの課題を解決し、チェンジマネジメントを成功させるためには、以下のように各部門の専門性を掛け合わせたアプローチが不可欠です。

・DX推進部門(システムの最適化):
単に高機能な社内ポータルやツールを導入するだけでなく、広報・人事からのフィードバックをもとにUI/UXを継続的に改善します。生成AIによる高度な社内検索機能やチャットボットを実装し、従業員が直感的に「情報が見つかる」データ基盤を整備します。

・広報部門(インターナルコミュニケーションの深化):
経営層のDXビジョンを全社に一斉送信するだけの一方通行な発信を廃止します。部門の特性や従業員のペルソナに合わせてメッセージをパーソナライズし、「対話(双方向コミュニケーション)・教育・ツールの活用」という三本柱でDXビジョンへの共感を醸成するストーリーテリングを行います。

・人事部門(デジタル人材の育成と評価):
新しいデジタルツールを活用して業務効率化を実現した従業員や、データドリブンな意思決定を行ったチームを正当に評価する人事制度を構築します。また、外部採用に頼るだけでなく、社内ポータルを通じたeラーニング等で、既存社員のDX人材としてのリスキリング(学び直し)を強力に支援します。

大企業におけるDX推進の具体的な成功事例

実際にDX推進において目覚ましい成果を上げている大企業の事例を、公開情報をもとに4社ご紹介します。これらの企業は、いずれも「ITツールの導入」に留まらず、組織横断的な体制づくりや人材育成、チェンジマネジメントに注力しています。

事例1:グループを横断したDX推進(株式会社セブン&アイ・ホールディングス)

多様な事業会社を抱える同社では、各社でサイロ化していた顧客データを統合し、グループ横断でのDX推進体制を構築しました。共通のデータ基盤を活用することで、顧客一人ひとりに最適な購買体験(CX)を提供するオムニチャネル戦略を実現しています。各事業会社の枠を超えてデジタルの重要性を浸透させるため、推進部門と広報部門が連携し、グループ全体のリテラシー向上を図った好例です。

事例2:DXマインドを浸透させる仕組みの整備(三菱ケミカルグループ株式会社)

同社は、最新ツールの導入だけでなく、「従業員一人ひとりのDXマインドの醸成」に注力しました。社内ポータルを活用してDXに関する成功事例やナレッジを積極的に発信し、経営層からのメッセージを継続的に届けることで、現場の従業員が自発的に業務プロセスを見直す風土を作り上げました。まさに、組織文化への定着を目指すチェンジマネジメントを体現した取り組みです。

事例3:独自のDX人材育成プログラムの構築(株式会社島津製作所)

外部からのIT人材獲得が困難を極める中、同社は社内の既存社員をDX人材へと育成するための独自の教育プログラムを構築しました。人事部門が主導となり、デジタル技術の基礎からデータサイエンスまでを学べる環境を整備。自社の業務要件や製品知識に精通した社員がデジタルスキルを身につけることで、外部ベンダーに丸投げしない極めて実践的なDXプロジェクトが社内で次々と立ち上がっています。

事例4:レガシーシステムの刷新とAI活用(日本郵船株式会社)

日本最大の海運会社である日本郵船は、業務プロセスの標準化のために長年稼働していたレガシーシステムを刷新し、「2025年の崖」の克服を体現しています。さらに、100隻以上の複雑な配船計画にAIを活用した最適化システムを導入することで、燃料消費や運航コストを大幅に抑えながら効率的な輸送ネットワークを構築しました。これらの取り組みと積極的なDX人材の育成が評価され、同社は経済産業省の「DX銘柄」においても最高評価であるDXグランプリ企業に選定されています。

まとめ

DXは経済産業省が推進の主導になっていることもあり、働き方改革と同様に、国の用意したガイドラインや各種レポートが豊富に揃っています。

また、国内外で既にDXを実現した企業も出てきています。成功事例が生まれつつありますので、こちらでも紹介していきます。ぜひ併せて参考にしていただき、自社のDX推進を成功に導いてください。

大企業におけるDXの成功は、最先端のシステムを導入するという「ハード面」のアプローチだけでなく、従業員の意識を変革し、組織文化として定着させる「ソフト面(インターナルコミュニケーションと人事制度)」の両輪があってこそ実現します。DX推進部門、広報部門、人事部門が強力なタッグを組み、社内ポータル等の媒体を最大限に活用して、全社一丸となった本質的な変革を目指しましょう。

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よくある質問(FAQ)
  • DX推進の費用対効果(ROI)や成果指標の設定・測定方法は?
  • デジタルガバナンス・コード3.0でも求められている通り、短期的なコスト削減(工数削減やペーパーレス化)といった定量効果だけを追うのは危険です。新規リードの獲得数、市場シェアの拡大、データに基づく意思決定スピードの向上、さらには従業員エンゲージメントの向上といった、中長期的なビジネスへのプラスインパクト(定性効果)を含めて総合的なKPIを設定し、取締役会等で定期的にモニタリングすることが重要です。

  • 現場の従業員が新しいシステムや業務フローを使ってくれない場合の対策は?
  • 弊社ソフィアの調査でも明らかなように、トップダウンでの一方的な導入だけでは現場は動きません。対策として、現場のキーマンをプロジェクトの初期段階(要件定義など)から巻き込むことが挙げられます。そして、社内ポータルや社内報を活用し、「なぜこのシステムが必要で、会社がどう変わるのか(Why)」を現場の具体的なメリットに翻訳して、双方向のコミュニケーションを通じて継続的に発信し続ける(チェンジマネジメント)ことが不可欠です。

  • 高度なDX人材を中途採用できず、プロジェクトが進まない場合の対処法は?
  • 外部の高度IT人材の採用競争は激化しており、採用のみに依存するのは得策ではありません。成功している多くの大企業は、社内人材の「リスキリング(再教育)」へ積極的に投資しています。自社の複雑な業務フローや企業文化を熟知している既存社員に、ITツールやデータ分析のスキルを付与する方が、外部のIT専門家を中途採用して自社の業務知識をゼロから教え込むよりも、DXプロジェクトの立ち上がりが早く、現場の実態に即した変革が進むケースが多々あります。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。